IFRSの適用
当社グループは、当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)から従来の日本基準に替えてIFRSを適用しております。IFRSへの移行日は2015年4月1日であり、前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)についても、IFRSに準拠して表示しております。日本基準とIFRSとの差異の概要は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用」をご参照ください。
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しました。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
(1)業績
当期における世界経済は、米国や欧州では景気の回復基調が続きましたが、新興国の一部で弱さがみられたこともあり、全体としては緩やかな回復となりました。
我が国経済は、企業収益に対する円高の影響や、設備投資の持ち直しの動きに足踏みがみられたものの、雇用環境の改善がすすみ、景気は緩やかな回復基調が続きました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指し、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」、「更なる事業構造強化」、その土台となる「経営基盤の進化」に取り組んできました。
当連結会計年度の連結売上高は、動物栄養の大幅な減収に加え、為替の影響による調味料・加工食品(海外)の減収等により、前期を582億円下回る1兆911億円(前期比94.9%)となりました。同事業利益は、動物栄養が大幅な減益となったことに加え、為替の影響等もあり、前期を12億円下回る968億円(前期比98.7%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を182億円下回る530億円(前期比74.4%)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
セグメント別の業績は、次のとおりです。
|
|
売上高 (億円) |
前連結会計 年度増減 (億円) |
前連結会計 年度比 |
事業利益 (億円) |
前連結会計 年度増減 (億円) |
前連結会計 年度比 |
||
|
日本食品 |
3,904 |
△66 |
98.3 |
% |
408 |
91 |
128.9 |
% |
|
海外食品 |
4,289 |
△349 |
92.5 |
% |
417 |
△56 |
88.2 |
% |
|
ライフサポート |
1,240 |
△183 |
87.1 |
% |
58 |
△61 |
48.7 |
% |
|
ヘルスケア |
895 |
△19 |
97.8 |
% |
81 |
10 |
114.6 |
% |
|
その他 |
581 |
36 |
106.6 |
% |
2 |
3 |
― |
|
|
合計 |
10,911 |
△582 |
94.9 |
% |
968 |
△12 |
98.7 |
% |
(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類及び天然系調味料は、日本食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向け「味の素®」、核酸及び甘味料は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 日本食品セグメント
日本食品セグメントの売上高は、冷凍食品(日本)の売上げが伸長したものの、コーヒー類に加え、子会社売却等の影響により調味料・加工食品(日本)の売上げが前期を下回ったことから、前期を66億円下回る3,904億円(前期比98.3%)となりました。事業利益は、冷凍食品(日本)や調味料・加工食品(日本)が増益となったことから、前期を91億円上回る408億円(前期比128.9%)となりました。
<調味料・加工食品>
家庭用は、中華合わせ調味料「Cook Do®(クックドゥ)」が減収となったものの、「クノール® カップスープ」やチューブタイプのペースト中華調味料「Cook Do®(クックドゥ)」香味ペースト等の売上げが前期を上回ったことから、全体としては増収となりました。
業務用は、子会社売却の影響に加え、海外での食品用酵素製剤「アクティバ®」の売上げが、為替の影響もあり前期を下回ったことから、全体として減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<冷凍食品(日本)>
家庭用は、販促活動を強化した「ギョーザ」の大幅な増収に加え、「ザ★チャーハン」や「やわらか若鶏から揚げ」の売上げが前期を上回り、増収となりました。
業務用は、鶏肉加工品やデザート類等が前期を上回り、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<コーヒー類>
家庭用は、スティックタイプコーヒーが増収となり、インスタントコーヒーが前期並みの実績となったものの、ボトルコーヒーやアイテム数を集約したギフト製品等の売上げが前期を下回ったため、減収となりました。
業務用は、大手需要家への売上げが前期を下回り、減収となりました。
以上の結果、全体として減収となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、為替の影響もあり、調味料・加工食品(海外)や加工用うま味調味料・甘味料、冷凍食品(海外)の円貨ベースでの売上げが減少し、前期を349億円下回る4,289億円(前期比92.5%)となりました。事業利益は、為替の影響等により、前期を56億円下回る417億円(前期比88.2%)となりました。
<調味料・加工食品(海外)>
アジアでは、インドネシア、ベトナムにおけるうま味調味料「味の素®」、タイにおける風味調味料「RosDee®(ロッディー)」、インドネシアにおける風味調味料「Masako®(マサコ)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回りましたが、為替の影響により、減収となりました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回り、増収となりました。
欧州・アフリカでは、為替の影響等により、減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<冷凍食品(海外)>
味の素ウィンザー社の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回りましたが、為替の影響により、全体としては減収となりました。
<加工用うま味調味料・甘味料>
食品加工業向け「味の素®」は、国内の販売価格が前期を上回りましたが、販売数量が国内外ともに減少し、為替の影響もあり、減収となりました。
核酸は、国内外で、販売数量が増加しましたが、販売価格が前期を下回ったことに加え、為替の影響もあり、前期並みの実績となりました。
甘味料は、加工用アスパルテームの販売数量が減少したことに加え、為替の影響もあり、減収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
③ ライフサポートセグメント
ライフサポートセグメントの売上高は、化成品が前期を上回ったものの、動物栄養が大幅な減収となったため、前期を183億円下回る1,240億円(前期比87.1%)となりました。事業利益は、動物栄養の大幅な減益に加え、化成品も減益となったことから、前期を61億円下回る58億円(前期比48.7%)となりました。
<動物栄養>
リジンは、販売数量が前期を下回ったため、減収となりました。スレオニンは、販売数量は前期を上回ったものの、販売価格が前期を大幅に下回り、大幅な減収となりました。トリプトファンは、販売数量は前期を大幅に上回ったものの、販売価格が前期を大幅に下回り、減収となりました。バリン等のスペシャリティ製品は、増収となりました。
以上の結果、全体としては大幅な減収となりました。
<化成品>
香粧品素材は前期並みの実績となりましたが、半導体パッケージ用層間絶縁材料等が増収となったため、全体としては増収となりました。
④ ヘルスケアセグメント
ヘルスケアセグメントの売上高は、製薬カスタムサービスと医薬用・食品用アミノ酸が減収となったため、前期を19億円下回る895億円(前期比97.8%)となりました。事業利益は、製薬カスタムサービスの増益に加え、医薬用・食品用アミノ酸が前期並みの実績となったため、前期を10億円上回る81億円(前期比114.6%)となりました。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸は、国内外ともに減収となりました。製薬カスタムサービスは、為替の影響により欧州の売上げが減少し、減収となりました。
以上の結果、全体として減収となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を36億円上回る581億円(前期比106.6%)となり、事業利益は前期を 3億円上回る2億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
|
(億円) |
|
|
2016年3月期 |
2017年3月期 |
差額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,293 |
1,089 |
△204 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△587 |
△1,422 |
△835 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△28 |
147 |
175 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△133 |
1 |
134 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
544 |
△184 |
△729 |
|
売却目的保有に分類される処分グループに係る 資産に含まれる現金及び現金同等物 |
△193 |
- |
193 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
2,044 |
1,860 |
△184 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,089億円の収入(前期は1,293億円の収入)となりました。税引前当期利益が866億円であり、減価償却費462億円と、法人税等の支払額276億円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,422億円の支出(前期は587億円の支出)となりました。プロマシドール・ホールディングス社の株式取得による支出があったことや、有形固定資産の取得があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、147億円の収入(前期は28億円の支出)となりました。社債の発行による収入があった一方、自己株式の取得による支出があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ184億円減少し1,860億円となりました。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の要約連結財務諸表は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (2016年3月31日) |
当連結会計年度 (2017年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
|
|
流動資産 |
624,063 |
578,102 |
|
|
固定資産 |
|
|
|
|
有形固定資産 |
386,201 |
395,590 |
|
|
無形固定資産 |
136,011 |
146,307 |
|
|
投資その他の資産 |
115,837 |
216,930 |
|
|
固定資産合計 |
638,050 |
758,829 |
|
|
資産合計 |
1,262,113 |
1,336,931 |
|
負債の部 |
|
|
|
|
|
流動負債 |
233,304 |
242,920 |
|
|
固定負債 |
336,880 |
396,237 |
|
|
負債合計 |
570,185 |
639,158 |
|
純資産の部 |
|
|
|
|
|
株主資本 |
677,402 |
683,037 |
|
|
その他の包括利益累計額 |
△57,529 |
△59,930 |
|
|
非支配株主持分 |
72,056 |
74,666 |
|
|
純資産合計 |
691,928 |
697,773 |
|
負債純資産合計 |
1,262,113 |
1,336,931 |
|
② 要約連結損益計算書及び連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
|
売上高 |
1,184,100 |
1,091,414 |
|
売上原価 |
769,230 |
704,337 |
|
売上総利益 |
414,870 |
387,076 |
|
販売費及び一般管理費 |
323,989 |
301,736 |
|
営業利益 |
90,880 |
85,339 |
|
営業外収益 |
9,023 |
10,963 |
|
営業外費用 |
5,736 |
6,033 |
|
経常利益 |
94,168 |
90,270 |
|
特別利益 |
45,337 |
13,125 |
|
特別損失 |
39,352 |
18,270 |
|
税金等調整前当期純利益 |
100,153 |
85,125 |
|
法人税等 |
27,047 |
20,790 |
|
当期純利益 |
73,105 |
64,334 |
|
非支配株主に帰属する当期利益 |
9,678 |
11,739 |
|
親会社株主に帰属する当期利益 |
63,427 |
52,595 |
要約連結包括利益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
|
当期純利益 |
73,105 |
64,334 |
|
|
その他の包括利益 |
△72,724 |
△2,366 |
|
|
包括利益 |
380 |
61,968 |
|
|
(内訳) |
|
|
|
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
△591 |
49,870 |
|
|
非支配株主に係る包括利益 |
972 |
12,098 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
665,689 |
3,886 |
73,913 |
743,489 |
|
会計方針の変更による累積的影響額 |
△4,208 |
- |
- |
△4,208 |
|
会計方針の変更を反映した当期首残高 |
661,480 |
3,886 |
73,913 |
739,280 |
|
当期変動額合計 |
15,921 |
△61,416 |
△1,856 |
△47,351 |
|
当期末残高 |
677,402 |
△57,529 |
72,056 |
691,928 |
当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
677,402 |
△57,529 |
72,056 |
691,928 |
|
当期変動額合計 |
5,635 |
△2,401 |
2,610 |
5,844 |
|
当期末残高 |
683,037 |
△59,930 |
74,666 |
697,773 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
125,219 |
108,024 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△53,824 |
△141,749 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△3,288 |
16,175 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△14,180 |
249 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
165,160 |
217,791 |
|
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 |
278 |
0 |
|
連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額 |
△460 |
△19,346 |
|
連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の減少額 |
△1,112 |
- |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
217,791 |
181,144 |
⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)及び「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等を当連結会計年度から適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合について、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。加えて、当期純利益等の表示の変更及び少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っております。当該表示の変更を反映させるため、前連結会計年度について、連結財務諸表の組替えを行っております。
当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書においては、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得及び売却に係るキャッシュ・フローは、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得関連費用若しくは連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得及び売却に関連して生じた費用に係るキャッシュ・フローは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載しております。
企業結合会計基準等の適用は、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)及び事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しております。
この結果、当連結会計年度の営業利益は132百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益は122百万円増加し、当連結会計年度末の資本剰余金が402百万円減少しております。
なお1株当たり当期純利益金額は21銭増加、1株当たり純資産額は48銭減少しております。
当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
当社グループは、EAファーマ㈱における収益認識基準等の会計処理について、当連結会計年度より変更致しました。
EAファーマ㈱は、食品事業を主とする当社グループの連結子会社である味の素製薬㈱が、医薬品事業を主とするエーザイ㈱の消化器疾患領域に関連する事業の一部を承継することにより発足致しました。業種を超えた本統合の結果、EAファーマ㈱の親会社はエーザイ㈱となり、事業の管理について新たな親会社が採用する方法に変更されることから、会計方針についても新たな経営環境の下、親会社の採用する会計方針に変更することが合理的であると判断したためであります。
主な変更点は、以下のとおりであります。
収益認識基準
これまで医薬品の開発、販売に係る権利等の外部への導出に際して受け取るロイヤリティ収益について、契約に基づき受領時点で一括して収益として認識しておりましたが、当連結会計年度より、製品販売承認取得前のロイヤリティは研究開発費の戻入として処理し、製品販売承認取得後のロイヤリティについて、その契約期間に応じて分割し収益認識する方法に変更致しました。
これらの会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度は、遡及適用後の連結財務諸表となっております。
この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度の売上高が1,880百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ164百万円減少しております。また、前連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、利益剰余金の前期首残高は4,208百万円減少しております。
なお親会社株主に帰属する当期純利益は164百万円減少、1株当たり当期純利益金額は28銭減少、1株当たり純資産額は7円52銭減少しております。
(4) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)
①退職後給付費用に対する調整
日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しておりました。IFRSでは確定給付制度の再測定を発生時にその他の包括利益を通じて資本に認識し、過去勤務費用は発生時に一括で収益又は費用として処理しております。この結果、「売上原価」が356百万円減少、「販売費」が188百万円減少、「研究開発費」が339百万円減少、「一般管理費」が1,611百万円減少、「その他の営業費用」が22百万円減少、「金融収益」が0百万円増加、「金融費用」が460百万円増加及び「その他の包括利益」が1,379百万円減少しております。
②のれんに対する調整
日本基準ではのれんはその効果の及ぶ期間で定額償却し、のれん償却費6,620百万円を販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況は「1 業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
Ⅰ.私たちの目指すもの
味の素グループは、地球的な視野に立ち、“食”と“健康”そして、明日のよりよい生活に貢献し、先端バイオ・ファインの技術が先導する、確かなグローバル・スペシャリティ食品企業グループを目指します。
Ⅱ.「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」に向けて
1.ASV(Ajinomoto Group Shared Value)の進化による持続的成長
味の素グループは、うま味を通じて粗食をおいしくし、国民の栄養を改善するという創業の志を受け継ぎ、創業以来一貫した、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みにより成長してきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、これからも事業を通じて「21世紀の人類社会の課題」である「地球持続性」、「食資源」、「健康な生活」に積極的に貢献することで、ASV進化による持続的な成長を目指します。
2.現状の課題 -グローバル食品企業トップ10クラス入りのために
現在の味の素グループは、グローバル食品企業トップ10クラスの企業と比較すると、財務指標、すなわち、事業の規模、利益を創出する効率性に課題があります。また、「環境」、「社会」、「ガバナンス」(いわゆるE・S・G)に関するポリシーや非財務目標をより明確にすべきであると考えています。これらに対し、我々の強みである独自のコア技術、すなわち、アミノ酸を起点とした独自の先端バイオ・ファイン技術や「おいしさ」を解析し自在に設計する「おいしさ設計技術」と徹底した現地・顧客適合で具体的な解決に取り組み、2020年のグローバル食品企業トップ10クラス入りを実現する所存です。
3.2014-2016中期経営計画の振り返り(成果と課題)
この3年間、「FIT&GROW with Specialty」を合言葉に、事業構造の強化(FIT)、成長ドライバーの展開(GROW)を進めてまいりました。2016年度は、中期経営計画のグループ全体での利益目標、ROE目標ともに未達となりましたが、株主還元は中期経営計画の目標以上を実行し、3か年の総還元性向、配当性向ともに中期計画値を達成いたしました。
2016年度の利益目標未達は、医薬事業の構造強化のため味の素製薬株式会社についてエーザイ株式会社との合弁事業化を実行したこと、グローバル競争激化に伴う動物栄養事業の大幅な減益が主たる要因です。一方、成長ドライバーである日本食品、海外食品、アミノサイエンスのスペシャリティ事業を合わせると2013年度から毎年100億円近い着実な利益成長を実現し、2016年度はこれらの事業すべてで目標を上回りました。
<主な戦略遂行状況>
① 事業構造の強化(FIT)
・EAファーマ株式会社設立による医薬事業の構造改革が進展。
・動物栄養事業は、スペシャリティ事業は成長したがコモディティ事業再構築に課題を残す。
② 成長ドライバーの展開(GROW)
<食品事業>
・主要市場タイの成長が減速し、「Five Stars」(注1)の成長に課題。
・積極的なM&A戦略の実行。
北米・味の素ウィンザー社発足。味の素ゼネラルフーヅ株式会社の全株式取得。
トルコ・オルゲン社買収。アフリカ・プロマシドール・ホールディングス社との提携など。
(注1)タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ブラジル
<アミノサイエンス事業>
・先端バイオ医薬周辺領域(培地事業、中・高分子医薬開発製造受託事業)への積極投資。
北米・味の素アルテア社発足。韓国・味の素ジェネクシン社設立。株式会社ジーンデザイン買収など。
また、経営基盤では、グローバルにグループ経営におけるガバナンスを強化するために、2016年度から共通ルールである「グローバル・ガバナンス・ポリシー」による統治と執行に移行。グローバル・コーポレート部門の組織改編、グローバル人財マネジメントシステムの導入と合わせた三位一体の改革を進めてきましたが、グローバルトップクラス企業としての人財の多様化はまだ途上にあります。
Ⅲ.目標とする経営指標
2017-2019(for 2020)中期経営計画において、味の素グループが創造する経済価値、社会価値を財務指標、非財務指標として設定。新たに統合目標としてコーポレートブランド価値を指標として設定し味の素グループが目指すところを明確にした経営を行っていきます。
1.財務目標(経済価値)
<2019年度目標(連結ベース)>
・事業利益(注2):1,240億円
(注2)IFRS導入に際し、経営管理のため当社が独自に定義した利益指標
事業利益=売上高 – 売上原価 - 販売費・研究開発費及び一般管理費 + 持分法による損益
・事業利益率:9.4%
・ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率):9.8%
・ROA(資産合計事業利益率):8.8%
・EPS(基本的1株当たり当期利益)成長率:年二桁成長
・海外(コンシューマー食品)売上成長率:年二桁成長
<参考/2017年度業績予想(連結ベース)>
・事業利益:1,020億円
・事業利益率:8.6%
・ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率):8.9%
・ROA(資産合計事業利益率):7.4%
2.非財務目標(社会価値)
事業を通じた「地球持続性」、「食資源」、「健康な生活」への貢献を目指し、「環境」、「社会」、「ガバナンス」(E・S・G)の項目に沿って定量的な目標を定めています。
例えば、「社会」(Social)では、「味の素グループ調味料による肉・野菜の摂取量」を目標として定めています(注3)。
(注3)日本と主要国(味の素グループが展開する主要国。「Five Stars」)における代表製品の提供を通じて人が摂取する肉と野菜の量。(肉:年860万トン(9.7kg/人/年)、野菜:年550万トン(6.2kg/人/年))
これは、日々の食事においてうま味(味の素グループ製品)を通じて、たんぱく質(肉など)・野菜をおいしく摂取し、栄養バランスを改善するという「社会価値」の創造と味の素グループ製品の売上拡大による「経済価値」の創造を関連づけて表現したものです。
また、「環境」(Environment)では、「調達・生産から消費までを通じた環境課題の解決」を掲げています。国連などの国際的な目標に先行することで積極的に地球環境へ貢献する「社会価値」の創造と味の素グループのコスト削減(「経済価値」の創造)を目指してまいります。
例:GHG(グリーンハウスガス(温室効果ガス)を2030年に50%削減など)
Ⅳ.会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略
<2017-2019(for 2020)中期経営計画の推進>
味の素グループは、2017-2019(for 2020)中期経営計画においても、「FIT&GROW with Specialty」を継承し、土台となる「経営基盤の強化」にも取り組み、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指してまいります。
1.更なる事業構造改革(FIT)
① コモディティ事業からの抜本的な転換
・動物栄養事業は、コモディティ製品の生産を外部化してスペシャリティ製品向けの生産設備に転換することで事業の構造転換を加速させます。
・加工用うま味調味料事業は、当社製品の原料向け供給拡大と併せて、低資源利用発酵技術によるコスト削減を進めます。
・甘味料事業は、リテール・外食向け製品のスペシャリティ化を強化します。
・製薬カスタムサービス事業は、低分子から中分子・高分子医薬へのシフトを加速させます。
② 事業横断でのサステナブルバリューチェーンの構築
・日本では、グループ会社を含めた国内全体でのバリューチェーン再編に取り組み、事業構造を強化します。最新鋭工場への転換、他社との共同物流改革、事業横断での伸長チャネル向け提案力強化など効率化への取り組みを進めます。また、グループで共通するコーポレート機能の一体運営も強化していきます。
・グローバルでは、バリューチェーン全体における資源利用の削減を目指します。従来の原燃料削減や低資源利用発酵の継続に加え、ICT(情報通信技術)活用によるグループ横断での発酵プロセスの自動化・効率化にも取り組みます。さらには製品が消費される場面での環境負荷低減も進めていきます。
2.成長ドライバーの展開(GROW)
① 食品の地域ポートフォリオ強化を通じた確かな成長
・日本食品では、強みである「おいしさ設計技術」の進化による主要ブランド製品の継続強化と併せ、当社独自のサイエンスとデジタル・ICT活用により、お客様に提供するこころとからだの健康、共食の喜び、食文化価値の増大に取り組みます。
・海外食品では、ジョイントベンチャーなどローカルトッププレイヤーとの連携による新地域展開を加速して地域ポートフォリオ強化を進め、市場成長や為替変動に左右されにくい強固な事業基盤を確立して着実な成長を実現していきます。
② 新たな事業の柱の構築による事業ポートフォリオの拡張
・食品事業では、新たな柱として、中食・外食・加工食品向けに「おいしさ」実現へのソリューションを総合的に提案する事業(おいしさソリューション事業)をグローバルに立ち上げます。強みである呈味や食感に加えてフレーバーに関する素材や技術の強化を進め、顧客企業起点に立ったグループ横断の営業体制を構築し、スイーツ分野へも拡大していきます。その上で、「うま味調味料・風味調味料」領域におけるNo.1を目指します。
・アミノサイエンス事業では、複数のスペシャリティ事業によって構成された強い事業構造への転換を進めます。特に事業の柱の一つとして積極投資してきた先端バイオ医療周辺領域は成長を加速させてまいります。
3.経営基盤の強化
・経営全般にコーポレートガバナンスコードに適合する基盤強化を更に進め、イノベーションによる持続的成長を果たしてまいります。
・「組織」面ではグローバルな戦略的コーポレート機能の強化と、グループ会社も含めた事業をサポートするコーポレート機能の最適化を更に進めます。
・「人財」面では、分厚く多様なグローバル人財層の形成に向けて、次世代グローバル人財の育成や女性マネージャーの登用を更に推進します。
・日本における「働き方改革」は、グローバル基準の働き方に基づく時短(年間平均労働時間1,800時間(2018年度目標))を目指す過程でICTを活用した仕事の効率化や、育児、介護へのサポートを強化し、従業員の心身の健康増進を進めます。
・グローバル33,000人の従業員を対象にエンゲージメントサーベイを新たに実施し、全グループを挙げて「働きがい」向上に取り組んでまいります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応及び仕組み作りを行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営環境に関するリスク
1.為替変動の影響
当社グループは、グローバルな生産供給体制の確立と強化を図っており、日本を含め全世界で30の国・地域に拠点を持ち、そのうち22の国・地域の118工場で生産活動を展開し、海外の比重が高くなっています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本以外の地域(アジア、米州及び欧州)での外部顧客に対する売上高は6,293億円及び5,716億円(連結売上高に占める割合は54.8%及び52.4%)、事業利益は 602億円及び522億円(連結営業利益に占める割合は61.4%及び53.9%)でありました。連結財務諸表は、海外グループ会社の現地通貨建て財務諸表を円に換算することにより、換算為替レートの変動を受けます。また、当社グループでは、外貨建て取引に伴う債権及び債務につき、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、その業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。
2.天変地異等の影響
当社グループは、日本国内での事業展開はもとより、海外市場の開拓を積極的に進めております。これらの事業展開地域においては、次のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 気候変動等に伴う水資源の不足による生産量減少等
② 地震、台風・ハリケーン・サイクロン、洪水等の天変地異の発生
③ 大規模停電等による中断事象の発生
④ 感染性疾病の流行等による社会的混乱
3.予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますが、海外ではテロ又は紛争等による政情不安、経済動向の不確実性、宗教や文化の相違並びに商習慣に関する障害、投資、海外送金、輸出入、外国為替などの規制の変更、さらには接収など様々な経済的、政治的若しくは法的な障害を伴う可能性があり、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
4.原燃料価格変動の影響
当社グループの使用する主要な原材料並びに重油等のエネルギー原料には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作やエタノール需要拡大による穀物価格の上昇などに加えて、これらが投機的取引の対象となることもあり、従来に比べて原燃料価格変動要因が増加してきております。これら原燃料の価格が高騰した場合は製造コストの上昇につながり、この上昇が新技術導入や各種活動等によるコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関するリスク
1.製品市況の変動の影響
当社グループがライフサポート事業において取り扱っている飼料用アミノ酸は、穀物市況と飼料用アミノ酸の需給動向によって販売価格が変動する傾向があります。当社グループでは、複数の種類のアミノ酸(リジン、スレオニン及びトリプトファン等)を取り扱うことでリスクの低減・分散を図るとともに、乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材によるスペシャリティ化をはかり、またアミノ酸の発酵生産技術に関するコストダウンを通じて収益性の安定と向上を図ることを目指しておりますが、穀物市況の変動の影響及び飼料用アミノ酸の需給動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
2.食の安全性に影響を与える事項
当社グループは、独自の厳しい品質保証システムを一層強化するとともに、グループ横断の品質監査の実施、トレーサビリティシステム(商品の生産、加工、流通等の各段階における情報を追跡するためのシステム)の構築に注力する等、全事業の存立基盤となる「安心と安全」を確保するため、万全の体制で臨んでおります。
とりわけ、昨今日本で発生した食の安全に関する事件を受けて、労働・人権課題を含む良好な組織風土を要として、製造設備などのハード面と、品質基準やガイドラインなどのソフト面の見直しや強化により、サプライチェーン全体の、リスクの極小化、グループの食の安全体制の一層の強化を図っております。
その一方で、社会全般にわたる新たな品質問題等、上記の取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.情報の漏洩等の影響
当社グループは、通信販売や販促キャンペーン等により多くのお客様の個人情報を保持しております。当社グループは、これらの個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、「味の素グループ情報セキュリティポリシー」を定め、「情報取扱ガイドブック」の社内配布や研修等を実施することにより、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピューターウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.資金の調達
金融市場の混乱又は停止、信用格付機関による当社格付けの引下げ、金融機関等の融資判断及び方針の変更が、当社グループの資金調達に影響を与えるとともに、資金調達コストを増加させ、流動性の悪化、すなわち資金を必要なときに必要な額を調達できない可能性があります。
5.得意先の経営破綻
当社グループは、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しておりますが、今後海外を含め予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
6.高度な専門性を有した人材の獲得及び継続雇用
当社グループの事業運営は、各国及び各職種において高度な専門性を有した人材が担っており、将来の成長を達成するため、その様な人材の獲得・育成が欠かせません。次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいりますが、人材の獲得競争が激しいなか、高度な専門性を有した人材の獲得及び継続雇用が出来ない可能性があります。
(3)法的規制及び訴訟等
1.法的規制等の影響
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますので、国内外において、食品衛生、薬事、知的財産、環境・リサイクル、事業・投資の許認可、輸出入、外国為替管理、及び種々の税金にかかわる法の規制等の適用を受けております。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しております。しかしながら、将来において、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、また法解釈の多様性によるリスクに晒される可能性もあります。これらの法的規制等に係る適用を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.訴訟等の影響
当社グループは、日本国内外で訴訟等の事件に関わっております。また、多くの国で多岐にわたる事業を展開している関係から、新たに不測の訴訟や請求等を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績及び評判が悪影響を受ける可能性があります。
3.租税制度に関する影響
新たな租税制度の導入又は改廃によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。味の素グループは味の素グループ行動規範及び味の素グローバル・タックス・ポリシーに基づき、世界各国で適用される税法を遵守し事業活動を行っておりますが、特に日本国外における頻繁な租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
4.環境法令等
当社グループは、大気汚染、排水等に伴う水質汚染、騒音、アスベストなどの有害物質、廃棄物、及び土壌又は地下水の汚染などに関する様々な環境法令等の適用を受けております。この様な環境法令等は、現在の当社グループの事業活動だけでなく、過去の事業活動や企業買収などで他社から引き継いだ事業の過去の活動にも適用される可能性があります。さらに、サプライチェーン上での法令違反も当社グループの事業におけるリスクとなります。そこで「CSR調達ガイドライン」を策定し、サプライチェーン全体で環境や人権に配慮した調達を実践してまいります。当社グループでは、ISO 14001に準拠した環境マネジメントシステムを国内外グループ各サイトで適用しており、国や地域に応じた環境法令等への対応や、環境トラブルの防止を図るとともに、環境改善の取り組みを進めております。このマネジメントシステムの下、法改正の動向を注視するとともに、当社グループは、当社グループとサプライチェーン全体にわたって法令等を確実に遵守する体制を強化しておりますが、将来の環境法令等の遵守や環境改善取組みの強化などにより、環境に関連する費用負担が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(4)その他のリスク
1.減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の設備、不動産や企業買収などにより取得したのれんをはじめとする様々な有形固定資産・無形資産を所有しております。こうした資産は、公正価値の下落や、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.繰延税金資産等
当社グループでは、将来の課税所得等に関する予測及び仮定に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産の計上額が修正され、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
技術援助を受ける契約等
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契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
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味の素㈱ クノール食品㈱ |
コノプコ社 |
アメリカ |
日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾 |
左記製品販売高の一定率 |
対象商標が日本で有効に登録されている限り |
販売援助、経営援助契約等
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契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
日本ケロッグ(同) |
日本 |
ケロッグ社グループの穀類調整食品等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品販売高の一定率 |
2014年4月1日から3年間。以後3年毎自動更新 |
重要な資産の取得に関する契約
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契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
ジェイコブズ・ダウ・エグバーツ社 |
オランダ |
「Blendy」、「MAXIM」(日本国内商標のみ)、「TRIPLESSO」、「ちょっと贅沢な珈琲店」、「ティーハート」、「新茶人」等の商標等の取得 |
225百万ユーロ |
2016年10月31日締結 |
(注)味の素ゼネラルフーヅ㈱とコーニンクレッカ・ダウ・エグバーツ社との日本国内におけるコーヒー等に係る独占的
商標使用権の許諾に関する契約について、上記契約の締結に伴う変更を行いました。
味の素グループは「グローバル健康貢献企業グループ」を目指し、人類の課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現に向けて、事業を通じて貢献していきます。2014-2016中期経営計画では、高い付加価値を生み出す「スペシャリティ化」の推進によって安定的利益成長を実現させ、「グローバル食品企業トップ10」レベルの事業を目指しています。
他社や既存のものにはない「スペシャリティ」を技術力によって先導すべく、「R&Dのリーダーシップ」を成長ドライバーに位置づけ、高い成長が見込まれる「世界一の調味料技術」と「独自の先端バイオ」技術が活かせる領域に研究開発における経営資源を重点的に投資しています。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープンイノベーションを積極的に活用します。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は27,134百万円であります。
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約3,900件であります。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりであります。
(1) 日本食品セグメント
味の素㈱の食品研究所が中心となり、味覚、嗅覚、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場における潜在ニーズを掘り起し、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の新商品開発に取り組んでいます。
食品研究所は、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素ゼネラルフーヅ㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。
<調味料・加工食品(日本)>
2016年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応した製品でおいしく食べて健康な生活をご提供すべく、「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。
メニュー用調味料市場においては、当社の独自素材「醸造香」を配合することにより全体の風味が増強された「Cook Do®豚肉の黒酢炒め用」と、甘酢の豊かな風味が増強された「Cook Do®きょうの大皿®」<鶏肉と玉ねぎの甘酢あん用>、「Cook Do®きょうの大皿®」<鶏肉となすの甘酢炒め用>を発売しました。また当社の独自技術「根菜柔らか成分」により、短時間で大根を軟らかく仕上げることができる「Cook Do®きょうの大皿®」<肉みそ大根用>を発売しました。スープ市場においては、独自素材の配合により乳のコクと素材の風味が更に豊かになった「クノール®カップスープ」を発売しました。またマヨネーズ市場においては、独自素材の配合によりマヨネーズ本来のコクが更に豊かになった「ピュアセレクト®コクうま®65%カロリーカット」を発売しました。和風だし市場においては、高付加価値領域のニーズの高まりにお応えした製品「ほんだし® 焼きあごだし」を発売しました。香ばしい香りや厚みなど「焼きあごだし」に求められるおいしさを当社の独自素材の配合によって実現しました。また独自の減塩技術により、おいしさそのままで減塩率50%を実現した「お塩控えめの・ほんだし®」を発売しました。さらに、オープン&リンクイノベーションにより、燃焼時に発生するCO2量が抑制された食品包材「CO2吸収包材」を世界で初めて開発し「鍋キューブ®」外袋パウチに導入しました。従来の包材と比べてCO2排出量を25%以上削減でき、この包材導入前後で比較すると年間CO2排出量で44トンを削減できる見込みです。
業務用では、当社独自技術を活用し、炊き立てのご飯のおいしさが持続する「お米ふっくら調理料」と、から揚げ等の肉のジューシー感が持続する「お肉ジューシー調理料」の改定を行いました。加工需要家向けでは、長谷川香料㈱と協業して、加熱に負けない自然なかつお節の肉質香を付与する調味料「かつお節エキスN<肉質香>」、本格的な豚骨の炊き出し風味を付与する調味料「『アロマックス®』炊き出し豚骨香」を発売しました。
ベーカリー製品につきましては、味の素グループの独自技術で生地中の水和性を高め、顧客の求める「しっとりかつずっしりした食感」を冷生地を用いたパン生地で具現化しました。その生地を用いて「メンチカツバーガー」を CVS向けに開発し関東圏で販売したところ、高く評価され全国展開に至りました。
世界に類を見ない超高齢社会の日本において、国は地域包括ケア構想を掲げ、地域、在宅での医療・介護の推進を図っています。こうした動向を踏まえ、2016年度、当社では、従来の医療機関、介護施設向けのみならず、在宅で療養される高齢者・ご家族、また介護予備軍とされる方々をも対象とした味の素KK「栄養ケア食品」の新製品の開発(発売は2017年度以降)を進めました。また、製品開発のみならず、2016年度は在宅高齢者・ご家族の方々により身近に製品をお求めいただけるようにドラッグストア、スーパーマーケットなどへの販売を拡充し、併せてこれらの対象者へのこれまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や対象領域の啓発活動も推進しました。「アミノケア®ゼリー ロイシン40」「抵抗活力®アミノ酸 シスチン&テアニン」を用いた臨床研究では、様々な疾患で生じる筋肉の減弱やがん治療の副作用に関連する研究成果が各学会で発表され、注目を集めています。「抵抗活力®アミノ酸 シスチン&テアニン」では、更に信頼性の高い成果を得るために、多施設共同での(ランダム化)比較試験が開始されています。
<冷凍食品(日本)>
家庭用では、グループ技術素材と味の素冷凍食品㈱の焼売製法を駆使し、ひとくち噛むと肉汁が口にひろがり、椎茸と葱油の旨みと香り、コクが楽しめる「ザ★シュウマイ」、そして大好きなおかずがおにぎりで、おいしく食べられる独自製法の「おにぎり丸」5品種を開発しました。
業務用では、従来にはないアミノ酸技術により洋食専門店の口溶けの良さと、時間が経ってもそのなめらかな食感が続くクリームソースの「時間が経ってもなめらか!専門店のかにクリームコロッケ」、そしてお客様の声にこたえる時短、簡便オペレーションで、更に焼き目と皮の食感がおいしくなった「袋のままスチコンで焼餃子」2品種を開発しました。
<コーヒー類>
「ブレンディ®スティック」で使用しているミルクアロマ成分を駆使し、専門店で楽しむラテのようなミルクのコクや厚みのある「ブレンディ®カフェラトリースティック」シリーズを新スティック商品として発売しました。 また、ミルクのコク味成分を維持したまま冷水にも可溶なインスタントクリーミングパウダーを開発し、濃厚でクリーミーな味わいを冷水で楽しめる「ブレンディ®スティック」アイス製品を発売しました。
日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,425百万円であります。
(2) 海外食品セグメント
「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、及び加工食品の開発に継続的に取り組みました。
各国の生活者の食生活を豊かにすべく、インドネシアにおいては主力事業うま味調味料「味の素®」、風味調味料に加え、新領域であるベーカリー事業に参入しました。またベトナムにおいても新たにライトミール領域に参入し、パンケーキミックス製品「BanhRan」を発売しました。さらに、フィリピンでは当社保有のオイスターエキスを活用し、「Sarsaya®」ブランドで液体調味料事業に参入しました。味の素グループの技術を各国で活用し、資源代替や生産性改善を推進することで、収益構造強化に向け取り組んでいます。
甘味料につきましては、アスパルテームのコスト競争力の強化を目的としてプロセス改善を継続して進めました。リテイル商品では、当社独自の甘味設計技術を活用した調理用途で更に使いやすい製品開発を進めました。
海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,588百万円であります。
(3) ライフサポートセグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、動物栄養、香粧品、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。乳牛用飼料「AjiPro®-L」のさらなる飼料効果改善、ここで培われたユニークな保護技術の他利用展開など、当社ならではのスペシャリティによるお客様の価値創出を目指し、事業拡大を図っています。一方素材事業では、抜本的な新製法開発に注力し、収益構造改革を推進しています。また、電子材料では絶縁材料で培われた技術を有機EL関連材料など様々な有望用途へと広げるための開発を続けています。
更なる顧客価値の創造のため、味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。
<動物栄養>
グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて発酵技術に関する基盤研究の一層の推進、非可食原料利用を含めた低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターとともに工業化を加速させ、各海外工場への導入を推進しました。乳牛用のアミノ酸として当社独自の技術を生かして開発された「AjiPro®-L」は、さらなる品質向上を実現し、北米を中心に市場から高い評価を得ています。また、飼料用アミノ酸の有効活用による温室効果ガスの削減や農地有効活用などの環境貢献が評価され、エコプロ2016 ~ 環境とエネルギーの未来展[第18回]で農林水産大臣賞を受賞しました。
<化成品>
香粧品素材につきましては、製品ポートフォリオ拡充のため、アミノ酸誘導体を中心に継続的な研究に取り組んでいます。2016年度は、アミノ酸系保湿剤、油性基材、機能性粉体、効能素材の開発を進めました。新製品として、メーキャップ化粧品用のアミノ酸であるL‐リジンを用いた機能性粉体の品種を追加しました。またグローバルな需要拡大に対応するために、日本の洗浄剤生産能力を増強しました。
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPU用の絶縁材料の開発に加え、成長の著しいスマートフォン向けの半導体パッケージ材料や次世代型ディスプレイ用材料の開発を継続して注力しています。有力スマートフォンメーカーによるハイエンドモデルやミドルモデルへの採用も着実に進んでいます。
活性炭事業では、長年味の素グループの生産を支えてきた吸着技術を活用し、水や空気の浄化等の環境貢献も意識し、各種高機能な吸着材料の開発を進めています。
<ライフサポートその他>
ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」、「グルハート®」を発売しました。海外でもこれらの核酸、アミノ酸系肥料を展開していきます。2016年度は「グルハート®」の効果成分を増強した新製品「グルハート®プラス」を新たに上市しました。加えてお客様の撒き易さを考慮した土壌改質剤「土壌再生炭」粒状タイプを新たにラインナップに加えました。
ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、5,073百万円であります。
(4) ヘルスケアセグメント
味の素㈱の3研究所(イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所、食品研究所)が密に連携を取りながら、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。2015年から販売を開始した再生医療用培地事業では、更なる高品質増殖用培地の開発の他、各種分化用培地の開発、欧米主要研究機関への導入などを勢力的に進めています。また、アミノ酸事業展開としては医薬用、食品用アミノ酸事業の他、当社の長年にわたるアミノ酸の機能研究に基づき、「アミノバイタル®」などのスポーツニュートリション領域や「グリナ®」や「アミノエール®」などの機能性食品領域において、総力を挙げて新商品の開発に取り組んでいます。さらには血液中のアミノ酸バランスから現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自技術アミノインデックス®は、がん診断事業の拡大を図るとともに、生活習慣病等の診断とそのソリューション提供事業へと拡大すべく、研究開発を進めています。また、当社独自のペプチド/オリゴ核酸の液相法大量製造技術である「AJIPHASE®」は製薬業界での認知度の高まりにより急速に事業を拡大しています。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めました。また、動物細胞培養用の培地の事業展開のため、韓国に設置した味の素ジェネクシン社での医薬、医療用培地の生産・販売を開始しました。
再生医療用培地では、基礎研究用培地「StemFit®」Basic02を、米国にて2016年9月、韓国では2017年3月より販売を開始しました。「StemFit®」Basic02は、iPS/ES細胞の汎用培地として世界最高水準の性能を備えており、高い増殖性能に加えて、ゲノム編集時の高いクローニング効率など、他社製品に比し、高いコストパフォーマンスを実現しています。
医薬中間体につきましては、製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。タンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。
<スポーツニュートリション>
スポーツ栄養科学研究の推進を通じて、アミノ酸の有用性を検証するとともに、エビデンスを有する製品の創出に取り組んでいます。2016年度においては、日々の栄養摂取とコンディショニングをサポートするために開発した「アミノバイタル® Rio2016日本代表選手団SPECIAL」(非売品)をはじめ、「アミノバイタル®GOLD」、「アミノバイタル®アミノプロテイン」等のアミノ酸ベース顆粒製品をリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、選手のトータルコンディショニングを支援しました。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープンイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っています。
<ダイレクトマーケティング>
2015年より施行された機能性表示食品制度※1への届け出を進め、4月に筋肉対策領域で日本初の機能性表示食品となる「アミノエール®」、1月に疲労感の軽減と頭の冴えをサポートする「毎朝ヒスチジン®」を発売しました。「アミノエール®」は“ロイシン40%配合必須アミノ酸”を機能成分とする、65歳以上の方の筋合成力の維持向上と歩行能力の改善をサポートするサプリメントです。「毎朝ヒスチジン®」はアミノ酸“ヒスチジン”を機能性成分とする、頭の疲れのサポートというユニークな価値を持つ製品で、かつおだしに含まれる必須アミノ酸ヒスチジンが疲労感軽減に有効であることを見出した(特許出願中)ことにより生まれました。新たな取り組みとしては、ヒト用サプリメントで培ったアミノ酸の有用性と犬の嗜好性を客観的に評価できる特許技術を活用した、愛犬用サプリメント「ドッグパートナー®」3種※2を発売しました。今後も、アミノ酸を中心とした、当社独自の健康価値を有する製品や情報の提供を通じて、“健康社会”の実現に取り組んでいます。
※1:事業者の責任で科学的根拠を基に、商品パッケージに健康の維持増進に資する機能性を表示するものとして消費者庁に届け出られた食品
※2:「皮ふ・毛なみ健康サポート」、「足腰健康サポート」、「抵抗活力健康サポート」
<アミノインデックス®>
「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)は、一度の採血で複数のがんの罹患の可能性を評価できる検査で、既に全国で約1,200の医療機関で受診が可能です。この技術を用いて、将来の糖尿病やメタボリックシンドロームの発症が予測可能であることや血液中のアミノ酸濃度の低値者が様々な健康リスクと関連することも確認され、論文に掲載されました。
本年度も引き続き神奈川県、横浜市、川崎市が共同で推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」で、「個別化医療・予防医療」分野の取り組みの一つとして「アミノインデックス技術」を活用する検討を進めています。
<ヘルスケアその他>
先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸及びペプチドの新規合成技術の開発を進めています。
ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、2,555百万円であります。
(5) 全社
味の素㈱イノベーション研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端の研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
健康な食生活のためにうま味物質グルタミン酸ナトリウムを有効に使いこなす技術について研究と情報発信を続けています。また、食品の好き、嫌いにかかわる様々な味や香りとその関係性を詳細に評価・解析する方法を確立し、実際の商品の開発に応用できるまでに改良しました。この結果を世界の様々な嗜好を持つお客様により好まれる商品の提供に活用していきます。さらに、「人は味や香りをどのように感じ、『おいしい』と思うのか?」について、より基礎的な研究を世界の研究機関と協力して進め、市場の求める新しい調味料素材を探し出す研究にも取り組んでいます。世界の人々のおいしさと健康に貢献できるサイエンスを目指しています。
また、低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組みました。まず発酵プロセスにおけるバイオマス利用技術開発を推進するとともに、発酵プロセス副産物の農業資材としての効果を微量成分の分析技術を駆使して解析する研究を進めています。一方、バイオによる高機能素材開発の一環として、長谷川香料㈱との業務提携により近年成長が著しいナチュラルフレーバー市場に向けて、発酵法によるフレーバー素材の製法開発に取り組んでいます。このような研究から蓄積される自社技術や、NEDOプロジェクト「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」への参画など種々のオープンイノベーションにより、さらなる高機能性素材の製法開発やその応用研究も進めています。さらに当社のバイオ、分子設計及び配合技術を融合し、次世代の情報通信やセンシング技術に貢献する新規素材の研究にも取り組んでいます。
また、省エネルギーや節水など環境に配慮した生産技術の開発を進めるとともに、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化を目的としたビッグデータ活用技術開発も精力的に実施しています。シミュレーション、人工知能、ロボティクスを活用した安全・安心につながる製造技術の開発を行うとともに、最先端微量分析技術を用いた成分解析及び不純物解析をもとに、製品の安全性を検証しています。特に、高感度アミノ酸・タンパク質分析などの最先端技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発に貢献しています。また、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に向け、高次構造に基づく酵素の改変技術の開発研究に精力的に取り組みました。さらに、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤とした、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過栄養)の解決、効率的な食資源生産に向けた研究も進めています。
全社に係わる研究開発費は、12,236百万円であります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては会計上の見積りを行う必要があり、各種引当金の計上、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績又は各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を582億円下回る1兆911億円(前期比94.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を5億円下回る5,195億円(前期比99.9%)となりました。海外では、為替の影響による調味料・加工食品(海外)の減収に加え、動物栄養の大幅な減収等により、前期を577億円下回る5,716億円(前期比90.8%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,547億円(前期比92.8%)、2,269億円(前期比92.3%)及び899億円(前期比82.6%)となりました。なお、売上高海外比率は52.4%(前期は54.8%)となりました。
② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益
売上原価は、売上高の減少に伴い、前期から529億円減少し、7,041億円(前期比93.0%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、コストダウン等により1.3ポイント改善し、64.5%となりました。販売費は、販売促進費等の削減に努め、為替の影響等もあり、前期から49億円減少し、1,694億円(前期比97.1%)となりました。研究開発費は、前期から5億円増加し、271億円(前期比 102.0%)となりました。一般管理費は、従業員給付費用の増加により前期から18億円増加し、961億円(前期比101.9%)となりました。持分法による損益は、当連結会計年度よりEAファーマ㈱が持分法適用会社となった影響等により、前期から13億円増加し、25億円(216.9%)となりました。
③ 事業利益
事業利益は、前期から12億円減少し、968億円(前期比98.7%)となりました。地域別にみますと、日本では446億円(前期比117.9%)、海外では522億円(前期比86.6%)となりました。日本において、冷凍食品(日本)や調味料・加工食品(日本)が増益となったことから、全体として増益となりました。海外において、為替の影響による調味料・加工食品(海外)の減益に加え、動物栄養の大幅な減益等により、全体として減益となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ365億円(前期比 94.2%)、126億円(前期比72.5%)及び29億円(前期比75.2%)となりました。なお、事業利益海外比率は53.9%(前期は61.4%)となりました。
セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照ください。
④ その他の営業収益(費用)
その他の営業収益は、前期に計上した段階取得に係る差益の影響等がなくなり、前期から143億円減少し、95億円(前期比40.0%)となりました。その他の営業費用は、前期から4億円増加し、227億円(前期比102.0%)となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前期に計上した段階取得に係る差益の影響等がなくなったこと等により、前期を160億円下回り、836億円(前期比83.9%)となりました。
⑥ 金融収益(費用)
金融収益は、前期から19億円増加し、72億円(前期比137.6%)となりました。金融費用は、前期から19億円減少し、42億円(前期比68.1%)となりました。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を182億円下回り、530億円(前期比74.4%)となり、 1株当たり当期利益は92円81銭(前期は121円23銭)となりました。
(3)当連結会計年度の連結財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆2,738億円に対して762億円増加し、 1兆3,501億円となりました。これは主に、第3四半期連結会計期間においてプロマシドール・ホールディングス社の株式を取得したことや、味の素ゼネラルフーヅ株式会社がライセンスを受けていた商標権等をコーニンクレッカ・ダウ・エグバーツ社より取得したことによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末の5,931億円に対して662億円増加し、6,594億円となりました。なお、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して674億円増加し3,359億円となりました。
資本合計は、在外営業活動体の換算差額の変動等により、前連結会計年度末に対して99億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,163億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.6%となりました。
(4)当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,089億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1,422億円の支出、及び財務活動によるキャッシュ・フローは147億円の収入となり、換算差額を調整すると、現金及び現金同等物の残高は184億円減少しました。
(5)当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入及び国内普通社債等による資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金、プロマシドール・ホールディングス社の株式及び味の素ゼネラルフーヅ株式会社がライセンスを受けていた商標権等の取得であります。