第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気は一部に改善の遅れが見られるものの、政府の経済政策による雇用環境の改善等により、緩やかな回復基調で推移しました。その一方で、世界各国の政策に関する不確実性から、景気、為替、株式相場の動向などの先行きは不透明であり、消費動向は依然厳しい状況が続いています。

当業界におきましては、原材料の価格は落ち着きを見せたものの、国内における食肉相場が軟調に転じたことや、人手不足を背景とした物流費の上昇、販売競争の激化等により、依然として厳しい経営環境が続いています。

このような中、当社グループは、平成27年4月からの「新中期経営計画パート5」においてテーマとして掲げた「変革による骨太なビジネスモデルの構築」の実現に向け、2つの経営方針「国内事業の競争優位性の確立」、「グローバル企業への加速」に基づく事業活動を推進してまいりました。具体的施策としては、海外事業本部の新設、国内ファーム事業の強化、新商品の開発と販促、生産性の改善などコスト競争力の強化と収益力の向上に加え、人材の育成やリスク管理の徹底等に取り組みました。また、日本一になった「北海道日本ハムファイターズ」のご声援感謝セールに積極的に取り組むことや、プロ野球選手、プロサッカー選手が出演する企業TVCMの放映等を通じ、事業と当社グループの認知度向上にも努めました。海外においては、マレーシアにおける合弁会社の設立など成長戦略の推進とともに、米国の養豚事業売却など不採算事業の整理も進めました。経営体制の強化では、平成27年11月に制定した「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に継続して取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は対前年同期比2.2%減の1,202,293百万円、営業利益は対前年同期比9.3%増の53,802百万円となりました。継続事業からの税金等調整前当期純利益及び当社株主に帰属する当期純利益につきましては、それぞれ対前年同期比39.1%増の49,112百万円、対前年同期比60.7%増の35,004百万円となりました。

 

(注) 営業利益は日本の会計慣行に従い、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

 

オペレーティング・セグメントの業績は次のとおりです。

なお、平成28年4月1日付で、「海外事業本部」を新設し、加工事業本部、食肉事業本部、関連企業本部、海外事業本部の4事業本部体制とし、全ての海外子会社及び海外関連会社は「海外事業本部」の管轄としております。これに伴い、当連結会計年度より、オペレーティング・セグメントを従来の3つの事業グループから4つの事業グループに変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 ⑰セグメント情報」をご参照ください。

 

① 加工事業本部

ハム・ソーセージ部門の売上げは、コンシューマ商品において、積極的に販促を実施した「シャウエッセン」が好調に推移したことに加え、新商品である「豊潤あらびきウインナー」等の上乗せにより、NB商品は前年を上回りましたが、PB商品の数量減少などから前年並みとなりました。業務用商品は大手外食で定番商品が導入されるなど好調に推移しました。歳暮商戦は、ギフト市場全体が苦戦する中、10周年を迎えた「美ノ国」を中心に販促を実施した結果、ギフトの販売個数は前年を大幅に上回りました。

加工食品部門の売上げは、コンシューマ商品において、新商品である「極み焼ハンバーグ」の投入、プリフライ群の主力である「チキチキボーン」、「チキンナゲット」や飲茶群である「天津閣」の積極的な販促に取り組みました。また、「シャウエッセンスープ」等の新カテゴリーにも挑戦しました。業務用商品につきましても、CVSチャネル等で大型商品が導入になるなど好調に推移し、加工食品部門全体での売上高は前年を上回り、加工事業本部全体では増収となりました。

利益につきましては、人手不足を背景とした人件費の増加などもありましたが、数量増による粗利益の増加や、原燃料価格が安定した効果もあり増益となりました。

以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比3.0%増の348,253百万円、営業利益は対前年同期比103.0%増の7,911百万円となりました。

 

② 食肉事業本部

食肉事業は、当社主力ブランド食肉において、北海道日本ハムファイターズ主催試合で実施した「桜姫・麦小町ナイター」や、「桜姫」のTVCM、またラジオ番組を通じての宣伝など、多面的なコミュニケーションに注力しました。また、生産の順調な国産鶏肉や供給量・価格面で安定した米国産牛肉を中心に積極的な販売活動を行い、販売数量は伸長しました。フード会社は、お取引先とのタイアップ企画に積極的に取り組むなど販売数量が伸長しましたが、食肉相場が軟調に転じたことなどから、売上高は前年を下回りました。

利益につきましては、国内ファーム事業では食肉相場が昨年より安値で推移し、年末には鳥インフルエンザが流行するなど厳しい外部環境でしたが、生産量の拡大やコスト改善に努め、通期では増益となりました。販売部門においても、販売競争が激化する中、量販店・外食・CVSなど幅広いチャネルのお得意先に向けて積極的な販売や提案活動を行い、販売数量の増加やコスト削減等の効果により、増益となりました。

以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比1.6%減の741,565百万円、営業利益は対前年同期比12.6%増の43,898百万円となりました。

 

③ 関連企業本部

水産部門は、量販チャネル向けの寿司種や自社製造商品の販売に注力しましたが、日本における鮭、イカ、ホタテなどの漁獲減、海外からのカニなどの供給減により厳しい販売環境となり、売上高は前年を下回りました。乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、主力の「バニラヨーグルト」やCVSチャネル向けドリンクヨーグルトが好調であったことや、新商品のスムージーシリーズの販売を強化したことも加わり、売上高が伸長しました。また、チーズは、主力の製パン、外食、食品メーカー向けの業務用商品が伸長したことや取組みを強化しているコンシューマ商品も好調であったことから、売上高は前年を上回り、乳製品部門全体で増収となりました。

利益につきましては、水産部門は、高付加価値商品の売上高が伸長したことに加え、価格改定による利益率の改善もあり増益となりました。乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、売上高の伸長に加え原料価格が安定したことにより、前年を上回りました。チーズは、売上高の伸長により工場の稼働率が改善したことと、原料価格が安価で落ち着いていたことなどから前年を上回り、乳製品部門全体で増益となりました。

以上の結果、当期の関連企業本部の売上高は対前年同期比0.2%増の159,041百万円、営業利益は対前年同期比67.2%増の3,746百万円となりました。

 

 

④ 海外事業本部

売上高につきましては、米州事業の加工食品は販売拠点の拡大等により伸長し、食肉の輸出も順調に推移したものの、為替換算の影響により減少しました。豪州事業においては、牛の頭数の減少や購入価格の高騰が続いたことから販売に苦戦しました。アジア・欧州事業では、タイの輸出販売、ベトナム及びトルコ、中国の国内販売が順調に推移したものの、為替換算の影響などにより減少しました。売上高全体としては豪州事業の販売減が大きく響き減収となりました。

利益につきましては、米州事業は加工食品の製造販売、食肉においては輸出が寄与し順調に推移しました。豪州事業においては牛頭数の減少に伴う稼働率の低下などにより減益となりました。アジア・欧州事業は為替や原料動向によりタイの製造工場やトルコの養鶏事業が苦戦しました。

以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比12.4%減の214,384百万円、営業損失は1,251百万円(前期は3,565百万円の営業利益)となりました。

 

 

地域別売上高の状況は次のとおりです。

① 日本

日本では、食肉及び水産物の販売数量が増加しましたが、販売単価が下落したため、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比0.2%減の1,110,864百万円となりました。

 

② その他の地域

その他の地域では、主に食肉の販売数量が減少し、販売単価も下落したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比21.2%減の91,429百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、未払費用及びその他の流動負債の減少などがありましたが、当期純利益、減価償却費、支払手形及び買掛金の増加などにより65,254百万円の純キャッシュ増(前期は52,535百万円の純キャッシュ増)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業の売却に伴う現金及び現金同等物の純増がありましたが、固定資産の取得や定期預金の増加などにより、38,271百万円の純キャッシュ減(前期は49,139百万円の純キャッシュ減)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加及び借入債務による調達がありましたが、現金配当や借入債務の返済などにより、11,439百万円の純キャッシュ減(前期は8,182百万円の純キャッシュ増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ15,318百万円増加し、82,639百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績(製造原価ベース)

区分

当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
  至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

ハム・ソーセージ(百万円)

100,842

100.2

加 工 食 品(百万円)

159,219

107.3

 

(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までのすべてを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品などの原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。

 

(2)受注状況

当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高ならびに受注残高の記載を省略しております。

 

(3)販売実績

   販売実績については、「1 業績等の概要」において記載しております。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という二つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。

また、「人輝く、食の未来」というグループブランドステートメントを掲げ、「グループブランドの約束」を当社グループ全員でビジョンや価値観として共有するとともに、ブランドを通して接するすべてのステークホルダーにお伝えしています。そして、「生命の恵みを大切にする」「品質に妥協しない」「食の新たな可能性を切り拓く」「楽しく健やかなくらしに貢献する」という4つの経営軸を事業を通じて推進することで、グループの目指す姿である「世界で一番の食べる喜びをお届けする会社」となることを目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、平成27年4月よりスタートした「新中期経営計画パート5」(平成27年4月1日~平成30年3月31日)の最終年度において連結売上高1兆3,000億円、営業利益520億円、売上高営業利益率4.0%、ROE8.0%以上の目標を掲げており、次期(平成30年3月期)がその最終年度となります。

次期の売上高につきましては、「新中期経営計画パート5」策定時の想定よりも豪州事業の販売が苦戦したことや、米国の養豚事業を売却したことによる減収影響など踏まえ、1兆2,500億円と下方修正しております。一方、営業利益につきましては、「新中期経営計画パート5」策定時の想定よりも国内の食肉事業が堅調に推移する見通しであり、560億円と上方修正しております。結果、売上高営業利益率は4.5%を計画しております。

また、ROEにつきましては、営業利益の上方修正を主因として、「新中期経営計画パート5」策定時における最終年度の当社株主に帰属する当期純利益も330億円から370億円に増加する見通しであり、8.9%を計画しております。

※「新中期経営計画パート5」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、平成27年4月に「変革による骨太なビジネスモデルの構築」をテーマとした「新中期経営計画パート5」を策定いたしました。

今後の経営環境を見通すと、政府の景気対策の効果を引き続き見込むものの、世界各国の政策の不確実性に起因する金融市場の混乱の影響や国内の人手不足を背景とした物流費用の増大等、今後も不透明な状況が続くことが予測されます。

このような環境下において、平成27年4月からスタートいたしました「新中期経営計画パート5」において掲げた「変革による骨太なビジネスモデルの構築」を実現するため、当社グループの強みである「インテグレーションシステム」を核とした国内事業の競争優位性の確立と、グローバル市場における売上拡大に向けた海外事業の拡充を基軸に、ビジネスモデルの変革や企業風土改革を促進するためのマーケティング・ブランディング・人財育成等のコーポレート機能の強化を図ります。

 

〈経営方針〉

①国内事業の競争優位性の確立

国内事業においては、市場の成長が見込みにくい中で、これまで以上に競争優位性を高めるとともに、事業領域の拡大をはかります。当社グループならではの美味しさ、サービス、高品質、安全・安心などの基本的価値を、お客様の期待を超える形で提供することで、お客様に最も信頼されるブランドの醸成を目指します。

また、積極的な設備投資による高効率の追求や、最適生産体制の構築、商品統廃合の推進、付加価値の高いブランド商品の強化、投下資本効率の向上などにより収益力の持続的向上をはかります。

調達、開発、生産、物流、販売等の各バリューチェーンにおいて事業間の連携を強化し、グループシナジーを創出することで、グループの総合力を最大限に発揮させます。

②グローバル企業への加速

海外事業を成長ドライバーとして位置づけ、対日輸出が中心であった海外事業のビジネスモデルを現地内販中心のビジネスモデルに転換し、海外売上高の拡大をはかり、グローバル企業への進化を加速化します。当社グループの強みであるインテグレーションシステムについては、豪州事業の強化に加え他の地域への水平展開を行い、生産・物流基地をベースとした販売地域の拡大とエリア間の流動性を高めることにより、グローバルビジネスにおける収益基盤の構築を目指します。

特に、巨大市場や新興国を中心に、M&Aや業務提携を活用しながら進出エリアを拡大していきます。

また、進出する国や地域のニーズに対応し、当社グループの総合力を活かした幅広い商品・サービスの提供を目指します。

 

※成長戦略を推進する高次元の「品質No.1経営」

「新中期経営計画パート2」より掲げている「品質No.1経営(注1)」については、「成長戦略を推進する高次元の品質No.1経営」と位置付け、経営方針を支える屋台骨として継続して追求してまいります。

注1:「品質No.1経営」=商品の品質にとどまらず、経営や人財においても弛まぬ企業努力で高度化をはかり、食の美味しさや安全・安心を提供する当社グループとしてのコンプライアンス、ガバナンス、社会貢献活動等をはじめとするCSR(社会的責任)を追求・強化する姿勢を表しています。

 

 

〈経営戦略〉

①国内事業の持続的な収益力強化

継続的な商品力の強化やコストの低減により、国内における競争優位性と安定した収益基盤を確立します。また、グループシナジーや新規事業への積極的な取組みにより、事業規模の拡大をはかります。

(1)国内インテグレーションシステムのさらなる強化

(2)積極的な設備投資や選択と集中による既存事業の強化・拡大

(3)顧客とのつながりやニーズを最大限に活用した商品開発体制の確立

(4)新技術の育成と活用による新規事業領域の拡大

②海外売上高の早期拡大

国内において既に圧倒的な強みを持っている調達力・生産力・販売力を、グローバル規模で拡充することにより海外売上高の早期拡大に取り組みます。

(1)進出エリアの拡大とインテグレーションシステムの拡充

(2)海外生産・販売体制の強化によるグローバル市場での拡販

(3)グループ視点に立った海外事業推進体制の強化

③戦略的ブランディングの推進

新しくなったグループブランド、企業ブランドと商品ブランドの繋がりがお客様をはじめとするあらゆるステークホルダーに認知され、支持されるための戦略的なブランディング活動により、No.1ブランドの確立と当社グループの企業価値向上を目指します。

(1)全社マーケティング・ブランディング機能の強化

(2)流通チャネル戦略の高度化

(3)ブランド・コンシャス(ブランドへの意識)の醸成

(4)ソーシャルブランディング(注2)の推進

注2:「ソーシャルブランディング」=社会課題の解決に向けて、当社グループの強みを活かし、社会に貢献することでグループブランドの価値を高める活動

④グループ横断型コーポレート機能の強化

経営目標の達成に向けて、本社部門が連携し、事業部門を横断的にサポートする仕組みの構築に向けてコーポレート機能の強化を行います。

(1)グローバル人財、経営人財の獲得・育成

(2)グループ連携と組織風土改革の推進

(3)グローバル経営管理体制の構築

(4)コーポレートファイナンス機能の強化

 

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針について

①基本方針の内容

当社の株式は譲渡自由が原則であり、株式市場を通じて多数の投資家の皆様により、自由で活発な取引をしていただいております。よって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な量の株式を取得する買付提案等があった場合は、賛同されるか否かの判断についても、最終的には株主の皆様の自由な意思に依拠すべきであると考えております。

一方、当社は、顧客の皆様やお得意先様に対し安全で安心な商品を安定的に供給し豊かな食生活の実現を通して社会に貢献していきたいと考えており、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。したがって、当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。

 

②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社は、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくことこそが株主共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社の企業価値向上のため、以下の取組みを実施しております。

 

「当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組み」

 

当社は、中長期的視点による継続的な投資、長年培ってきた経験やノウハウの承継、様々なステークホルダーとの信頼関係等を基盤として、食肉事業を中心とする「食」の事業領域で、その生産から販売までの一貫体制(インテグレーション)と、そのインテグレーションを基盤とした食糧の安定供給力及び国内外で確立した品質保証体制という当社の企業価値の源泉を形成してまいりました。

当社は、それらの企業価値の源泉を基軸に、前記「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載の諸施策を遂行することにより、さらなる企業価値の向上につなげてまいります。

 

「コーポレート・ガバナンス強化による企業価値向上の取組み」

 

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上させるためには、当社グループが最適と考えるコーポレートガバナンス体制を構築し、機能させることが不可欠であり、基本的な考え方と枠組みをまとめた「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」を制定し、公表するとともにその充実に継続的に取り組んでおります。

当社グループのコーポレート・ガバナンスは、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、迅速かつ適正な意思決定と業務執行の適正性を確保し、積極果敢な経営判断を可能にするとともに、その責任を明確化することを基本としております。一例として、取締役会には複数名の社外取締役を選任するほか、取締役会の機能を補完するための任意委員会を設けており、特に、「報酬検討委員会」及び「役員指名検討委員会」については、委員の過半数を独立社外役員で構成し、かつ社外取締役を委員長としております。また、監査部監査以外に、品質、環境など機能別に実施するモニタリングの充実、社外役員を含めた全役員に重要情報(業務上の損害や事故、トラブルなどの非日常な事象に関する情報)を迅速に共有する体制の整備することで、業務執行の適正性を確保しております。

 

「株主還元策」

当社は株主への利益還元を重要な経営課題の一つと位置付けており、連結業績に応じた株主還元を基本としています。また、内部留保についても、将来にわたって企業価値を向上させるための投資の源泉と、財務体質の健全性の維持・強化のために充実を図り、有効に活用してまいります。この基本方針の下、配当につきましては連結配当性向30%を目安としておりますが、当面の間は配当金の下限を1株当たり16円とする予定です。自己株式の取得については、成長への投資や財務体質を勘案しつつ、1株当たりの株主価値とROEの向上を目的として機動的に実施してまいります。

 

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

当社は、平成27年5月11日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。)の継続導入を決議し、平成27年6月25日開催の第70回定時株主総会においてご承認いただき継続導入いたしました。

本プランは、当社取締役会が、大規模買付者(下記に定義します。)より事前に大規模買付提案(下記に定義します。)に関する情報の提供を受けた上で、大規模買付者との交渉及び大規模買付提案の検討を行う期間を確保し、大規模買付提案が当社の企業価値・株主共同の利益の向上に資するものか否かの判定を行うことを第一の目的としております。これに対し、大規模買付者が事前の情報提供や予告なく大規模買付行為(下記に定義します。)を開始する場合や、大規模買付行為により当社の企業価値・株主共同の利益の毀損を回避することができないことが客観的かつ合理的に推認される場合には、対抗措置として一部取得条項付新株予約権(以下、「本新株予約権」といいます。)の無償割当てを行うこととするものです。

本プランの概要は以下のとおりです。

(a)本プランの対象となる大規模買付者

当社議決権割合が20%以上となることを目的とする当社株式の買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます。)を行う者(以下、「大規模買付者」といいます。)が対象となります。

(b)必要情報提供手続

当社取締役会は、大規模買付者の買付提案書の提出から10営業日以内に、大規模買付者に対し、大規模買付行為に係る買付提案(以下、「大規模買付提案」といいます。)に係る情報(以下、「本必要情報」といいます。)の提供を求め、大規模買付者は、原則60日以内(最長30日延長できるものとします。)に本必要情報を提供するものとします。なお、大規模買付者から提出された本必要情報が十分かどうか、当社取締役会が要求した本必要情報の内容・範囲が妥当かどうか、及び、必要情報提供期間を延長するかどうかについては、当社取締役会が企業価値向上委員会の助言及び勧告を受けながら決定いたします。また、当社取締役会が本必要情報の追加の要請をした場合に、大規模買付者から本必要情報の一部について提供が困難である旨の合理的な説明がある場合には、当社取締役会が要求する本必要情報が全て揃わなくても、本必要情報の提供を完了したと判断し、当社取締役会による検討を開始する場合があります。

(c)取締役会による検討手続

当社取締役会は、最長60日間(対価を現金(円貨)のみとする場合)又は最長90日間(その他の方法による買付提案の場合)(以下、総称して「取締役会検討期間」といいます。)で大規模買付者及び大規模買付提案の検討を行い、当社取締役会としての意見の公表、大規模買付者との交渉及び代替案の提示を行うものとします。

(d)企業価値向上委員会による勧告の尊重

独立社外者から構成される企業価値向上委員会は、当社取締役会に対し勧告を行い、当社取締役会はその判断の際には当該勧告を最大限尊重します。

(e)大規模買付者による大規模買付行為の制限期間

大規模買付者は、取締役会検討期間終了まで、また、企業価値向上委員会から対抗措置の発動・不発動に関して当社株主の皆様の意思を確認すべき旨の勧告がなされた場合には、当該意思確認の手続が完了する時まで、大規模買付行為を開始してはならないものとします。

 

(f)対抗措置の発動及び不発動

当社取締役会は、企業価値向上委員会において対抗措置発動要件に該当する事情が存在する旨の勧告が行われた場合には、当該勧告を最大限尊重して、対抗措置として本新株予約権の無償割当てを決議します。但し、企業価値向上委員会において対抗措置発動に関して株主の皆様の意思を確認すべき旨の勧告がなされた場合には、当社取締役会は、株主総会において株主の皆様の意思を確認するものとし、対抗措置の発動に賛同する決議が得られた場合に本新株予約権の無償割当てを決議します。

一方、企業価値向上委員会において対抗措置発動要件のいずれかに該当する事情が存在する旨の勧告が行われない場合及び株主の皆様の意思を確認する株主総会において対抗措置の発動に賛同する旨の決議が得られなかった場合には、当社取締役会は対抗措置を発動いたしません。

なお、本新株予約権には、対抗措置発動要件を充足すると判断された大規模買付者に対する権利行使の制限、及び対抗措置発動要件を充足すると判断された大規模買付者以外の株主の皆様から本新株予約権と引き換えに当社株式を交付することがあるという取得条項が付されています。

(g)本プランの有効期限

本プランの有効期限は、平成30年6月に開催予定の当社定時株主総会終結の時までとします。

④本プランに対する当社取締役会の判断及びその判断に係る理由

当社取締役会は、下記の理由により、本プランが基本方針に沿い、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないものと判断します。

(a)本プランは、経済産業省及び法務省から公表された「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」や経済産業省に設置された企業価値研究会が公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」に沿った内容であること。

(b)本プランは、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が不適切なものでないか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保し、かつ、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることにより、株主共同の利益の確保・向上を図るという目的をもって導入されたものであること。

(c)株主意思を十分に尊重していること

 本プランは、平成27年6月25日開催の第70回定時株主総会において承認されたものであること。また、対抗措置を発動するか否かの判断について、企業価値向上委員会の勧告があった場合、株主総会において株主の皆様の意思確認を行うとしていること。加えて、その有効期間を平成30年6月に開催される当社定時株主総会終結の時まで(但し、それまでに当社取締役会又は株主総会にて本プランを廃止する旨の決議をした場合はその時まで)と設定し、今後も、当社株主総会において、本プランの継続又は修正に関して株主の皆様の意思確認を行うとしていること。

(d)本プランにおいては、当社に対する大規模買付行為が行われた場合、独立社外者で構成される企業価値向上委員会が、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するか否かなどの実質的な判断を行い、当社取締役会はその判断を最大限尊重して、対抗措置の発動・不発動を判断することとしていること。さらに、企業価値向上委員会は当社取締役会の恣意的行動を厳しく監視するとともに、その判断の概要については株主の皆様に情報開示をする仕組みにしていること。

(e)本プランは、合理的かつ詳細な対抗措置発動の客観的要件の充足が企業価値向上委員会において判断されない限り発動されないように設定されており、かつ、同様に対抗措置不発動要件も設定されているため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みが確保されていること。

(f)本プランは、1年の任期である取締役から構成される当社取締役会の決定により廃止することが可能となっており、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型買収防衛策(取締役会を構成する取締役を一度に交替させることができないため、その発動を阻止するために時間を要する買収防衛策)などの経営陣による買収防衛策の廃止を不能又は困難とする性格を有するライツプランとは全く性質が異なること。

(g)企業価値向上委員会は、当社の費用で、独立した第三者専門家の助言を受けることができ、これにより企業価値向上委員会による判断の公正さ及び客観性がより強く担保されていること。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状況などに影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがありますが、これらに限られるものではありません。また、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 (1) 商品市況リスク

当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心に取り扱っており、販売用食肉はもとより、ハム・ソーセージ、加工食品などの原材料にも食肉が使用されているため、畜産物の相場変動によるリスクがあります。さらに、これらの食肉を供給する国内および海外の生産飼育事業においては、商品市況はもちろん、飼料価格や原油価格の変動にも影響を受けることとなります。また、当社グループが取り扱う水産物や乳製品についても、商品市況や原材料の価格変動リスクなどがあります。

これらの価格変動リスクに対して、商品調達ルートの分散化、高付加価値商品の開発やブランド化、お客様視点のマーケティング戦略の確立、商品先物契約の利用などに努め、また、商品需要の変動を見越した安定的な原材料の確保、食肉の適正在庫水準の維持などを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。

上記に加えて、家畜の疾病(BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢など)の発生やセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された場合などには、畜産市場全体ならびに当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (2) 安全性のリスク

当社グループは「OPEN品質」~開かれた食品づくり~を推進しお客様の期待と信頼に応えることを基本とし、グループの品質方針として、「法令の遵守」「品質保証ネットワーク」「客観的評価」「履歴管理」「お客様とのつながり」を定めています。この方針に従い、外部認証(ISO、HACCPなど)の取得や、食肉をはじめハム・ソーセージ、加工食品に使用する原材料のトレーサビリティーシステムを構築して原材料からの安全・安心の確保に取り組むほか、フードディフェンスの強化など、厳しい品質保証体制を構築しており、品質向上の取組みを一層強化し、安全性の確保に努めております。さらには万が一当社グループが提供する商品などに問題が発生した場合は、速やかな情報開示と拡大防止策の徹底など、お客様の安全を第一に考えた対応を行っております。

しかしながら、こうした当社グループの取組みを超えた事象の発生や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (3) 資材調達などに係るリスク

当社グループは、生産の効率化や在庫ロス・物流コストの削減に常に取り組んでおります。しかしながら原油高などにより資材費や燃料費、物流費が高騰しコスト削減努力でも補えない場合や、それらを販売価格に転嫁できない場合などには、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (4) 為替リスク

当社グループがおこなう外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場の変動の影響を受ける場合があります。

これらの為替相場の変動リスクを軽減するため、為替予約、通貨スワップ契約、通貨オプション契約及び通貨金利スワップ契約などのヘッジ取引を利用しておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はなく、また当該リスクを軽減するためのヘッジ取引についても、想定した範囲を超えて為替相場が変動した場合には機会損失などの別のリスクが発生する可能性があります。

また、外貨建で作成されている海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する際の換算差額によって、連結財務諸表の株主資本が外貨換算調整勘定を通じて変動するリスクがあり、これら為替相場の変動要因によって当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

なお、当社グループはこれらの外貨建取引に係るリスクヘッジを行うための「為替リスク管理規程」を定め、為替相場を継続的に監視し、為替相場の変動リスクを定期的に評価しております。全ての先物外国為替契約、通貨スワップ契約、通貨オプション契約及び通貨金利スワップ契約は、当該「為替リスク管理規程」、取引権限及び取引限度額を定めた社内規程に基づいて行われています。

 

 (5) 金利リスク

当社グループは、必要資金の大部分を外部からの借入金などの有利子負債により調達しております。平成29年3月末時点での有利子負債額約1,383億円の大部分は固定金利であり、金利上昇による直接的な影響については当面軽微であると判断されますが、将来的な金利上昇局面においては資金調達における利息負担の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (6) 株価リスク

当社グループの保有している有価証券は取引先などの株式が中心であるため、市場価格の変動に基づく株価の下落リスクがあります。平成29年3月末時点では、全体として含み益の状態となっておりますが、今後の株価動向によっては当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、株式市場の低迷によって当社グループの年金資産の価値に毀損が生じた場合には、年金費用の増加や追加的な年金資産の積み増しが必要となる可能性があります。

 (7) 固定資産の減損損失リスク

当社グループが保有する固定資産の価値が経済情勢などの変化により下落した場合には、必要な減損処理を実施することになり、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (8) 自然災害や突発的事故及び社会的な制度などのリスク

当社グループは本邦を含む世界各国において事業活動を行っております。これらの事業活動地域においては、次の事象の発生リスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

・地震、洪水などの大規模な自然災害の発生及びそれらに起因する道路・港湾・鉄道などの社会的な基盤の損壊、ガス・水道・電気などの供給不能又は供給逼迫

・突発的な事故の発生など予期しない原因による、大気、水質、土壌などの環境汚染

・インフルエンザなどの感染性疾病の流行などによる社会的混乱

・予期しない法律または諸規制の設定または改廃

・予期しない不利な経済的または政治的要因の発生

・戦争、紛争、テロなどの発生による社会的又は経済的混乱

 (9) 情報漏洩リスク

当社グループは「個人情報管理規程」、「日本ハムグループ内部者取引管理規程」を設け、当社グループ役職員に対して、保有する個人情報や当社グループの重要情報の保護・管理を義務付け、コンプライアンス研修や階層別従業員教育などを通じ、厳正な情報管理に努めております。併せて情報システム上のセキュリティ対策や災害対策なども講じております。しかしながら、想定の範囲を超えるような自然災害、長期に渡る停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピュータウイルスの感染や不正アクセスなどによる情報の漏洩・改ざん・消失、長期にわたる情報システムの停止あるいは混乱などが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (10) コンプライアンスのリスク

当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取組みにおいては、当社の代表取締役社長が指名した役員をコンプライアンス委員会委員長として当社グループ全体を統括し、当社コンプライアンス部が当社グループ全役職員のコンプライアンス意識を高める施策を継続的に行うとともに、リスクを認識した場合には迅速に対応する体制を整えております。

しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 (11) 環境問題のリスク

当社グループは「日本ハムグループ環境方針」を定め、持続可能な社会の実現に向けて環境と調和の取れた企業活動の推進に取り組んでおります。また、環境に関する外部認証(ISO14001)の取得や、外部機関からの適正性の評価の取得に積極的に取り組むとともに、当社CSR推進部による環境監査の実施など、環境と事業活動の調和に配慮した経営を推進しています。併せて、環境をはじめとしたCSRの課題についても適正性と透明性の確保に努めています。しかしながら、事故・過失などによる環境汚染やそれに対する原状復帰、損害賠償責任の発生、あるいは関係法令の改正による環境投資が大幅に増加した場合などにおいては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当該事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの事業を支える基礎研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所、事業部門及び関連企業の開発部門によって進展されております。その活動は中央研究所を中核に「食の安全・安心」、「食肉・食品の高付加価値化」、「食と健康」をキーワードとして、グループ事業における技術革新及び新規事業へ繋がる研究開発を展開しています。

当連結会計年度の取組みは以下のとおりです。

(1) グループ品質保証を支える検査技術と食品検査用試薬の研究開発

中央研究所では当社グループ商品の安全性を確保するための新たな検査法や食品の美味しさを評価するための検査技術の研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度においては、検査の精確性と中立性を向上させる取組みとして、食品中の残留農薬検査のISO/IEC17025認定を取得しました。また、当社グループ品質保証機能の強化を目的として、新たに「中央研究所 品質科学センター」を設置し、2017年度より稼働する体制としました。これは新規検査法の研究開発に取り組む「中央研究所 食品検査部門」とグループ原料・商品の安全性確保検査に取り組む「品質保証部安全試験室」を統合したもので、食品衛生および品質管理のための検査機能とその基盤となる研究開発を強化することで、引き続き当社グループ商品の安全・安心を向上させるとともに広く食品全体の信頼性向上に貢献してまいります。

食品検査用キットなどの食品検査用試薬の研究開発においては、引き続き社外の検査機関や食品会社に販売を行い事業性の検証を進めるとともに、当社食品検査試薬のコアとなる免疫技術の深化と技術の応用開発に取り組みました。その中で、食品中のアレルゲン検査キットであるFASTKITエライザVerⅢ(小麦)が農林水産省「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」のグルテン検査用キットとして収載されました。

(2) グループ事業を支援する研究開発

当社基幹事業である食肉事業領域ではグループ各事業部門と連携した研究開発を推進しました。食肉生産事業領域では健全で生産性の高い運営を目指し、農場獣医師と連携した定期的な家畜の健康診断結果を元にした農場衛生管理の向上に取り組みました。また、競争力を高めるための育種技術や優位性のあるブランド食肉、機能性飼料等の飼育技術の研究開発に取り組みました。この他、当社グループの様々な食品領域において健康機能の研究開発に取り組みました。今後も当分野の研究開発を加速させ、市場ニーズに合わせた健康志向の食品開発に繋げてまいります。

(3) 健康に役立つ機能性素材の研究開発

当社グループの豊富な畜水産資源を活用した健康機能素材の研究開発および事業性検証を継続しております。疲労軽減効果を有する鶏肉由来機能性素材「イミダゾールジペプチド」の運動機能向上に関する研究の一環として、これまでに多くのトップアスリートへ素材を提供し、その機能性評価を継続してまいりましたが、当連結会計年度では一般消費者向け商品として「イミダの力(健康食品:飲料、粉末の2種類)」をリニューアル発売しました。2020年開催予定の東京五輪や健康志向によるスポーツ人口増加による需要拡大が見込まれ、さらに市場への普及を目指してまいります。また、機能性素材の事業検証においては疲労および脳機能の改善効果を有する鶏肉由来「イミダゾールジペプチド」を中心に、売上が堅調に推移しました。

 

 当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、2,643百万円です。

 

 なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基礎研究から商品開発に及ぶさまざまな研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 連結財務諸表作成基準

当社の連結財務諸表は、米国で一般に公正妥当と認められている会計原則に準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成に当たっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。米国で一般に公正妥当と認められている会計原則に準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積りなどと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

ハム・ソーセージは、コンシューマ商品において、積極的に販促を実施した「シャウエッセン」が好調に推移したことに加え、新商品である「豊潤あらびきウインナー」等の上乗せにより、NB商品は前年を上回りましたが、PB商品の数量減少などから前年並みとなりました。業務用商品は大手外食で定番商品が導入されるなど好調に推移しました。歳暮商戦は、ギフト市場全体が苦戦する中、10周年を迎えた「美ノ国」を中心に販促を実施した結果、ギフトの販売個数は前年を大幅に上回りました。結果、売上げは、対前年同期比0.1%減の141,362百万円となりました。

加工食品は、コンシューマ商品において、新商品である「極み焼ハンバーグ」の投入、プリフライ群の主力である「チキチキボーン」、「チキンナゲット」や飲茶群である「天津閣」の積極的な販促に取り組みました。また、「シャウエッセンスープ」等の新カテゴリーにも挑戦しました。業務用商品につきましても、CVSチャネル等で大型商品が導入になるなど好調に推移し、売上げは、対前年同期比3.4%増の228,904百万円となりました。

食肉は、当社主力ブランド食肉において、北海道日本ハムファイターズ主催試合で実施した「桜姫・麦小町ナイター」や、「桜姫」のTVCM、またラジオ番組を通じての宣伝など、多面的なコミュニケーションに注力しました。また、生産の順調な国産鶏肉や供給量・価格面で安定した米国産牛肉を中心に積極的な販売活動を行い、販売数量は伸長しました。フード会社は、お取引先とのタイアップ企画に積極的に取り組むなど販売数量が伸長しましたが、食肉相場が軟調に転じたことなどから、売上げは対前年同期比4.5%減の673,871百万円となりました。

水産物は、量販チャネル向けの寿司種や自社製造商品の販売に注力しましたが、日本における鮭、イカ、ホタテなどの漁獲減、海外からのカニなどの供給減により厳しい販売環境となり、売上げは対前年同期比3.2%減の91,637百万円となりました。

乳製品のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、主力の「バニラヨーグルト」やCVSチャネル向けドリンクヨーグルトが好調であったことや、新商品のスムージーシリーズの販売を強化したことも加わり、売上高が伸長しました。また、チーズは、主力の製パン、外食、食品メーカー向けの業務用商品が伸長したことや取組みを強化しているコンシューマ商品も好調であったことから、売上げは前年同期比6.3%増の33,380百万円となりました。

以上の結果、売上高は、対前年同期比2.2%減の1,202,293百万円となりました。

② 損益状況

売上原価は、対前年同期比3.6%減の968,995百万円となり、売上高に対する比率につきましては前期81.8%に対して当期は80.6%となりました。売上総利益は、対前年同期比4.3%増の233,298百万円となりました。販売費及び一般管理費は、対前年同期比2.9%増の179,496百万円となり、売上高に対する比率は対前年同期比0.7ポイント増加し14.9%となりました。

継続事業からの税金等調整前当期純利益は、営業利益が増加したことなどもあり、対前年同期比39.1%増の49,112百万円となりました。

以上の結果、当社株主に帰属する当期純利益は対前年同期比60.7%増の35,004百万円となり、1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、171.74円となりました。

 

③ 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比5.5%増の720,276百万円となりました。資産の部では、米国子会社の養豚事業売却に伴い非継続事業にかかる流動資産が8,206百万円減少しましたが、現金及び現金同等物が前年同期末比22.8%増の82,639百万円、定期預金が前年同期末比79.8%増の18,616百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比4.2%増の379,398百万円となりました。有形固定資産(減価償却累計額控除後)は、設備投資の増加により前年同期末比7.3%増の283,364百万円となりました。

負債につきましては、短期借入金が前年同期末比18.0%増の48,804百万円、支払手形及び買掛金が前年同期末比8.0%増の101,857百万円となりましたが、長期債務(一年以内期限到来分を除く)が平成30年9月満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換が進んだことを主因として、前年同期末比24.7%減の76,658百万円となったことなどにより、前年同期末比3.0%減の311,920百万円となりました。

当社株主資本につきましては、当社株主に帰属する当期純利益35,004百万円による増加のほか、平成30年9月満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換による新株発行を主因として、資本金が7,640百万円、資本剰余金が7,915百万円それぞれ増加したことなどにより、前年同期末比13.4%増の404,126百万円となりました。なお、有利子負債(※)は前連結会計年度末から16,299百万円減少し、138,284百万円となりました。

以上の結果、当社株主資本比率は3.9ポイント増加し56.1%となりました。

(※)有利子負債:連結貸借対照表上の「短期借入金」、「一年以内に期限の到来する長期債務」及び「長期債務」(ゼロ・クーポン社債を含む)

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

世界的な飼料相場高による飼料価格の高騰や、BSE・インフルエンザ・口蹄疫など疾病の新たな発生等は、販売数量減や消費の減退、原料価格の高騰等に繋がります。また、世界経済の冷え込みによる、需要の急激な減退や食肉相場の大幅な下落、想定した範囲を超えた為替相場の変動は、事業に多大な影響を与えることが懸念されますが、このような環境下においても、個々の事業が、それぞれの市場で最適な戦略・組織で強みを発揮し、全員が顧客視点で事業・業務に取組む所存であります。

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

今後の経済見通しにつきましては、政府の景気対策の効果を引き続き見込むものの、世界各国の政策の不確実性に起因する金融市場の混乱の影響や国内の人手不足を背景とした物流費用の増大等、今後も不透明な状況が続くことが予測されます。このような環境の中、平成27年4月からスタートいたしました「新中期経営計画パート5」において掲げた「変革による骨太なビジネスモデルの構築」をテーマとし、「国内事業の競争優位性の確立」「グローバル企業への加速」を経営方針として推進してまいります。

加工事業本部につきましては、消費は徐々に回復の兆しがあるものの、価格競争の激化、原材料価格・燃料価格の上昇など、引き続き厳しい環境が続くことが予測されます。その中で製販一体となって成長戦略と基盤強化戦略を推進してまいります。成長戦略では、徹底した顧客視点を基に市場分析を行い、ブランド商品の育成と新ブランドの構築によるカテゴリーNo.1戦略の推進や、エリア販売を強化してまいります。また、マーケティング力を強化し、コンシューマ・業務用・冷凍食品など事業領域ごとの戦略を推進するとともにグループ連携をより強化することで、シェアと収益力の向上を目指します。商品開発においては、ボリュームゾーン向けの商品を強化するとともに、高付加価値商品や新たな価値を提案する商品により、新市場を開拓してまいります。基盤強化戦略においては、高生産性ラインの導入など将来を見据えた戦略的な設備投資と製販連携による製造ラインの見える化を推進し、コスト競争力を強化してまいります。 

食肉事業本部につきましては、食肉・穀物相場の変動や世界規模での需給動向の変化が激しく、厳しい経営環境が続くことを予測しています。このような環境の下、自社グループ農場から販売会社まで一貫したインテグレーションシステムを持つ他社にない強みをより強化するとともに、ブランド食肉の積極的な販売促進により国内販売シェアをさらに拡大してまいります。また、国内外において中長期的な視点で生産・調達力を拡充し、全国への効率的な販売・配送体制の強化も進めてまいります。

 

 

関連企業本部につきましては、水産事業、乳製品事業を柱として、生産力・開発力・販売力を強化し、国内事業規模の拡大を図ります。製造部門においては戦略的な設備投資を行うことで効率化を進めることと、中長期的な増産体制の確立を目指します。また、原料の需給動向の変化が激しい中、原料価格の上昇が予測されます。国内外における調達力と開発力の強化で自社製造商品を中心とした差別化と高付加価値化を進め収益力の向上に取り組んでまいります。販売面においては、顧客視点のマーケティングとグループ連携により、多様な商品群を活かしたチャネル戦略や新市場の開拓を進めてまいります。

海外事業本部につきましては、引き続き製販一体となり、進出国での内販拡大と、進出国の当社グループ各社が連携し第三国向け販売拡大を図ります。販売拡大には日本国内で培った商品開発力や品質管理手法など、グループの総合力を活用し、エリアに合った幅広い商品やサービスを提供してまいります。中長期的な視点から製造・販売拠点を強化、拡充するとともに、ガバナンスの強化にも継続して注力してまいります。

以上のように当社グループを取り巻く環境は大変厳しく、課題も山積しておりますが、「新中期経営計画パート5」で掲げた「変革による骨太なビジネスモデルの構築」のテーマのもと、経営方針、経営戦略に、グループ連携による相乗効果を最大限に発揮できるよう取り組んでまいります。

 

(5) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 65,254百万円の純キャッシュ増

営業活動によるキャッシュ・フローは、未払費用及びその他の流動負債の減少などがありましたが、当期純利益、減価償却費、支払手形及び買掛金の増加などにより65,254百万円の純キャッシュ増(前期は52,535百万円の純キャッシュ増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 38,271百万円の純キャッシュ減

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業の売却に伴う現金及び現金同等物の純増がありましたが、固定資産の取得や定期預金の増加などにより、38,271百万円の純キャッシュ減(前期は49,139百万円の純キャッシュ減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 11,439百万円の純キャッシュ減

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加及び借入債務による調達がありましたが、現金配当や借入債務の返済などにより、11,439百万円の純キャッシュ減(前期は8,182百万円の純キャッシュ増)となりました。