(1) 業績
当期につきましては、国内では景気の緩やかな回復基調が続き、企業の景況感は改善しているものの、消費者の節約志向の継続等により消費は力強さに欠けました。一方、世界経済は米国大統領選挙の結果及びその後の政策運営や英国のEU離脱への動き等の情勢変化もみられ、不透明感を増しました。
このような中、当社グループは、2020年度を最終年度とする新経営計画「NNI-120 Ⅱ」に基づき、コア事業の収益基盤の再構築に注力すると同時に、買収事業を含めた自立的成長と新規戦略投資等の実行により、着実な利益成長を目指すとともに、株主還元の一層の積極化に取り組んでおります。
各事業におきましては、市場の活性化に向け積極的な新製品の上市・拡販に取り組むとともに、製粉事業では臨海大型工場への生産集約、加工食品事業ではグローバルな最適生産体制の構築等、引き続き国内外におけるコスト競争力の確保及び事業基盤の強化に努めました。また、スポーツ協賛等を通じたブランド価値向上の取組みや積極的な広告宣伝活動を展開しました。昨年9月には、事業ポートフォリオの最適化を目的として、連結子会社である大山ハム㈱の株式を譲渡しました。
当期の業績につきましては、売上高は、昨年1月に取得した中食・惣菜事業の子会社の連結効果はあったものの、原料小麦価格の低下に伴う製品価格の低下及び円高に伴う海外事業の為替換算の影響により、5,320億40百万円(前期比95.6%)となりました。利益面では、コストダウンをはじめとした収益向上施策や新規子会社の連結効果により、営業利益は255億11百万円(前期比107.3%)、経常利益は303億29百万円(前期比107.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は194億66百万円(前期比110.8%)と増益となりました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となりました。
当期の配当につきましては、連結ベースでの配当性向を40%以上とする新経営計画の基本方針のもと、当初の予想どおり、前期より2円増額の1株当たり年間26円といたしました。
セグメント別の営業概況は次のとおりです。
① 製粉事業
製粉事業につきましては、消費者の節約志向の継続等を背景とした厳しい市場環境の中、積極的な拡販施策を実施し新規顧客の獲得を進め、国内業務用小麦粉の出荷は前年並みとなりました。また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で7.1%、10月に同7.9%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年7月と本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
生産・物流面では、臨海大型工場への生産集約による生産性向上及び固定費削減等の取組みを推進するとともに、昨年6月には鶴見工場の原料小麦サイロ収容力約25%増強工事が完了し、需要に即した原料小麦の確保、保管及び安定供給を実現する体制を強化しました。昨年9月に鶴見工場が国内の食品会社として初めて、また12月には知多工場でも、食品安全マネジメントシステムの新規格「JFS-E-C」(※)の認証を取得するなど、食品安全への更なる取組みを積極的に推進しました。
副製品であるふすまにつきましては、価格は軟調に推移しました。
海外事業につきましては、積極的な拡販により全体としては出荷が増加したものの、原料小麦価格の低下に伴う小麦粉価格の低下及び円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、本年秋の稼働予定でカナダのRogers Foods Ltd.チリワック工場の生産能力約80%増強工事を進めるとともに、平成31年初頭の稼働予定で米国のMiller Milling Company,LLC サギノー工場の生産能力約70%増強工事を進めております。
この結果、製粉事業の売上高は2,336億18百万円(前期比89.0%)、営業利益は98億23百万円(前期比106.3%)となりました。
※JFS-E-C
一般財団法人食品安全マネジメント協会「JFSM」が昨年7月に公表した、日本発の食品安全マネジメントシステムに関する新しい規格。
② 食品事業
加工食品事業につきましては、家庭用では、生活者の個食化・簡便化等のニーズにこたえ、好評をいただいているボトルタイプ製品のラインアップを拡充したほか、テレビCMやイベントへの協賛等の広告宣伝活動等、消費を喚起する施策を積極的に実施しました。業務用では、顧客ニーズに合わせた新製品の投入、新規顧客獲得に向けた提案活動を実施しました。また、輸入小麦の政府売渡価格改定に伴う業務用小麦粉の値下げにより、家庭用小麦粉及び業務用プレミックスの価格改定を昨年8月と本年2月に実施しました。中食・惣菜につきましては、幅広いカテゴリーの製品を供給できる総合中食・惣菜事業を展開し、順調に拡大しております。この結果、大山ハム㈱の連結除外の影響はあったものの、パスタ、中食・惣菜等の出荷が好調に推移したことや昨年1月に子会社化した㈱ジョイアス・フーズの連結効果もあり、加工食品事業全体としては、売上げは前年を上回りました。
海外事業につきましては、出荷は前年を上回ったものの、円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、コスト競争力を有するグローバルな最適生産体制の構築に向けて建設したベトナムのパスタソース等の調理加工食品工場、トルコのパスタ工場は順調に稼働しております。
酵母・バイオ事業につきましては、採算性向上のための取扱品目の絞込みにより、売上げは前年を下回りました。
健康食品事業につきましては、販売促進施策の推進により消費者向け製品の販売は堅調に推移しましたが、医薬品原薬の出荷が低調で、販売価格の低下もあり、売上げは前年を下回りました。
この結果、食品事業の売上高は2,549億44百万円(前期比103.3%)、営業利益は124億26百万円(前期比108.0%)となりました。
③ その他事業
ペットフード事業につきましては、積極的な新製品の投入、テレビCMやキャンペーンの実施等拡販に努めた結果、JPスタイルブランド等の高付加価値製品の出荷が好調に推移し、売上げは前年を上回りました。
エンジニアリング事業につきましては、主力のプラントエンジニアリングにおいて受注が伸び悩み、売上げは前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、スクリーン印刷用資材の出荷が低調で、売上げは前年を下回りました。
この結果、その他事業の売上高は434億78百万円(前期比91.5%)、営業利益は29億56百万円(前期比93.8%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益311億89百万円、減価償却費161億32百万円等による資金増加が、仕入債務の減少等による運転資金の増加及び法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは353億61百万円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
子会社株式の売却による収入32億6百万円、関係会社株式の償還による収入27億13百万円、及び有形及び無形固定資産の売却収入等による資金増加がありましたが、Rogers Foods Ltd.チリワック工場小麦粉生産ライン増設工事を含めた有形及び無形固定資産の取得に135億49百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは52億40百万円の資金減少となりました。
以上により、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、301億21百万円の資金増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株主の皆様への利益還元といたしまして、配当に75億46百万円を支出したことに加え、短期及び長期借入金の返済による支出が借入れによる収入を34億92百万円上回ったこと等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは114億70百万円の資金減少となりました。
上記のとおり、当連結会計年度は営業活動や子会社株式の売却等により増加した資金を、戦略的な設備投資に投入するとともに、株主の皆様への利益還元として配当に充当いたしました。これにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比178億77百万円増加し、908億37百万円となりました。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
|
製粉 |
253,844 |
224,067 |
△11.7 |
|
食品 |
130,459 |
136,927 |
5.0 |
|
その他 |
24,790 |
25,041 |
1.0 |
|
合計 |
409,093 |
386,037 |
△5.6 |
(注)1 金額は、期間中の平均販売価格等により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
増減率(%) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
|
製粉 |
262,463 |
233,618 |
△11.0 |
|
食品 |
246,703 |
254,944 |
3.3 |
|
その他 |
47,534 |
43,478 |
△8.5 |
|
合計 |
556,701 |
532,040 |
△4.4 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三菱商事㈱ |
62,617 |
11.2 |
62,097 |
11.7 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
主要な原材料価格及び販売価格の変動については「1 業績等の概要」に記載しております。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月28日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是とし、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」ことを企業理念として、事業を進め業容の拡大を図ってまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた商品やサービスの提供に努め、「信頼」を築き上げる決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。
これらの基本的な理念を踏まえて、当社は日清製粉グループの持株会社として長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつグループ経営を展開しております。
また、内部統制システムへの取組み、コンプライアンスの徹底、食品安全、環境保全、社会貢献活動等の社会的責任を果たしつつ自己革新を進め、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持されるグループであるべく努力を重ねております。
(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
当社グループは、2020年度を最終年度とする新経営計画「NNI-120 Ⅱ」に取り組んでおります。
新経営計画におきましては、当社グループの成長に向けて事業ポートフォリオの最適化に取り組むとともにコア事業の収益基盤の再構築や買収事業を含めた自立的成長等を柱とする新たな基本戦略を実行し、着実な利益成長を目指します。2020年度における業績目標は売上高7,500億円、営業利益300億円、1株当たり当期純利益(EPS)80円とし、持続的な成長を実現すべく将来に向けた戦略投資(M&A、設備投資)を積極的に実行してまいります。また、株主の皆様への利益配分につきましても、連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし、積極的に配当の上積みを図り、自己株式取得等は戦略投資資金需要等を勘案した上で機動的に行ってまいります。
当社グループは、新経営計画で策定したこれらの戦略を遂行し、利益成長と資本政策の両面から1株当たり当期純利益(EPS)の成長を目指すとともに、資本の効率性と財務の安定性のバランスを取りながら、資本コストを上回る自己資本利益率(ROE)の確保・向上に努め、長期的なグループ価値の極大化を図ってまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
国内の食品業界におきましては、流動的な世界情勢を背景とした為替相場や穀物・資源価格の変動、及び国内の人口減少に伴う市場縮小や人手不足問題の深刻化等、事業環境は大きく変化しております。また、平成27年10月に大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)は、米国が離脱を通知したことにより、今後の行方が不透明となっているものの、EPA(経済連携協定)等の国際貿易交渉の結果いかんではグローバル競争が加速されることが予想されます。
そのような中、当社グループは、引き続き小麦粉をはじめとする安全・安心な「食」の安定供給を確保し、各事業におきまして安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、国内・海外を含めた事業会社間の連携を強化し、グループとしての「総合力」をさらに発揮して、新経営計画で策定した戦略にスピーディーに取り組み、事業の成長を図ってまいります。
① 国内事業戦略
製粉事業におきましては、お客様のニーズを的確にとらえた製品の開発や価値営業を推進し、お客様との関係を一層強化してまいります。また、コスト競争力強化策としての臨海大型工場への生産集約に続き、昨年6月には鶴見工場の原料小麦サイロ収容力約25%増強工事が完了しました。引き続き安全・安心な製品の安定供給に努めてまいります。
加工食品事業におきましては、生活者の個食化・簡便化等のニーズに対応した新製品の投入や積極的な販売促進施策等により、ブランドロイヤリティの向上に取り組むとともに、成長分野である中食・惣菜事業、冷凍食品事業の一層の拡大を図るなど、事業ポートフォリオの最適化にも取り組んでまいります。
酵母・バイオ、健康食品、ペットフード、エンジニアリング、メッシュクロス等の各事業におきましては、製品開発・技術開発を進め、各業界において存在感のある事業群として成長を図ってまいります。
② 海外事業戦略
製粉事業におきましては、当社グループの強みである製粉技術、提案力を活かした拡販に取り組み、現地市場での自立的成長を図ってまいります。また、本年秋の稼働予定でカナダのRogers Foods Ltd.チリワック工場の生産能力約80%増強工事を進めるとともに、平成31年初頭の稼働予定で米国のMiller Milling Company,LLCサギノー工場の生産能力約70%増強工事を進めております。このような供給体制の強化により、北米全体の事業基盤拡大に取り組んでまいります。さらに、ニュージーランド、タイでのビジネスにおきましても、これまで築いた事業基盤の更なる拡大に注力してまいります。
加工食品事業におきましては、アジア市場で成長が見込まれる業務用プレミックス事業をさらに拡大してまいります。また、生産面ではコスト競争力を強化するとともに新たに構築したグローバルな最適生産体制をベースに、当社グループが長年培ってきた製造技術や高度な品質管理ノウハウを活かし、パスタ、パスタソース、冷凍食品等の更なる事業拡大に取り組んでまいります。
その他、製粉、食品、ベーカリー関連ビジネスを中心に、新たな領域での事業拡大を自社独自に又はM&A、アライアンスによりスピード感を持って推進してまいります。
③ 研究開発戦略、コスト戦略
当社グループはお客様の視点に立った新製品開発と新しい領域の基礎・基盤技術の創出に取り組んでおります。新製品開発につきましては、新規性、独自性があり、お客様にとって付加価値の高い新製品を継続的に開発してまいります。研究面におきましては、研究成果の実用化、事業化推進のため、重点研究領域を明確にするとともに、事業戦略に即した研究テーマを設定するなど効率化、スピード化を図ってまいります。自動化技術の活用による更なる効率化も検討、推進し、人手不足問題等にも対応してまいります。
また、今後も大きな変動が想定される原・燃料相場に対応し、生産コスト、調達コストの低減を進めるとともに、変動するコストに適切に対応できる事業基盤を構築してまいります。
④ 麦政策等の制度変更に向けた取組み
平成27年10月に大筋合意したTPPは、米国が離脱を通知したことにより、今後の行方が不透明となっておりますが、一方で、日欧EPA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)等の交渉や米国からの2国間交渉を求める動き等、自由化に向けた潮流は継続しており、国際貿易交渉が急速に進展した場合、小麦・小麦関連製品の国境措置低下に伴う需要動向の変化により、関連業界に影響が及ぶことが想定されます。当社グループは、今後の情勢変化を適切に見極めながら、引き続きグローバル競争で勝ち抜くべく国内外での強固な企業体質を構築してまいります。
⑤ 企業の社会的責任への取組み
当社グループは、従前より社会にとって真に必要な企業グループであり続けるべく、「日清製粉グループの企業行動規範及び社員行動指針」の実践及びそのための取組みの促進を目的に社会委員会を設置し、企業活動全般におきまして企業の社会的責任(CSR)を果たしてきております。
当社グループは、コンプライアンスの徹底、品質保証体制の確立、環境保全活動の実施等のCSR活動の推進及び内部統制の浸透を経営の最重要課題の一つと位置付け、グループ全社に徹底しております。
コンプライアンスにつきましては、当社グループは関連法規や社会規範及び社内規程・ルールを遵守し、公正かつ自由な競争の中で事業の発展を図っております。
品質保証につきましては、安全・安心な製品をお届けするために、食品安全に加え、食品防御(フードディフェンス)を強化しております。また、消費者の皆様の意識や社会の潮流を見極め、備えるべき事項や対策を適時、適切に指示する役割を担うCR室が、消費者の皆様の声や消費者行政関連の情報を積極的に収集し、消費者の皆様への対応の充実を図っております。さらには、小麦粉をはじめとする安全・安心な「食」の安定供給を確保するために、BCP(事業継続計画)により災害等への備え等も拡充しております。
環境保全につきましては、省エネルギー、廃棄物の削減等、電力問題への対応を含め環境負荷の低減に積極的に取り組んでおります。
内部統制につきましては、金融商品取引法により求められる範囲を超え、当社グループ全体におきまして広く内部統制システムの整備を行い、専任組織によるモニタリングを実施するとともに引き続きその維持、改善に努めております。
さらに、当社グループは社会の一員として、広く社会貢献活動に取り組み、震災被災地の復興支援、「製粉ミュージアム」による地域観光資源や教育資産としての地域貢献等を行っております。
当社グループはこのような企業の社会的責任への取組みを今後とも継続してまいります。
(4) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、「食」にかかわる企業として、安全安心な食を提供し続けていくことが当社グループの責務であるとともに企業価値の源泉であると考えております。企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるためには、製品の高い安全性と品質の保証、その安定的な供給が必要不可欠です。これらの理解に欠ける者が、当社株式を買い集め、短期的な経済的効率性のみを重視して生産コストや研究開発コストにつき過度の削減を行うなど中長期的視点からの継続的・計画的な経営方針に反する行為を行うことは、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されることにつながります。また、これらに限らず株式の買付行為の中には、その態様によっては当社の企業価値及び株主共同の利益を害するものも存在します。
こうしたことに対処するためには、当社株式の買収者が意図する経営方針や事業計画の内容、買収提案が当社株主や当社グループの経営に与える影響、当社グループを取り巻く多くの関係者に与える影響、食の安全を始めとした社会的責任に対する考え方等について、事前の十分な情報開示がなされ、かつ相応の検討期間、交渉力等が確保される必要があると考えております。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
純粋持株会社である当社は、当社グループの経営戦略の立案、効率的な経営資源の配分、事業活動の監査・監督の役割を担い、各事業会社はそれぞれのマーケットに最適化することで、製品の高い安全性と品質の保証及びその安定的な供給を確保し、相互に企業価値を高め合いグループ全体の企業価値を向上させております。
この体制のもと当社グループは、製品の安全性及び品質を支える生産技術・開発力・分析力等の高い技術力の維持・向上を目指し、長期的な視点に立った継続的・計画的な設備投資を実施するとともに、一層の専門性の確保・向上のための従業員の育成、品質及び設備に関する継続的な監査・指導システムの導入、内部統制、コンプライアンス体制の構築と継続的な徹底などに注力しており、また、お取引先、地域社会を含めた各利害関係者との信頼関係の構築と維持にも努めております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
当社は、企業価値及び株主共同の利益を確保・向上するための方策として、定款第49条及び平成27年6月25日開催の第171回定時株主総会においてご承認いただいた「企業価値及び株主共同の利益の確保・向上のための新株予約権の無償割当等承認決議更新の件」の内容に従い、新株予約権の無償割当てを活用した方策(「本プラン」)を導入しております。本プランの概要は以下のとおりです。
1) 取締役会は、特定買収行為を企図する者に対して、買収提案をあらかじめ書面により当社に提出し、当該買
収提案について本新株予約権(下記6))の無償割当等を行わない旨の取締役会決議(「確認決議」)を求めるよう要請するものとし、特定買収行為を企図する者は、その実行に先立ち、買収提案を提出して確認決議を求めるものとします。取締役会は、本プランの迅速な運営を図る観点から、特定買収行為に関する提案を行った者に対し、必要に応じて回答期間を設定して追加的に情報提供を要請する場合があります。この場合でも、最初の情報提供要請を当該提案者に行った日から起算して60営業日以内を上限として、当該提案者が行う回答期間を設定し、当該回答期間の満了をもって企業価値委員会の検討・審議を開始することとします。
「特定買収行為」とは、a)株券等保有割合が20%以上となる当社の株券等の買付行為(これに準ずる行為として取締役会で定めるものを含みます。)又はb)買付け等の後の株券等所有割合が20%以上となる当社の株券等の公開買付けの開始行為のいずれかに該当する行為をいいます。「買収提案」とは、買収後の当社の経営方針と事業計画、対価の算定根拠、買収資金の裏付け、当社の利害関係者に与えうる影響その他下記4)ア)ないしキ)記載の事項に関連する情報として当社が合理的に求めるものが記載されたものをいいます。
2) 取締役会は、買収提案を受領した場合、当該買収提案を当社の社外役員のみから構成される企業価値委員会に速やかに付議するものとします。
3) 企業価値委員会は、買収提案を検討し、当該買収提案について取締役会が確認決議を行うべきである旨を勧告する決議(「勧告決議」)を行うかどうかを審議します。勧告決議は全委員の過半数の賛成により行われ、当該決議結果は開示されるものとします。企業価値委員会の検討・審議期間は、取締役会による買収提案受領後60営業日(対価を円貨の現金のみとした買付上限株数を設けない買収提案以外の場合には90営業日。)とします。合理的理由がある場合に限り、30営業日を上限として検討・審議期間が延長されることがあり得ますが、その場合には、当該理由及び延長予定期間について開示いたします。
4) 企業価値委員会における勧告決議の検討・審議は、当該買収提案が企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に適うものであるかどうかの観点から真摯に行われるものとします。なお、企業価値委員会は、以下に掲げる事項がすべて充たされていると認められる買収提案については、勧告決議を行わなければならないものとし、また、以下に掲げる事項の一部を充たさない買収提案であっても企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に照らして相当であると認められる場合には勧告決議を行うものとします。
ア) 下記のいずれの類型にも該当しないこと
(a)株式を買い占め、その株式について当社又はその関係者に対して高値で買取りを要求する行為
(b)当社を一時的に支配して当社の重要な資産等を移転させるなど、当社の犠牲の下に買収提案者又はそのグループ会社その他の関係者の利益を実現する経営を行う行為
(c)当社の資産を買収提案者又はそのグループ会社その他の関係者の債務の担保や弁済原資として流用する行為
(d)当社の経営を一時的に支配して将来の事業展開、商品開発等に必要な資産や資金を減少させるなど、当社の継続的発展を犠牲にして一時的な高いリターンを得ようとする行為
(e)その他、当社の株主、取引先、顧客、従業員等を含む当社の利害関係者の利益を不当に害することで買収提案者又はそのグループ会社その他の関係者が利益をあげる態様の行為
イ)当該買収提案に係る取引の仕組み及び内容等が、関連する法令及び規則等を遵守したものであること
ウ)当該買収提案に係る取引の仕組み及び内容が、買収に応じることを当社株主に事実上強要するおそれがあるものではないこと
エ)当該買収提案を検討するために必要でかつ虚偽のない情報が、当社の要請等に応じて適時に提供されていること、その他本プランの手続に即した真摯な対応がなされていること
オ)当該買収提案を当社が検討(代替案を検討し当社株主に対して提示することを含む。)するための期間(買収提案の受領日から60営業日(対価を円貨の現金のみとした買付上限株数を設けない買収提案以外の場合には90営業日。なお、これらの日数を超える合理的理由がある場合は30営業日を上限とした当該日数。))が確保されていること
カ)当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして不十分又は不適切であると認められる条件による提案ではないこと
キ)その他企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に適うものであると合理的に認められること
5) 取締役会の確認決議は、企業価値委員会の勧告決議に基づいてなされるものとします。取締役会は、企業価値委員会から勧告決議がなされた場合、取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り、速やかに確認決議を行わなければならないものとし、確認決議を受けた買収提案に対して本新株予約権の無償割当等を行うことができないものとします。
6) 特定買収者(特定買収行為を行った者で特定買収行為を行った時点までに確認決議を得なかった者をいいます。)が出現した場合、取締役会は、特定買収者の出現を認識した旨の開示のほか、無償割当基準日、無償割当効力発生日その他本新株予約権の無償割当てに関する必要事項を決定する決議を行い、決定された事項を公表の上、本新株予約権の無償割当てを実行します。「本新株予約権」とは、特定買収者等(特定買収者及びその関係者をいいます。)の行使に制約が付された新株予約権をいいます。
無償割当基準日の前で取締役会が別途定める日(但し、無償割当基準日の3営業日前の日以降の日を定めることは予定されておりません。)までに、特定買収者の株券等保有割合が20%を下回ったことが明らかになった場合等には、取締役会は本新株予約権の無償割当ての効力を生じさせないことができます。
7) 本新株予約権の無償割当てを行う場合、無償割当基準日における全普通株主(但し、当社を除く。)に対し、その所有する当社普通株式1株につき本新株予約権1個の割合で割り当てることとし、本新株予約権1個当たりの目的となる株式の数は、2株以下で取締役会が別途定める数となります。各本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、1円に各本新株予約権の目的となる株式の数を乗じた額とします。
8) 本新株予約権には、未行使の本新株予約権を当社が取得することができる旨の取得条項が付されます。取得の対価は、特定買収者等に該当しない者が保有する本新株予約権については、当該本新株予約権の数に本新株予約権1個当たりの目的となる株式の数を乗じた数の整数部分に該当する数の当社普通株式、それ以外の本新株予約権については取得に係る本新株予約権と同数の譲渡制限付新株予約権(特定買収者等の行使に制約が付されたもの)となります。
④ 取締役会の判断及びその理由
本プランは上記の基本方針に沿うものであり、またその合理性を高めるため以下のような特段の工夫が施されておりますので、本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。
1) 本プランは、当社定款第49条の規定に則り、平成27年6月25日開催の第171回定時株主総会において株主の皆様の事前承認を受けております。
2) 当社取締役の任期は1年であり、任期期差制や解任要件の普通決議からの加重等も行っておりません。従って、1回の株主総会普通決議における取締役の選解任を通じて、取締役会決議により本プランを廃止することが可能です。
3) 本プランにおける判断の中立性を担保するため、当社社外役員のみから構成される企業価値委員会が、買収提案の内容につき検討を行い、当社の役員としての会社に対する法的義務を背景に、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に適うものであるかどうかの観点から買収提案について審議します。そして、企業価値委員会から取締役会に対し、確認決議を行うべきとの勧告決議がなされた場合、取締役会は、取締役としての善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り、同勧告決議に従い確認決議を行わなければならないこととされております。
4) 上記③4)ア)ないしキ)記載の事項がすべて充たされていると認められる買収提案については、企業価値委員会は勧告決議を行わなければならないものとされており、客観性を高めるための仕組みが採られております。
5) 本プランは、株主総会の承認決議の範囲内で、取締役会決議により毎年見直すことを基本としており、関連する法制度の動向その他当社を取り巻く様々な状況に対応することが可能となっております。
6) 株主総会の承認決議の有効期間を、決議から3年に設定しております。3年が経過した時点で、取締役会は、附帯条件の見直し等を含め、改めて株主総会の承認をお願いし、株主の皆様にご判断いただくことを予定しております。
7) 本プランは、経済産業省及び法務省が定めた平成17年5月27日付「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」が求める適法性の要件(新株予約権等の発行の差止めを受けることがないために充たすべき要件)、合理性の要件(株主や投資家など関係者の理解を得るための要件)をすべて充たしております。また、経済産業省企業価値研究会平成20年6月30日付報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の提言内容にも合致しております。
当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月28日)現在において当社が判断したものであります。
① 経済情勢、業界環境
当社グループは経済情勢・業界環境によって業績を大きく左右されないように、企業体質の強化に努めておりますが、国内の競争激化による主要製品の出荷変動、単価下落の可能性があります。また、投資先・取引先等の倒産による損失発生の可能性があります。
② 国際貿易交渉の進展と麦政策の変更
当社グループは構造改善に取組み、強固な企業体質を構築してまいりました。
平成27年10月に大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)は、米国が離脱を通知したことにより、今後の行方が不透明となっておりますが、一方で、日欧EPA交渉や米国からの2国間交渉を求める動きなど自由化に向けた潮流は継続しており、国際貿易交渉が急速に進展した場合、小麦・小麦関連製品の国境措置低下に伴う需要動向の変化により、当社グループの製粉、加工食品事業を始めとする小麦粉関連業界に影響が及ぶことも予想されます。
また、国内での麦政策の見直し等により、現行の国家貿易のあり方など小麦の管理手法(調達・在庫・売渡方法など)の変更、国内小麦粉・二次加工品市場の混乱、関連業界の再編など製粉事業、加工食品事業においてリスクの発生の可能性があります。
③ 製品安全
食の安心・安全についての社会的関心が年々高まっており、食品業界におきましては、より一層厳格な対応が求められるようになっております。当社グループは食品防御(フードディフェンス)を含む品質保証体制の確立に向けて取組みを強化しておりますが、外的要因も含め当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、製品回収、出荷不能品発生などの可能性があります。また、原料調達面における当社グループの予測不能の事象の発生により出荷不能品発生などの可能性があります。
④ 原材料市況の高騰
当社グループは将来の小麦の完全自由化対応に向けてローコストの実現を目指しておりますが、原料市況の変動及び原油高に伴う物流コスト、包装資材等の原材料価格の上昇などで調達コストが高騰し、コスト低減を実現できない可能性があります。また、輸入小麦価格の大幅な引き上げ等原材料や商品等の調達コストの上昇に対応した小麦粉及び加工食品等の販売価格の改定が確実に行われない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替変動(主にドル・ユーロ・バーツ)
当社グループは為替予約を実施するなど、為替変動によって業績を左右されないよう努めておりますが、加工食品事業をはじめ各事業において、原料・製品の一部を海外より調達しており、為替変動により調達コスト変動の可能性があります。また、海外事業においては損益、財務状況が円換算の変動の影響を受け、製粉事業においては副産物のふすま価格が為替で変動する輸入ふすま価格の影響を受ける可能性があります。
⑥ 生産の外部委託
当社グループは生産効率の最適化を実現するために、自社生産に加えて一部製品の生産を外部委託しております。生産の外部委託に際しては自社工場と同様の管理の徹底や、調達の安定性の確保に十分に配慮しておりますが、当社グループとの取引に起因しない委託先企業の経営破綻などの事象が発生した場合、調達コストの上昇、製品供給に支障をきたすなどの可能性があります。
⑦ 情報・システム
当社グループでは適切なシステム管理体制作りをしておりますが、システム運用上のトラブルの発生などにより、顧客対応に支障をきたし、費用発生などの可能性があります。また、当社グループではコンピューターウィルス対策や情報管理の徹底を進めておりますが、当社グループの予測不能のウィルスの侵入や情報への不正アクセスなどにより、顧客対応に支障をきたす可能性や、営業秘密・個人情報の社外への流出などによる費用発生や社会的信用の低下などの可能性があります。
⑧ 他社とのアライアンス及び企業買収の効果の実現
当社グループは経営資源の最適化を図り、成長と拡大を実現するため、他社とのアライアンス及び企業買収を
行っておりますが、アライアンス及び買収後の事業が当初の計画通りに進捗しない場合等には、その効果を実現できない可能性があります。
⑨ 設備安全、自然災害等
当社グループは工場等の設備安全に向けて火災・爆発などの事故発生防止の体制作りを強化しております。また地震・風水害など自然災害の発生時に、人的被害・工場等の設備破損が生じないように主要工場の耐震補強や液状化対策を実施しており、今後想定される大地震に対しても、BCP(事業継続計画)の追加策定を行うなどの見直しを行っております。しかし、当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、あるいは、新型インフルエンザ等の感染症が大流行した場合など、損害発生、顧客への製品供給に支障をきたすなどの可能性があります。
⑩ 公的規制
当社グループはコンプライアンスの更なる強化を進めておりますが、予測不能の事態の発生により対応費用の発生などの可能性があります。
⑪ 海外事故等
当社グループは海外事故等の未然防止に努めておりますが、海外事業においては、政治あるいは経済の予期しない変動、テロあるいは紛争等の発生による事業活動の制約、新型インフルエンザ等の感染症の大流行などにより、海外事業の業績悪化、事業継続に支障が生じるなどの可能性があります。
⑫ 知的財産権
当社グループは知的財産権の保護を進めておりますが、他社の類似製品発売などにより、ブランド価値の低下などの可能性があります。また、将来において当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
⑬ 環境管理
当社グループの事業は、比較的環境負荷の低い事業で構成されておりますが、そのような中におきましても当社グループは企業活動を通じて環境管理システムの充実、省エネルギー、廃棄物削減など環境経営を積極的に進めております。しかしながら、当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、対応費用の発生などの可能性があります。
当社は、平成28年7月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である、日清フーズ㈱、オリエンタル酵母工業㈱、日清アソシエイツ㈱が所有する、大山ハム㈱の株式全てをエア・ウォーター㈱に譲渡(以下「本譲渡」)することについて決議を行い、日清フーズ㈱、オリエンタル酵母工業㈱、日清アソシエイツ㈱は、平成28年7月28日付でエア・ウォーター㈱との間で株式譲渡契約(以下「本契約」)を締結いたしました。
なお、本譲渡は、本契約に基づき、平成28年9月20日付で実行されております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、当社の組織として主に基盤技術を研究開発する基礎研究所、及び主に各事業に導入する生産技術の開発とナノテクノロジー技術の開発を担う生産技術研究所を設置するほか、連結子会社である日清製粉㈱(製粉事業)、日清フーズ㈱、オリエンタル酵母工業㈱、日清ファルマ㈱(以上食品事業)、日清ペットフード㈱、日清エンジニアリング㈱、㈱NBCメッシュテック(以上その他事業)にそれぞれ研究開発組織を配置し、各事業領域に特化した研究開発を行っております。
これらの研究開発組織においては、新製品候補素材の探索や新技術の確立を目的とした基礎研究を行う一方、マーケットのニーズ・ウォンツに適合した新製品や調理加工技術の開発、既存製品の改良、生産システムの自動化、粉粒体関連技術の開発・応用など、幅広い研究開発活動を行っております。いずれも研究領域における専門性を高め最新技術を導入するため内外の研究機関などと積極的に連携を深め、研究開発の効率化と成果の事業化を強力に推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、56億48百万円であります。
なお、研究開発費には、特定のセグメントに関連付けられない研究費用10億25百万円が含まれております。
当連結会計年度の研究開発の概要と主な成果は次のとおりであります。
(1) 製粉事業
日清製粉㈱商品開発センター、つくば穀物科学研究所が中心となり、当社の基礎研究所、生産技術研究所と連携して、新しい小麦粉加工技術及び小麦・小麦粉を対象とした穀物科学と穀粉加工技術の研究開発などを行っております。主な成果としては、しっかりした弾力と独特の粘り、茹で伸びの遅さを特徴とした業務用中華麺用粉「麺無双」を発売しました。
製粉事業に係る研究開発費は6億29百万円であります。
(2) 食品事業
日清フーズ㈱の加工食品事業部が中心となり、当社の基礎研究所、生産技術研究所と連携して、各種プレミックス・乾麺・パスタ・レトルト食品・冷凍食品・惣菜等の全温度帯商品群の研究開発を行っております。主な成果としては、ボトルタイプ製品の第4弾として、お肉等の食材に直接ふり出し、つけて揚げるだけで簡単に揚げ物調理ができる家庭用パン粉新製品「日清 小麦粉・卵いらず ラク揚げ パン粉」を発売しました。オリエンタル酵母工業㈱の食品部門では、食品研究所と4つの食品開発センターでパン酵母や製パン・製菓材料及び日持・品質向上剤等の研究開発を行い、バイオ部門では長浜生物科学研究所において再生医療関連製品等の研究開発を行っております。日清ファルマ㈱健康科学研究所では各種健康食品の開発を行い、産官学で連携して健康食品素材の研究開発を行っています。主な成果としては、玉葱由来の成分(アリイン類)が男性更年期症状の改善に有効であることを、ヒト臨床試験で確認しました。
食品事業に係る研究開発費は33億25百万円であります。
(3) その他事業
日清ペットフード㈱では那須研究所でペットの健康や嗜好に配慮した研究開発を行っております。主な成果としては、健康に配慮した「JPスタイル 和の究み」シリーズ、嗜好に配慮した「懐石」「いぬのしあわせ」シリーズ、及び全国の動物病院を通じて販売される国産療法食「JPスタイル ダイエテティクス」シリーズのラインアップ充実を図りました。日清エンジニアリング㈱では、粉体事業部が各種粉体の粉砕、分級などの機器、及び熱プラズマ法によるナノ粒子製造技術を当社の生産技術研究所と連携して研究開発しております。また㈱NBCメッシュテックでは、スクリーン印刷用・産業用資材の両分野において新製品及び新素材の研究開発を行っております。
その他事業に係る研究開発費は6億69百万円であります。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月28日)現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。
当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の報告数値に影響を与える以下のような見積り及び仮定を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと実績が異なる場合があります。
① 貸倒引当金
当社グループは、金銭債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、必要な貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
② 投資有価証券の減損
当社グループでは投資有価証券を所有しておりますが、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。当社グループでは、時価のある有価証券については、時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には減損処理し、30%から50%の下落の場合には、当該有価証券発行会社の業績等を勘案し必要に応じ減損処理しております。時価のない有価証券については、その実質価額が取得価額に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められる場合を除き、減損処理しております。
当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきており、現状では減損すべき投資有価証券はありませんが、将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループには、現状では減損すべき固定資産はありませんが、将来の企業環境の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を著しく下回ることとなった場合には減損処理が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩または追加計上により利益が変動する可能性があります。
⑤ 退職給付費用及び債務
当社グループの退職一時金制度及び既退職の年金受給者を対象とする確定給付企業年金制度における退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給付水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。割引率は期末における複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等の市場利回りに基づき、長期期待運用収益率は保有している年金資産の運用方針や過去の運用実績等に基づき決定しております。実績が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(2) 当連結会計年度の経営成績及び経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
① 売上高及び営業利益
当連結会計年度につきましては、国内では景気の緩やかな回復基調が続き、企業の景況感は改善しているものの、消費者の節約志向の継続等により消費は力強さに欠けました。一方、世界経済は米国大統領選挙の結果及びその後の政策運営や英国のEU離脱への動き等の情勢変化もみられ、不透明感を増しました。
このような中、製粉事業につきましては、消費者の節約志向の継続等を背景とした厳しい市場環境の中、積極的な拡販施策を実施し新規顧客の獲得を進め、国内業務用小麦粉の出荷は前年並みとなりました。また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で7.1%、10月に同7.9%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年7月と本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。生産・物流面では、臨海大型工場への生産集約による生産性向上及び固定費削減等の取組みを推進するとともに、昨年6月には鶴見工場の原料小麦サイロ収容力約25%増強工事が完了し、需要に即した原料小麦の確保、保管及び安定供給を実現する体制を強化しました。昨年9月に鶴見工場が国内の食品会社として初めて、また12月には知多工場でも、食品安全マネジメントシステムの新規格「JFS-E-C」の認証を取得するなど、食品安全への更なる取組みを積極的に推進しました。副製品であるふすまにつきましては、価格は軟調に推移しました。海外事業につきましては、積極的な拡販により全体としては出荷が増加したものの、原料小麦価格の低下に伴う小麦粉価格の低下及び円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、本年秋の稼働予定でカナダのRogers Foods Ltd.チリワック工場の生産能力約80%増強工事を進めるとともに、平成31年初頭の稼働予定で米国のMiller Milling Company,LLC サギノー工場の生産能力約70%増強工事を進めております。この結果、製粉事業では減収、増益となりました。
食品事業につきましては、加工食品事業において、家庭用では、生活者の個食化・簡便化等のニーズにこたえ、好評をいただいているボトルタイプ製品のラインアップを拡充したほか、テレビCMやイベントへの協賛等の広告宣伝活動等、消費を喚起する施策を積極的に実施しました。業務用では、顧客ニーズに合わせた新製品の投入、新規顧客獲得に向けた提案活動を実施しました。また、輸入小麦の政府売渡価格改定に伴う業務用小麦粉の値下げにより、家庭用小麦粉及び業務用プレミックスの価格改定を昨年8月と本年2月に実施しました。中食・惣菜につきましては、幅広いカテゴリーの製品を供給できる総合中食・惣菜事業を展開し、順調に拡大しております。この結果、大山ハム㈱の連結除外の影響はあったものの、パスタ、中食・惣菜等の出荷が好調に推移したことや昨年1月に子会社化した㈱ジョイアス・フーズの連結効果もあり、加工食品事業全体としては、売上げは前年を上回りました。海外事業につきましては、出荷は前年を上回ったものの、円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、コスト競争力を有するグローバルな最適生産体制の構築に向けて建設したベトナムのパスタソース等の調理加工食品工場、トルコのパスタ工場は順調に稼働しております。酵母・バイオ事業につきましては、採算性向上のための取扱品目の絞込みにより、売上げは前年を下回りました。
健康食品事業につきましては、販売促進施策の推進により消費者向け製品の販売は堅調に推移しましたが、医薬品原薬の出荷が低調で、販売価格の低下もあり、売上げは前年を下回りました。この結果、食品事業では増収、増益となりました。
その他事業では、ペットフード事業につきましては、積極的な新製品の投入、テレビCMやキャンペーンの実
施等拡販に努めた結果、JPスタイルブランド等の高付加価値製品の出荷が好調に推移し、売上げは前年を上回りました。エンジニアリング事業につきましては、主力のプラントエンジニアリングにおいて受注が伸び悩み、売上げは前年を下回りました。メッシュクロス事業につきましては、スクリーン印刷用資材の出荷が低調で、売上げは前年を下回りました。この結果、その他事業では減収、減益となりました。
以上の結果、連結売上高は前連結会計年度に比べ246億60百万円(4.4%)減の5,320億40百万円となりました。売上総利益率は29.7%と前連結会計年度と比べ2.0%上昇し、また販売費及び一般管理費は、㈱ジョイアス・フーズを新たに連結したこと等により、前連結会計年度と比べ17億87百万円増加しました。この結果、営業利益は前連結会計年度と比べ17億41百万円(7.3%)増の255億11百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ0.5%増加し4.8%となりました。
② 経常利益
金融収支尻は23億51百万円(益)で、前連結会計年度に比べ17百万円増加しました。持分法による投資利益は19億60百万円で、前連結会計年度に比べ5億14百万円増加しました。その他雑損益合計は5億6百万円(益)で、前連結会計年度に比べ43百万円減少しました。
以上の結果、営業外損益合計では48億17百万円(益)となり、前連結会計年度に比べ4億88百万円増加し、経常利益は前連結会計年度と比べ、22億30百万円(7.9%)増の303億29百万円となりました。
③ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は26億69百万円、特別損失は18億9百万円で差引特別損益は8億60百万円(益)となりました。特別利益のうち主なものは、関係会社株式売却益18億80百万円であり、特別損失のうち主なものは、減損損失9億58百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ37億27百万円増の311億89百万円となりました。
税金等調整前当期純利益から法人税等合計104億26百万円、非支配株主に帰属する当期純利益12億96百万円を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は194億66百万円、前連結会計年度に比べ19億5百万円(10.8%)増となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益は64円50銭となり、前連結会計年度に比べ6円25銭増加しました。また、自己資本利益率(ROE)は5.1%となり、前連結会計年度に比べ0.3%増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの当連結会計年度の資金状況は、営業活動で得た353億円に加え、子会社株式の売却による収入32億円、及び関係会社株式の償還による収入27億円等で増加した資金を、Rogers Foods Ltd.によるチリワック工場小麦粉生産ライン増設工事を含めた有形及び無形固定資産の取得に135億円投入したこと等により、フリー・キャッシュ・フローで301億円の資金増加となりました。財務活動におきましては、株主の皆様への利益還元といたしまして、配当金の支払いに75億円を支出したことに加え、短期及び長期借入金の返済による支出が借入れによる収入を34億円上回ったこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは114億円の資金減少となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は前連結会計年度末に比べ178億円増加し、908億円となりました。
当連結会計年度末の借入金残高は147億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
なお、当社グループは新経営計画「NNI-120 Ⅱ」に基づき、成長に向けた重点分野に対する積極的な戦略投資を実行し、将来の企業価値を高めていくと同時に、株主還元につきましては、配当は積極的に上積みを図り、自己株式取得等は戦略投資資金需要等を勘案した上で機動的に行う方針であります。そのための資金は、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び資産の徹底的な圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。