当連結会計年度(以下、当期という)は、新興国の経済は減速傾向がみられたものの、米国や日本をはじめとする先進国経済は回復傾向となり堅調に推移しました。
米国は、量的緩和政策によって住宅市況や個人消費が回復、雇用者数も増加し、また、シェール革命によるエネルギー生産の米国内シフトと価格の安定にも支えられ、景気は緩やかに回復基調となりました。
欧州は、失業率の高止まりなどから個人消費の回復には遅れがみられるものの、金融・財政政策への信頼感の回復から金融市場は安定化に向かい、ドイツが牽引する形で経済成長率はプラスに転じ、緩やかな回復を示しています。
中国は、投資による下支えはあるものの、過去の過剰投資やシャドーバンキングの問題などが顕在化しており、成長率は若干鈍化しています。
アジア新興国は、中国の経済成長の鈍化傾向に加え、国外への資金流出と直接投資の流入鈍化が経常赤字国において通貨安を招いており、輸入インフレや内需減退が懸念されています。
日本は、日銀による大規模金融緩和と財政支出に加え、円安・株高に伴い国内消費が回復し、年度末には消費税増税前の駆け込み需要もあり、経済は堅調に推移しました。
当期の当社グループの業績につきましては下記のとおりであります。
収益は、1兆8,031億4百万円と前期比3.2%の増加となりました。セグメント別は、機械では8.5%、化学では11.0%、生活産業では18.8%、その他では52.3%とそれぞれ前期比増加となりました。一方、エネルギー・金属では前期比20.4%の減少となりました。
売上総利益は、海外肥料事業の増益などによる生活産業での増益、海外自動車事業の増益などによる機械での増益により、前期比109億76百万円増加の1,982億21百万円となりました。
営業活動に係る利益は、売上総利益が増益となったものの、油ガス田及び合金鉄権益の減損や海外自動車関連子会社における為替洗替損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比17億99百万円減少の236億94百万円となりました。
税引前利益は、営業活動に係る利益が減益となったものの、持分法による投資損益の改善などにより前期比159億81百万円増加の440億33百万円となりました。
当期純利益は、税引前利益440億33百万円から、法人所得税費用119億49百万円を控除した結果、320億83百万円となりました。また、当期純利益(当社株主帰属)は前期比138億2百万円増加し、272億50百万円となりました。
当期包括利益は、当期純利益の増益に加え、円安に伴い在外営業活動体の換算差額が増加したことなどにより、前期比267億39百万円増加の884億87百万円となりました。また、当期包括利益(当社株主帰属)は前期比260億50百万円増加の822億21百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<機械>
収益は、海外自動車事業での円安の影響などにより、3,543億40百万円と前期比8.5%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、海外自動車事業が好調であったものの、海外自動車関連子会社における為替洗替損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比14億84百万円減少の22億58百万円の損失となりました。
<エネルギー・金属>
収益は、前期に石油製品の販売子会社を売却した影響などにより、4,683億16百万円と前期比20.4%の減少となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、持分法による投資損益の改善があったものの、油ガス田及び合金鉄権益の減損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比34億50百万円減少の92億76百万円となりました。
<化学>
収益は、アジア向け取引での円安の影響などにより、3,833億56百万円と前期比11.0%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、前期比47億56百万円増加の79億33百万円となりました。
<生活産業>
収益は、飼料原料取引の増加や東南アジアにおける肥料の販売数量増加などにより、5,169億27百万円と前期比18.8%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、持分法による投資損益の改善などにより、前期比101億25百万円増加の174億92百万円となりました。
<その他>
収益は、販売用不動産の売却により、801億63百万円と前期比52.3%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、前期比27億43百万円増加の36億23百万円となりました。
当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは469億97百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは244億69百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは309億31百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は4,206億58百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動による資金は469億97百万円の収入となり、前期比81億27百万円の収入減少となりました。当期は営業債務及びその他の債務の減少などの支出がありましたが、当期純利益などによる収入が支出を上回りました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動による資金は244億69百万円の支出となり、前期比128億17百万円の支出増加となりました。当期は権益や船舶、投資有価証券の売却などの収入がありましたが、農業・穀物集荷事業関連の投資の取得や権益、太陽光発電関連の設備投資などの支出が収入を上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動による資金は309億31百万円の支出となり、前期比252億46百万円の支出減少となりました。当期は借入金による調達や社債の発行などの収入がありましたが、長期借入金の返済や社債の償還などの支出が収入を上回りました。
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異の主な内容及び概算額は、以下のとおりであります。
(収益の表示方法)
日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示しますが、IFRSでは、代理人として関与したと判定される取引については純額で収益を表示します。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の商品の販売に係る収益及び原価がそれぞれ約2兆2,435億円減少しております。
(のれんの償却に関する事項)
のれんについて、日本基準では一定の期間で償却しますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の販売費及び一般管理費が約49億円減少しております。
当期における報告セグメントごとの販売実績(売上高)は以下のとおりであります。
| 前期 (自 2012年4月1日 至 2013年3月31日) | 当期 (自 2013年4月1日 至 2014年3月31日) | 前年度比 | ||
金額(百万円) | 構成比(%) | 金額(百万円) | 構成比(%) | ||
機械 | 941,956 | 23.9 | 988,430 | 24.4 | 4.9 |
エネルギー・金属 | 888,093 | 22.6 | 777,084 | 19.2 | △12.5 |
化学 | 571,345 | 14.5 | 643,805 | 15.9 | 12.7 |
生活産業 | 1,475,868 | 37.5 | 1,554,057 | 38.4 | 5.3 |
その他 | 57,193 | 1.5 | 83,199 | 2.1 | 45.5 |
合計 | 3,934,456 | 100.0 | 4,046,577 | 100.0 | 2.8 |
(注) 1 成約高と売上高の差額は僅少なため、成約高の記載を省略しております。
2 売上高は、日本の総合商社で一般的に用いられる指標であり、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額の合計であります。当該売上高はIFRSに基づく収益と同義ではなく、代替されるものでもありません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先 | 前期 | 当期 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
TSネットワーク㈱ | 645,217 | 16.4 | 620,267 | 15.3 |
4 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
「中期経営計画 2014」の定量目標の達成に向け、当社が徹底して行う施策として資産の質・効率の向上があります。成長のための投資を継続しつつ、保有意義が見出せなくなった事業・資産や既存事業との関係性の薄い事業・資産などを入れ替え、資産の質を改善し、稼ぐ力の強化を進めております。
また、組織・体制につきましては、経営の意思決定のスピード向上による優良資産の構築及び部門の運営基盤の強化を目的に、前期のエネルギー・金属部門に続き、当期は機械、化学、生活産業の3部門にコントローラー室を新設いたしました。全営業部門へのコントローラー室の設置を完了したことにより、環境変化への対応力やリスクマネージ力をさらに高め、将来の成長に向けた収益基盤の構築を進めてまいります。
2015年3月期は「中期経営計画 2014」の最終年度となります。中期経営計画策定時の最終年度の収益計画を下回る見通しとなっておりますが、2015年3月期の通期業績見通しを達成し、成長に向けた施策を着実に実行することにより、当初掲げた目標の早期達成を図ってまいります。
2015年3月期の連結業績見通しは、以下のとおりです。
売上高(注) 4兆2,300億円
営業活動に係る利益 400億円
税引前利益 550億円
当期純利益(当社株主帰属) 330億円
(注)「売上高」は日本の総合商社で一般的に用いられる指標であり、当社グループが当事者として行う
取引額及び当社グループが代理人として関与する取引額の合計となります。
※将来情報に関するご注意
上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。
有価証券報告書に記載しております、事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、目標、一定の前提又は仮定のもとでの予測などであります。
(1)事業上のリスク
当社グループは、総合商社として、物品の売買及び貿易業をはじめとして、国内及び海外における各種製品の製造・販売やサービスの提供、各種プロジェクトの企画・調整、各種事業分野への投資、並びに金融活動などグローバルに多角的な事業を行っております。これらの事業は性質上、様々なリスクにさらされており、当社グループでは、リスクをリスク項目毎に分類・定義した上で、リスクの性質に応じた管理を行っております。さらに、定量的に計測可能なリスク(市場リスク・信用リスク・事業投資リスク・カントリーリスク)に関しては、「統合リスク管理」としてリスクを計量し、算出されたリスクアセット数値に基づくリスク管理を行っております。当社グループは、こうした様々なリスクに対処するため、必要なリスク管理体制を整備し、リスク管理にあたっておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避できるものではありません。
当社グループの事業に関しては、以下のようなリスクがあります。
① マクロ経済環境の変化によるリスク
当社グループは、グローバルにビジネスを展開する総合商社として国内外で事業を展開し、その事業活動は、機械、エネルギー・金属、化学、生活産業などと多岐にわたっております。このため当社グループの業績は、日本及び関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けており、世界的な或いは特定地域における景気減速が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 市場リスク
当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク、並びに上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクにさらされております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや、先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によってミニマイズすることを基本方針としております。
(a)為替リスク
当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、その収益・費用などは主に外国通貨による受払いとして発生する一方、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、外国通貨の対日本円での為替変動リスクにさらされております。この為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外の事業会社からの受取配当金、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。さらに、当社グループは、海外に多くの現地法人・事業会社などを保有しており、財務諸表を日本円に換算する際の為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(b)金利リスク
当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入又は社債発行などを通じて資金調達を行っております。バランスシートの資産・負債より生じる収益・費用に関しては、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(c)商品価格リスク
当社グループは、総合商社として様々な業務分野において多岐にわたる商品を取扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクにさらされております。市況商品については、社内組織単位ごとにポジション(ロング・ショート)限度額とロスカットポイントを設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額がロスカットポイントに抵触した場合、速やかにポジションを解消し、以降の当該年度中の新規取引を禁止するルール)を制定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。在庫商品に関しては適正水準にコントロールするために事業別に月次でモニタリングを行うなどの施策を行っております。
(d)上場有価証券の価格リスク
当社グループは、市場性のある有価証券を保有しており、特に上場株式に関しては保有意義を定期的に確認しておりますが、大幅な株価下落によって当社グループの投資ポートフォリオを毀損し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 信用リスク
当社グループは、多様な商取引により国内外の多数の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。こうしたリスクに対処するために、当社グループは、信用供与を行っている取引先ごとに客観的な手法に基づく11段階の信用格付けを付与すると共に、信用格付けを参考に取引先ごとの取引限度を設定し、信用供与額を取引限度に収めることにより信用リスクをコントロールしております。また、取引先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの保全措置を講じております。さらに、債権査定制度により、当社グループが営業債権を有する取引先の中から一定の基準により査定先を抽出したうえで、その信用状態と当社グループの債権、保全などの状況を点検することで、信用リスクの状況把握と個別貸倒引当金算定の厳格化に努めております。延払・融資・保証行為に伴う信用リスクは、別途、収益性が信用リスクに見合ったものかを定期的に評価し、リスクに見合う収益を生まない取引については、収益性改善又は信用リスク抑制の措置を講じることとしております。
しかしながら、こうした与信管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 事業投資リスク
当社グループは、主要な事業活動のひとつとして様々な事業に対して投資活動を行っておりますが、権益投資等を含む事業投資において投資価値が変動するリスクを負っております。さらに事業投資の多くがもつ流動性の低さなどの理由により、当初意図していた採算で投資を回収できないリスクがあります。
事業投資から発生する損失の予防・抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の審議における厳格なスクリーニング、事後管理、並びに撤退について各々基準を設け、管理を行っております。
新規事業投資案件のスクリーニングでは、キャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を精査し事業性を厳格に評価すると共に、キャッシュ・フロー内部収益率(IRR)のハードルを設定し、リスクに見合った収益が得られる案件を選別できる仕組みを整えております。
既に実行済みの事業投資案件については、問題事業を早期に発見し適切な措置を講じることで損失をミニマイズするために、定期的に事業性を評価するなどプロセス管理を徹底しております。また、事業投資案件の問題点を早期・事前に把握し、撤退・整理損をミニマイズする目的で、撤退条件を設定し、リスクに見合った収益を生まない投資から適時適切に撤退するための意思決定に活用しております。
このように、新規事業投資実行時のスクリーニングの仕組み及び案件の事後管理に係る手続きを整備してはおりますが、期待通りの収益が上がらないリスクや事業活動そのものを計画通りに行えないリスクを完全に回避することは困難であります。当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性や、当該事業のパートナーとの関係など個別の事由により当社が意図したとおりの撤退ができない可能性があり、これらの場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ カントリーリスク
当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取組みでは、貿易保険などを活用し案件ごとにカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。
カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域ごとにカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。
しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画通りの事業活動を行えない可能性や、損失発生の可能性を完全に排除することはできません。特にベネズエラは、インフレの進行やそれに対応する価格統制法の施行に加え、硬直的な為替管理制度による外貨発給の制約や為替レートの変動などが存在するため、これらの法制度の変更、経済環境の著しい変化などにより、当社グループが同国で行っている事業活動を計画通りに行えない場合があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 固定資産に係る減損リスク
当社グループが保有する不動産、機械装置・運搬具、のれん、鉱業権などの固定資産及びリース資産については、減損リスクにさらされております。当社グループでは、対象資産に対し当期末時点において必要な減損処理を行っております。しかしながら、今後価格下落などによりこれらの対象資産の価値が著しく減少した場合、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 資金調達に係るリスク
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行などにより調達しております。このため金融システム・金融資本市場の混乱や、格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 環境に係るリスク
当社グループは、地球環境への配慮を経営上の重要な課題の一つと認識しており、環境方針を制定し、環境関連諸法規などを遵守、新規投融資案件や開発プロジェクト案件について環境リスクを把握し、対策を講じるなど、積極的に環境問題に取り組んでおります。しかしこのような取組みを行った上でも、事業活動によって環境に影響を与える、もしくは環境保護団体などからの反対を受ける可能性があり、その場合にプロジェクトの停止、汚染除去・浄化費用の支出、訴訟費用の負担などが発生する可能性があります。
⑨ コンプライアンスリスク
当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職等腐敗行為防止のための諸法令、独占禁止法、外為法を含む貿易関連諸法や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを策定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全体のコンプライアンスの徹底及び指導を図っております。しかしながら、このような取組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 訴訟等に関するリスク
営業活動に関連して、当社グループが国内又は海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告又は当事者となることがあります。訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することはできませんが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 情報システム・情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、社内委員会などを中心とした管理体制を構築しております。また、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止、ウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。
このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、未知のコンピュータウイルスの発生や、コンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩又は毀損、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。その場合に被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 自然災害リスク
地震、風水害などの自然災害により事務所・設備・社員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的又は間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアルの作成、防災訓練、社員安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)「中期経営計画 2014」に関するリスク
「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループは、2014年度を最終年度とする「中期経営計画 2014」を策定しております。しかしながら、2014年度の業績見通しは「中期経営計画 2014」の最終年度の収益計画を下回る見通しとしております。また、「中期経営計画 2014」のその他の目標につきましても、当社グループの努力にもかかわらず、目標に向けた諸施策が計画したとおり進まない可能性や期待される成果の実現に至らない可能性もあります。
特記事項はありません。
特記事項はありません。
当社における重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」をご参照下さい。
「中期経営計画 2014」~Change for Challenge~の2年目となる当期は、新興国の経済に減速傾向がみられたものの、米国や日本をはじめとする先進国経済は回復傾向にあり、堅調に推移しました。当社グループの業績についても、東南アジアにおける肥料取引が堅調であったことなどにより、売上総利益は前期比110億円増加の1,982億円となりました。また、当期純利益(当社株主帰属)については、油ガス田および合金鉄権益の減損や海外自動車関連子会社における為替洗替損などがあったものの、バイオエタノール生産会社を連結除外した影響に伴う持分法による投資損益の改善などにより、前期比139億円増加し、273億円となりました。
当期の経営成績を分析しますと、次のとおりであります。
収益は、1兆8,031億円と前期比3.2%の増加となりました。セグメント別では、機械では8.5%、化学では11.0%、生活産業では18.8%、その他では52.3%とそれぞれ前期比増加となりました。エネルギー・金属では前期比20.4%の減少となりました。
海外肥料事業の増益などによる生活産業での増益、海外自動車事業の増益などによる機械での増益により、前期比110億円増加の1,982億円となりました。
売上総利益が増益となったものの、油ガス田及び合金鉄権益の減損や海外自動車関連子会社における為替洗替損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比18億円減少の237億円となりました。
営業活動に係る利益が減益となったものの、持分法による投資損益の改善などにより前期比159億円増加の440億円となりました。
税引前利益440億円から、法人所得税費用119億円を控除した結果、当期純利益は321億円となりました。また、当期純利益(当社株主帰属)は前期比139億円増加し、273億円となりました。
次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。
収益は、海外自動車事業での円安の影響などにより、3,543億円と前期比8.5%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、海外自動車関連子会社における為替洗替損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比15億円減少の23億円の損失となりました。
自動車分野では、世界規模での自動車需要が堅調であるなか、当社の取り扱いについては、ロシアでの販売が回復し、また東南アジア、中南米向けも含め、堅調に進捗いたしました。今後も事業環境の変化やリスク対策に留意して、事業基盤の強化を図ってまいります。
インフラプロジェクト・産機分野では、当社が注力しているIPP事業において中東オマーンの2つの大型事業が商業運転を開始しました。また、インドにおける貨物用鉄道の軌道敷設工事、ロシア向けのガスタービンやアンモニアプラントなど、当社が強みを持つ新興国で受注残高を積み上げてまいります。また、日本では青森県など4ヶ所で、国内の再生可能エネルギー発電の拡大に貢献する大規模太陽光発電事業に参入し、当社の中長期的な安定収益基盤の構築に向けた取り組みも進めております。
船舶・宇宙航空分野では、米国ボーイング社の輸入販売コンサルタントとして、2013年度は国内航空会社に合計24機を、またカナダのボンバルディア社製コミューター機の販売代理店として、国内航空会社向け1機、官公庁向け1機を納入いたしました。また、自社保有船の入れ替えにより、収益力の強化を図っております。
収益は、前期に石油製品の販売子会社を売却した影響などにより、4,683億円と前期比20.4%の減少となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、持分法による投資損益の改善があったものの、油ガス田及び合金鉄権益の減損などその他の収益・費用が悪化したことにより、前期比34億円減少の93億円となりました。
エネルギー分野では、前期に実施していた設備修復が完了し、当社が出資している石油・ガス権益の生産量が回復いたしましたが、一部権益の埋蔵量の減少などによる減価償却費の増加がありました。また、昨今需要が拡大しているLNG事業への取り組みについては、当社の体制を強化すると共に北米やアフリカなどのプロジェクトを通じて、競争力のあるLNGの確保を目指してまいります。
石炭分野では、中国など新興国経済の成長鈍化の影響などにより、石炭価格は低迷していますが、当社が出資する炭鉱権益では、操業コストの改善、管理費の削減などにより、価格低迷の影響を最小限におさえています。また、当社では現在保有しているインドネシアの炭鉱権益の拡充を通じて取扱量を増やし、インドや中国を中心とした新興国のエネルギー需要の拡大に応えてまいります。
鉄鋼・金属資源分野では、石炭同様、中国など新興国経済の成長鈍化の影響などにより、モリブデンをはじめとする金属資源価格は低迷しましたが、今後も操業効率とコストの改善に努め、安定供給に貢献してまいります。また、当社関連会社であるメタルワンとの協業体制を強化し、製鉄原料から製品販売までの一貫した強固な事業基盤を構築してまいります。
収益は、アジア向け取引での円安の影響などにより、3,834億円と前期比11.0%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、前期比47億円増加の79億円となりました。
化学品分野では、市況好調などにより主力であるインドネシアのメタノール事業が堅調に推移しました。また、南太平洋に位置し、豊富な天然資源を有するパプアニューギニアにおいて、同国で産出される天然ガスを利用したガス化学事業の検討を開始しました。
当社の連結子会社である双日プラネットでは、アジアにおける合成樹脂販売の回復などにより収益力を回復させています。
環境資材分野では、レアアースの需要減退の影響はありましたが、2011年度に出資参画したインドでの工業塩事業、2012年度に出資参画したメキシコにおけるシェールガス・シェールオイルの掘削にも使用されるバライトの製造・販売事業において商業生産を開始しました。
当部門の収益基盤は物流取引によるものが中心ですが、工業塩、バライト、メタノールなどの主力商品については、今後の成長が期待できるため、上流分野への事業投資を行い、原料供給から販売までの物流バリューチェーンを構築し、収益力の強化を図ってまいります。
収益は、飼料原料取引の増加や東南アジアにおける肥料の販売数量増加などにより、5,169億円と前期比18.8%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、持分法による投資損益の改善などにより、前期比101億円増加の175億円となりました。
食料分野では、ブラジルのシージージー・グループへ出資参画し、同国での農業・穀物集荷・ターミナル事業に進出しました。ベトナムで当社が出資しているASEAN最大級の穀物専用港などと連携し、南米・アジア間の農業・穀物バリューチェーンの構築を図ってまいります。
農林資源分野では、東南アジアの高度化成肥料製造・販売事業が堅調に推移し、国内では合板に強みを持つ建材事業も底堅く推移しました。
コンシューマーサービス分野では、今後の成長が期待されるミャンマーで生活消費財・食品の卸売事業を展開するために、同国最大の流通事業グループであるシティー・マート・グループと資本・業務提携を行いました。
開発建設分野では、ベトナムやインドネシアの工業団地の用地分譲を順調に実施しており、今後も工業団地の機能強化や周辺事業の拡大により競争力のあるビジネスモデルを構築してまいります。
収益は、販売用不動産の売却により、802億円と前期比52.3%の増加となりました。当期純利益(当社株主帰属)は、前期比27億円増加の36億円となりました。
当期末の資産合計は、前期末比701億円増加の2兆2,202億円となりました。油ガス田及び合金鉄権益の減損などに伴い有形固定資産が減少したものの、持分法で会計処理されている投資が新規投資及び利益の積み上がりに伴い増加したことや、営業債権及びその他の債権(流動)が小麦関連取引などにおいて増加したことによるものです。
負債合計は前期末比115億円減少の1兆7,273億円となりました。
資本のうち当社株主に帰属する持分合計は、為替及び株価の変動によるその他の資本の構成要素の増加や、当期純利益の積み上がりにより、前期末比773億円増加の4,599億円となりました。
この結果、自己資本比率(※)は20.7%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比31億円減少の6,402億円となり、ネット有利子負債倍率(※)は1.4倍となりました。
※自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、当社株主に帰属する持分を使用しております。
営業活動によるキャッシュ・フローは470億円の収入となり、前期比81億円の収入減少となりました。当期は営業債務及びその他の債務の減少などの支出がありましたが、当期純利益などによる収入が支出を上回りました。
投資活動によるキャッシュ・フローは245億円の支出となり、前期比128億円の支出増加となりました。当期は権益や船舶、投資有価証券の売却などの収入がありましたが、農業・穀物集荷事業関連の投資の取得や権益、太陽光発電関連の設備投資などの支出が収入を上回りました。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは225億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは309億円の支出となり、前期比253億円の支出減少となりました。当期は借入金による調達や社債の発行などの収入がありましたが、長期借入金の返済や社債の償還などの支出が収入を上回りました。
これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末の現金及び現金同等物は前期比37億円減少し、4,207億円となりました。
当社グループは、「中期経営計画 2014」におきましても、資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針としております。現状の長期調達比率を維持することで安定的な資金調達構造の構築を図るとともに、経済・金融環境の変化に備えて十分な手元流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めており、当期末の流動比率は163%、長期調達比率は79%となっております。
長期資金調達手段のひとつである普通社債につきましては、2013年4月、5月、10月にそれぞれ100億円を発行いたしました。また2014年度に入り、4月に8年債100億円を発行し、6月に当社としては最長年限となる10年債100億円を発行しております。引き続き金利や市場動向を注視し適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。
また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円及びマルチカレンシー型3億米ドル相当額のコミットメントライン契約を維持しております。
当社グループは、以下の「企業理念」を掲げ、企業価値の向上に取り組んでおります。
(企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、
新たな価値と豊かな未来を創造します。
(双日グループスローガン)
New way, New value
当社グループは、2012年4月よりスタートした3ヶ年計画「中期経営計画 2014」~Change for Challenge~において、「成長軌道に向けた改革の推進」をテーマに、企業価値の向上を目指しております。

「中期経営計画 2014」で目標とする経営指標は次のとおりです。
| 経営指標 | 目標 |
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| ネットDER | 2倍以下 |
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| ROA | 2%以上 |
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| 配当性向 | 20%程度 |
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定量目標の達成に向け、当社が徹底して行う施策として資産の質・効率の向上があります。資産規模を大きく変えず、全社ベースでの資産の入れ替えにより資産効率を上げ、収益を向上させることを目指しております。具体的には、個別事業・資産の保有意義を再評価し、保有意義を見出せなくなっている事業・資産や既存事業との関係性の薄い事業・資産などを順次入れ替え、一方で事業・資産の入れ替えにより得た経営資源を「集中事業領域」と定めた事業へ投融資等を通じ、優先的に配分しております。
「中期経営計画 2014」では、以下の集中事業領域において、アジア、アフリカ、南米等の新興国を中心として1,800億円の投融資を行う計画としております。

新規投融資につきましては、2012年度に約440億円、2013年度は農業・穀物集荷・ターミナル事業や太陽光発電事業などをはじめとし、約540億円の投融資を実行いたしました。その一方で、資産圧縮につきましては、2012年度に約810億円、2013年度は不動産などの資産の売却など約490億円の資産を圧縮し、当期までの2年間の累計で本中期経営計画における予定額に概ね達しております。
本中期経営計画の最終年度にあたる2014年度は、食料や海外インフラ事業などを中心に投融資の実行を加速させてまいります。
当社グループの今後の見通し及び対処すべき課題につきましては、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」をご参照下さい。
④ 利益配分に関する基本方針
当社の利益配分に関する基本方針につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照下さい。
※将来情報に関するご注意
上記の文中における将来に関する事項は、現在入手可能な情報から当社が当期末現在において合理的であるとした判断及び仮定に基づいて記載しております。