第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、前半緩やかな回復基調にありましたが、後半、欧州でのテロのリスクや金融市場での信用リスク、また中国・新興国に加え、米国でも景気減速懸念が高まり、全体的に力強さに欠く状況となりました。日本経済については、企業収益は底堅いものの、内外需とも動きが弱く景気の足踏み状態が続きました。小売業界においては、株安など資産価値の減少を受けて消費マインドが低下し、個人消費が停滞した状況が続きました。
 このような状況のもとで、当社グループは長年培ってきたノウハウ・リソースを結集することで、「常に上質であたらしいライフスタイルを創造し、お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つことを通じて、お客さま一人ひとりにとっての生涯にわたるマイデパートメントストアとなり、高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループ」となることをめざし、平成23年から日本の良き伝統、文化を新しい価値としてご提供する「ジャパン センスィズ」に取り組み、昨年からはそれを深化させた「this is japan.」を企業メッセージに掲げ、商品やサービスの独自性に磨きをかけ、世界に認められるあたらしい価値を創出する取り組みを進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,287,253百万円(前連結会計年度比1.2%増)営業利益は33,107百万円(前連結会計年度比0.1%増)経常利益は36,704百万円(前連結会計年度比6.2%増)親会社株主に帰属する当期純利益は26,506百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①百貨店業

百貨店業におきましては、「百貨店のあるべき姿」を実現すべく三越伊勢丹グループならではのあたらしい価値をご提案することに取り組んでまいりました。当社グループの成長を牽引する基幹3店において、以下の取り組みをすすめてまいりました。
 「世界最高のファッションミュージアム」の実現をめざす伊勢丹新宿本店では、さまざまなお客さまのニーズにお応えするべく進化し続けるデジタルテクノロジーを活用し、新たな価値をお届けしてまいりました。スマートフォンアプリ「ISETANナビ」を通じたタイムリーで魅力的な情報の発信や、カラフル・ボード株式会社が開発した人工知能を搭載したアプリ「SENSY(センシー)」を活用した新しいショッピング体験のご案内、外部の企業や団体が持つ先端のテクノロジーを融合させたイベントの開催など、毎日の生活をより豊かにするライフスタイルを積極的にご提案してまいりました。
 三越日本橋本店は、「カルチャーリゾート百貨店」をコンセプトに、日本文化の発信拠点として日本の美意識を伝える取り組みをすすめてまいりました。本年2月に、ジャパンプレミアムブランド「セキトワ」が本館1階に、プロモーションスペース「ギャラリー ライフ マイニング」が本館5階にオープンし、お客さまの生活に彩りを添える商品の展開や、日本の美しい暮らしや文化をご提案しております。また、本年3月には日本の食文化を五感で体験できる「自遊庵」が本館地下1階にオープンいたしました。
 三越銀座店は、「最旬グローバル百貨店」の実現に向け、昨年秋に大規模リモデルを行いました。各階の「グローバルメッセージ」は情報発信基地として最旬のトレンドを期間限定でプロモーションスタイルにてご提案しています。本年1月には、沖縄以外では日本初となる空港型市中免税店「Japan Duty Free GINZA」がオープンいたしました。世界のブランドや日本の伝統をラインアップし世界中のお客さまをお迎えしております。
 地域百貨店につきましては、昨年9月に丸井今井札幌本店と札幌三越がリモデルオープンし、取扱いのアイテムやブランド、サービスにいたるまで磨きをかけてご提供しています。また本年4月には、三越銀座店につづき、福岡三越に空港型市中免税店「FUKUOKA DUTY FREE TENJIN」がオープンしております。
 中小型店舗につきましては、当社グループの強みである編集力と新たなチャネル開発とエリア展開で、お客さまとの接点拡大に向け出店をすすめております。編集型小型店「エムアイプラザ」は、昨年4月の「エムアイプラザ富士見」をはじめとして全国各地に10店舗を出店し、本年3月までに26店舗となりました。ファッションセレクトストア「イセタンサローネ」が昨年4月六本木に、「イセタンサローネメンズ」が昨年12月丸の内に、「イセタンハウス」が本年3月名古屋にオープンいたしました。ラグジュアリーコスメの編集ショップ「イセタン ミラー メイク&コスメティクス」は、昨年秋に東急プラザ表参道原宿店とラスカ茅ヶ崎店、本年4月に13店舗目となるアトレ恵比寿店がオープンいたしました。また、本年1月に三越伊勢丹グループ海外初の化粧品小型店「ISETAN BEAUTY」が上海にオープンし、中国マーケットにあわせた商品を揃え、日本らしい「安心・安全」をご提供いたしております。
 WEB事業につきましては、サイトのリニューアルから1年が経過し、リアル店舗との融合をめざし、基幹3店と連動した企画数の増加や展開商品数の拡大により、お客さまの利便性向上に取り組みました。
 海外事業につきましては、クールジャパン機構とのマレーシアクアラルンプールでの取り組みや、フランスパリでのショップ出店など、日本の文化や商品の展開・情報発信をすすめてまいります

なお、このセグメントにおける、売上高は1,187,389百万円(前連結会計年度比1.2%増)営業利益は21,569百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。

 

②クレジット・金融・友の会業

クレジット・金融・友の会業につきましては、株式会社エムアイカードが外部利用拡大に向けた各種キャンペーンの展開、外部加盟店の拡大、提携カードの発行などに努めたほか、ポイントモールやWEB明細サービスを新たに導入するなど、お客さまの利便性向上に加えて、収益力の高い経営基盤の構築に取り組んでまいりました。また、本年4月よりカード会員特典をグループ共通ポイントに改定いたしました。すでに大手航空会社とのマイル交換をはじめ、野村不動産グループや福岡の商業施設「VIORO」との提携カード発行などを進めておりますが、今後も更なるポイント交換先の拡大等、お客さまにより便利にご利用いただけるよう取り組んでまいります。

なお、このセグメントにおける、売上高は36,225百万円(前連結会計年度比5.0%増)営業利益は5,617百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。

 

③小売・専門店業

小売・専門店業につきましては、株式会社三越伊勢丹フードサービスが、日本一の豊かな食のプレゼンターをめざして昨年5月にクイーンズ伊勢丹笹塚店をリモデルオープンいたしました。また、百貨店で展開する高級食品専門店をプロデュースし、本年3月には伊勢丹府中店の食品フロアリモデルの核テナントとしてクイーンズ伊勢丹グランデ府中店がオープンいたしました。

なお、このセグメントにおける、売上高は55,827百万円(前連結会計年度比3.5%減)営業損失は1,058百万円(前連結会計年度は営業損失277百万円)となりました。

 

④不動産業

不動産業につきましては、株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインが、オリンピック・パラリンピック開催予定の東京地区やインバウンド需要が見込まれる北海道・京阪地区において、ホテル・商業施設・オフィス再開発など積極的に建装事業を拡大いたしました。また、グループ保有資産の有効活用やグループのお客さまへのより魅力ある商品・サービスの提供をめざし、昨年4月に株式会社三越不動産を株式会社三越伊勢丹不動産に商号変更するとともに、従来の不動産賃貸管理業に加え、資本業務提携先である野村不動産株式会社との共同分譲事業の取り組みをすすめてまいりました。

なお、このセグメントにおける、売上高は46,234百万円(前連結会計年度比7.8%増)営業利益は6,323百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。

 

⑤その他

「お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つこと」の実現に向けて、当社グループの強みを活かした独自性の高い新規事業の開発をすすめてまいりました。株式会社三越伊勢丹旅行が昨年7月より営業を開始し、プレミアム感にあふれた旅行をご提案しています。また、昨年10月にブライダル事業の株式会社三越伊勢丹プラン・ドゥ・シーを設立し、本年1月に飲食事業の株式会社三越伊勢丹トランジットを設立いたしました。
 さらに、本年1月には、投資事業の株式会社三越伊勢丹イノベーションズを設立し、従来のビジネスモデルにとらわれない新しい事業の創出に挑戦しております。

なお、このセグメントにおける、売上高は74,838百万円(前連結会計年度比1.9%増)営業利益は358百万円(前連結会計年度比548.0%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて13,938百万円増加し64,238百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、43,099百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が6,348百万円減少しました。これは主に、売上債権が増加(前期は減少)したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、24,481百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が9,893百万円減少しました。これは主に、敷金及び保証金の回収による収入が2,661百万円増加したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,711百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が13,661百万円減少しました。これは主に、借入れによる収入が増加したことなどによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績及び受注実績

当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比
(%)

百貨店業

1,185,781

1.2

クレジット・金融・友の会業

18,707

9.3

小売・専門店業

42,185

△5.1

不動産業

25,602

△2.2

その他

14,976

16.2

合計

1,287,253

1.2

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループでは、グループビジョンである「世界随一の小売サービス業グループ」の実現に向けたマイルストーンとして2018年度 連結営業利益500億円を目標とするグループ3ヶ年計画を推進しております。
 経済環境につきましては、企業業績や雇用環境に改善が見られるものの、地域経済回復の遅れや、株価、為替など決して楽観できる状況ではないと認識しております。足元では、実質賃金の伸び悩みや景気の不透明感から消費マインドが低下していることに加え、好調であったインバウンドの伸びも鈍化するなど小売環境は厳しい局面を迎えております。このような中にあって当社グループは、持続的な成長を実現するために「百貨店のあるべき姿」の実現と長期視点に立った成長事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
 当社グループの主力事業である百貨店業においては、独自性とブランド力をさらに強固にすべく、強みである新宿・日本橋・銀座の基幹3店を中心に経営資源を投下し、世界最高レベルの価値を提供してまいります。
 また、お客さまのご要望を迅速かつ的確に把握し企画開発した、独自性・収益性の高い商品やサービスを中小型店舗、WEB、海外など、グローバルなチャネル・顧客接点・業態に拡げていくことで一層の収益拡大を目指してまいります。
 さらに、お客さまのライフスタイル全般にわたって新たな価値を提供していくために、外部企業との提携も積極的に検討しながら、既存事業の強化、新規事業の開発に取り組んでまいります。また、女性、専門人材、外国人等、多様な属性・専門性を持つ人財が活躍できる企業風土を醸成してまいります。
 一方で、経営PDCAサイクルを強化し、不採算となっている店舗や事業については抜本的な構造改革に取り組むことで企業業績の向上を図ります。
 これらの取組みによりグループ3ヶ年計画における業績目標を達成するとともに、コーポレートガバナンスを強化することで、企業価値の向上と持続的成長を目指してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

本報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。但し、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 需要動向におけるリスク

当社グループの主要なセグメントである、百貨店業及び小売・専門店業の需要は、事業展開する国内・海外各国における気候状況や景気動向・消費動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競争状況等に大きな影響を受けます。従って、これらの要因により、当社グループの業績や財務状況に、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外の事業展開におけるリスク

当社グループのセグメントのうち、百貨店業は東南アジア、中国、台湾、米国、欧州で店舗を営業しています。これらの売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける場合があります。

また、海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。

1) 予期しない法律または規制の変更
2) 不利な政治または経済要因
3) 潜在的に不利な税制度
4) テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(3) 公的規制におけるリスク

当社グループは、事業展開をする各国において、事業・投資の許可等、さまざまな政府規制の適用を受けています。また、独占禁止、消費者、租税、為替管理、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けています。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性や、費用の増加につながる可能性があります。また、将来の消費税率の引き上げ等による個人の消費動向への影響も懸念されます。従って、これらの規制は、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害・事故におけるリスク

当社グループのうち、百貨店業や小売・専門店業においては、店舗による事業展開を行っています。このため、自然災害・事故等により、店舗の営業継続に悪影響をきたす可能性があります。

当社グループでは、大規模災害等への対応及び発生後における事業継続計画の策定などに積極的に取り組んでおります。しかし、首都直下型の大地震が発生した場合、首都圏に基幹店が集中している当社グループは、従業員及び建物等に甚大な被害を被る恐れがあり、それにより当社グループの業績や財務状況に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。また、東日本大震災後に現出した電力の使用制限や消費の自粛、放射能による食料品汚染など、大規模災害が当社グループの営業活動に影響を及ぼす可能性があります。

火災については、消防法に基づいた火災発生の防止を徹底して行っています。しかし、店舗において火災が発生した場合、被害者に対する損害賠償責任、従業員の罹災による人的資源の喪失、建物等固定資産や棚卸資産への被害、消防法による規制等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 商品取引におけるリスク

当社グループでは、百貨店業や小売・専門店業において、消費者向け取引を行っています。これらの事業において欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に消費者からの信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また当社グループでは、百貨店業の外商部門やその他事業の卸売業を中心として、法人向けの取引を行っています。これらの事業は契約先1社当たりの販売額が高額であり、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等により費用が発生した場合や、契約先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) データ・センター運用上のリスク

当社グループが事業を展開するための各種システムは、主にデータ・センターのコンピューター設備で一括管理しています。当該データ・センターでは、電源・通信回線の二重化、耐震工事、不正侵入抑止等の対策を講じていますが、完全にリスク回避できるものではありません。自然災害や事故等により甚大な設備の損壊があった場合、通信回線や電力供給に支障が出た場合、不正侵入や従業員の過誤による障害が起きた場合、業務の遂行に支障をきたし、グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループではこれらのデータ・センター運用上のリスクを軽減するため、各種システムを安全性の高いデータ・センター仕様の外部施設へ設置しております。

 

(7) 顧客情報の流出におけるリスク

当社グループでは百貨店業及び小売・専門店業、クレジット・金融・友の会業、情報処理サービス業を中心に、顧客の個人情報を保有・処理しています。これらの個人情報の管理は社内管理体制を整備して、厳重に行っていますが、犯罪等により外部に漏洩した場合、顧客個人に支払う損害賠償による費用の発生や、当社グループの社会的信用の失墜による売上高の減少が考えられ、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特に記載する事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績分析

①概要

当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は1,287,253百万円(前連結会計年度比1.2%増)連結営業利益は33,107百万円(前連結会計年度比0.1%増)連結経常利益は36,704百万円(前連結会計年度比6.2%増)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は26,506百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。

②売上高

連結売上高は、1,287,253百万円となりました。中核の百貨店業では、株安など資産価値の減少を受けて消費マインドが低下し、個人消費が停滞した状況が続きました。
 このような状況のもとで、当社グループは長年培ってきたノウハウ・リソースを結集することで、「常に上質であたらしいライフスタイルを創造し、お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つことを通じて、お客さま一人ひとりにとっての生涯にわたるマイデパートメントストアとなり、高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループ」となることをめざし、平成23年から日本の良き伝統、文化を新しい価値としてご提供する「ジャパン センスィズ」に取り組み、昨年からはそれを深化させた「this is japan.」を企業メッセージに掲げ、商品やサービスの独自性に磨きをかけ、世界に認められるあたらしい価値を創出する取り組みを進めてまいりました。

③販売費及び一般管理費

連結の販売費及び一般管理費は328,660百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。百貨店業の売上増加に伴う変動費の増加などにより、前年実績を上回る実績となりました。

④営業外損益

営業外損益は3,597百万円の利益となりました。営業外収益には持分法による投資利益5,521百万円などを計上しました。また、営業外費用には商品券回収損引当金繰入額5,558百万円などを計上しました。

⑤特別損益

特別利益として1,267百万円を計上し、その内容は投資有価証券売却益です。また特別損失として9,592百万円を計上いたしました。主な内容は減損損失6,775百万円、固定資産処分損2,544百万円などです。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は1,293,043百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,483百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が増加したことなどによるものです。

負債合計では718,727百万円となり、前連結会計年度末から4,822百万円増加しました。これは主に、有利子負債が増加したことなどによるものです。

また、純資産は574,316百万円となり、前連結会計年度末から3,338百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益計上により利益剰余金が増加した一方で、自己株式の取得、並びに非支配株主持分及び為替換算調整勘定の減少などによるものです。

 

 

(4) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、64,238百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フロー(43,099百万円の収入)に現金及び預金を加え、投資活動によるキャッシュフロー(24,481百万円の支出)及び財務活動によるキャッシュ・フロー(3,711百万円の支出)に充当した結果によるものです。

 

(5) 戦略的現状と見通し

グループ中期経営計画「三越伊勢丹グループ3ヶ年計画(平成28年度-30年度)」では、グループ全体の持つ豊かな資源(顧客資産・拠点・チャネル・機能・ノウハウ)を有機的に連携・相互活用することで、グループ全体および各事業のポテンシャルを早期かつ最大限引き出し、ユニークで他社に真似できない顧客価値を創出することで競争優位を作り出し、収益の安定と拡大を目指すことを基本方針として、以下の4つの基幹戦略を推進してまいります。

 

[基幹戦略1]顧客価値の高いコンテンツの創出

各顧客接点の魅力度および競争力向上に向け、世界基準で評価される、独自性・顧客価値の高いモノ・コト・ソリューション(コンテンツ)、さらにそれらを融合させた新しいライフスタイル提案を実現し、お客さまへの価値提供レベルの向上を目指してまいります。

[基幹戦略2]顧客接点の拡大と充実

よりお客さまのお役に立てる機会を増やすために、グループ最大の強みである基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の継続的な強化(顧客接点の充実)を図りながら、グループにある様々なリソースを活用することで、お客さまの消費スタイルにあった顧客接点を展開し、お客さまと接する機会の拡大を目指してまいります。

[基幹戦略3]生産性向上の推進

各顧客接点において、お客さまのご要望・ご期待に沿い、更には上回る「商品・品揃えや販売サービスの充実」により顧客満足度の向上を図ると共に、各事業・業態特性に応じた商品差益の拡大や販管費削減への取組みによる収益力強化を両立させるため、新しい仕組みの構築(ビジネスモデル改革)による生産性向上を目指してまいります。また、商業不動産事業を推進し、小売グループとして培ってきた編集力・MD力を活かした商業不動産の展開と共に、全国に保有する自社不動産の最大活用による生産性向上を図ってまいります。

[基幹戦略4]グループリソースを活用するための基盤強化

三越と伊勢丹の統合後、百貨店事業を中心に構築してきた基盤など、グループの持つ資源をグループ全体へ拡大・活用することで、グループのノウハウ・資源を更に蓄積し、営業面・業務運営面・コスト面で、一層の効果創出を目指してまいります。