第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期における世界経済は、米国や欧州において、雇用者数の増加や個人消費の拡大など景気が堅調に推移したことや、中国を始めとしたアジア諸国の景気に持ち直しの動きがみられたことなどにより、全体としては緩やかな回復が続きました。日本経済におきましては、企業収益の改善に加え、雇用・所得環境の改善を背景にした個人消費の持ち直しなどにより、緩やかな回復基調が続きました。

こうした状況のなかアサヒグループは、2016年に策定した「中期経営方針」のもとで、「『稼ぐ力』の強化」、「資産・資本効率の向上」、「ESGへの取組み強化」の3つを重点課題として、これまで推進してきた「企業価値向上経営」の更なる深化に取り組みました。

特に「『稼ぐ力』の強化」においては、国内では、高付加価値化、差別化を基軸とした収益基盤の盤石化を図るとともに、海外では、欧州事業を中心として、有力なプレミアムブランドや広範な販売網を生かしたシナジーの創出などに取り組みました。

その結果、アサヒグループの当期の売上収益は2兆848億7千7百万円(前期比22.1%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益は1,963億6千8百万円(前期比32.2%増)、営業利益は1,831億9千2百万円(前期比33.8%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,410億3百万円(前期比58.0%増)となりました。

※ 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る 当社独自の利益指標です。

   アサヒグループの実績    (単位:百万円)

 

実績

前期比

売 上 収 益

2,084,877

22.1%

事 業 利 益

196,368

32.2%

営 業 利 益

183,192

33.8%

親会社の所有者に
帰属する当期利益

141,003

58.0%

 

 

  セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。

    事業セグメント別の実績                                      (単位:百万円)

 

売上収益

前期比

事業利益

前期比

売上収益事業利益率

営業利益

前期比

酒類

968,858

△0.8%

121,516

0.6%

12.5%

113,560

2.1%

飲料

374,517

2.9%

38,321

18.5%

10.2%

44,407

35.5%

食品

113,785

2.7%

11,626

13.4%

10.2%

10,893

△4.3%

国際

621,112

148.1%

65,938

434.0%

10.6%

34,837

その他

106,141

3.8%

1,992

△0.4%

1.9%

1,979

△0.2%

調整額計

△99,537

△23,828

△22,484

無形資産償却費

△19,198

合計

2,084,877

22.1%

196,368

32.2%

9.4%

183,192

33.8%

 

 ※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

[酒類事業]

酒類事業につきましては、「No.1ブランドの育成と構造改革を通じて“国内酒類のリーディングカンパニー”を目指す!」をスローガンに、イノベーションによる新価値・新需要の創造とコスト競争力の向上に取り組みました。

ビール類については、『アサヒスーパードライ』において、発売30周年を記念した特別限定醸造商品『アサヒスーパードライ エクストラハード』や『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』の発売などにより、ブランド価値の向上を図りました。新ジャンル『クリアアサヒ』においては、糖質ゼロ※1でありながら麦由来の味わいを高めた『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』の発売や季節に合わせた期間限定商品の展開など、市場における地位の更なる向上に取り組みました。

ビール類以外の酒類については、RTD※2において、『アサヒもぎたて』の商品ラインアップの拡充や、『ウィルキンソン・ハード』シリーズの展開など、ブランド力の育成に取り組みました。また、洋酒においては、『ブラックニッカ』ブランドの積極的な販売促進活動を行うことなどにより、主力ブランドの強化に努めました。

アルコールテイスト清涼飲料については、ビールテイスト清涼飲料『アサヒドライゼロ』において、「より食事に合うすっきりとした後味」へのリニューアルの実施や消費者キャンペーンの展開などにより、ブランド力の強化を図りました。

以上の結果、酒類事業の売上収益は、ビール類以外の酒類やアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年実績を上回りましたが、夏場の天候不順の影響などによるビール類の販売数量の減少により、前期比0.8%減9,688億5千8百万円となりました。

事業利益については、売上収益の減少はありましたが、広告販促費の効率化や原材料を中心としたコストダウンなどの取組みにより、前期比0.6%増1,215億1千6百万円となりました(営業利益は前期比2.1%増1,135億6千万円)。

 ※1 栄養表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を「糖質ゼロ」と表示しております。

 ※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

 

[飲料事業]

飲料事業につきましては、重点ブランドへの経営資源の集中や健康を軸とした商品力強化による成長に加えて、生産効率の最大化と操業度の向上などにより、強靭な収益基盤の構築に取り組みました。

主力ブランドにおいては、『三ツ矢』ブランドで透明果汁※1を使用した『三ツ矢 新搾り』を発売し、『十六茶』ブランドでは、全国7地域※2のご当地素材をブレンドした『アサヒ 十六茶 ご当地素材ブレンド』を展開したほか、発売20周年を迎えた『ワンダ』ブランドで老舗珈琲店監修の『ワンダ 極』の商品ラインアップを拡充するなど、ブランド価値の向上を図りました。また、『おいしい水』ブランドでは、天然水仕立てのスパークリングウォーターに『カルピス』の乳酸菌を加えた『アサヒ おいしい水「カルピス」の乳酸菌スパークリング』を発売するなど、ブランド資産を活用し、新たな商品価値を提案しました。

健康機能領域においては、『守る働く乳酸菌』や『届く強さの乳酸菌』をリニューアルしたほか、独自の乳酸菌を配合した機能性表示食品『カラダカルピス』を発売するなど、市場における存在感の向上に努めました。

以上の結果、飲料事業の売上収益は、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回ったことにより、前期比2.9%増3,745億1千7百万円となりました。
 事業利益については、増収効果のほか、品種・容器構成比の改善や最適生産体制の推進による操業度向上などの製造原価低減の取組みにより、前期比18.5%増383億2千1百万円となりました(営業利益は前期比35.5%増の444億7百万円)。

※1 透明果汁とは、固形分が残って濁った状態の搾汁後の果汁(混濁果汁)から、液中の固形分を分解しさら
   にろ過した、固形分がない果汁のことです。

※2 北海道、東北、関東・甲信越、中部・北陸、関西、中国・四国及び九州・沖縄の7地域です。

 

 

[食品事業]

食品事業につきましては、「強みへの集中」の推進と事業統合によるシナジーの創出に加えて、お客様視点でのブランド力の強化・育成などにより、持続的成長に向けた事業基盤の構築に取り組みました。

タブレット菓子『ミンティア』においては、大粒タイプの『ミンティアブリーズ』をリニューアルしたほか、のどに広がる清涼感・潤い感を付加した新価値提案商品として『ミンティアエクスケア』を発売するなど、ブランド力の強化を図りました。

サプリメントについては、『ディアナチュラ』において手軽に選べるパウチタイプ『ディアナチュラスタイル』や機能性表示食品『ディアナチュラゴールド』の商品ラインアップを拡充するなど、ブランド価値の向上に努めました。

ベビーフードについては、『グーグーキッチン』や『栄養マルシェ』において販売促進活動を強化するなど、ブランド力の強化を図りました。また、シニア向け商品については、『バランス献立』を新たに発売し、介護食市場における存在感の向上に取り組みました。

フリーズドライ食品については、主力の『いつものおみそ汁』の営業活動を強化するとともに、スープの新ブランド『Theうまみ』や『きょうのスープ』を発売し、売上の拡大に努めました。

以上の結果、食品事業の売上収益は、主力ブランドを中心に好調に推移し、前期比2.7%増1,137億8千5百万円となりました。
 事業利益については、増収効果に加えて、広告販促費の効率化や製造原価の低減などの取組みにより、前期比13.4%増116億2千6百万円となりました(営業利益は前期比4.3%減108億9千3百万円)。

 

[国際事業]

国際事業につきましては、主力ブランドの強化やシナジー創出による既存事業の収益性向上に加えて、プレミアム市場での成長を軸とするグローバルプレイヤーを目指し、欧州事業との統合をはじめとした事業基盤の構築に取り組みました。

欧州事業については、西欧において『Peroni』ブランドの情報発信強化など、主力ブランドの価値向上に重点を置いたマーケティング活動を強化したほか、『アサヒスーパードライ』の欧州における自社工場・販売網による製造・販売体制の構築など、シナジー創出に向けた取組みを推進しました。また、3月に取得した中東欧においては、チェコにおいて主力ブランドの『Pilsner Urquell』、『Kozel』の販売促進活動を積極的に展開したほか、新商品を発売するなど、各国において持続的な成長基盤の構築に取り組みました。

オセアニア事業については、飲料において、炭酸飲料『Schweppes』の新容器を使用した商品の展開や、市場が拡大する水カテゴリーにおける市場でのシェア拡大に向けた取組みなど、市場における存在感の更なる向上に努めました。酒類においては、低アルコール飲料の主力ブランドに集中したマーケティング活動のほか、『アサヒスーパードライ』のブランド力の更なる強化や『Peroni』ブランドの商品の販売開始など、グループのブランドを活用したシナジー創出に取り組みました。
 東南アジア事業については、マレーシアにおける『ワンダ』や『カルピス』の商品ラインアップの拡充や販売促進活動の強化のほか、ミャンマーの『Honey Gold』のブランド力強化など、自社ブランド商品の拡充を軸に各市場における存在感の向上に努めました。

中国事業については、飲食店における樽生ビール取扱店の新規開拓や、コンビニエンスストアやインターネット通信販売業態での営業活動の強化などにより、『アサヒスーパードライ』の販売数量の拡大を図りました。

以上の結果、国際事業の売上収益は、オセアニア事業が好調に推移したほか、新たに取得した欧州事業の業績の上乗せもあり、前期比148.1%増6,211億1千2百万円となりました。
 事業利益については、中東欧ビール事業の買収に伴う取得関連費用などが発生しましたが、欧州事業の業績の上乗せにより、前期比434.0%増659億3千8百万円となりました(営業利益は、348億4千5百万円増加348億3千7百万円)。

 

 

[その他の事業]

その他の事業につきましては、売上収益は、貨物運送業務の受託の拡大や健康食品の売上の増加などにより、前期比3.8%増1,061億4千1百万円となりました。
 事業利益については、健康食品に関する販売促進費の増加などにより、前期比0.4%減19億9千2百万円となりました(営業利益は前期比0.2%減19億7千9百万円)。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が1,969億8千4百万円となりましたが、売上債権等の運転資金増減による減少や法人所得税等の支払いによる減少があった一方で、減価償却費及び償却費や減損損失等の非キャッシュ項目による増加があり、2,317億1千2百万円(前期比:772億6千万円の収入増)の収入となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、中東欧における子会社株式の取得などにより、8,858億2千3百万円(前期比:6,173億1千5百万円の支出増)の支出となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の発行及び長期借入金の借入による金融債務の増加があり、6,618億8千2百万円(前期比:5,423億2千8百万円の収入増)の収入となりました。
 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は95億9千5百万円増加し、580億5千4百万円となりました。

 

(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

前年度

(自 2016年1月1日

至 2016年12月31日)

当年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

1 連結貸借対照表関係

 日本基準では退職給付に係る負債(資産)の純額(数理計算上の差異)の増減による資本の増減影響は、「その他の包括利益」に表示しておりますが、IFRSでは、「その他の資本の構成要素」に認識した上で「利益剰余金」に振り替えております。この影響により、当年度末におけるIFRSの「その他の資本の構成要素」及び「利益剰余金」は、日本基準の「その他の包括利益累計額」及び「利益剰余金」に比べてそれぞれ10,706百万円増加し、減少しております。

2 連結損益計算書関係

 日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりました。IFRSでは、IFRS移行日以降、のれんの償却は行っておりません。この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費は10,814百万円減少しております。

1 連結貸借対照表関係

 日本基準では退職給付に係る負債(資産)の純額の増減による資本の増減影響は、「その他の包括利益累計額」に表示しておりますが、IFRSでは、「その他の資本の構成要素」に認識した上で「利益剰余金」に振り替えております。この影響により、当年度末におけるIFRSの「その他の資本の構成要素」及び「利益剰余金」は、日本基準の「その他の包括利益累計額」及び「利益剰余金」に比べてそれぞれ314百万円増加し、減少しております。

2 連結損益計算書関係

 日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりました。IFRSでは、IFRS移行日以降、のれんの償却は行っておりません。この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費は16,736百万円減少しております。
 

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。

 

セグメントの名称

数量又は金額

単位

前期比

酒            類

2,373,981

KL

△1.1

 %

飲            料

380,297

百万円

0.2

 %

食            品

118,604

百万円

8.9

 %

国            際

486,572

百万円

101.8

 %

 

(注) 1 金額は、販売価額によっております。

     2 IFRSに基づく金額を記載しております。

3 酒類事業の生産数量、飲料事業及び食品事業の生産高には、外部への製造委託を含めております。

4 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では受注生産はほとんど行っておりません。

 

(3) 販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。

 

セグメントの名称

金額

前期比

酒           類

968,858

百万円

△0.8

飲           料

374,517

百万円

2.9

食           品

113,785

百万円

2.7

国           際

621,112

百万円

148.1

そ     の    他

106,141

百万円

3.8

調     整    額

△99,537

百万円

 

合           計

2,084,877

百万円

22.1

 

(注) 1 調整額はセグメント間取引であります。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

 

 

前年度

当年度

 

相手先

販売高

割合

販売高

割合

 

 

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

 

国分ホールディングス㈱

202,116

12.0

201,255

9.7

 

伊藤忠食品㈱

195,136

11.5

218,766

10.5

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、グループ共通の経営理念に「アサヒグループは、最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献します。」を掲げて、「酒類」「飲料」「食品」及び同分野の「国際」事業を展開しています。

また、企業活動を展開するうえで不可欠な「持続可能な社会」の実現に向けて、「食と健康」「環境」「人と社会」の3つの活動領域とその領域におけるマテリアリティ(重要課題)を定め、事業を通じて社会的課題の解決に取り組んでいます。

なお、文中の将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

 

(2)目標とする経営指標

「中期経営方針」のガイドラインでは、EPS(基本的1株当たり当期利益※1)のCAGR(年平均成長率)で一桁台半ばから後半の成長を目指すとともに、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率※2)で13%以上の水準の維持を図ることを、主な経営指標の目標としております。

(※1)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」は、事業ポートフォリオの再構築など一時的な 
    特殊要因を除くベース

(※2)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」は、
    事業ポートフォリオの再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除くベース

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

今後の経営環境としては、国内ではデフレからの脱却が正念場を迎え、世界経済でも一部に不透明感が増しているなか、消費の更なる多様化を始めとした様々な「リスクと機会」が顕在化してくることが想定されます。さらに、コーポレートガバナンス・コードの策定などに応じて、日本企業の経営スタイルや株主の皆様を始めとしたステークホルダーの視点は、より持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にシフトしていくことが想定されます。

これらを踏まえ、2016年に更新した『長期ビジョン』では、「『食の感動(おいしさ・喜び・新しさ)』を通じて、世界で信頼される企業グループを目指す。」ことを掲げ、10年程度先を見据えた事業の将来像として「酒類を中核とする総合飲料食品グループとして、国内では、高付加価値化を基軸とするリーディングカンパニーを目指すとともに、日本発の『強み』を活かすグローバルプレイヤーとして独自のポジションを確立する。」ことを目指しています。

さらに、『長期ビジョン』では、「全てのステークホルダーの満足を追求し、『持続的な企業価値の向上』を図る。」ことを掲げ、各ステークホルダーに対するビジョンを定めています。

『長期ビジョン』の実現に向けた『中期経営方針』では、3年程度先を想定した主要指標のガイドラインを示しつつ、以下3つの重点課題を設定し、これまで推進してきた「企業価値向上経営」の更なる深化に取り組んでいます。
イ.国内収益基盤の盤石化と国際事業の成長エンジン化による「稼ぐ力」の強化
ロ.資本コストを踏まえた資産・資本効率の向上
ハ.サステナビリティの向上を目指したESG(環境・社会・ガバナンス)への取組み強化

こうした『長期ビジョン』『中期経営方針』を「エンゲージメント・アジェンダ(建設的な対話の議題)」として、株主や投資家の皆様を始めとしたステークホルダーとの対話を深め、日本はもとより世界で信頼される企業グループを目指していきます。

 

(4)会社の対処すべき課題

2018年は、国内外で経済の堅調な回復が想定されるなか、アサヒグループは「中期経営方針」に基づいて、国内では高付加価値化を軸としたブランド価値の向上などにより収益基盤の更なる盤石化に取り組みます。また海外では、欧州事業を核として、強い競争力を持つグローバルなプレミアムビールメーカーを目指したシナジー創出などの取組みにより、国際事業の成長エンジン化を加速していきます。さらに、資産・資本効率の向上による財務体質の強化やESGへの取組みの更なる推進など、“企業価値向上経営”の深化を目指した経営改革にスピードを上げて取り組んでいきます。

これらの取組みにより、2018年度の連結売上収益は2兆1,400億円、事業利益は2,200億円、営業利益は2,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,420億円を見込んでおります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
  なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。

(1)国内市場・経済の動向及び人口の変動による影響について

アサヒグループの売上収益において酒類事業の占める割合は約46%となっており、またその大部分は国内市場での売上となっております。今後の国内景気の動向によって、酒類消費量に大きな影響を与える可能性が考えられます。また、日本国内での人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類の消費量の減少、また酒類のみならず飲料事業、食品事業における消費量にも影響を与え、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)税制改正について

消費税や酒税の増税等が行われた場合、消費マインドの変化によって酒類事業、飲料事業、食品事業における消費量が変化し、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、2020年から段階的に実施される酒税の税率変更に伴う価格変更により、ビール類の需要が他ブランドや他カテゴリーへ流出した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特定商品への依存について

アサヒグループの売上収益の中で重要な部分を占めるのが、ビール類販売による売上であります。アサヒグループとしましては、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させ売上収益を増加させるとともに、酒類事業以外に飲料、食品といった事業の拡大を図っております。しかしながら、市場の需要動向によってビール類消費量の大幅な減少を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)食品の安全性について

アサヒグループは、最高の品質をお客様にご提供することを経営理念として掲げており、グループ内の多様な検査管理体制によって食品の安全性を確立しております。一方で、食品業界を取り巻く昨今の環境においては、残留農薬、遺伝子組み換え、アレルギー物質、放射性物質等の管理や異物混入防止等の従来の食品安全への取組みに加え、品質データの改ざん防止や、意図的な異物混入を防止するフードディフェンスの取組みの必要性が増しております。アサヒグループでは、そのリスクを事前に察知あるいは評価し、顕在化する前に対処するよう取組みを強化しておりますが、取組みの範囲を超える事態が発生した場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料価格の変動について

アサヒグループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害等によって変動します。価格が高騰した場合には製造コストの上昇に繋がり、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合があり、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)気象条件、自然災害等による影響について

 アサヒグループの酒類及び飲料の売上については、異常気象や天候不順によって市場が低迷した場合、その販売量が影響を受ける可能性があります。また、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で製造、物流設備等が損害を被ることにより、資産の喪失、商品の滞留等による損失計上、設備復旧のための費用、生産、物流の停止による機会損失が考えられ、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報システムのリスクについて

アサヒグループは、販促キャンペーン、通信販売等により多数のお客さまの個人情報を保持しております。アサヒグループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、営業活動に支障をきたし、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外事業におけるリスクについて

アサヒグループは、欧州、オセアニア及びアジアにて海外での事業を展開しております。アサヒグループとしましては、海外事業におけるリスクを事前に察知し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組んでおりますが、以下のような予期できない、または予測の範囲を超える変化があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

    ・ 予期できない租税制度や法律、規制等の改正
     ・ 政治的要因及び経済的要因の変動
     ・ 伝染病の流行による社会的・経済的混乱
     ・ 予測の範囲を超えた市場の変動、為替レートの変動
     ・ テロ・戦争の勃発による社会的・経済的混乱
     ・ 異常気象や地震等の自然災害の発生

 

(9)環境に関するリスクについて

アサヒグループは、廃棄物再資源化、省エネルギー、二酸化炭素排出の削減、容器リサイクルの徹底を図り、事業を遂行していくうえで環境に関連する各種法律、規制を遵守しております。しかしながら、関係法令等の変更によって、新規設備の投資、廃棄物処理方法の変更等による大幅なコストの増加が発生する場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法律、規制等の変更によるリスクについて

アサヒグループは、国内で事業を遂行していくうえで、酒税法、食品衛生法、製造物責任法等様々な法的規制の適用を受けております。また海外事業を展開していくうえでも関係する法律、規制等の適用を受けております。これらの法律、規制等が変更された場合、または予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

(11)アルコール飲料規制の動きについて 

アサヒグループは、アルコール飲料を製造・販売する企業として、企業の社会的責任(CSR)を果たすため、広告の表現や容器への表示に関して細心の注意をはらうとともに、未成年飲酒・妊産婦飲酒の防止等、適正飲酒の啓発活動に積極的に取り組んでおりますが、国際的にアルコール問題が議論される中、予想を大幅に超える規制が行われた場合、酒類消費量が減少し、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

(12)訴訟のリスクについて

アサヒグループは、事業を遂行していくうえで、各種関係法令を遵守し、また社員がコンプライアンスを理解し、実践することに最善の努力をしております。しかしながら、国内国外を問わず事業を遂行していくうえで、訴訟提起されるリスクを抱えております。万一アサヒグループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)保有資産の価格変動について

アサヒグループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)退職給付関係について

アサヒグループの従業員及び元従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で使用される割引率等に基づき算出されております。制度資産の公正価値変動、金利の変動、年金制度の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

(15)事業・資本提携について

アサヒグループは、中期経営方針に沿って、成長基盤確立の一環として国内外他社との事業・資本提携を推進しています。しかしながら、アサヒグループ、提携先及び出資先を取り巻く事業環境の変化等の影響によって、当初想定していたシナジー効果を得られない可能性があります。また、そのような環境変化によって、提携先及び出資先の事業、経営及び財務状況の悪化等が生じた場合、アサヒグループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、出資先が業績不振となり、出資に伴い発生した「のれん」等について多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、アサヒグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

業務提携等に関する契約

会社名

契約事項

契約締結先

締結年月

発効年月

有効期限

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための「深圳青島啤酒朝日有限公司」の合弁契約

伊藤忠商事株式会社
日鉄住金物産株式会社
(中国)
青島啤酒股份有限公司

1997年
10月

1998年
8月

2024年
7月

アサヒビール
株式会社
(連結子会社)

沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」の販売契約

オリオンビール株式会社

2002年
11月

2002年
11月

自動更新

アサヒビール
株式会社
(連結子会社)

沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約

オリオンビール株式会社

2003年
5月

2003年
5月

自動更新

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約

カゴメ株式会社

2007年
2月

2007年
2月

自動更新

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国におけるビール生産・販売等の事業についての戦略的提携

(中国)
青島啤酒股份有限公司

2009年
8月

2009年
8月

青島啤酒股份有限公司の株式を保有しなくなった12ヶ月後

アサヒグループホールディングス株式会社
(提出会社)

中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」の株主間契約

(英領ヴァージン諸島)
Ho Te Investments Limited
伊藤忠商事株式会社他

2015年
3月

2015年
3月

無期限
(但し一定の終了事由あり)

アサヒ飲料
株式会社
(連結子会社)

「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約
(注)

株式会社シャンソン化粧品

1992年
12月

1992年
12月

自動更新

 

(注)  「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。

 

 

6 【研究開発活動】

アサヒグループでは、第6次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業において差別化された商品の開発、及びそのベースとなる技術開発を行っています。また、グループのコア研究領域である酵母、乳酸菌、フローラから、将来の各事業での革新的なファーストエントリー商品や新規事業創出につながる技術開発を進めています。更に、外部技術の活用により、研究開発の成果創出のスピードアップを図っています。

当年度におけるグループ全体の研究開発費は、11,665百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は3,641百万円、飲料事業に係る研究開発費は2,146百万円、食品事業に係る研究開発費は1,144百万円、国際事業に係る研究開発費は1,234百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は3,497百万円です。

 

[酒類事業] 
(商品開発関連)

アサヒビール㈱は、『アサヒスーパードライ』発売30周年を迎える本年に、特別限定醸造商品『アサヒスーパードライ エクストラハード』、『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル』、『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』、『アサヒスーパードライ みがき麦芽仕込み』を発売しました。『アサヒスーパードライ エクストラハード』は、醸造工程における発酵管理技術の向上などにより、「スーパードライ」史上最高の発酵度を実現し、“刺激的なキレ”とアルコール度5.5%の“力強い飲みごたえ”を楽しめるビールで、30周年にふさわしい新たな味わいを提案しました。

『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル』は、国産原料100%(※1)で醸造したギフト限定の商品で、“洗練されたクリアな味、辛口”といった『アサヒスーパードライ』ならではの特長はそのままに、新たに国産麦芽と希少な国産ホップに加え、厳選された国産高級米を採用しました。また、「うまさ澄み切り醸造」(※2)によって、雑味のないすっきりしたキレ味と飲みごたえを実現しました。『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』は、夏場のビール類の最盛期にうれしい冷涼感とキレ味をお楽しみいただける新しい価値を提案する商品で、ビールの苦味の後キレ向上に寄与する「イソコフムロン」(※3)の比率を一定に調整するホップ配合技術を用い、希少ホップ「ポラリス」の特長である冷涼感を最大限に引き出しました。『アサヒスーパードライ みがき麦芽仕込み』は、年末年始の“ハレの日”にふさわしい「こだわり」「華やかさ」「希少性」を提案する商品で、『スーパードライ』ならでは特長はそのままに、より雑味のないクリアな味わいを実現しました。世界生産量1%未満の希少ホップ「スロベニア産ボベック」を一部使用し、さらに麦芽粉砕技術や麦汁ろ過技術にみがきをかけた本商品独自の仕込み方法を採用しました。

クラフトビール市場においては、アサヒグループ本社ビルに隣接する飲食ビルを「隅田川パブブルワリー」に改装するとともに、クラフトビールの新ブランド『TOKYO隅田川ブルーイング』の基幹商品3品種『TOKYO隅田川ブルーイング ケルシュスタイル/香るヴァイツェン/ビタースタウト』を東京23区内の飲食店にて発売しました。

発泡酒市場においては、“糖質ゼロ(※4)”発泡酒のパイオニアである『アサヒスタイルフリー』をクオリティアップしました。今回のクオリティアップでは、ご好評をいただいている「すっきり爽やかなおいしさ」はそのままに、麦芽を増量し麦本来の味わいと飲みごたえを高めました。また、厳選したホップの配合を見直すことで、爽快な香りと膨らみのある余韻を感じられる中味に仕上げました。

新ジャンル市場においては、「クリアアサヒ」ブランド3商品『クリアアサヒ』、『クリアアサヒ プライムリッチ』、『クリアアサヒ 糖質0』をクオリティアップしました。『クリアアサヒ』は大麦を増量するなど原料の使用量を見直し、より麦のうまさを感じられるとともに、さらにキレが良くクリアな後味を実現しました。『クリアアサヒ プライムリッチ』は“国産ゴールデン麦芽増量”や“香り成分バランスの最適化”により、「プライムリッチ」の特長である“最高級のコク(※5)”と“最高級の香り(※6)”をさらに追求しました。『クリアアサヒ 糖質0』は、中味とパッケージを大幅に刷新し、『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』として新発売しました。『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』 は『クリアアサヒ 糖質0』と比較して麦の使用量を30倍に増やすとともに、国産ゴールデン麦芽を一部使用することにより、糖質ゼロでありながら麦由来の味わいをさらに高めました。 また、「クリアアサヒ」ブランドからは、期間限定商品として『クリアアサヒ 夏の涼味(すずみ)』、『クリアアサヒ 秋の膳』、『クリアアサヒ 吟醸』、『クリアアサヒ クリアブラック』を、東北エリア限定商品として『クリアアサヒ とれたての贅沢』をそれぞれ発売しました。また、ご好評をいただいている『アサヒ オフ』もクオリティアップを実施し、これまでの“プリン体0(※7)”“糖質0”“人工甘味料0”の3つの“0”はそのままに、おいしさを実現するために厳選した麦芽を増量することで、『アサヒ オフ』ならではの麦本来の味わいと飲みごたえがアップしました。

ビールテイスト清涼飲料市場においては、『アサヒドライゼロフリー』のクオリティアップを実施しました。『アサヒドライゼロフリー』はビールテイスト清涼飲料市場の中で、カロリーや糖質、プリン体などが気になるお客様により高い評価をいただいており、今回のクオリティアップでは、健康志向の高いお客様にとってさらに魅力あるブランドになることを目指しました。これまでの“カロリー0(※8)”“糖質0”“プリン体0.0”“アルコール0.00”に“人工甘味料0 ”を加えて「5つのゼロ」を実現しました。なお、“人工甘味料0”を実現するために天然甘味料の「ステビア(※9)」を新たに採用しました。

RTD(※10)市場においては、主力ブランド「アサヒもぎたて」の基幹4フレーバー『まるごと搾りレモン』、『まるごと搾りグレープフルーツ』、『まるごと搾りぶどう』、『まるごと搾りオレンジライム』のクオリティアップを実施しました。今回のクオリティアップでは、収穫後24時間以内搾汁果汁の使用はそのままに、各フレーバーに合わせて果汁や香味のバランスを見直すことにより、みずみずしい果実の味わいを強化しました。また、現行よりもガス圧を高めることで、よりすっきりとした後味を実現し、飲み飽きない味わいに仕上げました。独自技術である「アサヒフレッシュキープ製法」を進化させた、より低い温度帯での「超低温殺菌」を実現した「新<もぎたて>キープ製法」を採用することで、つくりたてのおいしさと活きた果実の味わいを高めました。また、5つ目の基幹フレーバーに『まるごと搾りシークァーサー』を加え、さらに期間限定フレーバーとして『手摘み青梅』、『ゴールデンパイン』、『手摘み洋梨』、『まるごと搾りりんご』、『まるごと搾りスウィーティー』、『宮崎産日向夏』をそれぞれ発売しました。また、近年、伸長を続けるRTDカテゴリーの高アルコール市場に向けて、『ウィルキンソン・ハード無糖ドライ』を発売しました。『ウィルキンソン・ハード無糖ドライ』は、ベースにジンを使用し、『ウィルキンソン タンサン』で仕上げた、炭酸強めで、“甘くない”、「無糖」の缶RTDです。レモンやライムなどの果皮をアルコール浸漬し、その浸漬酒をさらに減圧蒸溜した独自製法のスピリッツ(※11)を加えることで、しっかりとした飲みごたえと、香味バランスのとれた味わいを実現しました。さらに「ウィルキンソン・ハード」シリーズの第2弾として新フレーバー『無糖レモン』を発売し、第3弾として『無糖ライム』の発売を予定しています。その他、『アサヒSlat(すらっと)』、『アサヒチューハイ果実の瞬間』、『アサヒカクテルパートナー』、『カルピスサワー』などのRTD商品でリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。

サワーテイスト清涼飲料市場においては、「アサヒスタイルバランス」、「アサヒゼロカク」の一部をリニューアルし、『アサヒスタイルバランス香り華やぐハイボールテイスト』、『アサヒスタイルバランス素肌うるおうピーチスパークリング』を発売しました。

ワイン市場においては、『サントネージュ』、『サントネージュ 摘みたての贅沢(赤・白・濃厚黒ぶどう)』を発売しました。

焼酎市場においては、『本格芋焼酎 金黒』、『ニッカ・ザ・麦焼酎』を発売しました。
ウイスキー市場においては、ニッカウヰスキー社が製造する主力ブランド「ブラックニッカ」の数量限定商品として、『ブラックニッカ クロスオーバー』、『ブラックニッカ アロマティック』を発売しました。また、昨年「ブラックニッカ」発売60周年を記念して数量限定商品として販売した『ブラックニッカ ブレンダーズスピリット』を数量限定で再発売しました。

スピリッツ市場においては、国産スピリッツの新ブランド『ニッカ カフェジン』、『ニッカ カフェウオッカ』を発売しました。

 

※1:スターチは輸入トウモロコシから国内で製造した原料です。
※2:雑味の元となる濁りを少なくするよう麦汁の濁度を管理し、ろ過工程の厳格化によって雑味成分の多い部分を取込まないようにする技術。
※3:当社の研究開発部門が長年取組んでいるホップの研究によって明らかにした、ホップ中の苦味の後キレに寄与する成分。
※4:栄養表示基準による。以下同じ。
※5:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における原麦汁エキス濃度の比較において。
※6:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における複数の香気成分バランスの比較において。
※7:100ml当たりプリン体0.5㎎未満を「プリン体0」と表示しています。 以下同じ。
※8:100ml当たり5kcal未満のものに表示可能(食品表示基準による)。以下同じ。
※9:ステビアとは、キク科植物ステビアから得られた天然甘味料の一般名です。ステビアの乾燥葉には甘み成分が約10~12%含まれており、葉を噛んだだけでも強い甘みを感じます。
※10:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。以下同じ。
※11:ニッカウヰスキー㈱の特許技術により蒸溜した、フルーツスピリッツを指します。原料(果皮等)をアルコー ル浸漬し、浸漬酒をさらに減圧蒸溜することで、果実の甘さを残さずに、柑橘の香りのみを抽出した蒸溜酒。本商品では、レモンライムスピリッツとグレープフルーツスピリッツの2種を使用しています。

 

(技術開発関連)

商品の中味開発分野では、アサヒビール㈱が製造する『クリアアサヒ プライムリッチ』、ニッカウヰスキー㈱が製造する『ニッカ シードル・スイート』、『麦焼酎 かのか 25度』の3商品が、iTQi(※1)の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞「3ツ星」を受賞しました。また、『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』が、ベルギーの国際的なビールコンテスト「ブリュッセルビアチャレンジ2017」において、ゴールドメダル(※2)を受賞しました。同コンテストにおけるアサヒビール㈱商品のゴールドメダル受賞は、2015年の『アサヒスーパードライ』、2016年の『アサヒ ザ・ドリーム』に続き3年連続となります。

また、ニッカウヰスキー㈱が製造する『竹鶴25年ピュアモルト』、『シングルモルト余市』、『ザ・ニッカ12年』、『ニッカカフェモルト』、『ニッカ ブレンデッド』の5商品が、世界的な酒類品評会である「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2017」において金賞を受賞しました。ISCでのニッカウヰスキー㈱商品の金賞受賞は10年連続となりました。さらに『ニッカ カフェモルト』は「ISC2017」において、グレーンウイスキー部門カテゴリー最高賞となる“トロフィー”を受賞しました。ニッカブランドが“トロフィー”を受賞するのは、2009年の「竹鶴21年ピュアモルト」、2015年「フロム・ザ・バレル」に次いで3度目となります。

容器包装・機器開発の分野では、「小容量135ml缶の開けやすい缶蓋」が、世界包装機構(WPO:World Packaging Organisation)主催の「ワールドスターコンテスト2018」において、「ワールドスター賞」を受賞しました。同コンテストは、各国で審査評価を受けた作品が集い、世界の優れたパッケージとその技術を開発・普及させることを目的としています。また、背負い式樽生サーバー「楽しょうサーバー」が、一般社団法人日本人間工学会において「平成29年度人間工学グッドプラクティス賞 優秀賞」に選定されました。

研究・技術開発分野では、ビール醸造技術において権威のある「EUROPEAN BREWERY CONVENTION(EBC) 2017」にて、当社が取り組むビール醸造研究の最新の研究成果を発表しました。また、ビール醸造技術で権威のある学会「American Society of Brewing Chemists Annual Meeting(ASBC) 2017」において、当社が取り組むビール醸造等の最新の研究成果を発表しました。

 

※1:iTQi(International Taste & Quality Institute、国際味覚審査機構)とは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚と品質を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。
※2:ラガー・インターナショナルスタイルピルスナー部門において。
 

[飲料事業] 
(商品開発関連)

アサヒ飲料㈱は成長戦略として「確固たるブランドの育成」を掲げ、「重点6ブランドの育成」と「健康を軸とした商品開発」の2軸にて商品開発を行って参りました。

「重点6ブランドの育成」については、「ワンダ」、「三ツ矢」、「カルピス」、「十六茶」、「おいしい水」、「ウィルキンソン」の6ブランドを重点ブランドと位置付け、積極的なマーケティング投資を行う事で、より強固なブランドへの成長を目指して参りました。

発売20周年を迎えた「ワンダ」ブランドでは、『モーニングショット』、『金の微糖』などを中心とした主力商品の継続育成に加え、伸長するボトル缶市場に対して継続的に新商品の展開を行いました。『ワンダ モーニングショット』は、春・秋二回のリニューアルを行いました。2017年秋のリニューアルでは、新たに開発した「モーニングクオリティ製法(※1)」を採用することで、『ワンダ モーニングショット』の特長である「スッと飲めて、キリッと苦味。」が一段と強く感じられ、より朝にふさわしいおいしさへと進化しています。

ボトル缶市場に向けては、販売2年目となる老舗珈琲店「丸福珈琲店」監修の「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開いたしました。『微糖』、『ブラック』だけでなく、『芳醇ブレンド』、『キリマンジャロ100%』、『老舗の特製カフェオレ』等々の商品を発売いたしました。すべての商品で、「深煎りの極み」と呼ばれる「丸福珈琲店」独自の焙煎方法を参考にコーヒー豆を種類ごとに焙煎し、深煎り豆を中心に最適なバランスでブレンドしています。

また、コーヒーの多様化する消費者ニーズを踏まえ、コーヒーの新たな楽しみ方を提案するコーヒーゼリー飲料として『ワンダ シェイクゼリーコーヒー ほろ甘ブラック』、『ワンダ シェイクゼリーコーヒー まろやかキャラメル』の2品を発売いたしました。ペットボトル容器に入ったコーヒーゼリーに別付けされたミルクパウダーを加え、振る量やミルクの量を調整して自分好みの味や食感を楽しめる設計とし、若年層や女性層のコーヒーユーザーの創出に挑戦しました。

「三ツ矢」ブランドにおいては、最重点商品である『三ツ矢サイダー』について、「唯一無二の国民的炭酸飲料ブランド」としての「透明炭酸ならではの爽快な美味しさ」の強化を目指しました。そのために「三ツ矢」の象徴である「矢羽根」をモチーフとした小さな三角形をあしらった新容器の採用や、慶應義塾大学との共同検証において、『三ツ矢サイダー』の飲用時に感じている「爽快な“気持ち(感性)”」を数値化することなどを実施しました。また、24時間以内搾汁の透明果汁を使用し果実そのままのおいしさを活かした「三ツ矢新搾り」シリーズを発売し、透明炭酸の商品力強化と新たな魅力のご提案に取り組みました。日本の各地域との取組みによる「特産三ツ矢」シリーズは、引き続き「産地・品種指定」「国産果汁」を約束とし、日本生まれ 安心・安全の強化をご提案し、果汁炭酸市場での「三ツ矢」ブランドの存在感の拡大を目指して参りました。

「カルピス」ブランドにおいては、コンクタイプの「カルピス」の果汁入りバリエーションとして、通年販売の『巨峰』、に加え、半年毎に『メロン』と『みかん』を開発するとともに、季節限定の『シチリア産レモン』『南国マンゴー』『青森産りんご』および歳暮向けの『はちみつレモン』を開発しました。また300ml容量の牛乳で割って飲む「牛乳と楽しむカルピス」2品(『白(プレーン)』『マンゴー』)を開発しました。ストレートタイプの果汁入りの「カルピス」としては『とけあう白桃&カルピス』『味わうメロン&カルピス』『味わうパイン&カルピス』『味わう葡萄&カルピス』『ミルク&カルピスいちご』を開発いたしました。また 「カルピス」そのものの美味しさをお楽しみいただく『濃いめのカルピス』を、また一方ではゼロカロリーですっきりとした美味しさの『ゼロカロリーのカルピス すっきり』も開発して、お客様の高い評価をいただきました。「カルピスソーダ」のバリエーションとしては、『白桃』『青りんご』『巨峰』を開発しました。また濃いめに炭酸で割った「カルピス」の美味しさをお楽しみいただく『カルピスソーダ濃いめ』も『濃いめのカルピス』同様にご好評いただきました。

これらに加え、17年度は「カルピス」由来の乳酸菌科学により選び抜かれた乳酸菌「Lactobacillus(ラクトバチルス) amylovorus(アミロボラス) CP1563株」を配合する事により、乳酸菌で体脂肪を減らす「カラダカルピス」を開発して「カルピス」ブランドの新しい価値を提供し、お客様の支持を得る事ができました。

「十六茶」ブランドにおいては、『アサヒ 十六茶』が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2017年で13年目をむかえました。無糖茶市場の流れをとらえ2016年までで6年連続2,000万箱を突破しました。 2017年は、「十六茶」の健康価値の更なる強化に向け、中味・パッケージともに変更し、ブランド価値に磨きをかけました。 中味は、「東洋健康思想に基づいた16素材の健康ブレンド」として、近年注目を集める健康素材「ゆりね」「エゴマの葉」を新たに採用し、「カフェインゼロ」というこだわりのもと、すっきりゴクゴク飲めるおいしさに仕上げました。

また、昨年に続いて『アサヒ 十六茶 ご当地素材ブレンド』を発売しました。全国を7地域(北海道、東北、関東・甲信越、中部・北陸、関西、中国・四国、九州・沖縄)に分けて、その地域で採れた素材をブレンドしたご当地商品です。本年は、ご当地ならではの味わいや楽しさをより強化しました。具体的には、7地域のアサヒ飲料の各支社とディスカッションを繰り返し、よりご当地らしい素材の選定や風味作りなど、現地でお客様と直接接している営業担当者の意見を参考に、各地域の特色を活かした商品力の強化を行いました。

「おいしい水」ブランドにおいては、『おいしい水 バナジウム天然水』もフレッシュ無菌パック製法に変更することにより、ブランド価値向上を図りました。また、『アサヒ おいしい水プラス』に当社独自の素材である「カルピス」の乳酸菌を加えた『アサヒ おいしい水プラス カルピスの乳酸菌』については甘さ・後味はすっきりで、かつ 飲みごたえを向上する改訂を行いました。また、伸長する炭酸とフレーバーウォーターの中間領域を狙い、『アサヒ おいしい水プラス カルピスの乳酸菌 スパークリング』を発売しました。

「ウィルキンソン」ブランドにおいては、炭酸水NO.1ブランドのもつ価値の更なる強化をめざし、ブランド固有価値“刺激の強さを極めた、本格炭酸水”の強化・定着を図りました。『ウィルキンソン タンサン』『ウィルキンソン タンサン レモン』に『ウィルキンソン タンサン ドライコーラ』を加え、3本柱の育成を行いました。

「健康を軸とした商品開発」については、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した商品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化しつつ「アサヒ飲料=健康に強みを持つ会社」というイメージの更なる醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。また研究開発の分野においては、「健康」価値の追求として“カラダの健康”だけでなく“ココロの健康”も含めた両面からのアプローチを行っています。

“ココロの健康”に関しては清涼飲料飲用時の様々な“ココロの動き(※2)”に着目し、研究を行っています。本年は当社の重点ブランドの一つである「三ツ矢サイダー」と「ワンダ」の飲用時のココロの動きを検証しました。「三ツ矢サイダー」については、慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 満倉靖恵准教授の協力のもと、炭酸飲料を飲んだ時に感じる「爽快な“気持ち(感性)”」を科学的根拠に基づき、数値化するモデルを構築することに成功しました。続いて、構築したモデルを基に『三ツ矢サイダー』飲用時の爽快な気持ちを調査した結果、飲用前と比べて飲用後は、より「爽快な“気持ち(感性)”」が持てるということを、世界で初めて実証しました。「ワンダ」については『ワンダモーニングショット』を一日のスタートである朝に飲むことで、いったいどのように気分が変化するのか、理化学研究所が開発した最新のITを駆使した調査手法「KOKOROスケール(※3)」を活用し、調査を行いました。調査の結果、特に『ワンダモーニングショット』を飲用した後に、「前向きな気分(※4)」が有意に増すことが示唆されました。「前向きな気分」が増加した理由として、“味の強弱”よりもコーヒーらしい味わいや、後味のスッキリ感などといった“味わいの好み”の方に相関が強い傾向があることも分かってきており、更なる検証を進めています。今後『ワンダモーニングショット』以外の飲料で比較検討も実施し、それぞれの飲料による気分の変化を数値化して把握、評価していく予定です。これらのデータを活用することで、より消費者ニーズに対応した商品開発に活かせることが期待できます。

“カラダの健康”に関しては、本年は「カルピス」由来の乳酸菌科学により選び抜かれた独自の乳酸菌「Lactobacillus(ラクトバチルス) amylovorus(アミロボラス) CP1563株」を配合した、体脂肪を減らす機能がある乳性飲料・『カラダカルピス』を開発し「カルピス」ブランド初の機能性表示食品として上市しました。発売後の購買実態に関する調査では、「カルピス」の甘く爽やかな味わいがカロリーゼロで楽しめることや、乳酸菌で体脂肪対策が出来る点などが40代の方を中心に支持され、実際に「おいしくて飲みやすい」「毎日続けて飲んでいる」といった声を頂き、期中に上方修正した年間目標(1,500千箱→2,000千箱)を概ね達成する1,982千箱を出荷しました。今後も引き続き、乳酸菌や酵母を中心としたアサヒグループの保有する確かなエビデンスを有する素材を活用した商品の早期展開を図って参ります。

㈱エルビーにおけるデイリーチルド及びロングライフ(LL)紙容器飲料では、基幹カテゴリーであるデイリーチルド無糖茶とLL飲料の宅配向け商品に、機能性表示食品の開発に取組ました。デイリーチルド無糖茶には、食事の糖と脂肪の吸収を抑える『食事のおともに緑茶(1L)』『食事のおともに烏龍茶(1L)』の2品を、宅配向けLL商品では『ヒザ関節の動きの悩みを緩和 グルコサミン乳酸菌飲料風味』、『肌の潤いに役立つ ヒアルロン酸ヨーグルト風味』、『手足の血流維持をサポート ヘスペリジン ゆずりんご風味』の3品を発売しました。

カロリーゼロのデイリーチルド紅茶飲料として売上を拡大している「大人の紅茶」シリーズでは、これまでの「カロリー0」と「糖質0」に「カフェイン0」も訴求に加えた「トリプル0」と商品コンセプトを強化し、お客様のより高い健康志向に対応すると共に、競合他社製品との差別化を図りました。

デイリーチルド乳飲料では、好評を得ている『毎日の朝バナナオレ』に続く、コップ1杯に半日分の鉄分を配合した『毎日の朝ベリーオレ』を発売し、「毎日の朝」シリーズとして売上を大きく伸ばしました。
デイリーチルド果汁飲料では昨年発売したこだわりの果汁をみずみずしいおいしさに仕上げた「潤う果実」シリーズが安定的にCVSに採用され、主力商品として育成されつつあります。

グループシナジーとしては、「カルピス」ブランドにて基幹商品となる「味わいカルピス」の強化策として、牛乳を加えよりまろやかな味わいに仕上げたリニューアルの実施に加え、『白桃』、『フルーツミックス』、『マスカット』、『いちご』の4フレーバーを発売し、CVS向けに500ml容器での展開も開始しました。その他、CVS企業限定で『1日不足分のカルシウム&カルピス』を発売し、毎日の健康に配慮しながら濃厚な味わいが楽しめる500ml商品の充実を図りました。「カルピス」ブランド以外では、「なだ万」監修の『甘酒・塩仕立て』、『甘酒・柚子仕立て』、『冷やしあめ・金柑仕立て』の3品を発売し、新たな商品領域への参入を図りました。

また、グループ外の企業とのアライアンス強化にも取組み、ハウスウェルネス社のライセンスを受け『C1000 Lemon Squeeze 』カップ飲料を発売し、新たな顧客獲得を図りました。

※1濃縮したコーヒー成分を加え、ミルク分を超微粒子化する製法で、コーヒー感の強化と後味のスッキリ感の向上につながります。
※2「ココロの動き」:「飲用時、飲用後の感じ方の変化」を表しています。
※3「KOKOROスケール」:個人の主観的な気分を時間・場所を選ばずスマートフォンなどで簡単に入力できる理化学研究所が開発した気分測定ツールです。
※4「前向きな気分」:本調査では積極的な気分やスッキリとした気分などを含んだ、一般にいうポジティブな考え方や心境のことを表現しています。

 

(技術開発関連)

アサヒ飲料㈱では「強靭な収益構造の確立」を目指し、生産効率の最大化と操業度向上に向けた技術開発を行って参りました。具体的には、アセプティックPET200mlボトルの開発を行い、軽量化によるPET使用量の削減を行うとともに、自社製造可能品種の拡大による操業度向上を可能にしました。また、製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と有害微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究についても継続して取り組んで参りました。これらの研究成果が認められ、「野菜果実飲料における耐熱性芽胞形成細菌のリスク評価」に関する研究論文が2017年日本缶詰びん詰めレトルト食品協会逸見賞に選ばれました。同賞は前年度に公表された関連論文を対象に審査を行い、業界発展に貢献した優秀論文を表彰するものです。美粧性を追求した容器開発としては、ブランドイメージとユーザビリティーを両立した、カルピスウォーターPET500mlボトルを開発し、2000年の発売以来17年ぶりとなるリニューアルを行いました。当容器は(公財)日本デザイン振興会2017年度グッドデザイン賞を受賞しました。また、三ツ矢サイダーPET500ml・430mlボトルにブランドロゴである矢羽根をイメージした加飾を施した容器を市場展開するなど、マーケティング戦略と連動した容器開発を行っています。

さらに、環境配慮型の資材開発においては、循環型社会に繋がる環境負荷低減として、植物由来原料を使用した資材開発を継続しています。昨年に引き続き『三ツ矢サイダー』PET1.5L製品に使用するボトル、キャップ、ラベルの全資材に植物由来原料を採用した商品を一部展開しており、本年はラベルにポリ乳酸を採用することで大幅にバイオ度を向上させました。この取組は、(公社)日本包装技術協会 2017年日本パッケージングコンテスト ジャパンスター賞、(公財)日本デザイン振興会2017年度グッドデザイン賞、World Packaging Organisation 主催 World Star Awardを受賞しました。

自動販売機開発では、三ツ矢サイダー等の商品をよりすっきりと美味しく飲んで頂く事を目的に、自動販売機の庫内温度を従来よりも4℃低くした“強冷自販機”を夏季限定で展開しました。展開した全ての月で前年比の売上を上回る結果となっており、来年以降も強冷自販機の展開を継続、お客様により良い商品を御提供して参ります。

 

[食品事業]
(商品開発関連)

アサヒグループ食品㈱のタブレット・菓子カテゴリーでは、錠菓市場シェアNo.1ブランド「ミンティア」のさらなる成長のため、新シリーズとして「ミンティアEXCARE」を投入しました。本シリーズは、“はたらくノドに。スマートタブレット”という新習慣を提案しており、『ミンティアEXCARE ハーブミント』は、18種類のハーブミックスエキスのほか、キキョウエキス、カリンエキスを配合、のどに広がる爽快感をお楽しみいただける味に仕上げました。また『ミンティアEXCARE ミルクミント』は、18種類のハーブエキスのほか、マヌカハニー、乳酸菌を配合、のどに潤い感を実感いただける味としました。

またスープカテゴリーにおいては これまでの「おどろき野菜」シリーズに加えて、“糖質ゼロの麺”を使用した「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズを投入、『おどろき麺0(ゼロ) 香ばし醤油麺』と『おどろき麺0(ゼロ) 酸辣湯麺』の2品を発売いたしました。本商品には、寒天とこんにゃくで作ったプルプル食感の糖質ゼロの麺を使用、具材とスープが麺に絡み、本格的な味わいを楽しめる商品に仕上げました。

栄養調整食品カテゴリーの「クリーム玄米ブラン」からは、しっとりした食感で濃厚なブラウニーの味わいが楽しめる『クリーム玄米ブラン イチゴのブラウニー』を発売いたしました。

サプリメントカテゴリーにおいては、「ディアナチュラ」ブランドから『ディアナチュラベスト 49アミノ マルチビタミン&ミネラル』を発売いたしました。本商品は「ディアナチュラ」シリーズ最大の49種の栄養成分がまとめて摂取できる商品となっており、18種類のアミノ酸、12種類のビタミン、9種類のミネラルに加えて、10種類の乳酸菌を配合しております。また、ディアナチュラスタイルシリーズからは『ディアナチュラスタイル 葉酸×鉄 カルシウム 20日分』を2017年春に発売したところ非常に好評をいただき、秋に大容量品として60日分を投入いたしました。本商品は妊娠・授乳期に必要な栄養成分がまとめて摂れる商品となっております。また、2015年4月にスタートした機能性表示食品制度の新商品としては『ディアナチュラゴールド大豆イソフラボン』を発売しました。

フリーズドライ食品カテゴリーでは、主力である「みそ汁」カテゴリーのブランド強化、素材を活かしたスープの開発など、フリーズドライの優位性が発揮できる新価値の提案に取り組みました。流通向けでは、「うちのおみそ汁」ブランドから『あおさ』を、「いつものおみそ汁」ブランドから『3種のきのこ』を、「味わうおみそ汁」ブランドから『炙り鶏だんご』を、それぞれ追加で発売しました。フリーズドライスープの新ブランドとして、素材本来の旨みを引き出した“うまみ”あふれるスープをコンセプトに、「Theうまみ」シリーズを開発し、アイテムは『たまごスープ』『海藻スープ』『コーンスープ』を揃えました。また、5食入りのまとめ売りアイテムとして「きょうのスープ」シリーズを開発し、『たまごスープ5食』『減塩たまごスープ5食』を発売しました。通販向けでは、次世代にむけてのトライアルと位置付けて新価値の提案に取り組みました。お湯をかけるだけで揚げ物カツの食感を味わえる「カツ」シリーズとして、『チキンカツカレー』を発売しました。この商品は、長年培ってきたフリーズドライ製法の研究開発により実現し、多くのメディアで紹介されました。「おみそ汁」では、主力ブランドのおみそ汁「まごころ一杯」シリーズの定番タイプ・減塩タイプをリニューアルして、発売しました。これらの商品は、値上げと同時に風味をアップさせ、こだわりの国産具材のおいしさをさらに引き出したものになっています。新ブランドでは、「金のだし」シリーズから『焼なす』『なめこ』『あおさ』『五種の野菜』『ほうれん草』を発売しました。これらの商品は、「重ねだし製法」を用い、かつおだしの「旨み」と「香り」が堪能できるおみそ汁になっています。さらに、アマノフーズの汁物では最高価格帯のシリーズとして「絶品」ブランドを開発し、『さつま汁』『粕汁』『けんちん汁』を発売しました。これらの商品は、こだわりの食材のおいしさを最大限に引き出すことで、素材の味を活かしたコク深い、まさに絶品の味わいを実現しました。その他、通販ならではの商品として、季節の食材を楽しんでいただける「四季のみそ汁」シリーズや、「たっぷりにゅうめん」シリーズ、「炊き込みご飯」シリーズなどを発売しました。また「健康軸商品」では、「ラクトトリペプチド(LTP)(※1)」を配合した塩分1%未満の減塩みそ汁「やさしいおみそ汁」シリーズから、『とうふ』『野菜』『なす』『かきたま』『きのこ』の5アイテムを、3月に日本初(※2)の機能性表示食品のおみそ汁として発売しました。現在、通販向けの「定期便」の目玉商品として多くのお客様にご支持をいただいています。

ベビーフードカテゴリーでは、「子どもに安心な設計のものを選びたい」「離乳食を簡単に手作りしたい」、「時短したい」というようなニーズをとらえ、ベビー用乾めん『らくらくまんま』全3品(そうめん、うどん、マカロニ)を販売し、ご好評をいただいております。その他にも、好きな食材を加えてフライパンひとつで簡単におかずがつくれ、一歳から大人まで一緒に安心しておいしく召し上がれる簡単合わせ調味料『おやこdeごはん』全7品、素材を裏ごししたフリーズドライのベビーフード「はじめての離乳食」から、『はじめての離乳食 裏ごしにんじん』、おでかけに便利な飲みきりサイズのジュレ飲料『1歳からのMYジュレドリンク』全3品を販売いたしました。

シニア向けカテゴリーでは、高齢者の介護食に対する悩みを解決するため、“全ての人がいつまでもおいしく食べられること”を目指して、和光堂ブランドとして「食事は楽し」シリーズを展開してきました。シニア向け市場全体の更なる発展と、シニアカテゴリーの中で最も信頼のあるブランド確立を目指し、「安全性」と「簡便性」、「栄養バランスサポート」、「おいしさ」にこだわった、“アサヒのおいしい介護食”として介護食を『バランス献立』シリーズ(全33品)に刷新いたしました。

粉末飲料カテゴリーでは、「牛乳屋さん」シリーズから、お湯や水で溶かすだけでミルク感たっぷりのやさしい味わいが楽しめる『牛乳屋さんのロイヤルミルクティー』、『牛乳屋さんのやさしい珈琲』、『牛乳屋さんのやさしいミルクティー』3品をリニューアルいたしました。

 

※1:アサヒグループの乳酸菌研究より発見された、血圧を低下させる機能があると報告されている乳由来の機能性関与成分
※2:機能性表示食品として消費者庁に届出られたもののうち、おみそ汁としては日本初。
 

(技術開発関連)

アサヒグループ食品㈱では、フリーズドライ食品『いつものおみそ汁 なす』が、OMOTENASHI NIPPON実行委員会(※1)が主催する「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)」の2017年度第3期商品部門において、金賞を受賞しました。また、フリーズドライ技術の研究成果を、日本食品科学工学会 第64回大会にて発表し、日本食品工学会誌にて論文掲載されました。さらに、フリーズドライ食品の成分や、おいしさの研究成果を、日本食品工学会 第18回大会や日本味と匂学会 第51回大会にて発表しました。

 

 ※1 OMOTENASHI NIPPON実行委員会:ENGAWA(株)、(株)サニーサイドアップ、(株)博報堂、(株)フランチャイズアドバンテージ、(株)プラスディー(50音順)が運営しています。

 

[新規素材]

アサヒグループホールディングス㈱では、酵母、乳酸菌、フローラ、独自素材をコアとした研究開発を通して人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指しています。その中で、コアテクノロジー研究所では、「ビール酵母」の最外側にあり細胞を殻のように覆う「ビール酵母細胞壁」に着目し、人への健康効果を検証しました。その結果、「ビール酵母細胞壁」には、疲労感を軽減させる効果があること、また免疫力を向上させる可能性があることを明らかにしました。この研究成果を、日本食品免疫学会第13回学術大会で発表したところ、優秀な研究成果に贈られるポスター賞を受賞しました。免疫力の低下は、加齢やストレス、疲労などと深く関わっていることが知られています。「ビール酵母細胞壁」を活用した健康食品の開発により、人々の日々の健康に役立ててまいります。

当社が保有する枯草菌C-3102株(納豆菌と同種に分類されます)は、生きて腸まで届き、軟便者の腸内フローラの多様性を高めることや、腸内有用菌であるビフィズス菌を増やすことが確認されています。このC-3102株がビフィズス菌を増やすメカニズムの解明を目指し、ビフィズス菌増殖物質の探索に取組み、C-3102株がつくり出す2種類の環状ペプチド に、ビフィズス菌を増殖させるはたらきがあることを発見しました。この研究成果を第69回日本生物工学会大会にて発表しました。なお環状ペプチドにビフィズス菌を増殖させる作用があることを確認したのは、本研究が世界で初めてです。

当グループのコア技術の一つである乳酸菌を通じて人々の心と体の健康に貢献する商品、技術を提案することを目的に、コアテクノロジー研究所で、有用な独自乳酸菌の活用研究を行い、またプロセス開発研究所では、それら有用乳酸菌に対し、目的物質を高生産させる培地組成の検討や、量産化に向けた培養制御技術開発等に取り組んでいます。具体的には、アサヒ飲料社から2017年4月に発売した「カラダカルピス」の乳酸菌素材の商業生産に繋げました。

 

[食の安心安全]

食品の安全性に対するお客様の期待が高まる中、分析技術面からフードディフェンスの強化を目指しています。本年度は、特にLC-QTOF-MSやMALDI-TOF-MSなどの最新分析機器と、独自に構築した化学物質データベースを駆使することで、製品に洗剤や市販農薬を混入された際に、混入成分の迅速かつ網羅的な検出が可能となりました。また、水・原料・製品の安全性を正確かつ迅速に評価するために、最先端の分析技術を駆使し、微生物、残留農薬、残留動物用医薬品、カビ毒、有害金属、その他食品リスクに関する分析体制を常に更新しています。更に、各種学会や公的研究機関とも密な情報交流を行っており、食品リスクや新規技術に関する情報収集に役立てています。これらの活動を通じて、海外事業を含めたグループ各社の品質保証部門と連携し、アサヒグループ全体の品質保証体制の充実に貢献してまいります。

 

[新規事業] 

既存事業の副産物として発生する酵母細胞壁を環境調和型の農業資材に加工する技術を確立し、2017年3月に本技術を用いて肥料原体の製造販売を行う新会社アサヒバイオサイクル㈱を設立いたしました。本技術は酵母細胞壁に独自の特許技術である水熱反応処理を施すもので、この反応による生成物が植物の成長や病害抵抗性の向上を促すことを通じて収量の増加や農薬使用量の削減に貢献することから、2016年度に地球環境大賞・農林水産大臣賞を受賞しています。本技術を用いてアサヒバイオサイクル㈱が製造する肥料原体「CW1」は、取引先肥料メーカーを通じて農業法人やゴルフ場等へ納入され高い評価をいただいております。
 バイオエタノールに関する研究開発では、2017年12月より日本材料技研㈱へ対して当社の砂糖とエタノールの同時増産を実現する“逆転生産プロセス”の技術供与を開始いたしました。本技術は2013年度に地球環境大賞(グランプリ)を受賞し製糖産業など多くの関係者から関心を集めてきたもので、今後は革新的技術の実用化実績を有する日本材料技研㈱を通じて事業化を進めてまいります。
 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。

(2) 当年度の経営成績の分析

①売上収益

アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比22.1%増3,779億7千5百万円増収2兆848億7千7百万円となりました。酒類事業においては、ビール類以外の酒類やアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年実績を上回りましたが、夏場の天候不順の影響などによるビール類の販売数量の減少により、前期比0.8%減77億9千万円減収9,688億5千8百万円となりました。飲料事業においては、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回ったことにより、前期比2.9%増106億1千1百万円増収3,745億1千7百万円となりました。食品事業においては、主力ブランドを中心に好調に推移し、前期比2.7%増の1,137億8千5百万円となりました。国際事業においては、国際事業の売上収益は、オセアニア事業が好調に推移したほか、新たに取得した欧州事業の業績の上乗せもあり、前期比148.1%増6,211億1千2百万円となりました。その他の事業においては、健康食品に関する販売促進費の増加などにより、前期比3.8%増38億6千1百万円増収1,061億4千1百万円となりました。

②事業利益

当年度の事業利益は、前期比32.2%増478億8千2百万円増益1,963億6千8百万円となりました。酒類事業においては、売上収益の減少はありましたが、広告販促費の効率化や原材料を中心としたコストダウンなどの取組みにより前期比0.6%増6億9千3百万円増益1,215億1千6百万円となりました。飲料事業においては、増収効果のほか、品種・容器構成比の改善や最適生産体制の推進による操業度向上などの製造原価低減の取組みにより、前期比18.5%増59億8千5百万円増益383億2千1百万円となりました。食品事業においては、増収効果に加えて、広告販促費の効率化や製造原価の低減などの取組みにより、前期比13.4%増13億7千万円増益116億2千6百万円となりました。国際事業においては、中東欧ビール事業の買収に伴う取得関連費用などが発生しましたが、欧州事業の業績の上乗せにより、前期比、434.0%増535億8千9百万円増益659億3千8百万円となりました。その他の事業においては、前期比0.4%減8百万円減益19億9千2百万円となりました。

③営業利益

営業利益は、欧州事業の利益の上乗せに加え、各事業の増益や関係会社株式売却益などにより、前期比33.8%増463億2百万円増益1,831億9千2百万円となりました。

④税引前利益

当年度の税引前利益は、金融収益が前期比67.6%増21億円増加52億6百万円となった一方で、金融

費用が前期比155.0%増63億2百万円増加103億6千8百万円となったことに加え、持分法による投資損益

が前期比46.6%減9億1千9百万円減益10億5千5百万円となりましたが、持分法で会計処理されてい

る投資の売却益が前期比47.1%増、57億3千4百万円増益178億9千8百万円となったことにより、31.3%増469億1千6百万円増益1,969億8千4百万円となりました。

⑤親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加に加え、持分法適用会社の株式売却益などにより前期比58.0%増517億8千2百万円増益1,410億3百万円となりました。
 また、基本的1株当たり利益は307.78円(前年同期194.75円)となり、親会社所有者帰属持分比率は34.2%(前年同期39.9%)となりました。

(3) 財政状態の分析

①総資産

当年度の連結総資産は、中東欧事業(注)を新たに連結範囲に含めたことにより各資産の増加があり、総資産は前年度末と比較して1兆2,524億9千万円増加の、3兆3,468億2千2百万円となりました。

②負債

負債は、主に中東欧事業買収に伴って社債及び借入金が増加したことにより、前年度末と比較して9,458億4千7百万円増加し、2兆1,940億7千4百万円となりました。

③資本

資本は、前年度末に比べ3,066億4千2百万円増加し、1兆1,527億4千8百万円となりました。これは、当年度の親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したことなどによるものです。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は34.2%となりました。

 (注)中東欧事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

2016年12月期

2017年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

39.9

34.2

時価ベースの親会社所有者帰属
持分比率(%)

80.7

76.5

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

4.1

5.7

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

42.2

41.4

 

(注) 親会社所有者持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 ※  各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 ※  株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 ※  キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

②資金の調達

アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなりますが、当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げております。しかしながら、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。資金需要の発生した時点で、金利コストの最小化を図れるような調達方法を熟慮し、資金需要に対応しております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。

③資金の流動性

当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

(5) 戦略的現状と見通し

2018年度は、「中期経営方針」に基づいて、国内3事業の収益基盤の盤石化と国際事業の成長エンジン化による「稼ぐ力」の強化を図り、事業全体で着実な増収・増益を目指します。また、資本コストを踏まえた資産・資本効率の向上やサステナビリティの向上を目指したESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みを強化することで、“企業価値向上経営”の更なる深化を目指していきます。

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。