第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成25年4月1日~平成26年3月31日)における世界経済は、新興国の成長ペースに一部鈍化が見られたものの米国経済が堅調に推移し、日本経済につきましても、政府による景気対策や輸出の持ち直しなどにより、企業業績、個人消費ともに復調し、全体として緩やかな回復基調で推移いたしました。
 小売業界におきましては、景気回復に加えて、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響もあり、首都圏を中心に消費は堅調に推移いたしました。
 このような状況のもとで当社グループは、「常に上質であたらしいライフスタイルを創造し、お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つことを通じて、お客さま一人ひとりにとっての生涯にわたるマイデパートメントストアとなり、高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループ」の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
 この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,321,512百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は34,646百万円(前連結会計年度比30.1%増)、経常利益は38,440百万円(前連結会計年度比12.3%増)、当期純利益は21,166百万円(前連結会計年度比16.3%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①百貨店業

百貨店事業におきましては、「百貨店のあるべき姿」を実現すべく、景気や消費マインド等の要因に左右されない新たな発想でお客さまのご期待にお応えしていくことで絶対的な価値を創造し、提供させていただくことで、お客さま満足の向上に取り組んでまいりました。

具体的には、三越伊勢丹グループが、世界に誇れる日本の美意識・技・伝統を見つめ直し、現在のライフスタイルに進化した新たな価値の日本のモノづくりを紹介する「ジャパンセンスィズ(JAPAN SENSES)」、またお客さまの声にお応えするために企画した独自の商品である「オンリー・エムアイ」など、当社グループ独自の付加価値の高い商品の開発をさらに推し進めてまいりました。
 また、商品の仕入れ構造に関わる改革を引き続き継続するとともに、お客さまのご要望を店舗業務フローに活かして販売力の向上に取り組むことで、独自性の強化とお客さま満足の向上、収益力の強化に努めてまいりました。

その他当社グループとして、観光庁と連携した来日プロモーションなど訪日外国人に向けた取り組みを実施したほか、グローバルに成長していくために、経済産業省との連携によるクールジャパン機構への出資、さらにジャパンセンスィズキャンペーンの取り組みの一つとして、期間限定ポップアップストア「ニッポニスタ」ニューヨーク出店など、世界に向けたコンテンツの発信を進めました。

百貨店事業の中核となる株式会社三越伊勢丹の基幹3店においては、世界最高レベルの店舗を目指し、次のような取り組みを行いました。

伊勢丹新宿本店は、「世界最高のファッションミュージアム」の実現を目指し、婦人服や婦人雑貨のフロアを大規模に改装し、昨年3月にグランドオープンいたしました。ファッションをアートと捉え、お客さまの感覚に訴えかける店づくりによりオープン以来、多数のお客さまにご来店いただき、売上は予想を上回る水準で推移いたしました。
 また本年3月に、リビングフロアの一部とメンズ館の4階・5階フロアをリモデルいたしました。今後、リビングフロア・ベビー子供フロアにつきましては、お客さまに新たな価値を提供するフロアとして、来春、グランドオープンいたします。

三越日本橋本店におきましては、日本橋地域の再開発が進む中、三越の象徴に相応しいプレステージストアとして商品・接客・環境すべての面で「世界最高のおもてなし」をご提供し、日本文化の発信拠点としてお客さまが非日常空間を楽しめる店舗をご提案すべく、全館リモデルの準備に着手いたしました。その目指す姿の一つとして、本年3月には本館7階に、お客さまのアクティブな暮らしを実現する複合型の新コンセプトショップ「Hajimarino Café」(はじまりのカフェ)をオープンいたしました。

三越銀座店では、世界の銀座のランドマークとして、銀座にこだわった商品やサービスを提供しご好評をいただいております。また、当年度につきましては、政府の推進策や円安の影響もあり訪日外国人が増加いたしました。同店では海外からのお客さまに心地よくお買い物をしていただくための外国語表記のサインボード設置やアテンドの強化などに努めてまいりました。今後、外国人顧客に対するサービスの充実も含めた新しい店づくりを進めてまいります。

以上基幹3店につきましては、独自性の強化に努めた結果、売上が好調に推移いたしました。

また、株式会社三越伊勢丹の各支店ならびに地域百貨店事業会社の各店舗におきましては、地域毎にお客さまのニーズに合わせた店舗のあり方を追求し、店舗の魅力を高めました。昨年10月にリモデルオープンした伊勢丹松戸店は、百貨店の編集力を活かし、専門店を効果的に配置することで、親子三世代のお客さまが一緒にお楽しみいただける店として生まれ変わりました。

次に、百貨店で培った強みを活かすことで、お客さまとの接点を広げるべく、商業施設への小型店の出店や、WEB事業の強化などに取り組んでまいりました。

小型店の出店につきましては、全国に多店舗展開を計画しており、これまでに、ラグジュアリーコスメ編集ショップの「イセタンミラー メイク&コスメティクス」、旅を楽しむお客さまに向けた衣料・雑貨の編集ショップ「イセタン羽田ストア」や「イセタンアウトレットストア」等、複数の店舗フォーマットを開発・出店してまいりました。当年度は、「イセタンミラー メイク&コスメティクス」で、吉祥寺パルコ店、ららぽーとTOKYO BAY店、錦糸町テルミナ2店、アトレ大井町店の4店、「イセタンアウトレットストア」では、酒々井店、あみ店、御殿場店の3店をオープンいたしました。
 また、新たな編集型小型店として「エムアイプラザ」の出店を開始いたしました。
 同店は、雑貨や食品ギフトを展開し、生活感度の高いお客さまが気軽にお立ち寄りいただける店づくりを目指しております。昨年9月に1号店として河辺店(青梅市)を、その後、タピオ店(仙台市)、山形店(山形市)、ユーカリが丘店(佐倉市)、上越店(上越市)をオープンいたしました。
 なお、新たな店舗形態として、中型編集店舗の開発も進めております。その第1号店として、来年開業予定の「大名古屋ビルヂング」の商業ゾーンに出店いたします。同店は、独自性、編集力を結集させたファッションを提案するセレクトストアを目指してまいります。

WEB事業につきましては、事業拡大に向け、品揃えの拡大やシステムの基盤整備を進めてまいりました。また、「FASHION HEADLINE」「ISETAN PARK net」による情報発信を行う等、メディアビジネス事業の拡大に向けた取り組みを行っております。

一方、海外の百貨店業につきましては、長期的に経済成長が見込まれる中国・東南アジア地域において、グループ全体に貢献できる収益基盤の構築に取り組みました。しかしながら当年度は、同地域の景気減速や競争激化等の影響もあり、全体として予想を下回る結果となりました。
 昨年12月には、シンガポールの「ジュロンイースト店」がオープンし、同国の百貨店は6店舗体制となりました。また、中国におきましては平成27年に成都市に2店目となる百貨店をオープンする予定となっております。
 なお、瀋陽伊勢丹百貨有限公司につきましては、同国における事業効率化の観点から、昨年5月をもちまして、店舗営業を終了し、清算手続きに入っております。

なお、このセグメントにおける、売上高は1,201,065百万円(前連結会計年度比7.0%増)、営業利益は23,211百万円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。

 

②クレジット・金融・友の会業

クレジット・金融・友の会業につきましては、当社グループのお客さまの利便性をさらに高めるとともに、収益力の高い経営基盤の構築に取り組みました。
 株式会社エムアイカードにおいては、カード会員数の増加や外部加盟店網の拡大に努めた結果、百貨店取扱高の堅調な推移に加え、加盟店手数料も増加しました。

なお、このセグメントにおける、売上高は33,488百万円(前連結会計年度比8.2%増)、営業利益は5,193百万円(前連結会計年度比40.0%増)となりました。

 

③小売・専門店業

小売・専門店業につきましては、株式会社三越伊勢丹フードサービスが、食品の製造・卸売・販売に関わる業務の効率化と商品力の向上に取り組みました。同社の運営するスーパーマーケットのクイーンズ伊勢丹では、高品質で安心・安全な商品、他社では扱っていない独自性の高い商品の提供など、グループの強みを活かしながら、地域のお客さまのニーズにお応えする店舗運営に取り組んでおります。昨年5月には、東京都武蔵野市に「武蔵境店」をオープンいたしました。
 また、食品宅配事業については昨年11月に、株式会社三越伊勢丹通信販売から食品宅配事業「三越伊勢丹エムアイデリ」を事業移管するとともに、有機野菜等の食品宅配業を営むオイシックス株式会社との業務提携を開始いたしました。さらに本年4月には、日本郵便株式会社と共同で商品調達・カタログ制作を行う合弁会社「株式会社JP三越マーチャンダイジング」を設立いたしました。

なお、このセグメントにおける、売上高は85,823百万円(前連結会計年度比0.1%増)、営業損失は319百万円(前連結会計年度は営業損失532百万円)となりました。

 

④不動産業

不動産業につきましては、ビル管理業を営む株式会社三越伊勢丹ビルマネジメントが、グループ全体の営業支援および省エネ関連業務に取り組み、グループ内の建物管理業務の受託店舗を拡大するとともに、地域の特性に合わせた管理体制の構築等、業務効率の改善に努めました。

なお、このセグメントにおける、売上高は39,790百万円(前連結会計年度比21.5%増)、営業利益は6,462百万円(前連結会計年度比83.3%増)となりました。

 

⑤その他

その他につきましては、情報処理サービス業の株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ、物流業の株式会社三越伊勢丹ビジネス・サポート、人材サービス業の株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ等が、外部企業からの業務を受託し、グループ内の経営資源の最適化を図るなど、グループ各社への営業支援体制の効率化を推進しました。

なお、このセグメントにおける、売上高は71,402百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業損失は68百万円(前連結会計年度は営業利益1,109百万円)となりました。                

 

なお、本年1月にお知らせのとおり、当社の持分法適用関連会社であります株式会社ジェイアール西日本伊勢丹が運営するJR大阪三越伊勢丹は、平成27年春オープンを目指し、百貨店と専門店の双方の強みを活かした商業施設として刷新いたします。同店につきましては、西日本旅客鉄道株式会社および株式会社ジェイアール西日本伊勢丹とともに総力を挙げて取り組み、早期の黒字化を目指してまいります。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて14,819百万円増加し、50,601百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、46,022百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が41,583百万円増加しました。これは主に、未払金の増減額が32,825百万円増加したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、19,221百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が7,090百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が6,211百万円減少したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、16,151百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が18,490百万円増加しました。これは主に、コマーシャル・ペーパーによる調達額が減少したことなどによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績及び受注実績

当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比
(%)

百貨店業

1,199,371

7.0

クレジット・金融・友の会業

15,717

11.6

小売・専門店業

71,813

0.3

不動産業

21,025

34.9

その他

13,585

△3.9

合計

1,321,512

6.9

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の経済環境につきましては、足元では消費に回復傾向が見られるものの、小売業界においては、業種・業態を超えた競争が激化していることや、本年4月の消費増税およびその後予定されている消費税率引き上げなどを鑑みれば、楽観視できる状況にはないと認識しております。
 このような中にあってこそ、当社グループは、「お客さまが欲しいものを、欲しいときに、ご提供する」、「お客さまに感動していただく」という、いつの時代においても変わらぬ小売業の役割を、着実に実行し、積み重ねることで、お客さまから選ばれる「マイデパートメントストア」となることを目指してまいります。
 その実現に向けて当社グループは、以下のような戦略に取り組んでおります。
 まず、当社グループの基幹3店、すなわち伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店におきましては、百貨店のあるべき姿を実現すべく、今後も新たな発想でお客さまのご期待にお応えしていくことで絶対的な価値を創造し、世界最高レベルの店づくりを目指してまいります。
 また、首都圏に次ぐエリアの魅力度が高い札幌、名古屋、福岡の各店舗を地方大都市における基幹店と位置づけ、店舗のポテンシャルを最大限に活かすべく独自性・競争力をこれまで以上に高めてまいります。その他の支店・地域百貨店につきましても各地域のお客さまのご要望にお応えできる最適な店づくりに取り組み、収益向上を図ってまいります。
 これらの店舗戦略に加え、中小型店舗の展開強化や、WEB、通信販売、スーパーマーケットや宅配などの食品事業といった成長事業への取り組みを一層強化し、百貨店のノウハウを活かした商品やサービスを多様な販路を通じてご提供することでお客さまとの接点拡大をさらに推進してまいります。
 海外の百貨店業につきましては、経済成長が見込まれる中国・東南アジアを中心に、今後も出店場所・条件等を精査し、新規出店の検討を行うとともに、これまでの店舗展開に加えて、より広いマーケットを見据えた事業モデルの構築も視野に入れてまいります。
 当社グループは、以上の戦略を着実に推進することで、お客さま満足の向上と収益力の強化を図り、グループビジョンである「世界随一の小売サービス業グループ」の実現に向けて持続的・永続的な発展の礎を築いてまいります。また、株主の皆様には、企業価値の長期的な向上を図ることで提供価値を高めてまいります。
 

 

4 【事業等のリスク】

本報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。但し、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 需要動向におけるリスク

当社グループの主要なセグメントである、百貨店業及び小売・専門店業の需要は、事業展開する国内・海外各国における気候状況や景気動向・消費動向等の経済情勢、同業・異業態の小売業他社との競争状況等に大きな影響を受けます。従って、これらの要因により、当社グループの業績や財務状況に、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外の事業展開におけるリスク

当社グループのセグメントのうち、百貨店業は東南アジア、中国、台湾、米国、欧州で店舗を営業しています。これらの売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける場合があります。

また、海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しています。

1) 予期しない法律または規制の変更
2) 不利な政治または経済要因
3) 潜在的に不利な税制度
4) テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(3) 公的規制におけるリスク

当社グループは、事業展開をする各国において、事業・投資の許可等、さまざまな政府規制の適用を受けています。また、独占禁止、消費者、租税、為替管理、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けています。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性や、費用の増加につながる可能性があります。また、将来の消費税率の引き上げ等による個人の消費動向への影響も懸念されます。従って、これらの規制は、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害・事故におけるリスク

当社グループのうち、百貨店業や小売・専門店業においては、店舗による事業展開を行っています。このため、自然災害・事故等により、店舗の営業継続に悪影響をきたす可能性があります。

当社グループでは、「地震災害対策基本計画」をもとに、東日本大震災を踏まえた大地震発生時の対応及び発生後における事業継続計画の策定などに積極的に取り組んでおります。しかし、首都直下型の大地震が発生した場合、首都圏に基幹店が集中している当社グループは、従業員及び建物等に甚大な被害を被る恐れがあり、それにより当社グループの業績や財務状況に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。また、東日本大震災後に現出した電力の使用制限や消費の自粛、放射能による食料品汚染など、当社グループの営業活動に影響を及ぼす可能性があります。

火災については、消防法に基づいた火災発生の防止を徹底して行っています。しかし、店舗において火災が発生した場合、被害者に対する損害賠償責任、従業員の罹災による人的資源の喪失、建物等固定資産や棚卸資産への被害、消防法による規制等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 商品取引におけるリスク

当社グループでは、百貨店業や小売・専門店業において、消費者向け取引を行っています。これらの事業において欠陥商品や食中毒を引き起こす商品等、瑕疵のある商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等による費用が発生する場合があります。更に消費者からの信用失墜による売上高の減少等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また当社グループでは、百貨店業の外商部門やその他事業の卸売業を中心として、法人向けの取引を行っています。これらの事業は契約先1社当たりの販売額が高額であり、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任等により費用が発生した場合や、契約先の倒産による売掛金の回収が不能となった場合の費用の発生等、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) データ・センター運用上のリスク

当社グループが事業を展開するための各種システムは、主にデータ・センターのコンピューター設備で一括管理しています。当該データ・センターでは、電源・通信回線の二重化、耐震工事、不正侵入抑止等の対策を講じていますが、完全にリスク回避できるものではありません。自然災害や事故等により甚大な設備の損壊があった場合、通信回線や電力供給に支障が出た場合、不正侵入や従業員の過誤による障害が起きた場合、業務の遂行に支障をきたし、グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループではこれらのデータ・センター運用上のリスクを軽減するため、各種システムを安全性の高いデータ・センター仕様の外部施設へ設置しております。

 

(7) 顧客情報の流出におけるリスク

当社グループでは百貨店業及び小売・専門店業、クレジット・金融・友の会業、情報処理サービス業を中心に、顧客の個人情報を保有・処理しています。これらの個人情報の管理は社内管理体制を整備して、厳重に行っていますが、犯罪等により外部に漏洩した場合、顧客個人に支払う損害賠償による費用の発生や、当社グループの社会的信用の失墜による売上高の減少が考えられ、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特に記載する事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績分析

①概要

当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要として、連結売上高は1,321,512百万円(前連結会計年度比6.9%増)、連結営業利益は34,646百万円(前連結会計年度比30.1%増)、連結経常利益は38,440百万円(前連結会計年度比12.3%増)を計上しました。特別損益及び税金費用等を控除した連結当期純利益は21,166百万円(前連結会計年度比16.3%減)となりました。以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析します。

②売上高

連結売上高は、1,321,512百万円となりました。中核の百貨店業では、政府による景気対策や輸出の持ち直しなどにより、企業業績、個人消費ともに復調したこと、また、景気回復に加えて、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響もあり、前年同期実績を上回る実績となりました。このような状況のもとで当社グループは、「常に上質であたらしいライフスタイルを創造し、お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つことを通じて、お客さま一人ひとりにとっての生涯にわたるマイデパートメントストアとなり、高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループ」の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。

③販売費及び一般管理費

連結の販売費及び一般管理費は335,376百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。百貨店業の売上高増加に伴う変動費の増加などにより、前年実績を上回る実績となりました。

④営業外損益

営業外損益は3,794百万円の利益となりました。営業外収益には持分法による投資利益5,184百万円などを計上しました。また、営業外費用には商品券回収損引当金繰入額5,347百万円などを計上しました。

⑤特別損益

特別利益として102百万円を計上しました。主な内容は投資有価証券売却益60百万円などです。また特別損失として5,189百万円を計上いたしました。主な内容は減損損失2,640百万円、退職給付制度移行損失1,741百万円などです。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は1,284,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ60,980百万円増加しました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加したことなどによるものです。

負債合計では743,588百万円となり、前連結会計年度末から25,037百万円増加しました。これは主に、買掛金が増加したことなどによるものです。

また、純資産は541,069百万円となり、前連結会計年度末から35,942百万円増加しました。これは主に、当期純利益計上により利益剰余金が増加したこと、及び、為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。

 

 

(4) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、50,601百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フロー(46,022百万円の収入)に現金及び預金を加え、投資活動によるキャッシュフロー(19,221百万円の支出)及び財務活動によるキャッシュ・フロー(16,151百万円の支出)に充当した結果によるものです。

 

(5) 戦略的現状と見通し

グループ中期経営計画「三越伊勢丹グループ3ヶ年計画(平成26年度-28年度)」では、グループ全体の持つ豊かな資源(顧客資産・拠点・チャネル・機能・ノウハウ)を有機的に連携・相互活用することで、グループ全体および各事業のポテンシャルを早期かつ最大限引き出し、ユニークで他社に真似できない顧客価値を創出することで競争優位を作り出し、収益の安定と拡大を目指すことを基本方針として、以下の4つの基幹戦略を推進してまいります。

 

[基幹戦略1]顧客価値の高いコンテンツの創出

各顧客接点の魅力度および競争力向上に向け、世界基準で評価される、独自性・顧客価値の高いモノ・コト・ソリューション(コンテンツ)、さらにそれらを融合させた新しいライフスタイル提案を実現し、お客さまへの価値提供レベルの向上を目指してまいります。

[基幹戦略2]顧客接点の拡大と充実

よりお客さまのお役に立てる機会を増やすために、グループ最大の強みである基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の継続的な強化(顧客接点の充実)を図りながら、グループにある様々なリソースを活用することで、お客さまの消費スタイルにあった顧客接点を展開し、お客さまと接する機会の拡大を目指してまいります。

[基幹戦略3]生産性向上の推進

各顧客接点において、お客さまのご要望・ご期待に沿い、更には上回る「商品・品揃えや販売サービスの充実」により顧客満足度の向上を図ると共に、各事業・業態特性に応じた商品差益の拡大や販管費削減への取組みによる収益力強化を両立させるため、新しい仕組みの構築(ビジネスモデル改革)による生産性向上を目指してまいります。また、商業不動産事業を推進し、小売グループとして培ってきた編集力・MD力を活かした商業不動産の展開と共に、全国に保有する自社不動産の最大活用による生産性向上を図ってまいります。

[基幹戦略4]グループリソースを活用するための基盤強化

三越と伊勢丹の統合後、百貨店事業を中心に構築してきた基盤など、グループの持つ資源をグループ全体へ拡大・活用することで、グループのノウハウ・資源を更に蓄積し、営業面・業務運営面・コスト面で、一層の効果創出を目指してまいります。