(1)業績
当連結会計年度のわが国経済は、政府による積極的な経済政策や日銀による金融緩和策を受けた円安株高を背景として、輸出企業を中心に業績の改善が見られた。さらに、設備投資や個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移した。しかしながら、為替変動などに伴う原燃料価格の上昇や新興国経済の減速、増税後の消費動向の懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いている。
このような状況の下、当社グループは、当期が2年目となる中期経営3カ年計画『Change & Challenge '14』に掲げる施策に基づき、高分子事業を中心とした事業拡大戦略の推進を図るとともに、価格改定など事業環境の変化に対応する施策を実行し、機能資材メーカーとしての基盤強化や低採算事業の収益改善に努めてきた。この結果、当連結会計年度の売上高は162,686百万円(前期比1.6%増)、営業利益は6,799百万円(同23.2%増)、経常利益は4,713百万円(同22.3%増)となり、減損損失や製品改修引当金繰入額などの特別損失を計上したため、当期純利益は583百万円(前期は10,875百万円の損失)となった。
セグメント別の業績は、次のとおりである。
[高分子事業]
フィルム事業では、包装分野は、国内需要が回復し、輸出も好調に推移したため販売数量が増加した。工業分野は、ポリエステルフィルムの電気・電子機器用途での需要低迷が続いたため販売数量は減少した。また、原燃料価格の上昇に対応するため製品価格改定を行ったが、為替変動などの影響で原燃料価格が更に上昇したため収益は減少した。この結果、事業全体で増収減益となった。
樹脂事業では、当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、自動車用途やスマートフォンなどの情報端末機器用途での販売が好調に推移し、ナイロン樹脂も自動車用途が堅調に推移した。ポリエステル樹脂は、環境配慮型の水性エマルション「アローベース」の用途開拓やダイレクトブローボトル用途への販売が進み、収益に貢献した。また、独自に開発した環境配慮型の高耐熱性ポリアミド樹脂「ゼコット」もユーザー各社での評価が進み、用途展開が拡大している。この結果、事業全体で増収増益となった。
不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、公共事業の回復に伴って土木用途が大きく伸長し、除染廃棄物仮置場に使用するガス透過性防水シート「エルベスキャッピングシート」などの震災復興用途での販売も進んだ。また、生活資材用途も好調に推移し、輸出向けの販売増加も寄与したため収益が大きく改善した。コットンスパンレースは、ウェットシート用途の販売が伸長し、他の用途でも堅調に推移した。この結果、事業全体で増収増益となった。
バイオマスプラスチック「テラマック」は、フィルム、樹脂、不織布、繊維の各事業で積極的に展開している。繊維の需要は回復基調で推移したが、全体的には伸び悩んだ。
以上の結果、高分子事業の売上高は65,523百万円(前期比7.0%増)、営業利益は6,839百万円(同2.2%減)となった。
[機能材事業]
ガラス繊維事業では、産業資材分野は、土木改修用途や住宅関連用途が堅調に推移し、その他の用途でも好調に推移した。電子材料分野のICクロスは、情報端末機器用途での高付加価値品の輸出が伸張し、好調に推移した。ガラスビーズ事業では、標識などの反射材用途は、欧州市況の低迷により、低調に推移したが、ロードマーキング用途や自動車向けなどの工業用途で販売数量が増加した。また、活性炭繊維では、水栓内蔵型などの浄水器用途の販売に加え、自動車脱臭用途や空気清浄用途の販売が好調に推移した。
以上の結果、機能材事業の売上高は14,855百万円(同5.5%増)、営業利益は1,903百万円(同63.7%増)となった。
[繊維事業]
産業繊維事業では、ポリエステル高強力糸は、主力の建築・土木分野での市場競争が依然として厳しく採算が悪化した。ポリエステル短繊維は、バインダー繊維の差別化品などで輸出を中心に需要が増加し、更に円安の影響もあったが、大幅な採算改善には至らなかった。ビニロンは、国内市場はおおむね堅調に推移したが、ロープ用途での需要減少が響き、売上が減少した。海外では、アスベスト代替のセメント補強用途で新興国への拡販が進み、採算は改善したが、依然として厳しい事業環境にある。
衣料繊維事業では、スポーツ分野及びレディス分野は、「サラクール」や「サーモトロン」などの差別化素材の販売が堅調に推移し、海外向けではデニムの輸出が好調に推移した。ユニフォーム分野は、円安による調達コストの上昇、加工費コストの上昇により、減益となった。
以上の結果、繊維事業の売上高は68,170百万円(同0.7%増)、営業利益は424百万円(前期は370百万円の損失)となった。
[その他]
生活健康事業では、健康食品の「白幻鳳凰」は、発売10周年の記念キャンペーン実施などにより、販売数量は増加したが、機能性食品原料は、ラクトビオン酸の販売が堅調であったものの主力製品であるセラミドの需要が回復せず、低調に推移した。メディカル事業では、医用材料分野は、新製品を投入した主力の循環系カテーテルや排液系カテーテルの販売が伸長し、キチン材料を使用した新製品の上市などもあり、売上が増加した。生化学分野は、診断薬の主要客先への販売増加とコストダウンが寄与し、堅調に推移した。
不動産関連事業では、マンション販売は、一部物件の販売開始が遅れたため収益は減少した。
以上の結果、その他の売上高は14,136百万円(前期比17.7%減)となり、営業利益は798百万円(同39.7%減)となった。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ78百万円減少し、当連結会計年度末には19,557百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・イン・フローなどにより、6,839百万円の資金の増加(前期比57.4%減)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴い4,895百万円を支出したことなどにより、4,103百万円の資金の減少(前期は4,404百万円の資金の減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減等により、3,053百万円の資金の減少(前期は7,432百万円の資金の減少)となった。
(1)生産実績
当社グループの生産活動の大半は、当社、日本エステル㈱、ユニチカテキスタイル㈱、ユニチカグラスファイバー㈱、㈱ユニオンで行われているため、これらの会社の実績により記載している。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
高分子事業 |
50,812 |
8.9 |
|
機能材事業 |
8,368 |
1.5 |
|
繊維事業 |
22,785 |
9.0 |
|
報告セグメント計 |
81,967 |
8.1 |
|
その他 |
840 |
△13.9 |
|
合計 |
82,807 |
7.8 |
(注)1.生産高を明確に表示するため、外注生産高を含む総生産高で記載している。
2.上記の金額には消費税等は含まれていない。
(2)受注状況
当社グループは主として見込生産を行っている。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
高分子事業 |
65,523 |
7.0 |
|
機能材事業 |
14,855 |
5.5 |
|
繊維事業 |
68,170 |
0.7 |
|
報告セグメント計 |
148,549 |
3.9 |
|
その他 |
14,136 |
△17.7 |
|
合計 |
162,686 |
1.6 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれていない。
2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手先はない。
当社グループは、高分子事業などの成長戦略の推進、固定費削減を含む徹底したコストダウンの実施、低採算事業の収益改善施策の見直しと実行、原燃料価格高騰に対応するための価格改定の実施を推進する。これらの施策を着実に遂行することにより、収益基盤を底上げし、将来の確固たる事業基盤を確立する。
個々の事業戦略及び課題については次のとおりである。
高分子事業では、フィルム事業は、包装分野では、原燃料価格の動向に応じた価格改定を推進するとともに、差別化フィルムの拡販により、収益の確保に努める。また、インドネシア子会社のエンブレムアジアにおけるナイロンフィルム大型新鋭機の増設に伴う生産能力の増強により、東南アジア市場でのシェア拡大や欧米市場での拡販を図る。工業分野では、品位・品質向上による新規用途開拓を推進するとともに、新規開発品の採用拡大を目指す。樹脂事業では、環境配慮型の高耐熱性ポリアミド樹脂「ゼコット」は、自動車用途、電気・電子機器用途を中心に用途開拓を一層強化し、生産設備の増強も進める。また、環境配慮型の水性エマルション「アローベース」の新規用途開拓による拡販を継続するとともに、高耐熱性と溶剤可溶性を兼ね備えた新規ポリアリレート樹脂「ユニファイナー」の電気・電子機器用途などへの展開を強化し、収益力の一層の向上を図る。不織布事業は、「エルベスキャッピングシート」などの震災復興用途やカーペット用途を中心に販売を強化し、コットンスパンレースについては、ウェットシート用途の販売や海外展開を引き続き強化する。バイオマスプラスチック「テラマック」は、耐熱性・柔軟性などの独自の改質技術や加工技術、多様な素材供給力を強みに、新規用途・新規顧客の開拓を図る。
機能材事業では、ガラス繊維事業は、産業資材分野は、引き続き土木改修用途での拡販を進めるとともに、建築不燃材関連、環境エネルギー関連での販売を強化する。電子材料分野のICクロスは、差別化品の開発を更に進め情報端末機器用途でのシェアを高めることにより更なる収益の拡大を目指す。ガラスビーズ事業は、工業用途を中心に差別化品によるシェア拡大を図るとともに、反射材用途では欧州以外の新規顧客の開拓を進める。活性炭繊維は、今後も旺盛な需要が見込まれる水栓内蔵型浄水器用途の拡販を進めるとともに、新規用途での市場開拓を図る。
繊維事業では、産業繊維事業は、引き続き調達、生産、販売及び管理の全ての段階において抜本的なコスト削減施策を実施し、収益改善の基盤の構築を進める。衣料繊維事業は、グループ海外拠点を活用したグローバル展開を推進し、生産管理機能の強化を図りながら高付加価値品の拡販に注力する。
その他、生活健康事業は、食品原料を中心とした機能性素材の拡販により、事業規模の拡大を目指す。特に、主力製品であるセラミドは国内販売の回復を図るとともに、東アジア地域への輸出拡大に注力する。メディカル事業は、新製品のクワッドルーメンカテーテルの採用拡大と排液系カテーテルの創部領域での拡販を図り、キチン製品の海外市場への展開、酵素の産業用途での拡販を進める。
海外展開については、前述のナイロンフィルム大型新鋭機の稼働により、ナイロンフィルムのグローバルトップシェアの地位を更に固めるとともに、その他の高分子、機能材、繊維の各事業についても中国やASEAN地域の海外拠点との連携によるマーケティングの強化とアジア市場への新規開拓、欧米市場への拡販に取り組んでいく。
研究開発については、当社グループが保有する高分子設計・制御技術、機能付与技術や分析技術などを駆使し、ライフサイエンス、環境、エネルギーの各分野で、バイオマスプラスチック、高機能樹脂、高耐熱フィルムなど成長を牽引する開発を加速する。また、「戦略的特許・商標活動」をテーマとして知的財産活動にも注力する。
コストダウンについては、平成26年度においても引き続き構造改革の一環として固定費削減施策を遂行するとともに、変動費についても徹底的な効率化を図る。また、これまで以上に資金運営の効率化を徹底し、有利子負債の削減に努める。
なお、当社では当連結会計年度後の平成26年5月に新中期経営計画(以下「本計画」という。)を新たに策定しており、概要は以下のとおりである。
1.本計画の基本方針
本計画(最終年度 平成29年)は、最大限の自助努力に加え、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第壱号投資事業有限責任組合からの資本調達を原資とした収益事業への集中投資、低採算事業及びノンコア事業の縮小・撤退、借入先金融機関による金融支援を織り込んでいる。その実現に向け、長期目線での一貫した経営方針のもと、粘り強く実行し続ける経営姿勢の堅持、決めたことを具現化する業務行動の改革も同時に実行する。当社は、全社員が力を合わせ企業体質や風土を変え、新しいことに挑戦していく所存である。
2.本計画の骨子
上記の基本方針を実現するための本計画の骨子は以下のとおりである。
(1)アジア市場向け、新素材・新用途向け拡販
成長市場である中国及び東南アジアへの製品供給能力の向上を図るとともに、国内外で高付加価値品を導入するための投資を積極的に実施することで、収益事業の拡大を目指す。
① フィルム、不織布事業における、アジア地域での能力増強と差別化品の拡販
② 樹脂事業における新素材・新用途向け拡販と、中央研究所開発素材の積極的な製品化
(2)事業ポートフォリオ改革
事業を収益性、将来性、グループシナジーを踏まえて峻別し、事業及び子会社数をスリム化することで、事業ポートフォリオの改革を行い、成長事業へ経営資源を集中投下する。
① 産業繊維事業の構造改革
② 低採算・ノンコア事業の縮小・撤退
(3)管理コスト削減と組織力強化
抜本的事業再構築の推進、連結経営体制の整備及び地道なコスト削減努力を推進することで、収益体質の強化を図る。
① 業務の集約、効率化による管理コストの削減
② 人事諸制度の見直し(登用・育成・評価)
(4)財務体質の健全化
各種施策を実現するための資金余力、財務基盤を確保することで、本計画を着実に遂行する。
① 金融支援及び外部出資による自己資本増強と資金調達
② これらを原資とした上記各種施策効果の現出
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがある。なお、当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避やその影響を最小限に止めるなどの事前対応、または発生した場合の事後対応に努めるものとしている。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。
(1)原燃料価格の変動にかかるもの
当社グループにおいて、高分子事業及び合成繊維事業にて取り扱う製品は、主としてナフサなどから精製される化学原料を加工したものである。また事業所などで使用される重油、天然ガスなどの燃料も含めて、石化原燃料の購入価格の変動をタイムリーに製品価格への転嫁や生産性向上などの内部努力により吸収することができず、十分なスプレッドを確保できなかった場合は、各原燃料価格の変動が当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。
(2)為替・金利レートの変動にかかるもの
当社グループの海外事業については、円建ての取引を基本としているが、現地通貨建てにて取引を行う項目に関しては、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける場合がある。これら為替レートの変動が生じた場合、円換算後の売上高やコストへの影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性がある。
また金利変動によるリスクについては、ヘッジ取引等、一部影響を緩和するための措置を講じているが、為替変動と同様に当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(3)製品の欠陥にかかるもの
当社グループは製品の品質管理に万全を期し、製品の欠陥等の発生を未然に防止している。また、万が一の製品事故に備えた損害保険に加入している。しかしながら、予測できない原因により製品に重大な欠陥が発生した場合、回収費用、社会的信用の毀損、多大な補償・訴訟費用、賠償費用の負担などにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(4)海外事業にかかるもの
当社グループは中国、香港、インドネシア、タイなどの東アジア、欧米並びに南米などの地域において事業展開を図っているが、特に中国、東南アジアを中心として、次のようなリスクがある。これらの事象が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
・予期し得ない法律や規制、税制等の変更
・不利な政治的要因の発生
・テロ、戦争などによる政治的、社会的混乱
・疫病などの流行
(5)産業事故災害にかかるもの
当社グループにおいて、合繊原料など化学物質を取り扱う工場を中心として、万一、甚大な事故災害が発生した場合は、それに伴って生じる社会的信用の低下、補償などの対策費用、生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(6)貸し倒れにかかるもの
当社グループの取引先の信用不安によって予期せぬ貸し倒れが顕在化し、それに伴う追加の損失や引当の計上が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
(7)その他の主な変動要因にかかるもの
上記の他、事故、地震・台風・竜巻などの自然災害、新型インフルエンザなどの感染症の流行などが、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性がある。
<合弁関係>
|
契約会社 |
相手先 |
対象国 |
契約内容 |
契約締結年月日 (有効期間) |
|
当社 |
グラハ・ウパヤ・マンデ社 丸紅株式会社 |
インドネシア国 |
左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立 資本金US$1,000万 (提出日現在:資本金US$3,240万 (平成7年11月15日株式会社エンブレムアジア設立) |
平成7年5月29日 (契約発効後、合弁会社の存続する期間) |
|
当社 |
三井物産株式会社 三井物産(中国)有限公司 |
中国 |
左記2社との共同出資によるナイロン6同時二軸延伸フィルム製造販売会社設立 資本金US$1,850万 当社出資比率70% (平成16年1月7日ユニチカエンブレムチャイナ有限責任会社設立) |
平成15年12月1日 (契約発効後、合弁会社の存続する期間) |
当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。
当連結会計年度の研究開発費は、3,881百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,026百万円が含まれている。
(1)高分子事業
フィルム関連において、当社独自のシリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、表面平滑タイプ、粗面タイプ、帯電防止タイプなどのラインナップ拡充により電子部材の製造工程などへの採用を拡大している。新たに軽剥離タイプを開発したので、商品紹介を始めた。パッケージ用途では、マット調ナイロンフィルム「エンブレムNZ」、その高性能ガスバリアタイプ「セービックスYNZ」を開発した。一部の商品では、すでに採用されており、ユーザーニーズに十分に応えられるように生産能力を増強したので、本格的な販売を始める。
樹脂関連では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂が、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途で適用が進んでいる。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット(XecoT)」は電気・電子用途、自動車用途を中心に高評価なことから、今年度、宇治事業所(京都府)内の中量産プラント拡大工事を実施している。溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」の開発が進み、耐熱フィルム等での展開を目指している。オレフィン系エマルションである「アローベース」は接着層、コーティング層としての高い汎用性、機能性から、食品、医療用包装材用途のみならず、電機、自動車分野にも広く適用されている。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品の採用が拡大しており、増産体制の拡充を進めている。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は電気・電子用途の海外需用の増加に伴い、海外での用途展開が進んでいる。ナイロン樹脂はユニチカ独自技術との組み合わせによる、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレード、発泡成形技術とマッチングさせた発泡成形用グレード等、樹脂の付加価値を高めた製品の展開を進めている。
不織布関連では、フィルムや樹脂といった異素材の特性を活かすような複合品の開発を継続的に行っている。複合繊維「エルベス」のニードルパンチタイプ不織布でポリエチレン微多孔フィルムをサンドイッチしたガス透過性防水シートは、その性能の優位性から東北地方の除染廃棄物仮置き場に採用され、販売は順調に推移している。また、院内感染防護には、「エルベス」が微多孔フィルムやメルトブローン不織布と積層されてメディカルドレープ用途やメディカルガウン用途に採用されている。不織布単体としては、異形断面の極太繊維からなる不織布を「Dilla」の商標で上市する運びとなった。非常に高い剛性を有する事を特徴とした不織布で、既に多くのユーザーから好評を得ており、今後の展開が期待される。一方、コットンスパンレースは国内のみならず、国外の衛材用途にも積極的に展開を行う一方、樹脂ネットとの複合による簡易担架の開発など、新たな用途への展開を順次図っている。
バイオマスプラスチック関連としては、これまで同様ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」の機能向上と、さらなる市場ニーズへの適応に注力している。また、上記「ゼコット(XecoT)」もバイオマス由来の原料から成るため、バイオマスプラスチックとしての展開も図っている。さらに、二酸化炭素とバイオマス由来ジアミンから製造されるポリ尿素の開発を進めている。このポリ尿素は、原料に石油由来の物質を使用せず、かつ地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を直接固定化してなる世界初の究極の環境配慮型素材であるだけでなく、高い耐熱性を示すエンジニアリングプラスチックとしても注目されている。
当事業に係る研究開発費は1,462百万円である。
(2)機能材事業
ガラス繊維関連では、顧客ニーズに応えたガラス繊維、ガラスクロス及びそれらの処理加工品等を各種開発し、ユーザーから好評価をいただいている。また、建材向けや各種産業資材用途の展開を進めている。
ICクロス関連では、超極薄クロスなどの生産技術革新に取り組むと共に、高性能化された新規ICクロスを開発中である。
活性炭繊維関連では、浄水分野において、市場要求の強いフィルターの小型化、高性能化の開発を更に進める事で採用拡大を図っている。また、気相分野においては、自動車用途に加え、住宅生活関連などの空気脱臭用途での高機能化の開発を更に進める。
当事業に係る研究開発費は442百万円である。
(3)繊維事業
繊維事業においては、婦人衣料対応素材として、高発色性で優しいタッチのナイロン芯鞘複合糸の芯部に、光エネルギーを熱に変換する特殊セラミックを練り込んだ吸光熱変換ナイロン素材「サーモフィット (Thermofit)」を開発した。ナイロンの特性と保温性能を兼ね備えた秋冬シーズンに最適な素材で、2014年秋冬向けに販売予定である。
スポーツ衣料対応素材、カジュアル衣料対応素材としては、独自の複重層紡績技術を応用し、紡績糸としては極めて少ないレベルまで毛羽を抑え、さらに糸に太細を付与して意匠性を持たせた複重層スラブ紡績糸「パルパーCS (PALPA CS)」を開発した。太細による肌への点接触効果と毛羽抑制の相乗効果により、ドライタッチと清涼感を有し、さらに吸水拡散性、形態安定性にも優れている。
ユニフォーム対応素材としては、国内外の安全性基準をクリアした高機能安全素材「プロテクサ」シリーズに、新たに高性能導電糸と制電加工技術を駆使して開発した高制電素材「プロテクサAS (Protexa AS)」を追加した。IEC基準をクリアした高い制電性を有し、その耐久性にも優れるため、半導体工場などで使用される静電気対策が必要な作業服用途に展開中である。
産業資材用素材としては、ポリエステルモノフィラメントをループ糸として用いた立体編地を塗材用、塗り床材均し用ペイントローラー材として応用し、「キュービックロール」を開発した。ループ糸の起立保持性が高く、かつループ間に適度な空隙を設けているため、高粘度の塗材を容易に均一塗布することが可能で、使用後にローラー材に付着した塗材を容易に除去でき、繰り返し使用が可能である。
また、除染廃棄物の最終処分場用に環境省直轄除染事業を中心に拡販しているガス透過性防水シート「エルベスキャッピングシート」が、2013年度繊研合繊賞のニューフロンティア部門賞を受賞した。
当事業に係る研究開発費は529百万円である。
(4)その他
生活健康事業関連では、美容素材として幅広く展開している「こんにゃくセラミド」の機能性を分子レベルで解明し、「こんにゃくセラミド」に多く含まれる構造(スフィンゴイド)が、セラミド合成系を活性化して角質層セラミド量を増加させるのに加えて、顆粒層や角質層に作用して、皮膚のバリア機能を改善することを見出した。2013年秋に開催されたセラミド研究会において、この結果を報告し、高く評価された。
メディカル事業関連では、抗血栓性カテーテルの更なる拡充を図ると共に、救急・防災用途として簡便に圧迫止血を可能とする止血帯「EMSバンデージ」を製品化し、また、創傷被覆保護材「ベスキチンF」の中国での販売を開始した。酵素事業では臨床検査用途や合成反応用途でのユーザー求評活動や受託開発を引き続き進めている。
当事業に係る研究開発費は420百万円である。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ872百万円減少し、254,181百万円となった。これは、主として売上債権が減少したことによる。負債は、前連結会計年度末に比べ1,076百万円増加し、234,813百万円となった。これは、主として仕入債務及び借入金が減少したものの、退職給付に係る負債を計上したことによる。純資産は、前連結会計年度末に比べ1,948百万円減少し、19,368百万円となった。これは、主として退職給付に係る調整累計額を計上したことによる。
(2)経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2,495百万円(1.6%)増収の162,686百万円となった。増加の主要因は、国内景気が緩やかに回復したことなどにより、高分子事業を中心に販売数量が増加したためである。
②営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,280百万円(23.2%)増益の6,799百万円となった。原燃料価格の上昇を価格改定やコストダウン等によりカバーした結果、増益となった。セグメント別では、高分子事業とその他事業で減益となったものの、機能材事業や繊維事業では増益となった。
③営業外損益と経常利益
当連結会計年度の営業外損益については、前連結会計年度に比べ営業外費用がほぼ横ばいの3,979百万円となったが、営業外収益が388百万円(17.0%)減少の1,893百万円となり、営業外損益全体としては悪化した。これは為替差益の計上があったものの前連結会計年度に比べ減少したことなどが影響した。
これらの要因と、営業利益段階での増益により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ859百万円(22.3%)増益の4,713百万円となった。
④特別損益
当連結会計年度の特別損益については、特別利益は、固定資産売却益の減少などにより前連結会計年度に比べ331百万円減少した。一方、特別損失は、製品改修引当金繰入額を計上したが、減損損失が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ4,738百万円減少した。
⑤当期純利益
当連結会計年度の当期純利益は、特別損益の好転、法人税等調整額の減少などにより、前連結会計年度に比べ11,459百万円増加し583百万円の当期純利益となった。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ78百万円減少し、当連結会計年度末には19,557百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・イン・フローなどにより、6,839百万円の資金の増加(前期比57.4%減)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴い4,895百万円を支出したことなどにより、4,103百万円の資金の減少(前期は4,404百万円の資金の減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減等により、3,053百万円の資金の減少(前期は7,432百万円の資金の減少)となった。