(1)業績
当期における世界経済は、米国では緩やかな景気回復傾向にあり、欧州では景気は持ち直しの兆しがみられるものの、新興国における経済成長の鈍化の影響もあり、全体として弱い回復となりました。
わが国経済は、長引く円高が是正され、個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかながら回復しつつあります。食品業界におきましては、食品原料の価格が依然として高い水準にあるものの、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響がみられました。
このような環境下にありまして、味の素グループは、平成23年からの3年間を「確かなグローバルカンパニー」
となるための基盤作りの期間と位置づけ、「グローバル成長」、「R&Dのリーダーシップ」という二つのドライバ
ーが導く成長と、「量から付加価値へ」、「利益からキャッシュへ」、「資本効率視点を高め、株主価値の向上へ」
の三つの事業構造強化策に着実に取り組んできました。
以上の結果、当期の連結売上高は、前第2四半期連結累計期間まで計上されていたカルピス株式会社(以下、カルピス社)製品の売上げがなくなったことに加え、第2四半期連結会計期間から持分法適用会社であるエイワイファーマ株式会社(以下、エイワイファーマ社)に輸液・透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなった影響があるものの、円安の影響もあり、前期を63億円上回る9,913億円(前期比100.6%)となりました。当期の営業利益は、飼料用アミノ酸事業の減益に加えて、カルピス社製品の影響等により、前期を86億円下回る625億円(前期比87.8%)となり、同経常利益は前期を76億円下回る695億円(前期比90.1%)、同当期純利益は前期を55億円下回る427億円(前年比88.5%)となりました。
なお、概ね、平成26年2月14日付「平成26年3月期 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表した通期連結業績予想数値どおりの結果となりました。
当期のセグメント別の概況
|
|
売上高 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
営業利益 (億円) |
前期増減 (億円) |
前期比 |
||
|
国内食品 |
3,375 |
△540 |
86.2 |
% |
274 |
△52 |
84.0 |
% |
|
海外食品 |
2,932 |
478 |
119.5 |
% |
252 |
45 |
121.9 |
% |
|
バイオ・ファイン |
2,285 |
243 |
111.9 |
% |
65 |
△78 |
45.4 |
% |
|
医薬 |
512 |
△202 |
71.7 |
% |
38 |
6 |
120.3 |
% |
|
その他 |
808 |
84 |
111.7 |
% |
△4 |
△8 |
- |
|
|
合計 |
9,913 |
63 |
100.6 |
% |
625 |
△86 |
87.8 |
% |
(注)1.平成24年10月1日にカルピス社の株式を譲渡したことに伴い、前第3四半期連結会計期間(平成24年10月1日~平成24年12月31日)から同社を連結の範囲から除外しておりますが、前期の国内食品セグメントには同社の業績が含まれております。
(注)2.国内外の食品加工業向け「アクティバ®」類、天然系調味料および冷凍食品は、国内食品セグメントに区分されております。
(注)3.第1四半期連結会計期間より、バイオ・ファインセグメントの「医薬中間体」を「製薬カスタムサービス」に名称を変更しております。
(注)4.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要」をご参照ください。
① 国内食品セグメント
国内食品セグメントの売上高は、前第2四半期連結累計期間まで計上されていたカルピス社製品の売上げがなくなった影響等のため、前期を540億円下回る3,375億円(前期比86.2%)となり、営業利益は、前期を52億円下回る274億円(前期比84.0%)となりました。
なお、カルピス社製品の影響を除くと、売上高は、家庭用の調味料・加工食品や冷凍食品の売上げが伸びたことに加え、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響等もあり、前期を53億円上回る3,375億円(前期比 101.6%)となりましたが、営業利益は、原材料等の仕入価格の上昇に伴うコスト増等により、前期を4億円下回る274億円(前期比98.3%)となりました。
<調味料・加工食品>
家庭用は、テレビ広告と連動した販促活動を展開した「ほんだし®」や中華合わせ調味料「Cook Do®(クックド
ゥ)」の売上げが拡大しました。また、キューブ状の鍋用調味料「鍋キューブ®」の売上げが前期を大きく上回り、
チューブタイプのペースト中華調味料「Cook Do®(クックドゥ)」香味ペーストや和風・洋風の合わせ調味料
「Cook Do®(クックドゥ)きょうの大皿」、マヨネーズ類も売上げが前期を上回りましたが、ギフト類の売上げが
前期を大幅に下回ったため、全体としては減収となりました。
業務用は、外食用製品は、米・肉等素材の食感を向上させたり、コクを引き出したりする機能型食品の売上げの
伸長はあったものの、チルドサラダ等の販売が減少したこと等により、売上げは前期を下回りました。食品用酵素
製剤「アクティバ®」および天然系調味料は、為替の影響に加え、海外の販売が好調に推移したことにより、前期の
売上げを上回り、全体としては増収となりました。
以上の結果、全体としては減収となりました。
<冷凍食品>
家庭用は、テレビ広告と連動した販促活動を展開した「ギョーザ」や「洋食亭®」ハンバーグシリーズの売上げが
前期を上回りましたが、「やわらか若鶏から揚げ」等が伸び悩み、前期並みの売上げとなりました。
業務用は、国内大手需要家への販売が増加し、増収となりました。
海外では、北米において冷凍米飯および焼きそば等の冷凍麺が大幅な増収となりました。
以上の結果、全体としては増収となりました。
② 海外食品セグメント
海外食品セグメントの売上高は、為替の影響に加え、コンシューマーフーズが現地通貨ベースでも増収となり、前期を478億円上回る2,932億円(前期比119.5%)となりました。営業利益も、加工用うま味調味料の販売価格低下等の影響はあったものの、為替の影響、コンシューマーフーズの増収等により、前期を45億円上回る252億円(前期比121.9%)となりました。
<コンシューマーフーズ>
アジアでは、ベトナムやインドネシア、フィリピンにおけるうま味調味料「味の素®」、タイにおける風味調味料
「RosDee®(ロッディー)」、インドネシアにおける風味調味料「Masako®(マサコ)」、ベトナムにおける風味調味
料「Aji-ngon®(アジゴン)」、および即席麺の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回り、大幅な増収となり
ました。
米州では、ブラジルにおける風味調味料「Sazón®(サゾン)」等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回った
ことにより、大幅な増収となりました。
欧州・アフリカでは、ポーランドにおける即席麺等の現地通貨ベースでの売上げが前期を上回ったことにより、
大幅な増収となりました。
以上の結果、全体として大幅な増収となりました。
<加工用うま味調味料>
国内では、食品加工業向け「味の素®」および核酸の販売価格が低下したため、減収となりました。
海外では、競合会社の増産に伴い、食品加工業向け「味の素®」および核酸の販売価格が低下したものの、食品加
工業向け「味の素®」の販売数量が増加したことにより、増収となりました。
以上の結果、全体としては増収となりました。
③ バイオ・ファインセグメント
バイオ・ファインセグメントの売上高は、為替の影響に加え、第1四半期連結会計期間から連結子会社となった味の素アルテア社の売上げが加わり、医薬用・食品用アミノ酸や化成品の売上げも伸び、前期を243億円上回る2,285億円(前期比111.9%)となりました。営業利益は、医薬用・食品用アミノ酸や化成品の売上げが伸長したことにより増益となったものの、飼料用アミノ酸が販売価格の下落の影響を受けて大幅な減益となり、前期を78億円下回る65億円(前期比45.4%)となりました。
<飼料用アミノ酸>
スレオニンおよびトリプトファンは、販売価格が前期を下回ったものの販売数量が増加し、大幅な増収となりましたが、リジンは、販売価格が前期を大幅に下回り、販売数量も前期を下回って減収となったため、全体の売上げは、前期並みとなりました。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸は、国内・海外ともに大幅な増収となりました。
甘味料は、南米におけるアスパルテームを使用した粉末ジュース「Refresco MID®(リフレスコ ミッド)」の現
地通貨ベースでの売上げが増加したこと等を受けて増収となりました。
医薬品原薬・中間体の製造開発受託事業を行う製薬カスタムサービスは、味の素アルテア社の売上げが加わり、
大幅な増収となりました。
以上の結果、全体としては大幅な増収となりました。
<化成品>
コンピュータ用の層間絶縁フィルムは、高付加価値品等の売上げが大きく伸長し、大手需要家向けの化粧品原料
の売上げも前期を上回り、大幅な増収となりました。
④ 医薬セグメント
医薬セグメントの売上高は、第2四半期連結会計期間から持分法適用会社であるエイワイファーマ社に輸液・
透析事業を移管し、当該事業の売上げがなくなったこと等により、前期を202億円下回る512億円(前期比
71.7%)となりました。営業利益は、売上高の減少があったものの、輸液・透析事業のエイワイファーマ社
への移管等による事業構造強化の結果、前期を6億円上回る38億円(前期比120.3%)となりました。
自社販売品は、平成24年7月から販売を開始した胃炎・潰瘍治療剤「マーズレン®」および平成25年6月から
販売を開始した経口腸管洗浄剤「モビプレップ®」の貢献等があったものの、輸液・透析事業の売上げがなくなった
こともあり、大幅な減収となりました。
提携販売品は、競合品の影響により、糖尿病治療薬「ファスティック®」等のナテグリニド類の売上げが前期
を大きく下回り、骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」等のリセドロネート類の売上げも前期を下回り、減収となり
ました。
⑤ その他
その他の事業の売上高は、前期を84億円上回る808億円(前期比111.7%)となり、物流事業の採算の低下等により、全体としては前期を8億円下回る4億円の営業損失となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期の連結キャッシュ・フローの状況
|
(億円) |
|
|
平成25年3月期 |
平成26年3月期 |
差額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
885 |
630 |
△254 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
152 |
△634 |
△786 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△744 |
△552 |
191 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
88 |
9 |
△78 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
381 |
△547 |
△928 |
|
連結の範囲の変更による増加額 |
- |
0 |
0 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,847 |
1,300 |
△547 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、630億円の収入(前期は885億円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益が733億円、減価償却費457億円でした。平成24年10月にカルピス社の株式を譲渡したこと等により法人税等の支払額が402億円となり、前期より大幅に増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、634億円の支出(前期は152億円の収入)となりました。有形固定資産の取得に加え、アルテア・テクノロジーズ社(以下、アルテア社)の株式取得による支出がありました。一方、前期はカルピス社株式売却収入がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得等もあり552億円の支出(前期は774億円の支出)となりました。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期に比べ547億円減少し1,300億円となりました。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については「1 業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
<2014-2016 中期経営計画の推進>
味の素グループは、2014-2016中期経営計画において、「スペシャリティ」の追求による「更なる事業構造強化」と「成長ドライバーの展開」に取組んでまいります。当社独自の技術と、顧客機会を発見し価値を創造する力の融合から生み出す高い付加価値である「スペシャリティ」の追求を計画推進の鍵として、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」を目指してまいります。すなわち、グローバル成長とR&Dのリーダーシップにより「成長ドライバーの展開」とバルク事業のスペシャリティ化と資本効率の更なる向上を軸とした「更なる事業構造強化」を追求するとともに、土台となる「経営基盤の進化」にも取り組みます。
「成長ドライバーの展開」
① グローバル成長
日本においては、個別化・多様化するお客様向けに価値を創造し続け、安定成長を実現します。海外においては、既に強い事業基盤があるタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジルを中核に据え、中東、アフリカ等の開拓も合わせ、中間所得層の拡大や食生活・流通の近代化を事業機会ととらえ飛躍的な成長を目指します。
② R&Dのリーダーシップ
「世界一の調味料技術」により「おいしさ」の解明と設計をさらに深化させ、より多くの消費者に届けるとともに、「独自の先端バイオ」の技術を活かし、高機能バイオ新素材の開発や低資源利用発酵の推進、再生医療向け培地やアミノインデックス技術による診断事業等につなげ、成長を牽引していきます。
「更なる事業構造強化」
① スペシャリティ化
構造に課題の残る事業について、事業の付加価値を高める「スペシャリティ化」をすすめます。具体的には、バルク事業では、飼料用アミノ酸事業における乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材の割合を高め、加工用うま味調味料事業における呈味物質および甘味料事業における超高甘味甘味料を新規に創出するとともに、これらを活用したリテール製品比率を高めていきます。医薬事業では、積極的な外部連携により、消化器系疾患の領域等においてパイプラインを強化します。加えて、低資源利用発酵等によるコスト競争力の強化を図ります。
② 資本効率の更なる向上
事業ごとのバリューチェーンについて、外部委託を柔軟に活用する一方、重要なものを内製化し、付加価値の高いものに注力することで資産効率を高め、また、需要に応じてグローバルに最適な供給体制を構築することで、ROE(株主資本利益率)や株主価値の更なる向上を目指します。
「経営基盤の進化」
海外での飛躍的成長を実現するため、海外地域本部への権限委譲を拡大するとともに適切なモニタリング機能を構築し、機動力と効率性を備えたガバナンス体制を確立します。また、次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいります。さらに、既存製品や事業のリソースをもとに隣接領域での新しい事業機会の創造を、柔軟に外部の力を活用し、飛躍的成長のために積極的に進めていきます。
<21世紀の人類の課題に対する事業を通じた貢献の推進>
味の素グループは、うま味を通じて粗食をおいしくし、国民の栄養を改善するという創業時の志を受け継ぎ、「地球持続性」、「食資源の確保」、「健康な生活」という21世紀の人類の課題に対して、事業を通じた貢献をASV(味の素グループ・シェアド・バリュー)として果たしてまいります。地域の食文化に適合したおいしさの実現を通じた健康づくりへの貢献や、開発途上国での栄養改善プロジェクトを進めるほか、バイオサイクル技術による循環型生産モデルの実現と低資源発酵技術で、生産活動における食資源使用量の削減にも取り組んでまいります。また、東日本大震災被災地における食と栄養をサポートする被災地支援を、復興の足どりが確かなものになるまで継続します。
当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 為替変動の影響
当社グループは、グローバルな生産供給体制の確立と強化を図っており、日本を含め全世界で26の国・地域に拠点を持ち、そのうち21の国・地域の120工場で生産活動を展開し、海外の比重が高くなっています。
前連結会計年度および当連結会計年度において、日本以外の地域(アジア、米州および欧州)での外部顧客に対する売上高は4,075億円および4,772億円(連結売上高に占める割合は41.4%および 48.1%)、営業利益は368億円および293億円(連結営業利益に占める割合は51.8%および 47.0%)でありました。当社グループでは、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、その業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。
(2) 製品市況の変動の影響
当社グループがバイオ・ファイン事業において取り扱っている飼料用アミノ酸は、穀物市況と飼料用アミノ酸の需給動向によって販売価格が変動する傾向があります。当社グループでは、複数の種類のアミノ酸(リジン、スレオニンおよびトリプトファン等)を取り扱うことでリスクの低減・分散を図るとともに、アミノ酸の発酵生産技術に関するコストダウンを通じて収益性の安定と向上を図ることを目指していますが、穀物市況の変動の影響および飼料用アミノ酸の需給動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(3) 事業展開地域の天変地異や社会的な制度等の影響
当社グループは、日本国内での事業展開はもとより、海外市場の開拓を積極的に進めております。これらの事業展開地域においては、次のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 不利な影響を及ぼす租税制度の変更等の予期しない諸規制の設定または改廃
② 予期しない不利な経済的または政治的要因の発生
③ テロ、紛争等の発生、感染性疾病の流行等による社会的混乱
④ 地震等の天変地異の発生
⑤ 大規模停電等による中断事象の発生
(4) 法的規制等の影響
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますので、国内外において、食品衛生、薬事、環境・リサイクル、事業・投資の許可、輸出入、外国為替管理、および種々の税金にかかわる法の規制等の適用を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しております。しかしながら、将来において、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、また法解釈の多様性によるリスクにさらされる可能性もあります。これらの法的規制等に係る指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 食の安全性に影響を与える事項
当社グループは、独自の厳しい品質保証システムを一層強化するとともに、グループ横断の品質監査の実施、トレーサビリティシステム(商品の生産、加工、流通等の各段階における情報を追跡するためのシステム)の構築に注力する等、全事業の存立基盤となる「安心と安全」を確保するため、万全の体制で臨んでおります。
とりわけ、昨今日本で発生した食の安全に関する事件を受けて、グループの食の安全体制の一層の強化を図っております。
その一方で、社会全般にわたる新たな品質問題等、上記の取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 訴訟等の影響
当社グループは、日本国内外で訴訟等の事件に関わっています。また、多くの国で多岐にわたる事業を展開している関係から、新たに不測の訴訟や請求等を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合には、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
(7) 原材料価格変動の影響
当社グループの使用する主要な原材料ならびに重油等のエネルギー原料には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作やエタノール需要拡大による穀物価格の上昇などに加えて、これらが投機的取引の対象となることもあり、従来に比べて原材料価格変動要因が増加してきております。これら原材料の価格が高騰した場合には製造コストの上昇につながり、この上昇が新技術導入や各種革新活動等によるコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報の漏洩等の影響
当社グループは、通信販売や販促キャンペーン等により多くのお客様の個人情報を保持しております。当社グループは、これらの個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、「味の素グループ情報セキュリティポリシー」を定め、「情報取扱ガイドブック」の社内配布や研修等を実施することにより、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピューターウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 得意先の経営破綻
当社グループは、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しておりますが、今後海外を含め予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 繰延税金資産等
当社グループでは、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社グループの財政状態および業績に影響を与える可能性があります。
技術援助を与える契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
ササ・インティ社 |
インド ネシア |
グルタミン酸ソーダおよびその関連製品のインドネシア国内における非独占的製造権(技術援助を伴う)および販売権の許諾 |
左記製品 販売高の 一定率 |
1988年12月1日から10年間。以後10年毎自動更新 |
技術援助を受ける契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ クノール食品㈱ |
コノプコ社 |
アメリカ |
日本国内におけるスープ、ブイヨンその他の食品に係る独占的商標使用権の許諾 |
左記製品 販売高の 一定率 |
対象商標が日本で有効に登録されている限り |
販売援助、経営援助契約等
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
味の素ゼネラルフーヅ㈱ |
日本 |
味の素ゼネラルフーヅ㈱のコーヒー等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 |
1973年7月30日締結 (注)1 |
|
味の素㈱ |
日本ケロッグ(同) |
日本 |
ケロッグ社グループの穀類調整食品等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 販売高の 一定率 |
2004年4月1日から10年間 (注)2 |
(注)1.味の素ゼネラルフーヅ㈱とのコーヒー等の総発売元契約は、当社とクラフトフーヅホールディングスシンガポ
ール社の合弁事業契約の存続期間中、存続するものとしております。
(注)2.日本ケロッグ(同)との穀類調整食品等の総発売元契約については、2014年4月1日付で以下の契約を締結して
います。
|
契約会社名 |
契約締結先 |
国名 |
契約内容 |
対価 |
契約期間 |
|
味の素㈱ |
日本ケロッグ(同) |
日本 |
ケロッグ社グループの穀類調整食品等の総発売元としての、日本国内における同商品の販売 |
左記製品 販売高の 一定率 |
2014年4月1日から3年間。以後3年毎自動更新 |
アルテア・テクノロジーズ社株式の取得
当社は、平成25年4月4日付で米国のバイオ医薬品の製法開発・製造受託会社であるアルテア・テクノロジーズ社の全株式を取得し、同日付で同社の商号を味の素アルテア社に変更いたしました。詳しくは、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 (企業結合等関係)」の記載内容をご参照ください。
味の素グループは「グローバル健康貢献企業グループ」を目指し、人類の課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現に向けて、事業を通じて貢献していきます。2014-2016中期経営計画では、高い付加価値を生み出す「スペシャリティ化」の推進によって安定的利益成長を実現させ、グローバル食品企業トップ10を目指すことを目標に掲げています。
高い付加価値をもつ事業を生み出すため、「R&Dのリーダーシップ」を成長ドライバーに位置づけ、高い成長が見込まれる「世界一の調味料技術」と「独自の先端バイオ」技術が活かせる領域に研究開発における経営資源を重点的に投資します。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープンイノベーションを積極的に活用します。
当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は31,962百万円であります。
また、当社が保有している特許は国内外あわせて約4,550件であります。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりであります。
(1) 国内食品セグメント
味の素㈱の食品研究所が中心となり、味覚、嗅覚、食感など、「おいしさを構成する全ての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、およびそのアプリケーション開発を行っています。少子高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場における潜在ニーズまでを掘り起し、当社独自の素材と技術および斬新な発想による価値提案型の新商品開発に取り組んでいます。
食品研究所は、クノール食品㈱開発工業化センターや上海味の素食品研究開発センター社、味の素冷凍食品㈱をはじめ各グループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。
<調味料・加工食品>
2013年度の家庭用商品は、拡大するメニュー用調味料市場を更に活性化させるべく大人がより満足できる香りと辛さが特長の「Cook Do® 」四川式回鍋肉用と常備素材で手軽に美味しく作れる「Cook Do®きょうの大皿®」豚バラ茄子用、肉みそキャベツ用を発売しました。鍋つゆ市場向けに、「鍋キューブ®」ブランドから、<濃厚白湯>を開発、追加発売しました。洋風インスタントスープ市場へは、「カップスープ」ブランドから新たな価値を提供すべく、食べごたえがあり、ちょっと豪華なポタージュ「クノール®カップスープ」(ベーコンとポテトがたっぷりのポタージュ、4種のチーズのとろ~り濃厚ポタージュ)を発売しました。
また、新たな製品領域へのチャレンジとして、働く女性の声を生かした「Toss Sala®」を首都圏で先行発売しました。野菜に加えて混ぜるだけで、見栄えや食感もよいサラダに仕上がるよう、彩り・食感の良いトッピングと当社独自技術を活用した香りの良いシーズニングを配合しました。
業務用では、介護施設をメインターゲットとした、「献立さん®」ブランドを立ち上げ、当社の減塩技術を活用した「かつおだし塩分ひかえめ」「鶏がらスープ塩分ひかえめ」「コンソメ塩分ひかえめ」、独自素材を活用し肉の軟化機能を高めた「やわらかアップ お肉用」を発売しました。また、当社独自原料やグループ会社の強みを生かした原料を使用し、野菜に合わせるだけで、手軽においしい野菜用のメニューを広げることができる調味料として「ベジクック」(「香るバジル」、「チーズ&ペッパー」「スモーク&ガーリック」)を発売しました。「豊漁®だし匠®」では、節類を最適なバランスで配合し、こんぶ風味を効かせる改訂をしました。また、枕崎産のかつお節に限定し、自家抽出に近い豊かな風味と味わいのだしを安定した品質でとることができるだしパック「本造りだしパック鰹匠」を発売しました。
加工需要家向け調味料では、国内向けに、当社独自のかつお節素材と呈味再構成技術を活用した粉体かつお節調味料「調味ベースどっしり鰹だし」、当社独自技術を利用しエビ加工品向けに食感改良(線維感付与)と色調の維持に寄与する新製品「アクティバ®」スーパーシュリンプを発売しました。
ベーカリー製品につきましては、国内向けには、デニッシュの品質を改善するリタード製法やパンの風味を高める低温熟成法など、新たな製法を導入し、品質の高いパンの新製品を順次、上市しています。海外向けには、ブレッドトーク社と合弁で上海に設立した上海アイペーパン社において、設備を増強し、増産対応を行ったことと併せ、中国市場向け商品開発を継続的に行い、事業の拡大に貢献しました。
<冷凍食品>
家庭用では食卓での利用拡大を目指し、<シェフ仕込み>製法による「洋食亭®」ハンバーグシリーズ、タイの品質の良い鶏肉、豚肉、卵を使用し、とろっとふわっとに仕上げる玉子技術を用いた「親子丼の具」、「かつ丼の具」を開発しました。業務用では惣菜市場での拡大を目指し、調理後温め直してもおいしい「ジューシー肉餃子」や時間が経ってもサクッとした軽い食感が楽しめる「粉吹き鶏もも竜田揚げ」を開発しました。
国内食品セグメントに係わる研究開発費は、2,932百万円であります。
(2) 海外食品セグメント
世界一の調味料のリーディングカンパニーとして「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、および加工食品の開発に継続的に取り組みました。
東南アジア、中南米、中国、アフリカといった新興国における需要拡大に対応するため、風味調味料では、ベトナムの「Aji-ngon®」、フィリピン「GINISA」、ペルー「Dona Gusta®」で、製品改訂を行いました。
メニュー用調味料は、その国で食されているメニューが美味しく簡便に作ることができる調味料として、タイの「RosDee®Menu」、ベトナムの「Aji-Quick®」、フィリピン「CRISPY FRY®」、インド「Hapima」で新品種追加を行い、液体調味料ではブラジルでメニュー用醤油「Satis!」2品種(肉調理用、サラダ用)、アメリカでメインストリーム向けのチルドドレッシングとして「Roy Yamaguchi® Dressing」を発売しました。即席麺では、タイ、ペルー、ポーランドで新品種の追加を行いました。飲料では、タイのノンケー工場の生産能力を増強し、内製化比率を上げました。粉末飲料では、タイの「Birdy® 3in1」で当社独自の素材を使用した製品改訂を行い、また、ベトナムにおいても「Birdy® 3in1」コーヒー、ミルクティー2品種を新発売し、市場開拓を進めています。また、スープにおいては、ブラジル、台湾において新品種発売、製品改訂を行うなどにより、事業構造強化を進めました。
また、うま味調味料「味の素®」および核酸系調味料の基盤研究の推進と共に、各国工場での生産技術の一層強化に向けた、地球資源の効率的利用・環境負荷低減・人類の食資源を極力使用しない低資源利用発酵技術として、① 主原料を大幅に削減する技術、② 副原料や廃水及び副生物を大幅に削減する技術、そして③ 原燃料自製化技術の開発や工業化を推進し、工場への導入拡大を行いました。また、発酵プロセスで発生する副生物を有効利用する製品・技術開発も継続して推進しました。
海外食品セグメントに係わる研究開発費は、2,827百万円であります。
(3) バイオ・ファインセグメント
味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、「先端バイオ関連」領域および、飼料用アミノ酸、医薬・食品用途のアミノ酸、医薬中間体、甘味料、香粧品・電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティを発揮するため、再生医療に用いるiPS細胞など幹細胞用の培地「StemFit®」、乳牛用リジン製剤「AjiPro®-L」をはじめとする新製品を開発し、事業領域の拡大を図っています。一方、主力となる素材事業では、継続的に抜本的な新製法を導入し、更に収益を上げるための構造改革に取り組んでいます。さらなる顧客価値の創造のため、味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社およびその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。
<飼料用アミノ酸>
グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて発酵技術に関する基盤研究の一層の推進、非可食原料利用を含めた低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターと共に工業化を加速させ、各海外工場への導入も推進しました。
また乳牛用リジン「AjiPro®-L」の製品能力(有効性)を更に高める開発を継続しました。
<アミノ酸>
医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を進めました。また、中国上海での医薬用アミノ酸精製工場の増強工事が完了し、生産を開始したほか、動物細胞培養用の培地の事業展開のため、韓国に設置した味の素ジェネクシン社での医薬、医療用培地の生産工場の建設を進めています。
甘味料につきましては、味覚素材ポートフォリオの拡充と甘味料事業の強化のため、新規甘味料「アドバンテーム」について、食品添加物承認申請の対応を継続して行いました。
医薬中間体につきましては、製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸、ならびにペプチドの新規合成技術の開発を進めています。またタンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。
<化成品>
香粧品につきましては、アミノ酸系香粧品原料の継続的な研究に取り組み、アミノ酸系洗浄剤、湿潤剤、効能素材の開発を進めました。2013年度はグローバルな需要拡大に対応するために、インドネシアでの洗浄剤の生産を開始、またブラジルでの湿潤剤の生産品種を拡大、コラーゲンに多く含まれるアミノ酸であるL-プロリン系の湿潤剤の生産、販売を開始しました。
電子材料につきましては、引き続き、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPUパッケージ用の新規絶縁材料の開発やそれらの用途開発に注力しました。成長の著しいスマートフォン・タブレット市場に対応した研究開発も進めています。また絶縁フィルムでの知見を活かし、次世代型のディスプレイや照明等への利用に向けた有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)関連材料の研究開発に取り組みました。
<バイオ・ファインその他>
ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸やその発酵製造の過程で得られる発酵液の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」に引き続き、2013年度は「グルハート®」「アジフォル® アミノガード®544」の開発を行いました。核酸、アミノ酸の組み合わせによる新たな効果も確認されつつあります。海外でもこれらの高付加価値肥料を展開していきます。また、アミノ酸を徐放することで藻類の成長を促進させ、水域環境を活性化する機能をもつ“環境活性コンクリート”の事業開発を進めています。
バイオ・ファインセグメントに係わる研究開発費は、7,599百万円であります。
(4) 医薬セグメント
味の素製薬㈱は、特に消化器疾患領域において、アミノ酸研究の応用から生まれた医薬品を主体にユニークな製品を提供しています。消化器疾患領域における新薬開発、医療現場のニーズを見据えた既存製品のLCM(Life Cycle Management)研究開発を行い、味の素グループならではの薬づくりにより、事業を通じて社会的価値を創造するスペシャリティファーマを目指します。
スローガンである「ひとを見つめる創薬」には、患者さんや医療関係者一人ひとりの立場に立った目線で、新薬を開発・生産し、医療現場に一日でも早く届けたいという想いが込められています。
消化器疾患領域に重点を置き、特に炎症性腸疾患(IBD)を中心に、グローバルに展開できる、特徴ある新薬の創出を目指しています。同時に、関連領域における価値創造の強化をはかり、開発品導入、共同研究開発推進のために経営資源を投入しています。
消化器疾患領域では、2013年6月に新規経口腸管洗浄剤「モビプレップ®配合内用剤」を、同7月に分岐鎖アミノ酸製剤「リーバクト®配合経口ゼリー」を発売しました。開発パイプラインについては、2013年11月にα4インテグリン阻害剤AJM300が、潰瘍性大腸炎を対象とした臨床前期第2相試験において偽薬群に対し有意に高い改善率を示しました。
代謝性疾患関連製品については積極的なLCM研究を進め、持続性カルシウム拮抗降圧剤「アテレック®」に関連しては、2013年12月に20mg錠を発売し、2014年3月にはバルサルタンとの配合剤である「アテディオ®配合錠」(開発コード:AJH801)の国内製造販売承認を得ました。速効型食後血糖降下剤「ファスティック®錠」についてはDPP-4阻害剤との併用試験を実施中であり、骨粗鬆症治療剤「アクトネル®」に関してもLCM研究を進めています。
医薬セグメントに係わる研究開発費は、8,133百万円であります。
(5) その他事業(健康ケア)
<健康基盤食品・ニュートリションケア>
元気なシニア世代の活動的な生活をサポートする「アミノエール®」を発売しました。同製品は、国内外の研究機関において有用性研究を重ねることにより独自に開発したロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」と、カルシウムと関係が深いビタミンDを配合したサプリメントです。また、「Amino L40」を活かした新製品「アミノケア®ゼリー ロイシン40」を開発し、医療機関や老人介護施設向けに発売しました。
また、辛くないトウガラシに含まれる成分「カプシエイト」の抗肥満作用に関する研究を進めることにより、同成分がエネルギー代謝を制御する褐色脂肪細胞を活性化することを明らかにし、国際肥満学会等の国内外の学会において発表しました。
<スポーツニュートリション>
スポーツ栄養研究成果に基づいて開発した「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® アミノプロテイン」、「アミノバイタル® パーフェクトエネルギー」など3製品を中心に運動時におけるアミノ酸の有効性を検証しました。またソチ五輪日本代表選手団に「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® アミノプロテイン」を提供しメダル獲得を支援しました。
<アミノインデックス®>
「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度から健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニングは、一度の採血で複数のがんの罹患リスクを評価できる検査で、すでに全国800以上の医療機関で受診が可能です。2013年11月には、がんによる血液中のアミノ酸濃度バランスの変化について世界で初めて解明した研究成果を発表しました。
また、神奈川県、横浜市、川崎市が共同で推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」では、「個別化医療・予防医療」分野の取り組みの一つとして「アミノインデックス技術」を活用する検討を進めています。
その他に係わる研究開発費は、717百万円であります。
(6) 全社
味の素㈱イノベーション研究所が中心となり、各事業分野に共通した基盤技術を強化すると共に、先端技術を駆使した新規事業分野・新製品の創出を目的とした研究開発を行っています。
健康な食生活のためにうま味物質グルタミン酸ナトリウムを有効に使いこなす技術について研究と情報発信を続けています。また、食品の好き、嫌いに関わる様々な味や香りとその関係性を詳細に評価・解析する方法を確立し、実際の商品の開発に応用できるまでに改良しました。この結果を世界の様々な嗜好を持つお客様により好まれる商品の提供に活用していきます。さらに「人は味をどのように感じるのか?」について、より基礎的な研究を世界の研究機関と協力して進め、味の仕組みに学んで新しい調味料素材を探し出す研究も進めています。世界の人々のおいしさと健康に貢献できるサイエンスを目指しています。
また、低炭素社会および持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組みました。バイオマスから発酵技術により製造される新しいゴム原料、「発酵イソプレン」を用いたタイヤ用合成ゴムの実用化を目指し、㈱ブリヂストンと共同研究を進めています。発酵技術により製造するリジンに由来するナイロン原料、1,5-ジアミノペンタン及びそれを原料とする“バイオベースナイロン”の開発、事業化を東レ㈱と共同で進めています。吸放湿性が優れることから、着用快適性に優れた衣料品への展開が期待できます。また、経済産業省が所管する高機能遺伝子デザイン技術研究組合に参画し、高機能化微生物による革新的なバイオものづくり技術により、高機能樹脂や繊維といった新材料の開発研究を開始しました。
その他、基盤的生産技術開発として、省エネルギー化をグローバルに展開すると同時に、包装包材開発を通じた省資源や3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動推進等を継続的に展開しています。安全・安心につながる製造技術の開発や、最先端微量分析技術を用いた不純物解析をもとに、医薬品原料の安全性を検証し、製品の安全・安心の向上につなげました。また、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に向け、高次構造に基づく酵素蛋白質の改変技術の開発研究に精力的に取り組みました。
全社に係わる研究開発費は、9,753百万円であります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各種引当金の計上、「固定資産の減損に係る会計基準」における回収可能額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績、または各状況下で合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前期を63億円上回る9,913億円(前期比100.6%)となりました。地域別に見ますと、日本では調味料・加工食品、冷凍食品、化成品およびアミノ酸の売上げは伸長したものの、カルピス社製品の売上げが前第2四半期連結累計期間まで含まれていたこと、輸液・透析事業の移管による医薬の売上げ減少等により前期を634億円下回る5,140億円(前期比89.0%)となりました。海外ではコンシューマーフーズおよびアミノ酸が販売を伸ばし、また為替の影響もあり前期を697億円上回る4,772億円(前期比 117.1%)と大幅な増収となりました。海外の地域別では、アジア、米州および欧州でそれぞれ2,311億円(前期比118.6%)、1,392億円(前期比118.6%)および1,068億円(前期比 112.3%)となりました。
なお、カルピス社製品および輸液・透析事業の影響を除くと、前期を802億円上回る9,913億円(前期比108.8%)となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前期から349億円増加し、6,355億円(前期比105.8%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、為替の影響や飼料用アミノ酸の販売価格の下落および冷凍食品等の原材料等の仕入価格上昇等により3.1ポイント上昇し、64.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前期はカルピス社の販売費及び一般管理費が前第2四半期連結累計期間まで含まれていたこと等により199億円減少し、2,931億円(前期比93.6%)となりました。
③ 営業利益
営業利益は前期を86億円下回る625億円(前期比87.8%)となりました。地域別に見ますと、日本では331億円(前期比96.5%)、海外では293億円(前期比79.7%)となりました。日本において、調味料・加工食品、化成品およびアミノ酸等の貢献はありましたが、冷凍食品の売上原価の増加および前期は第2四半期連結累計期間までカルピス社の営業利益が含まれていたこと等の影響もあり、全体として減益となりました。海外においては、コンシューマーフーズの貢献や為替の影響はあったものの、飼料用アミノ酸の販売価格下落の影響が大きく、全体として大幅な減益となりました。海外の地域別では、アジア、米州および欧州でそれぞれ249億円(前期比113.1%)、42億円(前期比46.1%)および1億円(前期比1.9%)となりました。
④ 営業外収益(費用)
営業外収支差は、前期を10億円上回り69億円のプラス(前期は59億円のプラス)となりました。受取利息および持分法投資利益が増加したことが主な理由です。
⑤ 経常利益
経常利益は前期を76億円下回り、695億円(前期比90.1%)となりました。
⑥ 特別利益
特別利益は前期の491億円に対し、当期は86億円となりました。当期において計上した主なものは固定資産売却益30億円、関係会社株式売却益23億円です。前期には厚生年金基金代行返上益277億円、カルピス社株式売却益175億円を計上しております。
⑦ 特別損失
特別損失は前期の254億円に対し、当期は48億円になりました。当期において計上した主なものは固定資産除却損12億円になります。前期には減損損失145億円を計上しております。
⑧ 当期純利益
当期純利益は前期を55億円下回り、427億円(前期比88.5%)となり、1株当たり当期純利益は69円
70銭(前期は74円35銭)となりました。
(3)当連結会計年度の連結財政状態の分析
当期末の総資産は、前期末の1兆917億円に対して90百万円減少し、1兆916億円となりました。これは主として、円安により在外子会社の貸借対照表の円貨への換算額が増加した一方で、自己株式の取得やアルテア社の全株式の取得等により現金及び預金が減少したことによるものです。
負債合計は、前期末の4,000億円に対して321億円増加し、4,321億円となりました。これは主として、退職給付に関する会計基準等の早期適用により退職給付に係る負債が増加したことによるものです。また有利子負債残高は、前期末に対して236億円増加し、1,429億円となりました。
純資産は、円安により為替換算調整勘定が増加した一方で、自己株式の消却や退職給付に関する会計基準等の早期適用により、前期末に対して322億円減少しました。純資産から少数株主持分を引いた自己資本は、5,989億円となり、自己資本比率は54.9%となりました。
(4)当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは630億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは634億円の支出、および財務活動によるキャッシュ・フローは552億円の支出となり、換算差額を調整すると、現金及び現金同等物の残高は547億円減少しました。
(5)当連結会計年度の資金の流動性および資金の調達、使途
① 資金の流動性について
当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメント・ライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えています。
② 資金の調達
当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス、および長期と短期の資金調達のバランスを見ながら、金融機関からの借入等の資金調達活動を行いました。
③ 資金の使途
当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金に充当しました。