第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。

その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、平成28年1月に特定した「CSRの5つの重要課題(安全・安心な食品づくり、食とスポーツで心と体の元気を応援、従業員が生き生きと活躍できる職場、将来世代の食の確保、地球環境の保全)」への取り組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、平成30年4月よりスタートした「中期経営計画2020」(平成30年4月1日~平成33年3月31日)の最終年度において、連結売上高1兆4,100億円、営業利益560億円、売上高営業利益率4.0%、ROE7.0%以上の目標を掲げております。

(注) 1 当社は、平成31年3月期第1四半期連結会計期間の財務諸表より、国際会計基準(IFRS)を任意適用する予定であり、平成33年3月期の連結業績予想はIFRSに基づき作成しております。

     2 「中期経営計画2020」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、平成30年4月に「未来につなげる仕組み作り」をテーマとした「中期経営計画2020」を策定いたしました。

今後の経営環境を見通すと、国内においては消費税率の引き上げ、TPP11・日欧EPAなどの自由貿易の進展による輸入関税の撤廃・大幅引き下げとそれによる国内第一次産業への影響、高齢化と人口の減少、流通チャネルの変化など、国外においては新興国の経済成長や人口増加による購買力の向上と需給バランスの変化、気候変動による飼料価格の上昇など、当社グループに多大な影響を及ぼす環境の変化が予想されます。

このような環境下において、平成30年4月よりスタートいたしました「中期経営計画2020」は、「新中期経営計画パート5」で推進した成長戦略をさらに加速させるだけでなく、大きく変化し続ける国内外の社会環境の中で、当社グループが将来にわたり事業を継続するため、また、持続可能な社会の実現に向け、食と健康の面から貢献するために、長期的視点に立ち、当社グループが未来の社会の中でどうありたいかを考え、そこからのバックキャスト(逆算)で経営方針を策定しました。その実現のために、各事業本部の方針はグループ全体の経営方針と有機的にリンクするものとし、これを支えるための仕組みとして、グループ横断型の機能戦略を実行してまいります。そして、環境、戦略が変化しても変わることのない経営の基盤として、引き続き「品質No.1経営」を推進し、商品の品質だけでなく経営、人財の品質をさらに高め、またコーポレート・ガバナンスを継続的に強化してまいります。これらの取組みを当社グループが一丸となり推進し、未来につなげるための企業変革を持続的に行ってまいります。

 

 

〈経営方針〉

①既存事業の効率化による収益力の強化

当社グループの事業・商品、販売チャネル・エリア、またバリューチェーンについて、中長期かつ全社的な視点で、強化していく領域、新たに取り組む領域、また収益が厳しい領域への対応を検討し、実行してまいります。

②消費者との対話を通じた価値の創造

当社グループが提供する商品・サービスを通して、より良い社会の実現と収益力の向上を目指すために、消費者理解を進め、これを根幹に据えた消費者の価値に繋がる事業活動を実践してまいります。

③食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成

将来想定される社会環境の変化を把握し、新たな商品カテゴリーの展開、生産効率向上のための技術開発、将来必要となる技術の基礎研究などを進め、当社グループの強みとして確立してまいります。

④海外市場展開のギア・チェンジ

当社グループとして、日本を含むグローバルの視点でマーケットを捉え、国内外の事業本部間の協業をベースにグローバル展開を進めてまいります。

⑤ 持続可能性(サステナビリティ)の追求

CSRを「社会と企業の持続的な繁栄に向けた経営そのもの」として捉え、当社グループが特定した「CSRの5つの重要課題」を軸に、事業を通じた社会課題の解決を推進してまいります。

 

〈機能戦略〉

①戦略性・実効性の高い経営を実現する仕組みの強化

社会環境の変化を捉え、全社俯瞰の視点から、戦略性・実効性の高い経営を実現する仕組みを強化します。また、経営機能の透明性、適切性を高めてまいります。

②事業の持続可能性を高める仕組みの強化

将来を見据えた設備投資や技術を高めるための投資とともに、人的資本への投資、人員構成の最適化を図ります。また、事業拡大のために国際基準やグローバル化に適用する品質保証体制を確立するほか、様々なお取引先とのネットワークを拡大します。成長戦略を支えるための、財務戦略、資本戦略の高度化も図ってまいります。

③企業価値最大化のための情報発信の仕組みの強化

当社グループのブランド価値を高めるとともに、事業活動や取組みについて、ステークホルダーの皆様により理解していただくための情報発信、コミュニケーション機能を強化し、企業価値の向上につなげてまいります。

 


 

(4)株式会社の支配に関する基本方針について

①基本方針の内容

当社の株式は譲渡自由が原則であり、株式市場を通じて多数の投資家の皆様により、自由で活発な取引をしていただいております。よって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な量の株式を取得する買付提案等があった場合は、賛同されるか否かの判断についても、最終的には株主の皆様の自由な意思に依拠すべきであると考えております。

一方、当社は、顧客の皆様やお得意先様に対し安全で安心な商品を安定的に供給し豊かな食生活の実現を通して社会に貢献していきたいと考えており、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。したがって、当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。

 

②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値向上のため、以下の取組みを実施しております。

 

「当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組み」

 

当社は、中長期的視点による継続的な投資、長年培ってきた経験やノウハウの承継、様々なステークホルダーとの信頼関係等を基盤として、食肉事業を中心とする「食」の事業領域で、その生産から販売までの一貫体制(インテグレーション)と、そのインテグレーションを基盤とした食糧の安定供給力及び国内外で確立した品質保証体制という当社の企業価値の源泉を形成してまいりました。

当社は、それらの企業価値の源泉を基軸に、前記「(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載の諸施策を遂行することにより、さらなる企業価値の向上につなげてまいります。

 

 

「コーポレート・ガバナンス強化による企業価値向上の取組み」

 

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上させるためには、当社グループが最適と考えるコーポレートガバナンス体制を構築し、機能させることが不可欠であり、基本的な考え方と枠組みをまとめた「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、公表するとともにその充実に継続的に取り組んでおります。

当社グループのコーポレート・ガバナンスは、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確化することを基本としております。一例として、取締役会には複数名の社外取締役を選任するほか、取締役会の機能を補完するための任意委員会を設けており、特に、「報酬検討委員会」及び「役員指名検討委員会」については、委員の過半数を独立社外役員で構成し、かつ社外取締役を委員長としております。また、監査部監査以外に、品質、環境など機能別に実施するモニタリングの充実、社外役員を含めた全役員に重要情報(業務上の損害や事故、トラブルなどの非日常な事象に関する情報)を迅速に共有する体制を整備することで、業務執行の適正性を確保しております。

 

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

当社は、平成27年5月11日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。)の継続導入を決議し、平成27年6月25日開催の第70回定時株主総会においてご承認いただき継続導入いたしました。

本プランは、当社取締役会が、大規模買付者(下記に定義します。)より事前に大規模買付提案(下記に定義します。)に関する情報の提供を受けた上で、大規模買付者との交渉及び大規模買付提案の検討を行う期間を確保し、大規模買付提案が当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資するものか否かの判定を行うことを第一の目的としております。これに対し、大規模買付者が事前の情報提供や予告なく大規模買付行為(下記に定義します。)を開始する場合や、大規模買付行為により当社の企業価値・株主共同の利益の毀損を回避することができないことが客観的かつ合理的に推認される場合には、対抗措置として一部取得条項付新株予約権(以下、「本新株予約権」といいます。)の無償割当てを行うこととするものです。

本プランの概要は以下のとおりです。

(a)本プランの対象となる大規模買付者

当社議決権割合が20%以上となることを目的とする当社株式の買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます。)を行う者(以下、「大規模買付者」といいます。)が対象となります。

(b)必要情報提供手続

当社取締役会は、大規模買付者の買付提案書の提出から10営業日以内に、大規模買付者に対し、大規模買付行為に係る買付提案(以下、「大規模買付提案」といいます。)に係る情報(以下、「本必要情報」といいます。)の提供を求め、大規模買付者は、原則60日以内(最長30日延長できるものとします。)に本必要情報を提供するものとします。なお、大規模買付者から提出された本必要情報が十分かどうか、当社取締役会が要求した本必要情報の内容・範囲が妥当かどうか、及び、必要情報提供期間を延長するかどうかについては、当社取締役会が企業価値向上委員会の助言及び勧告を受けながら決定いたします。また、当社取締役会が本必要情報の追加の要請をした場合に、大規模買付者から本必要情報の一部について提供が困難である旨の合理的な説明がある場合には、当社取締役会が要求する本必要情報が全て揃わなくても、本必要情報の提供を完了したと判断し、当社取締役会による検討を開始する場合があります。

(c)取締役会による検討手続

当社取締役会は、最長60日間(対価を現金(円貨)のみとする場合)又は最長90日間(その他の方法による買付提案の場合)(以下、総称して「取締役会検討期間」といいます。)で大規模買付者及び大規模買付提案の検討を行い、当社取締役会としての意見の公表、大規模買付者との交渉及び代替案の提示を行うものとします。

 

(d)企業価値向上委員会による勧告の尊重

独立社外者から構成される企業価値向上委員会は、当社取締役会に対し勧告を行い、当社取締役会はその判断の際には当該勧告を最大限尊重します。

(e)大規模買付者による大規模買付行為の制限期間

大規模買付者は、取締役会検討期間終了まで、また、企業価値向上委員会から対抗措置の発動・不発動に関して当社株主の皆様の意思を確認すべき旨の勧告がなされた場合には、当該意思確認の手続が完了する時まで、大規模買付行為を開始してはならないものとします。

(f)対抗措置の発動及び不発動

当社取締役会は、企業価値向上委員会において対抗措置発動要件に該当する事情が存在する旨の勧告が行われた場合には、当該勧告を最大限尊重して、対抗措置として本新株予約権の無償割当てを決議します。但し、企業価値向上委員会において対抗措置発動に関して株主の皆様の意思を確認すべき旨の勧告がなされた場合には、当社取締役会は、株主総会において株主の皆様の意思を確認するものとし、対抗措置の発動に賛同する決議が得られた場合に本新株予約権の無償割当てを決議します。

一方、企業価値向上委員会において対抗措置発動要件のいずれかに該当する事情が存在する旨の勧告が行われない場合及び株主の皆様の意思を確認する株主総会において対抗措置の発動に賛同する旨の決議が得られなかった場合には、当社取締役会は対抗措置を発動いたしません。

なお、本新株予約権には、対抗措置発動要件を充足すると判断された大規模買付者に対する権利行使の制限、及び対抗措置発動要件を充足すると判断された大規模買付者以外の株主の皆様から本新株予約権と引き換えに当社株式を交付することがあるという取得条項が付されています。

(g)本プランの有効期限

本プランの有効期限は、平成30年6月26日開催の当社定時株主総会終結の時までとします。

④本プランに対する当社取締役会の判断及びその判断に係る理由

当社取締役会は、下記の理由により、本プランが基本方針に沿い、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないものと判断します。

(a)本プランは、経済産業省及び法務省から公表された「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」や経済産業省に設置された企業価値研究会が公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」に沿った内容であること。

(b)本プランは、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が不適切なものでないか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保し、かつ、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることにより、株主共同の利益の確保・向上を図るという目的をもって導入されたものであること。

(c)株主意思を十分に尊重していること

 本プランは、平成27年6月25日開催の第70回定時株主総会において承認されたものであること。また、対抗措置を発動するか否かの判断について、企業価値向上委員会の勧告があった場合、株主総会において株主の皆様の意思確認を行うとしていること。加えて、その有効期間を平成30年6月に開催される当社定時株主総会終結の時まで(但し、それまでに当社取締役会又は株主総会にて本プランを廃止する旨の決議をした場合はその時まで)と設定し、今後も、当社株主総会において、本プランの継続又は修正に関して株主の皆様の意思確認を行うとしていること。

(d)本プランにおいては、当社に対する大規模買付行為が行われた場合、独立社外者で構成される企業価値向上委員会が、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するか否かなどの実質的な判断を行い、当社取締役会はその判断を最大限尊重して、対抗措置の発動・不発動を判断することとしていること。さらに、企業価値向上委員会は当社取締役会の恣意的行動を厳しく監視するとともに、その判断の概要については株主の皆様に情報開示をする仕組みにしていること。

(e)本プランは、合理的かつ詳細な対抗措置発動の客観的要件の充足が企業価値向上委員会において判断されない限り発動されないように設定されており、かつ、同様に対抗措置不発動要件も設定されているため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みが確保されていること。

 

(f)本プランは、1年の任期である取締役から構成される当社取締役会の決定により廃止することが可能となっており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型買収防衛策(取締役会を構成する取締役を一度に交替させることができないため、その発動を阻止するために時間を要する買収防衛策)などの経営陣による買収防衛策の廃止を不能又は困難とする性格を有するライツプランとは全く性質が異なること。

(g)企業価値向上委員会は、当社の費用で、独立した第三者専門家の助言を受けることができ、これにより企業価値向上委員会による判断の公正さ及び客観性がより強く担保されていること。

⑤買収防衛策の非継続(廃止)について

当社は、「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下、「本買収防衛策」といいます。)について、平成18年6月28日開催の第61回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき導入いたしました。その後、直近では平成27年6月25日開催の第70回定時株主総会の決議により本プランを継続導入いたしました。

当社は、本買収防衛策の導入以降も、新中期経営計画の策定やその着実な実行による企業価値の向上、自己株式の取得・増配などの株主還元の充実、コーポレート・ガバナンスの強化に積極的に取り組んでまいりました。さらに、本買収防衛策導入以降の当社を取り巻く経営環境び変化や買収防衛策を取り巻く近時の動向、株主の皆様のご意見、さらに当社と独立した関係にある社外委員で構成される企業価値向上委員会の意見を踏まえ、本プランの継続の是非も含め、その在り方について慎重に検討してまいました。その結果、当社は、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保にあたって本買収防衛策の必要性が相対的に低下したものと判断し、本プランの有効期間が満了する本年6月26日開催の第73回定時株主総会終結の時をもって、本プランを継続せず、廃止することを決議し、第73回定時株主総会終結をもって、廃止いたしました。

本プランの廃止後も引き続き、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状況などに影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがありますが、これらに限られるものではありません。また、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 (1) 商品市況リスク

当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心に取り扱っており、販売用食肉はもとより、ハム・ソーセージ、加工食品などの原材料にも食肉が使用されているため、畜産物の相場変動によるリスクがあります。さらに、これらの食肉を供給する国内および海外の生産飼育事業においては、商品市況はもちろん、飼料価格や原油価格の変動にも影響を受けることとなります。また、当社グループが取り扱う水産物や乳製品についても、商品市況や原材料の価格変動リスクなどがあります。

これらの価格変動リスクに対して、商品調達ルートの分散化、高付加価値商品の開発やブランド化、お客様視点のマーケティング戦略の確立、商品先物契約の利用などに努め、また、商品需要の変動を見越した安定的な原材料の確保、食肉の適正在庫水準の維持などを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。

上記に加えて、家畜の疾病(BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢など)の発生やセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された場合などには、畜産市場全体ならびに当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (2) 安全性のリスク

当社グループは「OPEN品質」~開かれた食品づくり~を推進しお客様の期待と信頼に応えることを基本とし、グループの品質方針として、「法令の遵守」「品質保証ネットワーク」「客観的評価」「履歴管理」「お客様とのつながり」を定めています。この方針に従い、外部認証(ISO、HACCPなど)の取得や、食肉をはじめハム・ソーセージ、加工食品に使用する原材料のトレーサビリティーシステムを構築して原材料からの安全・安心の確保に取り組むほか、フードディフェンスの強化など、厳しい品質保証体制を構築しており、品質向上の取組みを一層強化し、安全性の確保に努めております。さらには万が一当社グループが提供する商品などに問題が発生した場合は、速やかな情報開示と拡大防止策の徹底など、お客様の安全を第一に考えた対応を行っております。

しかしながら、こうした当社グループの取組みを超えた事象の発生や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (3) 資材調達などに係るリスク

当社グループは、生産の効率化や在庫ロス・物流コストの削減に常に取り組んでおります。しかしながら原油高などにより資材費や燃料費、物流費が高騰しコスト削減努力でも補えない場合や、それらを販売価格に転嫁できない場合などには、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (4) 為替リスク

当社グループがおこなう外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場の変動の影響を受ける場合があります。

これらの為替相場の変動リスクを軽減するため、為替予約、通貨スワップ契約、通貨オプション契約及び通貨金利スワップ契約などのヘッジ取引を利用しておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はなく、また当該リスクを軽減するためのヘッジ取引についても、想定した範囲を超えて為替相場が変動した場合には機会損失などの別のリスクが発生する可能性があります。

また、外貨建で作成されている海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する際の換算差額によって、連結財務諸表の株主資本が外貨換算調整勘定を通じて変動するリスクがあり、これら為替相場の変動要因によって当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

なお、当社グループはこれらの外貨建取引に係るリスクヘッジを行うための「為替リスク管理規程」を定め、為替相場を継続的に監視し、為替相場の変動リスクを定期的に評価しております。全ての先物外国為替契約、通貨スワップ契約、通貨オプション契約及び通貨金利スワップ契約は、当該「為替リスク管理規程」、取引権限及び取引限度額を定めた社内規程に基づいて行われています。

 

 (5) 金利リスク

当社グループは、必要資金の大部分を外部からの借入金などの有利子負債により調達しております。平成30年3月末時点での有利子負債額約1,109億円の大部分は固定金利であり、金利上昇による直接的な影響については当面軽微であると判断されますが、将来的な金利上昇局面においては資金調達における利息負担の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (6) 株価リスク

当社グループの保有している有価証券は取引先などの株式が中心であるため、市場価格の変動に基づく株価の下落リスクがあります。平成30年3月末時点では、全体として含み益の状態となっておりますが、今後の株価動向によっては当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、株式市場の低迷によって当社グループの年金資産の価値に毀損が生じた場合には、年金費用の増加や追加的な年金資産の積み増しが必要となる可能性があります。

 (7) 固定資産の減損損失リスク

当社グループが保有する固定資産の価値が経済情勢などの変化により下落した場合には、必要な減損処理を実施することになり、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (8) 自然災害や突発的事故及び社会的な制度などのリスク

当社グループは本邦を含む世界各国において事業活動を行っております。これらの事業活動地域においては、次の事象の発生リスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

・地震、洪水などの大規模な自然災害の発生及びそれらに起因する道路・港湾・鉄道などの社会的な基盤の損壊、ガス・水道・電気などの供給不能又は供給逼迫

・突発的な事故の発生など予期しない原因による、大気、水質、土壌などの環境汚染

・インフルエンザなどの感染性疾病の流行などによる社会的混乱

・予期しない法律または諸規制の設定または改廃

・予期しない不利な経済的または政治的要因の発生

・戦争、紛争、テロなどの発生による社会的又は経済的混乱

 (9) 情報漏洩リスク

当社グループは「個人情報管理規程」、「日本ハムグループ内部者取引管理規程」を設け、当社グループ役職員に対して、保有する個人情報や当社グループの重要情報の保護・管理を義務付け、コンプライアンス研修や階層別従業員教育などを通じ、厳正な情報管理に努めております。併せて情報システム上のセキュリティ対策や災害対策なども講じております。しかしながら、想定の範囲を超えるような自然災害、長期に渡る停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピュータウイルスの感染や不正アクセスなどによる情報の漏洩・改ざん・消失、長期にわたる情報システムの停止あるいは混乱などが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (10) コンプライアンスのリスク

当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取組みにおいては、当社の代表取締役社長が指名した役員をコンプライアンス委員会委員長として当社グループ全体を統括し、当社コンプライアンス部が当社グループ全役職員のコンプライアンス意識を高める施策を継続的に行うとともに、リスクを認識した場合には迅速に対応する体制を整えております。

しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (11) 環境問題のリスク

当社グループは「日本ハムグループ環境方針」を定め、持続可能な社会の実現に向けて環境と調和の取れた企業活動の推進に取り組んでおります。また、環境に関する外部認証(ISO14001)の取得や、外部機関からの適正性の評価の取得に積極的に取り組むとともに、当社CSR推進部による環境監査の実施など、環境と事業活動の調和に配慮した経営を推進しています。併せて、環境をはじめとしたCSRの課題についても適正性と透明性の確保に努めています。しかしながら、事故・過失などによる環境汚染やそれに対する原状復帰、損害賠償責任の発生、あるいは関係法令の改正による環境投資が大幅に増加した場合などにおいては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による各種政策の効果により、企業の業績は幅広い業種において改善が進み、景気は緩やかな回復が続きました。その一方で、世界経済の先行きや、地政学的リスク、政策に関する不確実性に起因する為替相場の変動など、経済環境は依然として予断を許さない状況が続いています。

当業界におきましては、一部原材料の価格上昇や、深刻な人手不足を背景とした人件費、物流費の上昇、販売競争の激化など、引き続き厳しい経営環境が続きました。

このような中、当社グループは、平成27年4月からの「新中期経営計画パート5」においてテーマとして掲げた「変革による骨太なビジネスモデルの構築」の実現に向け、2つの経営方針「国内事業の競争優位性の確立」と「グローバル企業への加速」に基づく事業活動を積極的に推進してまいりました。具体的な施策としましては、国内のファーム事業の強化、新商品の開発と販促、生産性の改善などコスト競争力の強化と収益力の向上、人材の育成やリスク管理の徹底などに取り組みました。また、「北海道日本ハムファイターズ」を活用した店頭販促に積極的に取り組むことや、企業メッセージTVCMの放映などを通じ、当社グループの認知度向上にも努めました。海外においては、ウルグアイの大手食肉処理会社であるBreeders & Packers Uruguay S.A.社の買収を通じ、海外牛肉事業の強化に努めたほか、タイの鶏肉生産・加工会社であるPanus Poultry Group社への出資を通じ、海外鶏肉事業の強化にも努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿ってその充実に取り組みました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比5.6%増の1,269,201百万円となりました。営業利益は対前年同期比8.5%減の49,218百万円となりましたが、継続事業からの税金等調整前当期純利益は、プロ野球選手移籍金2,273百万円を計上したこともあり、対前年同期比2.7%増の50,455百万円、当社株主に帰属する当期純利益は対前年同期比6.1%増の37,147百万円となりました。

 

(注) 営業利益は日本の会計慣行に従い、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

オペレーティング・セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

〔加工事業本部〕

ハム・ソーセージ部門の売上げは、コンシューマ商品は、TVCMの投入など販促を積極的に実施した「シャウエッセン」が堅調に推移したことに加え、「豊潤あらびきウインナー」の店頭販促を強化しましたが、「彩りキッチン」が伸び悩み、前年並みとなりました。業務用商品は、大手外食チェーンに定番商品が導入されましたが、海外商品の売上減もあり前年を下回りました。ギフト商戦は、旗艦ブランドである「美ノ国」を中心にTVCMを投入するなど販促を強化しましたが、ギフト市場全体の落ち込みにより前年を下回り、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは、微減となりました。

加工食品部門の売上げは、コンシューマ商品は、アイテムの拡充や既存品を強化した「とろける4種チーズのハンバーグ」、「天津閣」が伸長しましたが、主力の「中華名菜」、「石窯工房」が競争激化により伸び悩み、前年を下回りました。業務用商品は、CVSチェーンや大手外食チェーンに新商品を積極的に導入したことにより前年を上回り、加工食品部門全体の売上げは、前年を上回りました。

利益につきましては、販売部門における構造改革によるコスト改善などが寄与しましたが、運賃の高騰や、製造部門における人手不足を背景とした人件費の増加により、減益となりました。

以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比2.1%増の355,498百万円、営業利益は対前年同期比25.8%減の5,867百万円となりました。

 

 

〔食肉事業本部〕

食肉事業は、当社ブランド食肉である「桜姫」、「麦小町」などにおいて、量販店での店頭販促を強化するとともに、TVCMやラジオ番組を通しての宣伝、「北海道日本ハムファイターズ」の主催試合を活用した「桜姫・麦小町ナイター」など、多面的なコミュニケーションに注力しました。外食チャネル、CVSチャネルにおいても、ブランド食肉の販売を強化するとともに、ニーズや店舗でのオペレーションを踏まえた提案営業を強化しました。消費者の健康志向から需要が拡大している国産鶏肉については、安定した生産体制で対応したほか、国産豚肉の相場高によりニーズが高まった輸入豚肉においても、先の市況を見越した安定的な仕入れと販売に努めました。以上の取組みの結果、売上高は前年を上回りました。

利益につきましては、販売部門では量販店、外食、CVSなど幅広いチャネルで積極的な販売や提案活動を行い、売上数量は増加しましたが、市況安が続いた輸入牛肉や夏場に高騰した国産豚肉の販売で苦戦し、粗利益が減少したため前年を下回りました。国内ファーム事業においては、豚肉、鶏肉の相場とも比較的高値で推移したことに加え、生産量の拡大やコスト削減に努めた結果、前年を上回り、全体では増益となりました。

以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比5.0%増の778,417百万円、営業利益は対前年同期比5.1%増の46,154百万円となりました。

 

〔関連企業本部〕

水産部門は、量販店チャネルにおいては主力の鮪や海老等が好調に推移したことや、原料価格の高騰を受けて販売価格が上昇したこと、取組みを強化してきた外食チャネルにおいても寿司店を中心に販売が好調に推移したことなどにより、売上高は前年を上回りました。

乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、量販店やドラッグストアなどにおいてスムージーシリーズが好調に推移したほか、チーズにおいても、主力の製パン、外食、食品メーカー向けの業務用商品や、取組みを強化しているコンシューマ商品も好調に推移し、乳製品部門全体の売上高は前年を上回りました。

利益につきましては、水産部門、乳製品部門ともに、原料価格の高騰により粗利益が減少したことや、運賃等の経費が増加したことなどにより、前年を下回りました。

以上の結果、当期の関連企業本部の売上高は対前年同期比2.8%増の163,548百万円、営業利益は対前年同期比57.0%減の1,612百万円となりました。

 

〔海外事業本部〕

売上高につきましては、アジア・欧州事業では、タイ、シンガポールにおける輸出販売や、トルコでの養鶏事業において国内販売が好調に推移したことから、前年を上回りました。米州事業は、販売拠点の拡大により内販が伸長したことなどから、前年を上回りました。豪州事業は、豪州の売上高が前年を上回ったことに加え、ウルグアイの食肉処理会社を連結子会社として取り込んだため、前年を上回りました。

利益につきましては、アジア・欧州事業では、英国での食肉相場およびタイでの原料価格の高騰で苦戦したものの、トルコでの養鶏事業が順調に推移したため、前年を上回りました。米州事業においては、米国内での販売における競争激化や、食肉相場の高騰による粗利益の減少、また、チリでの水産品の仕入価格高騰の影響もあり、前年を下回りました。豪州事業は、牛生体の集荷環境が改善し仕入価格は低下しましたが、牛肉販売価格の下落の影響が大きく、前年を下回りました。

以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比18.4%増の253,841百万円、営業損失は4,742百万円(前期は1,251百万円の営業損失)となりました。

 

地域別売上高の状況は次のとおりです。

① 日本

日本では、主に加工食品の販売数量が増加し、食肉の販売単価が上昇したため、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.0%増の1,144,184百万円となりました。

 

② その他の地域

その他の地域では、主に食肉の販売数量が増加したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比36.7%増の125,017百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比4.8%増の755,076百万円となりました。資産の部では、受取手形及び売掛金が前年同期末比17.8%増の151,420百万円となりましたが、現金及び現金同等物が前年同期末比27.0%減の60,335百万円、棚卸資産が前年同期末比3.6%減の127,905百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比4.1%減の363,693百万円となりました。有形固定資産(減価償却累計額控除後)は、設備投資などにより前年同期末比8.5%増の307,558百万円となりました。

負債につきましては、その他の流動負債が前年同期末比62.8%増の35,149百万円、支払手形及び買掛金が前年同期末比11.6%増の113,654百万円となりましたが、長期債務(一年以内期限到来分を除く)は平成30年9月満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換が進んだことを主因として、前年同期末比18.5%減の62,451百万円となったことなどにより、前年同期末比1.0%減の308,937百万円となりました。

当社株主資本につきましては、当社株主に帰属する当期純利益37,147百万円による増加のほか、平成30年9月満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換による新株発行を主因として、資本金が4,485百万円、資本剰余金が4,317百万円それぞれ増加したことなどにより、前年同期末比9.1%増の440,793百万円となりました。なお、有利子負債(※)は前年同期末から27,336百万円減少し、110,948百万円となりました。

 以上の結果、当社株主資本比率は2.3ポイント増の58.4%となりました。

※有利子負債:連結貸借対照表上の「短期借入金」、「一年以内に期限の到来する長期債務」及び「長期債務」(ゼロ・クーポン社債を含む)
 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ22,304百万円減少し、60,335百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 54,626百万円の純キャッシュ増

営業活動によるキャッシュ・フローは、受取手形及び売掛金の増加22,168百万円などがありましたが、当期純利益37,419百万円、減価償却費21,719百万円、支払手形及び買掛金の増加9,883百万円などにより、54,626百万円の純キャッシュ増となりました(前期は、65,254百万円の純キャッシュ増)。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 49,006百万円の純キャッシュ減

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の減少3,636百万円、固定資産の売却3,607百万円などがありましたが、固定資産の取得33,220百万円、事業の取得に伴う現金及び現金同等物の純減13,404百万円、関連会社に対する投資8,929百万円などにより、49,006百万円の純キャッシュ減となりました(前期は、38,271百万円の純キャッシュ減)。

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 27,508百万円の純キャッシュ減

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務の返済18,556百万円、現金配当10,980百万円などにより、27,508百万円の純キャッシュ減となりました(前期は、11,439百万円の純キャッシュ減)。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績(製造原価ベース)

区分

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
  至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

ハム・ソーセージ(百万円)

99,834

99.0%

加 工 食 品(百万円)

169,707

106.6%

 

(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までのすべてを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品などの原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。

 

b. 受注実績

当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高ならびに受注残高の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

   販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①連結財務諸表作成基準

当社グループの連結財務諸表は、米国で一般に公正妥当と認められている会計原則に準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成に当たっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。米国で一般に公正妥当と認められている会計原則に準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積りなどと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが平成28年3月期にスタートさせた「新中期経営計画パート5」は、平成30年3月期に最終年度を迎えました。「新中期経営計画パート5」では、「国内事業の持続的な収益力強化」、「海外売上高の早期拡大」、「戦略的ブランディングの推進」、「グループ横断型コーポレート機能の強化」を中心に、骨太なビジネスモデルの構築を進めてまいりました。

「国内事業の持続的な収益力強化」については、当社グループの強みであるインテグレーションシステムの強化に向けて国内の食肉生産事業における設備投資を行い供給体制によるシェア拡大に努めたほか、加工事業ではハム・ソーセージ工場の既存拠点の統合・新設などを実施し生産体制の最適化を図りました。また、食肉事業の営業拠点を加工事業の営業・物流拠点としても活用するなど、グループ連携型の拠点を整備するとともに、国産鶏肉「桜姫」やイタリア産長期肥育豚「ドルチェポルコ」を使用した加工食品の展開をすすめるなどグループシナジーを発現させるための土台作りを推進いたしました。この3ヶ年では食肉事業が大きく伸長した一方、加工事業、水産・乳製品事業の収益回復の遅れが今後の課題となりました。

 


「グループ横断型コーポレート機能の強化」については、ROICを導入し、投下資本に対するリターンの向上に取り組んできました。今後も、より効率的な経営の実現に向けてROICの現場への落とし込みを進めてまいります。また、グローバル経営を担うことができる人財の獲得、育成にも努めてまいります。

「新中期経営計画パート5」策定時の目標とする経営指標としては、平成30年3月期に連結売上高1兆3,000億円、営業利益520億円、売上高営業利益率4.0%、ROE8.0%以上を目標として掲げましたが、当連結会計年度の結果としては、売上高は1,269,201百万円、営業利益は49,218百万円、売上高営業利益率は3.9%、ROEは8.8%となり、収益力の向上は今後の成長に向けての課題であると認識しております。

 

世界人口の増大や気候変動が加速するなかで食糧の安定供給に対する危機感が高まるなど、現在、様々な社会課題が顕在化しております。こういった環境変化の中で継続的な成長を遂げていくためには、短期思考・既成概念から脱却し、長期的視点で、社会課題の解決とともに強みを伸ばしていく必要があると考えております。

ニッポンハムグループでは、企業理念を実現していくために、将来を担う中堅層社員の意見も取り入れ、創業100周年となる2042年における「ありたい姿」を描きました。「ありたい姿」には、生きるための源である「食」を通してもたらされる「おいしさの感動」と「健康の喜び」を世界の人々にお届けし新たな食文化を創造していくという、私たちの想いが込められています。社内外のパートナーとともにグローバルネットワークを構築し、この想いを分かち合う世界の仲間とともに、「人々の健やかな生活を支える」ニッポンハムグループを実現していきます。

 

ニッポンハムグループは、「ありたい姿」を実現するために、足元の3年間で実施すべきことを整理し、「中期経営計画2020」を策定いたしました。「中期経営計画2020」では、「ありたい姿」の実現のための「未来につなげる仕組み作り」に注力いたします。取り組みを着実に推進するために、5つの経営方針を支えるための機能戦略も進めてまいります。(詳細は「1(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」をご参照ください。)。

「中期経営計画2020」では、設備投資の増額計画や今後の成長への環境整備費用も見込んでおり、D/Eレシオの適正水準を見極めつつ有利子負債を主体とした資金調達で対応してまいります。また、投資案件ごとの精査及び運転資金管理を徹底し、資本の効率性を意識した経営に努めてまいります。

「中期経営計画2020」の目標を達成することがステークホルダーの皆様に対するミッションであるという認識のもと、社会的価値の創造に向けて基盤強化と仕組みづくりを進めてまいります。

 

 

オペレーティング・セグメントごとの見通しは、次のとおりであります。

〔加工事業本部〕

加工事業本部につきましては、消費は徐々に回復の兆しがあるものの、価格競争の激化、原材料価格・燃料価格の上昇、人手不足による人件費・物流費の上昇など、引き続き厳しい環境が続くことが予測されます。その中で、既成概念から脱却し、消費者を起点としたマーケティングによる商品開発力の強化と、バリューチェーンの全体最適視点からのコスト構造の変革を行ってまいります。マーケティングによる商品開発力の強化では、意思決定スピードを速めるとともに、お客様との接点を増やし、情報収集やニーズの把握に努め、商品開発へとつなげてまいります。また、収益性の高い主力ブランド商品を集中販売するとともに、未開拓チャネルでの販売に取り組みます。バリューチェーンの全体最適視点からのコスト構造の変革では、省人化設備への投資に加え、大型商品の基幹工場への集約や、製造ラインの繁閑状況を製造部門、販売部門で共有し、稼働率を高めることで生産性の向上を図ります。

〔食肉事業本部〕

食肉事業本部につきましては、新興国での食肉消費の拡大や、天候の変化による飼料価格の変動など、世界規模での需給動向が激しく変化する厳しい経営環境を予測しています。その中で、消費者や顧客に求められる高品質の食肉製品を継続的・安定的に供給し続けるための事業構造の強化を図ってまいります。自社グループ農場から物流、販売会社まで一貫したインテグレーションシステムを持つという他社にない強みをさらに強化するとともに、これまで以上にお客様に求められるブランド食肉の開発・育成を目指して、市場調査・分析の強化や効果的なプロモーション活動に注力してまいります。また、将来の自由貿易体制も見据え、海外食肉企業との関係を密にして戦略的なパートナーシップを構築し、継続的・安定的な仕入環境を築きます。さらに、物流網の見直しや営業拠点の再編を進め、国内販売シェアを拡大してまいります。

〔関連企業本部〕

関連企業本部につきましては、水産部門は構造改革を進め、収益力を高めつつ事業を拡大し、乳製品部門は、商品力、提案力を高めてシェアを拡大していきます。自社製造工場への戦略的な設備投資により効率化を進めるとともに、中長期的な増産体制の確立を目指します。また、原料の需給動向の変化が激しく、原料価格の上昇が予測される中、国内外における調達力を強化し、顧客視点に立ったマーケティングにより自社製造商品を中心とした高付加価値製品の開発を進め、収益力の向上に取り組んでまいります。販売面においては、グループ連携を強化すると共に、多様な商品群を活かしたチャネル戦略や新市場の開拓を進めてまいります。

〔海外事業本部〕

海外事業本部につきましては、バリューチェーンを強固なものとし、進出国での内販拡大と、当社グループ各社の連携により第三国向けの販売を拡大し、収益の安定化を図ります。販売拡大には日本国内で培った商品開発力や品質管理手法などグループの総合力を活用し、エリアに合った幅広い商品やサービスを提供してまいります。また、中長期的な視点から製造・販売拠点を強化、拡充するとともに、ガバナンスの強化に継続して注力してまいります。

以上のように当社グループを取り巻く環境は大変厳しく、課題も山積しておりますが、「中期経営計画2020」で掲げた「未来につなげる仕組み作り」のテーマの下、グループ連携による相乗効果を最大限に発揮し取り組んでまいります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2020」にて掲げた5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギア・チェンジ」、「持続可能性(サステナビリティ)の追求」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。

資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当該事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの事業を支える基礎研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所、事業部門及び関連企業の開発部門によって進展されております。その活動は中央研究所を中核に「食の安全・安心」、「食肉・食品の高付加価値化」、「食と健康」をキーワードとして、グループ事業における技術革新及び新規事業へ繋がる研究開発を展開しています。

当連結会計年度の取組みは以下のとおりです。

(1) グループ品質保証を支える検査技術と食品検査用試薬の研究開発

中央研究所では当社グループ商品の安全性を確保するための検査、ならびに新たな検査技術の研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、当社グループ品質保証機能の強化を目的とし、グループ原料・商品の検査業務機能を有する「品質保証部 安全試験室」を中央研究所の検査法研究開発機能と統合し、新たに「中央研究所 品質科学センター」を設置し稼働を開始しました。品質科学センターでは、グループ原料・商品の安全・安心を確保するための検査に取り組むとともに、フードディフェンスや迅速検査体制の強化を目的とし、食品中に混入した毒物や異物等を迅速に検出する検査法の開発を推進しました。

当社が開発した食物アレルゲンや食中毒菌を検査するための食品検査用キットについては、当社はもちろん、他の食品会社や様々な検査機関においても活用されています。この分野においては、当社研究所のコア技術となる免疫応用技術の深化に取り組むとともに、引き続き社外への販売を行い事業性の検証を進めております。今後も食品衛生および品質管理のための検査機能とその基盤となる研究開発を推進し、当社グループ商品の品質を向上させる技術を開発するとともに、広く食品業界全体の安全・安心に貢献していく取組みを進めてまいります。

(2) グループ事業を支援する研究開発

当社基幹事業である食肉事業領域では、グループ各事業部門と連携して研究開発に取り組みました。食肉生産事業領域では、健全で生産性の高い食肉生産を目指し、定期的な家畜の健康診断による農場衛生管理の支援を行うとともに、家畜の健康に寄与する技術を進化させる研究開発を進めました。また、ブランド食肉の差別化や評価に関する研究開発も継続しました。

コンシューマ商品を展開するグループ企業とも連携し、付加価値の高い商品開発を目指した健康機能等の基礎研究も継続して取り組みました。今後も当分野の研究開発を加速させ、市場ニーズに合わせた健康志向の食品開発に繋げてまいります。

(3) 健康に役立つ機能性素材の研究開発

当社グループの豊富な畜水産資源を活用した健康機能素材の研究開発および事業性検証を継続しております。疲労軽減効果を有する鶏肉由来機能性素材「イミダゾールジペプチド」の運動機能向上に関する研究の一環として健康食品を開発し、多くのアスリートへ提供し、その機能性評価を継続しました。当連結会計年度では、一般スポーツ愛好家からトップアスリートまで利用いただいている商品「イミダの力(健康食品:飲料、粉末の2種類)」でアンチドーピング認証を取得しました。ドーピング撲滅はスポーツ界にとって大きな課題となっており、意図せぬ摂取にもアスリートは細心の注意を払っております。今回のアンチドーピング認証取得により「イミダの力」は多くのトップアスリートに引き続き安心して利用いただける環境を整えることができました。当商品は2020年開催予定の東京五輪に向けて需要拡大が見込まれ、市場へのさらなる浸透を目指してまいります。また、イミダゾールジペプチドの脳機能に関する研究も継続しており、イミダゾールジペプチドの一つであるカルノシンによる神経細胞活性化に関する論文を発表しました。

今後も食肉成分の有用性に関する研究を継続し、食肉及び食肉由来機能性素材の付加価値を明らかにしていくとともに、社会への発信により畜産業界全体の発展に寄与してまいります。

 

 当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、2,898百万円です。

 

 なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基礎研究から商品開発に及ぶさまざまな研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。