当連結会計年度より、売上の計上基準について会計方針の変更を行っており、遡及処理後の数値で前期末および前年同期比較を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)業績
当期における世界経済は、米国では景気が緩やかに回復し、欧州では景気は持ち直しの動きがみられたものの、
新興国における経済成長の鈍化の影響もあり、全体としては弱い回復となりました。
わが国経済は、設備投資や個人消費等に弱い動きがみられたものの、雇用環境の改善を背景に、景気は緩やかな
回復が続いています。
食品業界におきましては、食品原料の価格が依然として高い水準にあり、また消費税率引上げに伴う駆け込み需
要の反動の影響がみられました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「確かなグロ
ーバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指し、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」、「更なる事業構造強化」、その土台となる「経営基盤の進化」に取り組んでまいりました。
当期の連結売上高は、平成25年7月1日から持分法適用会社であるエイワイファーマ株式会社(以下、エイワイ
ファーマ社)に輸液・透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなった影響はあるものの、為替の影響に加え、海
外食品のコンシューマーフーズの現地通貨ベースでの売上げの伸長や平成26年11月5日に全持分を取得した米国
の冷凍食品の製造・販売会社であるウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現、味の素ウィンザー社。以
下、ウィンザー社)の連結子会社化等により、前期を552億円上回る1兆66億円(前期比105.8%)となり
ました。同営業利益は、飼料用アミノ酸や海外食品のコンシューマーフーズが大幅な増益となったため、前期を
127億円上回る745億円(前期比120.6%)、同経常利益は前期を140億円上回る828億円(前期比
120.4%)となりました。同当期純利益は前期を43億円上回る464億円(前期比110.3%)となりまし
た。
当期のセグメント別の概況
|
|
売上高 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
営業利益 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
||
|
国内食品 |
3,218 |
218 |
107.3 |
% |
238 |
△32 |
88.1 |
% |
|
海外食品 |
3,267 |
344 |
111.8 |
% |
341 |
91 |
136.4 |
% |
|
バイオ・ファイン |
2,395 |
114 |
105.0 |
% |
170 |
106 |
267.1 |
% |
|
医薬 |
397 |
△115 |
77.5 |
% |
21 |
△16 |
56.5 |
% |
|
その他 |
787 |
△9 |
98.8 |
% |
△26 |
△21 |
- |
|
|
合計 |
10,066 |
552 |
105.8 |
% |
745 |
127 |
120.6 |
% |
(注)1.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類、天然系調味料および冷凍食品は、国内食品セグメントに区分されております。また、国内外の食品加工業向け「味の素®」および核酸は、海外食品セグメントに区分されております。
(注)2.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 国内食品セグメント
国内食品セグメントの売上高は、調味料・加工食品の売上げは消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動等によ
り前期並みの実績となりましたが、ウィンザー社の連結子会社化等により冷凍食品の売上げが大きく伸長したこと等
により、前期を218億円上回る3,218億円(前期比107.3%)となりました。営業利益は、ウィンザー社
の取得関連費用の発生等により前期を32億円下回る238億円(前期比88.1%)となりました。
<調味料・加工食品>
家庭用は、「Toss Sala®(トスサラ)」等の新製品に加え、テレビ広告と連動した販促活動を展開した和風・洋
風の合わせ調味料「Cook Do®(クックドゥ)きょうの大皿」や「鍋キューブ®」、チューブタイプのペースト中華調
味料「Cook Do®(クックドゥ)」香味ペースト等の売上げは前期を大幅に上回りましたが、消費税率引上げに伴う
駆け込み需要の反動等により「ほんだし®」やマヨネーズ類等の売上げが前期を下回り、全体としては前期並みの実
績となりました。
業務用は、外食用製品の売上げは、米・肉等素材の食感を向上させたり、コクを引き出したりする機能型食品の
伸長等により前期を上回り、食品用酵素製剤「アクティバ®」や天然系調味料も、海外の販売が好調に推移したこと
により、前期を上回ったため、全体としては増収となりました。
以上の結果、全体としては前期並みの実績となりました。
<冷凍食品>
家庭用は、製品改訂を実施した「具だくさんエビピラフ」が大幅に伸長し、「やわらか若鶏から揚げ」、「ギョ
ーザ」等も前期を上回ったため、増収となりました。
業務用は、国内大手需要家への販売が増加し、増収となりました。
海外では、ウィンザー社の連結子会社化に加え、北米において米飯や焼きそば等の麺類が大幅に伸長し、大幅な
増収となりました。
以上の結果、全体としては大幅な増収となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、コンシューマーフーズの現地通貨ベースでの売上げが伸長し、為替の影響もあ
り、前期を344億円上回る3,267億円(前期比111.8%)となりました。営業利益は、コンシューマー
フーズの増収や加工用うま味調味料の貢献に加え、為替の影響もあり、前期を91億円上回る341億円(前期比
136.4%)となりました。
<コンシューマーフーズ>
アジアでは、ベトナム、インドネシアおよびタイにおけるうま味調味料「味の素®」、インドネシアにおける風味
調味料「Masako®(マサコ)」ならびにタイにおける風味調味料「RosDee®(ロッディー)」および即席麺の現地通貨
ベースでの売上げが前期を上回ったことに加え、為替の影響もあり、増収となりました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回った
ことにより、増収となりました。
欧州・アフリカでは、ポーランドにおける即席麺等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回ったものの、アフ
リカにおける「味の素®」の売上げが前期を下回ったこと等により、減収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<加工用うま味調味料>
食品加工業向け「味の素®」は、国内外ともに販売価格は低下しましたが、為替の影響や国内の販売数量の増加も
あり、前期の売上げを上回りました。
核酸は、国内外ともに販売価格は低下しましたが、為替の影響もあり、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
③ バイオ・ファインセグメント
バイオ・ファインセグメントの売上高は、飼料用アミノ酸、医薬用・食品用アミノ酸、甘味料、医薬品原薬・中
間体の製造開発受託事業を行う製薬カスタムサービスの売上げが伸長し、為替の影響もあり、前期を114億円上
回る2,395億円(前期比105.0%)となりました。営業利益は、飼料用アミノ酸、医薬用・食品用アミノ
酸、製薬カスタムサービスが大幅な増益となり、化成品、甘味料も前期を上回り、為替の影響もあり、前期を
106億円上回る170億円(前期比267.1%)となりました。
<飼料用アミノ酸>
リジンは、販売数量が前期並みの実績となり、販売価格も前期を下回ったため、減収となりました。一方、スレ
オニンは、販売数量は前期並みとなったものの、販売価格が前期を大幅に上回ったため、大幅な増収となり、トリプトファンは、販売数量は前期を下回ったものの、販売価格が前期を上回ったことにより、増収となりました。また、バリン等のスペシャリティ製品も販売を拡大し、大幅な増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸は、国内外ともに増収となりました。
甘味料は、為替の影響に加え、南米におけるアスパルテームを使用した粉末ジュース「Refresco MID®(リフレス
コ ミッド)」の現地通貨ベースでの売上げが増加したこと等を受けて増収となり、製薬カスタムサービスは、為替
の影響に加え、北米や欧州の売上げが伸長し、増収となりました。
以上の結果、全体として増収となりました。
<化成品>
香粧品素材の売上げは、前期を上回り、コンピュータ用の層間絶縁フィルムは、高付加価値品の売上げが伸長し
たものの、アミノ酸化粧品「JINOR(ジーノ)」の売上げが消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動からの回復が
遅れ、前期を大幅に下回ったこと等により、全体として減収となりました。
④ 医薬セグメント
医薬セグメントの売上高は、ロイヤルティ収入が増加したものの、平成25年7月1日から持分法適用会社であ
るエイワイファーマ社に輸液・透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなったことに加え、薬価改定や後発品の影響もあり、前期を115億円下回る397億円(前期比77.5%)となりました。営業利益は、前期を16億円下回る21億円(前期比56.5%)となりました。
自社販売品は、経口腸管洗浄剤「モビプレップ®」の売上げが前期を大きく上回ったものの、輸液・透析事業の売
上げがなくなったことに加え、薬価改定や後発品の影響等により、大幅な減収となりました。
提携販売品は、平成26年5月から販売を開始した高血圧症治療薬「アテディオ®」の貢献があったものの、後発
品や競合品の影響により、骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」等のリセドロネート類やカルシウム拮抗降圧剤「アテレ
ック®」の売上げが前期を大幅に下回り、全体として大幅な減収となりました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を9億円下回る787億円(前期比98.8%)となり、営業損益は前期を21
億円下回る26億円の営業損失となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期の連結キャッシュ・フローの状況
|
(億円) |
|
|
平成26年3月期 |
平成27年3月期 |
差額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
630 |
1,092 |
462 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△634 |
△1,403 |
△768 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△552 |
528 |
1,080 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
9 |
120 |
111 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△547 |
337 |
885 |
|
連結の範囲の変更による増加額 |
0 |
13 |
13 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,300 |
1,651 |
351 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,092億円の収入(前期は630億円の収入)となりました。この増加の主な要因は、営業利益が増益となったことや、法人税等の支払額が113億円となり、前期より大幅に減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,403億円の支出(前期は634億円の支出)となりました。有形固定資産の取得に加え、当社の連結子会社である味の素ノースアメリカ社によるウィンザー社の全持分取得による支出がありました。一方、前期は味の素アルテア社の株式取得による支出がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、528億円の収入(前期は552億円の支出)となりました。配当金の支払いによる支出があった一方、短期借入金の増加による収入があったこと等によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ351億円増加し1,651億円となりました。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については「1 業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
<2014-2016 中期経営計画の推進>
2014-2016中期経営計画において、「スペシャリティ」の追求による「成長ドライバーの展開」と「更なる事業構造強化」に取組み、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指してまいります。すなわち、当社独自の技術と、顧客機会を発見し価値を創造する力の融合から生み出す他社や既存のものにはない「スペシャリティ」の追求を計画推進の鍵として、グローバル成長とR&Dのリーダーシップによる「成長ドライバーの展開」と、バルク事業のスペシャリティ化と資本効率の更なる向上を軸とした「更なる事業構造強化」を追求するとともに、土台となる「経営基盤の進化」にも取り組みます。
「成長ドライバーの展開」
① グローバル成長
日本においては、個別化・多様化するお客様向けに価値を創造し続け、安定成長を実現します。
海外においては、既に強い事業基盤があるタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジルを中核に据え、中東、アフリカ等の開拓も合わせ、中間所得層の拡大や食生活・流通の近代化を事業機会ととらえ飛躍的な成長を目指します。
平成26年11月に買収した米国のウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現、味の素ウィンザー社)のマーケティング力、全米に広がる生産拠点・流通ネットワークおよび営業力と味の素グループの現地に適合した製品の開発力および生産技術を融合することで、北米の日本食・アジア食の冷凍食品市場での更なる成長を推進します。また、本年4月に株式を取得し連結子会社化した味の素ゼネラルフーヅ株式会社との協業を進め、粉末加工製品という共通軸を梃に新製品開発や生産面でのシナジーを創出していきます。
② R&Dのリーダーシップ
「世界一の調味料技術」により「おいしさ」の解明と設計をさらに深化させ、より多くの消費者に届けるとともに、「独自の先端バイオ」の技術を活かし、高機能バイオ新素材の開発や低資源利用発酵の推進、再生医療向け培地やアミノインデックス技術による診断事業等につなげ、成長を牽引していきます。
「更なる事業構造強化」
① スペシャリティ化
構造に課題の残る事業について、事業の付加価値を高める「スペシャリティ化」を進めます。具体的には、バルク事業では、飼料用アミノ酸事業における乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材の割合を高め、加工用うま味調味料事業における呈味物質および甘味料事業における新規甘味料と複数素材の組合せ等により、リテール製品比率を高めていきます。加えて、バルク事業では低資源利用発酵技術の導入等によるコスト競争力強化を図ります。医薬事業では、積極的な外部連携により、消化器系疾患の領域等においてパイプラインを強化するとともにコストダウンを推進いたします。
② 資本効率の更なる向上
事業ごとのバリューチェーンについて、外部委託を柔軟に活用する一方、重要なものを内製化し、付加価値の高いものに注力することで資産効率を高め、また、需要に応じてグローバルに最適な供給体制を構築することで、ROE(株主資本利益率)や株主価値の更なる向上を目指します。
「経営基盤の進化」
海外での飛躍的成長を実現するため、海外地域本部への権限委譲を拡大するとともに適切なモニタリング機能を構築し、機動力と効率性を備えたガバナンス体制を確立します。また、次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいります。さらに、既存製品や事業のリソースをもとに隣接領域での新しい事業機会の創造を、柔軟に外部の力を活用し、飛躍的成長のために積極的に進めていきます。
当社は、本年6月から上場会社に適用される「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨・精神を踏まえ、主体的にガバナンス上の課題の有無を検討し、課題に対応することで実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指します。これにより、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みの構築を加速させ、“株主との対話”を通じた持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
<21世紀の人類の課題に対する事業を通じた貢献の推進>
味の素グループは、うま味を通じて粗食をおいしくし、国民の栄養を改善するという創業時の志を受け継ぎ、「地球持続性」、「食資源の確保」、「健康な生活」という21世紀の人類の課題に対して、事業を通じた貢献をASV(Ajinomoto Group Shared Value)として果たしてまいります。地域の食文化に適合したおいしさの実現を通じた健康づくりへの貢献や、開発途上国での栄養改善プロジェクトを進めるほか、バイオサイクル技術による循環型生産モデルの実現と低資源発酵技術で、生産活動における食資源使用量の削減にも取り組んでまいります。また、東日本大震災被災地における食と栄養をサポートする被災地支援を、復興の足どりが確かなものになるまで継続します。
当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営および事業リスクを最小化するための様々な対応および仕組み作りを行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営環境に関するリスク
1.為替変動の影響
当社グループは、グローバルな生産供給体制の確立と強化を図っており、日本を含め全世界で26の国・地域に拠点を持ち、そのうち21の国・地域の128工場で生産活動を展開し、海外の比重が高くなっています。
前連結会計年度および当連結会計年度において、日本以外の地域(アジア、米州および欧州)での外部顧客に対する売上高は4,764億円および5,462億円(連結売上高に占める割合は50.1%および54.3%)、営業利益は290億円および448億円(連結営業利益に占める割合は47.1%および60.2%)でありました。連結財務諸表は、海外グループ会社の現地通貨建て財務諸表を円に換算することにより、換算為替レートの変動を受けます。また、当社グループでは、外貨建て取引に伴う債権および債務につき、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、その業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。
2.天変地異等の影響
当社グループは、日本国内での事業展開はもとより、海外市場の開拓を積極的に進めております。これらの事業展開地域においては、次のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 気候変動等に伴う水資源の不足による生産量減少等
② 地震、台風・ハリケーン・サイクロン、洪水等の天変地異の発生
③ 大規模停電等による中断事象の発生
④ 感染性疾病の流行等による社会的混乱
3.予期しない不利な経済的または政治的要因の発生
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますが、海外ではテロまたは紛争等による政情不安、経済動向の不確実性、宗教や文化の相違ならびに商習慣に関する障害、投資、海外送金、輸出入、外国為替などの規制の変更、さらには接収など様々な経済的、政治的もしくは法的な障害を伴う可能性があり、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
4.原燃料価格変動の影響
当社グループの使用する主要な原材料ならびに重油等のエネルギー原料には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作やエタノール需要拡大による穀物価格の上昇などに加えて、これらが投機的取引の対象となることもあり、従来に比べて原燃料価格変動要因が増加してきております。これら原燃料の価格が高騰した場合には製造コストの上昇につながり、この上昇が新技術導入や各種活動等によるコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関するリスク
1.製品市況の変動の影響
当社グループがバイオ・ファイン事業において取り扱っている飼料用アミノ酸は、穀物市況と飼料用アミノ酸の需給動向によって販売価格が変動する傾向があります。当社グループでは、複数の種類のアミノ酸(リジン、スレオニンおよびトリプトファン等)を取り扱うことでリスクの低減・分散を図るとともに、乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材による「スペシャリティ」化をはかり、またアミノ酸の発酵生産技術に関するコストダウンを通じて収益性の安定と向上を図ることを目指していますが、穀物市況の変動の影響および飼料用アミノ酸の需給動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
2.食の安全性に影響を与える事項
当社グループは、独自の厳しい品質保証システムを一層強化するとともに、グループ横断の品質監査の実施、トレーサビリティシステム(商品の生産、加工、流通等の各段階における情報を追跡するためのシステム)の構築に注力する等、全事業の存立基盤となる「安心と安全」を確保するため、万全の体制で臨んでおります。
とりわけ、昨今日本で発生した食の安全に関する事件を受けて、労働・人権課題を含む良好な組織風土を要として、製造設備などのハード面と、品質基準やガイドラインなどのソフト面の見直しや強化により、サプライチェーン全体の、リスクの極小化、グループの食の安全体制の一層の強化を図っております。
その一方で、社会全般にわたる新たな品質問題等、上記の取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.情報の漏洩等の影響
当社グループは、通信販売や販促キャンペーン等により多くのお客様の個人情報を保持しております。当社グループは、これらの個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、「味の素グループ情報セキュリティポリシー」を定め、「情報取扱ガイドブック」の社内配布や研修等を実施することにより、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピューターウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.資金の調達
金融市場の混乱または停止、信用格付機関による当社格付けの引下げ、金融機関等の融資判断および方針の変更が、当社グループの資金調達に影響を与えるとともに、資金調達コストを増加させ、流動性の悪化、すなわち資金を必要なときに必要な額を調達できない可能性があります。
5.得意先の経営破綻
当社グループは、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しておりますが、今後海外を含め予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
6.高度な専門性を有した人材の獲得および継続雇用
当社グループの事業運営は、各国および各職種において高度な専門性を有した人材が担っており、将来の成長を達成するため、その様な人材の獲得・育成が欠かせません。次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいりますが、人材の獲得競争が激しいなか、高度な専門性を有した人材の獲得および継続雇用が出来ない可能性があります。
(3)法的規制および訴訟等
1.法的規制等の影響
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますので、国内外において、食品衛生、薬事、知的財産、環境・リサイクル、事業・投資の許認可、輸出入、外国為替管理、および種々の税金にかかわる法の規制等の適用を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しております。しかしながら、将来において、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、また法解釈の多様性によるリスクにさらされる可能性もあります。これらの法的規制等に係る適用を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.訴訟等の影響
当社グループは、日本国内外で訴訟等の事件に関わっています。また、多くの国で多岐にわたる事業を展開している関係から、新たに不測の訴訟や請求等を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合には、当社グループの業績および評判が悪影響を受ける可能性があります。
3.租税制度に関する影響
新たな租税制度の導入または改廃によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。味の素グループは味の素グループ行動規範に基づき、世界各国で適用される税法を遵守し事業活動を行っていますが、特に日本国外における頻繁な租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
4.環境法令等
当社グループは、大気汚染、排水等に伴う水質汚染、騒音、アスベストなどの有害物質、廃棄物、および土壌または地下水の汚染などに関する様々な環境法令等の適用を受けています。この様な環境法令等は、現在の当社グループの事業活動だけでなく、過去の事業活動や企業買収などで他社から引き継いだ事業の過去の活動にも適用される可能性があります。さらに、サプライチェーン上での法令違反も当社グループの事業におけるリスクとなります。そこで「CSR調達ガイドライン」を策定し、サプライチェーン全体でCSRに配慮した調達を実践して参ります。当社グループでは、ISO 14001に準拠した環境マネジメントシステムを国内外グループ各サイトで適用しており、国や地域に応じた環境法令等への対応や、環境トラブルの防止を図るとともに、環境改善の取り組みを進めています。このマネジメントシステムのもと、法改正の動向を注視するとともに、当社グループは、当社グループとサプライチェーン全体にわたって法令等を確実に遵守する体制を強化しておりますが、将来の環境法令等の遵守や環境改善取組みの強化などにより、環境に関連する費用負担が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(4)その他のリスク
1.減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の設備、不動産や企業買収などにより取得したのれんをはじめとする様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.繰延税金資産等
当社グループでは、将来の課税所得等に関する予測および仮定に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
技術援助を与える契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
ササ・インティ社 |
インド ネシア |
グルタミン酸ソーダおよびその関連製品のインドネシア国内における非独占的製造権(技術援助を伴う)および販売権の許諾 |
左記製品 販売高の 一定率 |
1988年12月1日から10年間。以後10年毎自動更新 |
技術援助を受ける契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ クノール食品㈱ |
コノプコ社 |
アメリカ |
日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾 |
左記製品 販売高の 一定率 |
対象商標が日本で有効に登録されている限り |
販売援助、経営援助契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
味の素ゼネラルフーヅ㈱ |
日本 |
味の素ゼネラルフーヅ㈱のコーヒー等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 |
1973年7月30日締結 (注) |
|
味の素㈱ |
日本ケロッグ(同) |
日本 |
ケロッグ社グループの穀類調整食品等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 販売高の 一定率 |
2014年4月1日から3年間。以後3年毎自動更新 |
(注)味の素ゼネラルフーヅ㈱とのコーヒー等の総発売元契約は、クラフト・フーヅ・ホールディングス・シンガポール
社が保有する味の素ゼネラルフーヅ㈱の株式の全部の取得に伴い、平成27年4月23日付で終了し、同日付で以下の
契約を締結しています。なお、当該契約については、当社が直接または間接に味の素ゼネラルフーヅ㈱の株式の全
部または一部を保有している限り、存続するものとしています。
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契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
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味の素㈱ |
味の素ゼネラルフーヅ㈱ |
日本 |
味の素ゼネラルフーヅ㈱のコーヒー等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 販売高の 一定率 |
2015年4月23日締結 |
ウィンザー・クオリティ・ホールディングス社持分の取得
味の素ノースアメリカ社(現 味の素北米ホールディングス社)は、平成26年11月5日付で米国の冷凍食品の製造・販売会社であるウィンザー・クオリティ・ホールディングス社の全持分を取得いたしました。詳しくは、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (企業結合等関係)」の記載内容をご参照ください。なお、平成27年4月1日付で、同社をアメリカ味の素冷凍食品社が吸収合併し、その商号を味の素ウィンザー社に変更しております。
味の素グループは「グローバル健康貢献企業グループ」を目指し、人類の課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現に向けて、事業を通じて貢献していきます。2014-2016中期経営計画では、高い付加価値を生み出す「スペシャリティ化」の推進によって安定的利益成長を実現させ、「グローバル食品企業トップ10」レベルの事業を目指しています。
他社や既存のものにはない「スペシャリティ」を技術力によって先導すべく、「R&Dのリーダーシップ」を成長ドライバーに位置づけ、高い成長が見込まれる「世界一の調味料技術」と「独自の先端バイオ」技術が活かせる領域に研究開発における経営資源を重点的に投資しています。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープンイノベーションを積極的に活用します。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は32,228百万円であります。
また、当社グループが保有している特許は国内外あわせて約4,190件であります。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりであります。
(1) 国内食品セグメント
味の素㈱の食品研究所が中心となり、味覚、嗅覚、食感など、「おいしさを構成する全ての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、およびそのアプリケーション開発を行っています。少子高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場における潜在ニーズを掘り起し、当社独自の素材と技術および斬新な発想による価値提案型の新商品開発に取り組んでいます。
食品研究所は、クノール食品㈱開発技術センターや上海味の素食品研究開発センター社、味の素冷凍食品㈱研究・開発センターをはじめ各グループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。
<調味料・加工食品>
2014年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応した製品で驚きと感動を日本の食卓にご提供すべく、「スペシャリティ」(独自価値)を持った新製品を開発・発売しました。メニュー用調味料市場においては、魚を素材としたメインおかずが手軽に美味しく作れる「Cook Do®きょうの大皿」<鮭バター醤油用>、<さば味噌用>を発売するとともに主力品の2人前を品揃えしました。中華だし市場においては、半練タイプの「Cook Do®香味ペースト」<醤油>を投入したほか、「丸鶏がらスープ」をリニューアルし使い勝手を大幅に改善しました。鍋つゆ市場には、「鍋キューブ®」<まろやか豆乳鍋>を追加発売し、洋風インスタントスープ市場へは、塩分を気にする方を中心に新たな価値を提供すべく、「クノール®カップスープ」(コーンクリーム塩分40%カット、ポタージュ塩分40%カット)を発売しました。また、首都圏で先行発売した「Toss Sala®」を全国へ拡大するとともに、<シーザーサラダ味>を発売し品揃えを拡充しました。
業務用では、「Cook Do®」の新品種として、当社の独自原料を活用した<ガリバタ鶏用>、及び<豚バラ味噌用>を発売しました。またクノール食品㈱の粉体スープの技術、当社の独自原料を活用し、素材の風味が活きており、お店で手軽に使用可能な「クノール®風味とコクのデミグラスソース」「クノール®クリーミーホワイトソース」の2品も発売しました。少量加えるだけで、塩味を上げずにコクのみをプラスすることができる「コクのチカラ®」の新品種として、鶏だしの風味を再現できる独自素材の活用により、<鶏のコク>を新たに発売しました。「ほんだし®かつおだし」については、当社独自の節原料の活用、呈味素材の活用によって、よりだしの香り・風味が長く続くよう改訂しました。
加工需要家向けでは、当社独自技術を活用し、水産練り製品向けに食感改良(弾力付与)に寄与する新製品「アクティバ®」TG-K弾力プラス(国内)、「ACTIVA®」 TG-SR-MH(海外)を発売しました。また、チキンの自然な風味・呈味を増強する調味料「AJI-AROMA®」M-CHICKEN FB(海外)を発売したほか、各国伝統食品向け調味料「DASHI PLUS®」(インドネシア・ミートボール用)、「Bot Gia Vi Thit Heo PLUS」(ベトナム・揚げ蒲鉾用)、「MEAT PLUS」(タイ・ミートボール用)を発売しました。
ベーカリー製品につきましては、味の素㈱の酵素製剤技術と㈱J-オイルミルズの加工でんぷんを組み合わせた「しっとり感付与製法」を用い、食べていただく際までしっとりとしたセブンイレブン向けドーナツを上市しました。また、関係会社のエースベーカリー㈱とともに、遠赤外線効果により、中まで素早く火を通すことができるオイルオーブンを用いた高品質の新製品を順次、上市しています。
<冷凍食品>
家庭用では食卓での利用拡大を目指し、あらびきのお肉を更にしっかり練ることで、ジューシーでお肉をしっかり感じる「贅沢肉焼売」、お弁当では汁がお弁当箱からこぼれず、口どけ良く仕上げる技術を用いた「汁もれしないお弁当の小鉢」<牛すき焼き煮>、<とろとろあんの枝豆れんこん包み揚げ>を開発しました。業務用ではデザート市場での拡大を目指し、凍ったままおいしく食べられる、とろける技術を用いた「セミフレッド・ドルチェ」、ドリンクの中でゆっくり溶ける技術を用いた「果肉と果実のジェラータ」を開発しました。
国内食品セグメントに係わる研究開発費は、3,391百万円であります。
(2) 海外食品セグメント
世界一の調味料のリーディングカンパニーとして「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、および加工食品の開発に継続的に取り組みました。このうち、当社研究所の技術融合によって工業化に成功した新規コク味物質「グルタミルバリルグリシン」については、2014年、海外製品より先行導入を開始しました。
当社独自の技術・素材を活用し、他社の追随を許さない圧倒的な「おいしさNo.1」の実現を目指した新製品発売、既存品製品改訂を積極的に行いました。風味調味料では、風味を強化する素材を用いた製品改訂をインドネシア「Masako®」、タイ「RosDee®」で行いました。また、メニュー用調味料では、唐揚げ粉の食感を向上する改訂をインドネシア「Sajiku®」、ベトナム「Aji-Quick®」で実施、ブラジルにおいては電子レンジやオーブンでも調理できるタイプの唐揚げ粉「Satis!」ミラネーザを新発売しました。一方、主婦の調理行動を解析する当社独自手法を活用し、インドネシア「SAORI®」の新品種<甘酢ソース>のパッケージに、調理ディレクションを図示し、使い勝手の向上も図っています。
即席麺では、タイで主力のポーク品種のスープを独自技術で品質改訂しました。来年度に向けて麺の食感改訂にも取り組んでいます。飲料では、タイで新たに若年層向けのプレミアムタイプの缶コーヒーを発売し、トップブランドとして市場拡大を牽引しました。また、粉末飲料では、タイでチョコレートフレーバー、エナジードリンクタイプを発売し、新たな領域創出を目指しています。また、粉末スープでは、ブラジルで競合にない伝統的なローカルメニューを発売しました。
また、うま味調味料「味の素®」および核酸系調味料の基盤研究の推進と共に、各国工場での生産技術の一層強化に向けた、地球資源の効率的利用・環境負荷低減・人類の食資源を極力使用しない低資源利用発酵技術として、① 主原料を大幅に削減する技術、② 副原料や廃水及び副生物を大幅に削減する技術、そして③ 原燃料自製化技術の開発や工業化を推進し、工場への導入拡大を継続的に行いました。また、発酵プロセスで発生する副生物を有効利用する製品・技術開発も継続して推進しました。
海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,021百万円であります。
(3) バイオ・ファインセグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、「先端バイオ関連」領域および、飼料用アミノ酸、医薬・食品用途のアミノ酸、甘味料、医薬中間体、香粧品・電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティを発揮するため、再生医療に用いるiPS細胞など幹細胞用の培地「StemFit®AK03」の有償提供を開始するとともに、さらなる高性能培地の開発に継続して取り組み、事業領域の拡大を図っています。一方、主力となる素材事業では、継続的に抜本的な新製法を導入し、更に収益を上げるための構造改革を推進しています。更なる顧客価値の創造のため、味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社およびその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。
<飼料用アミノ酸>
グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて発酵技術に関する基盤研究の一層の推進、非可食原料利用を含めた低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターと共に工業化を加速させ、各海外工場への導入も推進しました。飼料用トリプトファンの最先端生産技術を活用し味の素ユーロリジン社における増産(4,500⇒7,500トン、2016年完工)を決定しました。また乳牛用リジン「AjiPro®-L」の増産に成功し、市場開拓を継続しています。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めました。また、動物細胞培養用の培地の事業展開のため、韓国に設置した味の素ジェネクシン社での医薬、医療用培地の生産を開始しました。
甘味料につきましては、新規甘味料「アドバンテーム」の食品添加物認可を日本及び欧米で取得。製剤開発を通し、加工需要家向け甘味料商品のポートフォリオ拡充を図りました。またリテイル商品では、オリゴ糖を配合した特定保健用食品「パルスイート®ビオリゴ®」を発売し、低カロリー甘味料に加え、機能性甘味料へも事業領域を拡大しました。
医薬中間体につきましては、製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸、ならびにペプチドの新規合成技術の開発を進めています。またタンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。
<化成品>
香粧品につきましては、製品ポートフォリオ拡充のため、アミノ酸誘導体を中心に香粧品原料の継続的な研究に取り組んでいます。2014年度は、アミノ酸系洗浄剤、油性原料、機能性粉体、コンディショニング剤、効果効能素材の開発を進めました。新製品として、アミノ酸であるL-グルタミン酸系の油性原料の品種を追加しました。またグローバルな需要拡大に対応するために、ブラジルでの湿潤剤設備を増強しました。
電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPUパッケージ用の絶縁材料を開発するとともに成長の著しいスマートフォン・タブレット向けの半導体パッケージ材料の開発にも注力し、有力スマートフォンメーカーに採用されました。また絶縁フィルムでの知見を活かし、次世代型のディスプレイや照明等への利用に向けた有機EL関連材料の開発に取り組みました。
活性炭事業では、長年味の素グループの生産を支えてきた吸着技術を活用し、プリン体を効率的に除去できる活性炭を開発し飲料メーカーへの販売を始めました。
<バイオ・ファインその他>
ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」に引き続き、2014年度は「グルハート®」「アジフォル® アミノガード®544」を上市しました。海外でもこれらの核酸、アミノ酸系肥料を展開していきます。
バイオ・ファインセグメントに係わる研究開発費は、7,943百万円であります。
(4) 医薬セグメント
味の素製薬㈱は、アミノ酸研究の応用から生まれた医薬品を主体に、特に消化器疾患領域においてユニークな製品を提供しています。スローガンである「ひとを見つめる創薬」には、患者さんや医療関係者一人ひとりの目線で、新薬を開発・生産し、医療現場に一日も早く届けたいという思いが込められています。消化器疾患領域に研究開発の重点を置き、グローバルに展開できる、特徴ある新薬の創出を目指しています。特に炎症性腸疾患(IBD)については、国内外の研究機関とも連携のうえ、これまでにない画期的治療薬の創製を目指した取り組みを進めています。加えて、医療現場のニーズを見据えた既存製品のLCM(Life Cycle Management)研究や開発品導入、共同研究など外部との連携による価値創造にも経営資源を投入しています。
消化器疾患の開発パイプラインに関して、α4インテグリン阻害剤AJM300については2015年1月に、ブデソニド注腸フォーム製剤AJG511については2014年9月に、ともに潰瘍性大腸炎を対象とした臨床第3相試験を開始しました。また、これら両剤については、製品価値の最大化を目的として、2015年3月にキッセイ薬品工業株式会社との間で国内での共同開発・共同販売に係わる契約を締結しました。さらに、2012年4月にアルビレオ社から導入した慢性便秘症治療薬AJG533について、2014年6月に臨床第2相試験を開始しました。
代謝性疾患関連製品については積極的なLCM研究を進め、持続性カルシウム拮抗降圧剤「アテレック®」のLCMとして、バルサルタンとの配合剤「アテディオ®配合錠」を2014年5月に発売しました。速効型食後血糖降下剤「ファスティック®錠」についてはDPP-4阻害剤との併用試験を完了し、2014年7月に2型糖尿病を適応とした一部変更承認申請を行いました。骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」に関してもLCM研究を進めています。
医薬セグメントに係わる研究開発費は、5,876百万円であります。
(5) その他事業(健康ケア)
<健康基盤食品・ニュートリションケア>
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターとの共同研究から、当社が独自に開発したロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」と運動を組み合わせることにより、高齢女性の筋量、筋力、歩行速度の改善効果があることが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の高齢者の項に掲載されました。また日本のみならず、このロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」の効果は、老年医学の領域においてグローバルな認識になりつつあります。
当社では、「Amino L40」を活用した製品として、「アミノエール®」を一般生活者向けに通信販売で販売しており、「アミノケア®ゼリー ロイシン40」を主にリハビリテーション病院など臨床の現場向けに販売しています。また、ロイシンを高配合した1パック100ml・200kcalと小容量・高栄養の栄養補助食品「メディミル®プチ ロイシンプラス」を発売しました。
“アミノ酸が拓く健康貢献社会”の実現に向けて、当社は今後もアミノ酸研究に基づく様々な製品を通じて幅広く、高齢者層の健康寿命に貢献していきます。
<スポーツニュートリション>
スポーツ栄養研究に積極的に取り組み、アミノ酸の有用性検証を進めています。その研究成果については、日本体力医学会等の学会において発表しました。また、お客様のニーズに応えるべく「アミノバイタル® アミノプロテイン」チョコレート味を発売しフレーバーラインナップを拡大しました。更にトップアスリートを目指すスポーツジュニアのための「アミノバイタル® ジュニア」(2品)を発売しました。
<アミノインデックス®>
「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニングは、一度の採血で複数のがんの罹患リスクを評価できる検査で、すでに全国900以上の医療機関で受診が可能です。2014年9月には、膵臓がんの発見にも応用可能であることを発表しました。またこの技術は、生活習慣病に関連するリスクの高い集団の抽出の可能性があることも確認しました。
また、神奈川県、横浜市、川崎市が共同で推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」では、「個別化医療・予防医療」分野の取り組みの一つとして「アミノインデックス技術」を活用する検討を進めています。
その他に係わる研究開発費は、748百万円であります。
(6) 全社
味の素㈱イノベーション研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端の研究・技術を活用し、グループ内の各研究所と共に様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
健康な食生活のためにうま味物質グルタミン酸ナトリウムを有効に使いこなす技術について研究と情報発信を続けています。また、食品の好き、嫌いに関わる様々な味や香りとその関係性を詳細に評価・解析する方法を確立し、実際の商品の開発に応用できるまでに改良しました。この結果を世界の様々な嗜好を持つお客様により好まれる商品の提供に活用していきます。さらに「人は味をどのように感じるのか?」について、より基礎的な研究を世界の研究機関と協力して進め、味の仕組みに学んで新しい調味料素材を探し出す研究も進めています。世界の人々のおいしさと健康に貢献できるサイエンスを目指しています。
また、低炭素社会および持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組みました。まず、㈱ブリヂストンとの共同研究において、バイオマスから発酵技術により製造される新しいゴム原料、「発酵イソプレン」について、生産性向上に成功し実用化に向けて研究を進めています。またこのような研究から蓄積される自社技術や、経済産業省が所管する高機能遺伝子デザイン技術研究組合への参画など種々のオープンイノベーションにより、さらなる高機能性素材の研究開発を進めています。さらに、タンパク質等生体分子を用いたナノ粒子製造などのバイオナノプロセス技術の開発も推進し、広く情報通信技術に貢献する新規ナノ素材の研究開発にも取り組んでいます。
さらに、基盤的生産技術開発を進めるとともに、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化を目的としたビッグデータ活用技術開発も精力的に実施しています。安全・安心につながる製造技術の開発や、最先端微量分析技術を用いた成分解析および不純物解析をもとに、医薬品原料の安全性を検証しています。また、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に向け、高次構造に基づく酵素の改変技術の開発研究に精力的に取り組みました。さらに、生体内におけるアミノ酸代謝・栄養研究を基盤とした、健康長寿社会の実現や、途上国の低栄養課題の解決、効率的な食資源生産に向けた研究も進めています。
全社に係わる研究開発費は、11,245百万円であります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各種引当金の計上、「固定資産の減損に係る会計基準」における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績、または各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を552億円上回る1兆66億円(前期比105.8%)となりました。地域別に見ますと、日
本では、冷凍食品およびアミノ酸の売上げは伸長したものの、医薬の売上げの減少等により、前期を145億円
下回る4,604億円(前期比96.9%)となりました。海外では、ウィンザー社の売上げが加わった冷凍食
品、コンシューマーフーズ、飼料用アミノ酸およびアミノ酸が増収となり、また為替の影響もあり、前期を
698億円上回る5,462億円(前期比114.7%)と大幅な増収となりました。海外の地域別では、アジ
ア、米州および欧州でそれぞれ2,604億円(前期比113.1%)、1,753億円(前期比125.
9%)および1,104億円(前期比103.4%)となりました。なお、売上高海外比率は54.3%(前期
は50.1%)となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の伸長に伴い、前期から239億円増加し、6,595億円(前期比103.8%)とな
りました。売上原価の売上高に対する比率は、飼料用アミノ酸の販売価格の上昇等により1.3ポイント改善
し、65.5%となりました。販売費及び一般管理費は、販売促進費等の削減に努めましたが、連結子会社増加
の影響があり、前期から186億円増加し、2,726億円(前期比107.3%)となりました。
③ 営業利益
営業利益は前期を127億円上回り、過去最高の745億円(前期比120.6%)となりました。地域別に
みますと、日本では296億円(前期比90.5%)、海外では448億円(前期比154.4%)となりまし
た。日本において、アミノ酸や化成品の貢献はありましたが、医薬が大幅に減益となった影響により、全体とし
て減益となりました。海外において、飼料用アミノ酸、製薬カスタムサービスおよびコンシューマーフーズの貢
献があり、また為替も寄与し、全体として大幅な増益となりました。海外の地域別では、アジア、米州および欧
州でそれぞれ304億円(前期比122.6%)、116億円(前期比277.7%)および27億円(前期比
-)となりました。なお、営業利益海外比率は60.2%(前期は47.1%)となりました。
④ 営業外収益(費用)
営業外収支差は、前期を12億円上回り82億円のプラス(前期は69億円のプラス)となりました。持分法
による投資利益および為替差益が増加したことが主な理由です。
⑤ 経常利益
経常利益は前期を140億円上回り、過去最高の828億円(前期比120.4%)となりました。
⑥ 特別利益
特別利益は前期の86億円に対し、当期は128億円となりました。当期において計上した主なものは、国内
の一部の連結子会社にかかる退職給付制度終了益92億円になります。
⑦ 特別損失
特別損失は前期の48億円に対し、当期は166億円になりました。当期において計上した主なものは、のれ
んや在外子会社の工場設備を中心とした減損損失104億円(前期は6億円)であり、減損処理した主なもの
は、アモイ・フード・グループののれんについて28億円、欧州の連結子会社のうま味調味料等の製造設備につ
いて59億円、製薬カスタムサービス事業関連製造設備について12億円になります。
⑧ 当期純利益
当期純利益は前期を43億円上回り、464億円(前期比110.3%)となり、1株当たり当期純利益は
78円54銭(前期は68円67銭)となりました。
(3)当連結会計年度の連結財政状態の分析
当期末の総資産は、前期末の1兆931億円に対して1,619億円増加し、1兆2,550億円となりました。これは主として、当社の連結子会社である味の素ノースアメリカ社が平成26年11月5日に全持分を取得したウィンザー社を第3四半期末より連結したことによるものです。また、円安により在外子会社の連結貸借対照表の円貨への換算額が増加しています。
負債合計は、前期末の4,376億円に対して739億円増加し、5,116億円となりました。これは主にウィンザー社取得に伴い短期借入金が増加したことによるものです。有利子負債残高は、前期末に対して686億円増加し、2,115億円となりました。
純資産は、円安により為替換算調整勘定および利益剰余金が増加し、前期末に対して879億円増加しました。純資産から少数株主持分を引いた自己資本は、6,695億円となり、自己資本比率は53.3%となりました。
(4)当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,092億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1,403億円の支出、および財務活動によるキャッシュ・フローは528億円の収入となり、換算差額等を調整すると、現金及び現金同等物の残高は351億円増加しました。
(5)当連結会計年度の資金の流動性および資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えています。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス、および長期と短期の資金調達のバランスを見ながら、運転資金、およびウィンザー社の持分取得に関し、金融機関からの借入等の資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、事業資金およびウィンザー社の全持分取得のための資金に充当しました。