文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
2017年1月、日揮グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所となる企業理念「JGC Way」を制定いたしました。
「JGC Way」は3つの要素から構成されており、Mission(経営理念)として、「私たちは、世界を舞台に、技術と知見を結集して、人と地球の豊かな未来を創ります」を掲げ、日揮グループ共通のValues(価値観)として、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。そして、Vision(目指す姿)として、「私たちは、エンジニアリングをコアとして、エネルギーとインフラの世界で、新たな価値を創り出す企業グループを目指します」を掲げております。
日揮グループは、企業理念「JGC Way」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、企業グループとして持続的な発展・拡大の実現に努め、以て社会と地球の持続的な成長に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標、経営環境、中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
中期経営計画「Beyond the Horizon」の確実な実行
当社グループは、2016年度から2020年度までの5か年を対象とする中期経営計画「Beyond the Horizon」を推進しております。この計画では、目標とする経営指標として、2020年度の売上高1兆円以上、親会社株主に帰属する当期純利益600億円を掲げ、ROEについては引き続き10%以上としております。また、基本方針としてコアビジネスであるオイル&ガス分野のEPC事業の拡大を図りつつ、インフラ分野へのEPC事業の拡大および非EPC事業からの安定的な利益創出に注力し、企業価値向上を図っていくこととしております。なお、中期経営計画「Beyond the Horizon」の概要は以下のとおりです。
<中期経営計画「Beyond the Horizon」について(2016年5月12日発表内容)>
1)位置づけ
中期経営計画「Beyond the Horizon」は、「Program Management Contractor & Investment Partner」という日揮グループが目指す企業体への変貌に向けて、10年後、即ち2025年時点の企業グループとしての方向性と事業領域を明らかにし、売上高、親会社株主に帰属する当期純利益等の経営数値を拡大させ、さらなる変革を実現していくための前半5か年の成長戦略であります。
2)策定にあたっての前提
日揮グループの強み、優位性、即ちコアコンピタンスおよびマーケット環境の変化は以下のとおりと認識しております。
①日揮グループのコアコンピタンス
・ハイドロカーボン・ダウンストリーム分野のEPCコントラクターとして、困難な状況、複雑かつ高度なプロジェクトにおいても完遂するデリバリー能力を基盤とする世界屈指の実績とパフォーマンス
・技術力とマネジメント力に立脚し、人、物、情報をグローバル規模でインテグレートし、かつEPCの事業領域の拡大と新事業の展開を追求しうる優れた人材群
・10年に及ぶ事業投資の経験を通じて蓄積した事業運営会社としての知見とノウハウ
・強固な財務基盤およびさらなる成長戦略投資を可能にする豊富な資金力
②マーケット環境の変化
現在、プラントマーケットは、2014年からの原油価格の急激な下落とそれを背景とするメジャーオイルや産油国の設備投資の削減から、大変厳しい状況が続いております。
しかしながら、中長期的には、新興国の人口増大や経済発展を背景としたハイドロカーボンエネルギー需要の増大トレンドは不変であり、中期経営計画の後半以降に、原油やLNG等のエネルギー需給の逼迫を見据えた設備投資計画が本格化する状況が訪れるとともに、以下のとおりプラントマーケットは変化していく可能性が高いと予測しております。
・中央アジア、イラン、イラク等の新たなEPCマーケットが出現
・世界的な環境保全への関心の高まりを背景に再生可能エネルギー利用が着実に進展
・新興国の人口増大や経済発展を背景に、世界で都市化が進展し、インフラ(電力、交通)需要が増大
・中国ならびに東南アジア諸国における医薬・医療ニーズが拡大
・資源開発計画における3D化(Difficult, Deep, Distance)によるプロジェクト遂行技術の高度化ニーズが拡大
・ビッグデータを活用したIoT等、IT技術利用による産業の変革が進展
3)目指す方向性と事業領域
以上のような日揮グループのコアコンピタンスおよびマーケット環境の変化を踏まえ、10年後の2025年に日揮グループは、「オイル&ガス分野を中心とし、インフラ分野への事業領域拡大」を目指します。
4)目標とする経営指標
中期経営計画では、数値目標として2020年度の売上高1兆円以上、親会社株主に帰属する当期純利益600億円を掲げ、ROEについては引き続き10%以上といたします。
5)基本方針
コアビジネスであるオイル&ガス分野のEPC事業の拡大を図りつつ、インフラ分野へのEPC事業の拡大および非EPC事業からの安定的な利益創出に注力し、企業価値向上を図ってまいります。その実現のための財務戦略を含め、中期経営計画の基本方針を以下のとおりといたします。
≪基本方針1≫ EPC事業の拡大(オイル&ガス分野の拡大、インフラ分野への拡大)
≪基本方針2≫ 非EPC事業(事業投資・製造業)の利益拡大
≪基本方針3≫ 基本方針1および2を実現するための財務戦略の策定
6)基本方針に基づく戦略
≪基本方針1≫ EPC事業の拡大(オイル&ガス分野の拡大、インフラ分野への拡大)
EPC事業の拡大のため、以下の事業戦略を推し進めます。
戦略1)マーケット拡大
現有マーケットに加え、東アフリカ、中央アジア、イラン、イラク等へのマーケット拡大を図ります。
戦略2)プロジェクト遂行力強化
国内外EPCグループ会社との連携強化、幅広いJVパートナーとの協業促進、世界三極体制確立のための欧州拠点の設置および新興国対応のグループ会社の設置により、プロジェクト遂行力強化を図ります。
戦略3)事業領域拡大
アップストリーム分野への領域拡大、発電(化石燃料、原子力、再生可能エネルギー)分野の強化、交通インフラ分野への領域拡大、医薬・医療分野の海外展開の促進およびプラントの事業価値向上に向けたO&Mサービス事業への進出により、事業領域の拡大を志向してまいります。
戦略4)技術優位性追求による受注競争力強化
LNG分野のさらなる技術力向上、モジュール工法等プロジェクト遂行技術高度化のさらなる追求、プラントの事業価値向上に向けたIoT活用の推進および高度先端医療に対応する医薬分野の技術力向上により、受注競争力強化に取り組みます。
≪基本方針2≫ 非EPC事業(事業投資、製造業)の利益拡大
事業投資においては、目標IRRは引き続き12%以上とすることを定めたうえで、各事業分野を、以下のとおり分類し事業投資に取り組んでまいります。
<拡大分野> 既存事業のうち、引き続き積極的に取り組む分野
・発電・造水(IWPP)事業
・環境・新エネルギー事業
・メディカル事業
<維持分野> 当面継続するが、マーケット状況を考慮して将来性を検討する分野
・資源開発事業
・上下水道事業
・都市開発事業
<将来分野> 将来のポテンシャルの大きさを考慮し、チャレンジする新規分野
・空港運営事業
・アグリ事業
・中国事業
・ビッグデータソリューション事業
また、触媒事業等の製造業においては、世界的な需要増大を捉え、新商品、新製品開発に資する技術開発の促進に加えて、技術獲得のための国内外企業のM&A、アライアンスの検討および海外展開のさらなる促進により、売上高および利益の拡大を目指してまいります。
≪基本方針3≫ 基本方針1および2を実現するための財務戦略の策定
自己資本比率については50%以上を安定的に維持すること、また、資本効率も意識し、自己資本利益率(ROE)については引き続き10%以上とすることを目標として定めたうえで、以下を目途として手元資金の配分を行ってまいります。
|
対象 |
配分の目途 |
|
EPC事業に関する運転資金 |
30% |
|
成長戦略投資(※) |
30% |
|
株主還元 |
20% |
|
事業投資 |
10% |
|
設備投資(社屋維持、グループ会社関連) |
10% |
|
合計 |
100% |
(※)基本方針に基づく次の諸施策。欧州拠点の設置、新興国対応のグループ会社の設置、アップストリーム分野や交通インフラ分野への領域拡大、ビッグデータソリューション事業の推進等。
日揮グループの事業その他に関するリスクで、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、平成30年3月31日現在において日揮グループ全体を視野に入れて判断したものであります。
①海外要因のリスク
日揮グループの事業は海外売上高が全体の8割超を占め、相手国における経済リスク、政治・社会リスクなどのいわゆるカントリーリスクにさらされております。具体的には、不安定な政情、戦争、革命、内乱、テロ、経済政策・情勢の急変、対外債務不履行および為替・税金制度の変更などが考えられます。日揮グループは、これらのリスクに起因する事業への影響をできるだけ少なくするために、リスク管理体制の見直し・強化をはじめ、貿易保険の利用、代金の早期回収および企業連合の組成などの方策を講じておりますが、想定を超える事業環境の変化が発生した場合には、プロジェクトの中止、中断および遅延などによって、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。
②プロジェクト遂行上のリスク
日揮グループのプロジェクト契約形態はその多くがランプサム・フルターンキー契約(一括請負契約)でありますが、一部にはリスクを低減するためのコストプラスフィー契約(実費償還型契約)、コスト開示型見積方式による契約などもあり、プロジェクトに応じて採用しております。日揮グループは過去の経験を十分に活用し、プロジェクト遂行中の各種リスクへの対応を織り込んで契約を行っておりますが、資機材価格・レーバーコストの急激な変動、自然災害および疾病の発生など、想定を超えるプロジェクト遂行上の問題および自己責任によるプラントに係る重大な事故が発生した場合には、プロジェクトの採算が悪化し、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。
③投資事業リスク
日揮グループでは、石油・ガス・資源開発関連事業、発電・造水事業および農業・都市開発・インフラ整備事業などへの投資を行っております。新規投資および再投資実行の際にはリスク評価を行うとともに、既存事業については適時モニタリングを行うことで、適切なリスク管理を実施しておりますが、原油・ガスなどのエネルギー資源の急激な価格変動に代表される投資環境の劇的な変化や推定埋蔵量の変化など、想定を超える事態が発生した場合には、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。
④為替リスク
日揮グループの事業は、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっております。この為替リスク回避策として、マルチカレンシー建てによるプロジェクトの受注契約をはじめ、海外調達、外貨建ての発注および為替予約などの対策を状況に応じて採用しております。しかしながら、急激な為替変動は、日揮グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 当連結会計年度の概況
当連結会計年度においては、2016年以降の原油価格の安定的な推移を受けて、産油・産ガス諸国において設備投資計画を再開する動きが出てきており、当社グループを取り巻く事業環境は、不透明感は一部見られるものの改善しつつあります。今後も、産油・産ガス諸国における自国内の人口増加および経済成長に伴うエネルギー・電力需要への対応、ならびに外貨獲得を目的としたエネルギー輸出の拡大を背景として、大型のオイル&ガス案件等の設備投資計画の着実な進展が期待されております。
当社グループとしては、大型LNG(液化天然ガス)計画の動向を注視するとともに、LNG以外のオイル&ガス分野およびインフラ分野における優良案件の受注に取り組みました。また、既受注案件においては、プロジェクトの確実な遂行に注力いたしました。
以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、以下のとおりとなりました。
経営成績
|
|
当連結会計年度 |
前年同期増減率 (%) |
|
売上高 |
722,987 |
4.3 |
|
営業利益 |
21,495 |
- |
|
経常利益 |
24,927 |
- |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
16,589 |
- |
セグメント別の経営成績
|
|
総合エンジニア リング事業 |
前年同期 増減率 (%) |
触媒・ファイン 事業 (百万円) |
前年同期 増減率 (%) |
その他の事業 |
前年同期 増減率 (%) |
|
売上高 |
670,086 |
4.1 |
42,140 |
5.5 |
10,759 |
9.1 |
|
営業利益 |
11,541 |
- |
7,199 |
17.6 |
2,606 |
62.2 |
受注高
|
地域 |
当連結会計年度 |
割合 (%) |
|
海外 |
398,300 |
72.7 |
|
国内 |
149,526 |
27.3 |
|
合計 |
547,826 |
100.0 |
この結果、当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正および契約金額の修正・変更を加え、8,866億円となりました。
なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,329億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ521億8百万円の増加となりました。これは主に未成工事支出金が143億92百万円減少したものの、短期貸付金および未収入金が548億9百万円増加したことによるものであります。固定資産は1,520億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億97百万円の減少となりました。これは主に投資その他の資産が8億16百万円増加したものの、有形固定資産が146億55百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は6,850億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ387億10百万円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,157億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ106億83百万円の減少となりました。これは主に工事損失引当金が94億42百万円減少したことによるものであります。固定負債は734億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ368億75百万円の増加となりました。これは主に長期借入金が83億36百万円減少したものの、500億円の社債発行による資金調達を実施したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,892億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ261億92百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,957億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ125億18百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益165億89百万円および剰余金の配当75億69百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は57.6%(前連結会計年度末は59.1%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し497億91百万円増加し、2,353億94百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の316億65百万円に加え、たな卸資産の減少などにより、結果として55億39百万円の増加(前連結会計年度は288億84百万円の減少)となりました。
投資活動による資金は、有形固定資産の売却、事業分離による収入などにより、117億36百万円の増加(前連結会計年度は129億79百万円の減少)となりました。
財務活動による資金は、社債の発行などにより337億81百万円の増加(前連結会計年度は196億74百万円の減少)となりました。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりとなりました。
|
|
平成28年3月期 |
平成29年3月期 |
平成30年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
60.7 |
59.1 |
57.6 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
61.6 |
75.5 |
85.2 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
12.2 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
12.1 |
(注)自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
*各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。
*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
*キャッシュ・フローがマイナスの期におけるキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「-」で表示している。
③ 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」に記載している諸数値には消費税等を含めておりません。
i)生産実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
総合エンジニアリング事業 |
- |
- |
|
触媒・ファイン事業 |
39,150 |
101.8 |
|
報告セグメント計 |
39,150 |
101.8 |
|
その他の事業 |
- |
- |
|
合計 |
39,150 |
101.8 |
(注)金額は販売価格によっている。
ⅱ)受注実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
総合エンジニアリング事業 |
536,412 |
108.1 |
|
触媒・ファイン事業 |
- |
- |
|
報告セグメント計 |
536,412 |
108.1 |
|
その他の事業 |
11,414 |
112.1 |
|
合計 |
547,826 |
108.2 |
ⅲ)売上実績
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
総合エンジニアリング事業 |
670,086 |
104.1 |
|
触媒・ファイン事業 |
42,140 |
105.5 |
|
報告セグメント計 |
712,227 |
104.2 |
|
その他の事業 |
10,759 |
109.1 |
|
合計 |
722,987 |
104.3 |
(注)完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりである。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
|
完成工事高 (百万円) |
割合(%) |
完成工事高 (百万円) |
割合(%) |
|
|
イクシス エルエヌジー社 |
116,156 |
16.8 |
138,849 |
19.2 |
|
ヤマール エルエヌジー社 |
136,567 |
19.7 |
106,702 |
14.8 |
(参考)連結ベースの受注高、売上高および受注残高 (単位:百万円)
|
区分 |
前連結会計年度末 受注残高 |
当連結会計年度 受注高 |
当連結会計年度 売上高 |
当連結会計年度末 受注残高 |
|
国内 |
|
|
|
|
|
石油・ガス・資源開発関係 |
73 |
492 |
288 |
277 |
|
石油精製関係 |
20,322 |
14,612 |
26,507 |
8,427 |
|
LNG関係 |
13,477 |
690 |
14,167 |
- |
|
化学関係 |
23,960 |
52,741 |
27,290 |
49,410 |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
139,498 |
28,322 |
29,844 |
137,977 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
7,082 |
17,724 |
6,477 |
18,329 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
7,413 |
26,259 |
8,982 |
24,689 |
|
その他 |
712 |
8,682 |
8,150 |
1,244 |
|
計 |
212,540 |
149,526 |
121,709 |
240,357 |
|
海外 |
|
|
|
|
|
石油・ガス・資源開発関係 |
228,864 |
129,459 |
105,184 |
253,139 |
|
石油精製関係 |
164,319 |
5,367 |
80,208 |
89,478 |
|
LNG関係 |
351,684 |
223,852 |
305,103 |
270,433 |
|
化学関係 |
36,148 |
24,504 |
49,005 |
11,647 |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
17,866 |
9,493 |
11,551 |
15,807 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
39 |
22 |
61 |
1 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
195 |
238 |
125 |
307 |
|
その他 |
7,962 |
5,362 |
7,896 |
5,428 |
|
計 |
807,081 |
398,300 |
559,137 |
646,244 |
|
総合エンジニアリング事業 |
1,018,850 |
536,412 |
670,086 |
885,176 |
|
その他の事業 |
770 |
11,414 |
10,759 |
1,425 |
|
計 |
1,019,621 |
547,826 |
680,846 |
886,601 |
|
触媒・ファイン事業 |
- |
- |
42,140 |
- |
|
合計 |
1,019,621 |
547,826 |
722,987 |
886,601 |
(注)1.総合エンジニアリング事業およびその他の事業の「前連結会計年度末受注残高」は当連結会計年度の為替変動
による修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。 (単位:百万円)
|
区分 |
為替変動による修正 |
契約金額の修正・変更 |
計 |
|
石油・ガス・資源開発関係 |
△ 3,159 |
△ 229 |
△ 3,389 |
|
石油精製関係 |
4,620 |
△ 1,536 |
3,084 |
|
LNG関係 |
△ 19,322 |
△ 3,389 |
△ 22,711 |
|
化学関係 |
△ 1,339 |
△ 583 |
△ 1,922 |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
△ 716 |
△ 24 |
△ 741 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
△ 0 |
△ 20 |
△ 20 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
△ 0 |
- |
△ 0 |
|
その他 |
△ 342 |
△ 20 |
△ 362 |
|
計 |
△ 20,259 |
△ 5,803 |
△ 26,063 |
|
総合エンジニアリング事業 |
△ 20,229 |
△ 5,785 |
△ 26,014 |
|
その他の事業 |
△ 29 |
△ 18 |
△ 48 |
2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。
(参考)当社単体の受注高、売上高および受注残高 (単位:百万円)
|
区分 |
前事業年度末 受注残高 |
当事業年度 受注高 |
当事業年度 売上高 |
当事業年度末 受注残高 |
|
国内 |
|
|
|
|
|
石油・ガス・資源開発関係 |
9 |
46 |
52 |
4 |
|
石油精製関係 |
18,937 |
1,549 |
14,619 |
5,867 |
|
LNG関係 |
13,477 |
678 |
14,155 |
- |
|
化学関係 |
21,735 |
32,912 |
14,669 |
39,978 |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
124,096 |
20,663 |
24,819 |
119,940 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
7,069 |
17,709 |
6,459 |
18,319 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
6,701 |
25,532 |
8,650 |
23,583 |
|
その他 |
181 |
174 |
267 |
88 |
|
計 |
192,209 |
99,267 |
83,695 |
207,781 |
|
海外 |
|
|
|
|
|
石油・ガス・資源開発関係 |
186,659 |
83,004 |
69,321 |
200,342 |
|
石油精製関係 |
159,591 |
3,428 |
76,132 |
86,886 |
|
LNG関係 |
243,002 |
149,764 |
161,055 |
231,710 |
|
化学関係 |
1,303 |
406 |
760 |
949 |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
6,089 |
9,153 |
8,289 |
6,953 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
39 |
22 |
61 |
1 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
195 |
236 |
124 |
307 |
|
その他 |
- |
39 |
32 |
6 |
|
計 |
596,881 |
246,055 |
315,778 |
527,158 |
|
合計 |
789,090 |
345,323 |
399,473 |
734,940 |
(注)1.「前事業年度末受注残高」は当事業年度の為替変動による修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。 (単位:百万円)
|
区分 |
為替変動による修正 |
契約金額の修正・変更 |
計 |
|
石油・ガス・資源開発関係 |
△1,585 |
△165 |
△1,751 |
|
石油精製関係 |
4,807 |
△1,536 |
3,271 |
|
LNG関係 |
△19,273 |
△2,462 |
△21,736 |
|
化学関係 |
- |
- |
- |
|
発電・原子力・新エネルギー関係 |
△297 |
△24 |
△321 |
|
生活関連・一般産業設備関係 |
- |
△20 |
△20 |
|
環境・社会施設・情報技術関係 |
- |
- |
- |
|
その他 |
- |
- |
- |
|
計 |
△16,348 |
△4,209 |
△20,558 |
2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。重要な会計方針および見積りについては、(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループは、2016年度から2020年度までの5か年を対象とする中期経営計画「Beyond the Horizon」を推進しております。この計画では、目標とする経営指標として、2020年度の売上高1兆円以上、親会社株主に帰属する当期純利益600億円を掲げ、ROEについては引き続き10%以上としております。
計画の初年度である2016年度においては、特に、インフラ分野へのEPC事業の拡大として、フィリピンの火力発電所建設プロジェクト、国内のソーラー発電所建設プロジェクトおよびバイオマス発電所建設プロジェクトを受注する等、実績を残すことができました。
また、計画の2年目となる2017年度においては、オイル&ガス分野のEPC事業の拡大施策の一環として、オフショア分野では、モザンビークの洋上LNGプラント建設プロジェクトを受注したほか、オフショア分野における幅広い知見やノウハウの獲得を目指し、ガーナ沖油ガス田向け浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備の保有・傭船事業への参画を決定する等、着実に成果をあげることができました。
なお、当連結会計年度の経営成績は、売上高7,229億87百万円(前期比4.3%増)、営業利益214億95百万円(前期は214億96百万円の営業損失)、経常利益249億27百万円(前期は152億15百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益165億89百万円(前期は220億57百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)、ROE4.3%となりました。
当連結会計年度セグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。
総合エンジニアリング事業
EPC(設計・調達・建設)事業については、日本国内をはじめ東南アジア、中東、アフリカ、北米およびロシア・CIS等において受注活動に取り組みました。
その結果、オイル&ガス分野では、2017年6月にモザンビークにおける洋上LNGプラント建設プロジェクトを受注したほか、アルジェリアにおける原油集積・処理設備建設プロジェクトを当社グループ会社であるJGC Algeria S.p.A.とともに受注いたしました。さらに、同年7月には、米国における大型LNGプラント建設プロジェクトを受注いたしました。ただし、顧客による本プロジェクトの最終投資決定は、2019年を目途に実施される見込みであることから、受注金額の計上は2019年以降を予定しております。また、2017年12月には、インドネシアにおけるガス処理プラント建設プロジェクトを当社グループ会社であるPT. JGC INDONESIAとともに受注いたしました。また、インフラ分野では、2018年3月にベトナムにおけるメガソーラー発電所建設プロジェクトを当社グループ会社であるJGC Vietnam Co., Ltd.とともに受注いたしました。
事業投資については、オフショア分野における幅広い知見やノウハウの獲得を目指し、2017年11月にガーナ沖油ガス田向け浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備の保有・傭船事業への参画を決定いたしました。
触媒・ファイン事業
触媒事業では、国内シェアの回復、輸出案件の拡販および顧客との協業体制の維持・拡大等を重点施策として取り組んだ結果、FCC触媒が伸長したほか、ケミカル触媒および環境保全触媒も好調に推移いたしました。
ファイン事業においては、化粧品材、機能性塗料材等の出荷が増加し、半導体関連の洗浄装置用部品、有機EL用露光装置部品等の受注も好調に推移いたしました。
その他の事業
その他の事業では、引き続き中東における発電・造水事業や、国内における大規模太陽光発電(メガソーラー)事業等を実施しております。
なお、当社100%連結子会社である鴨川みらいソーラー株式会社が運営する太陽光発電事業については、2018年3月に売却いたしました。
以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度のセグメント別の経営成績については、以下のとおりとなりました。
|
|
総合エンジニア リング事業 |
前年同期 増減率 (%) |
触媒・ファイン 事業 (百万円) |
前年同期 増減率 (%) |
その他の事業 |
前年同期 増減率 (%) |
|
売上高 |
670,086 |
4.1 |
42,140 |
5.5 |
10,759 |
9.1 |
|
営業利益 |
11,541 |
- |
7,199 |
17.6 |
2,606 |
62.2 |
資本の財源および資金の流動性につきましては、当社グループにおける借入金の返済や運転資金に充当する事を目的に2017年10月に500億円の社債を発行いたしました。これにより、当連結会計年度末における有利子負債の残高は680億15百万円となっております。なお、当社は上記のほかに、当連結会計年度末において200億円のコミットメントライン契約を取引先金融機関と締結しております。
(1)当社が技術援助等を受けている契約
|
契約先 |
内容 |
契約期間 |
契約年月 |
|
ソシエテ・テクニーク・プーレ・エネージイ・アトミク(フランス) |
放射性廃棄物を熱硬化性樹脂中に固化する処理技術 |
昭和61年4月10日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
昭和54年1月 |
|
シェル・リサーチ・リミテッド(イギリス) |
硫黄回収装置から出されるガスより酸性ガスを除去する方法(SCOT法)に関する技術 |
昭和59年8月31日以降は当事者の一方が3カ月前に通知することにより終結 |
昭和58年6月 |
|
ルルギガスーウント ミネラレール テクニック ゲー・エム・ベー・ハー (ドイツ) |
硫黄回収技術 |
平成13年12月31日以降は当事者の一方が1年前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成4年1月 |
|
スルザー・ブラザース・リミテッド(スイス)およびスルザー・ブラザース・ケムテック・ピィーティーイー・リミテッド (シンガポール) |
塔内充填物および付帯機器類に関する技術 |
平成9年4月23日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成4年4月 |
|
ユー・オー・ピー (アメリカ) |
既設リファイナリーの収益性改善のためのコンサルティング手法 |
平成15年8月31日以降は、当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成10年9月 |
|
マモー・トランスポート・ビー・ヴィ(オランダ)および日本通運株式会社 |
超重量物の据付に用いる油圧ジャッキ式門型クレーンの国内使用に関する協力 |
平成15年9月1日以降は当事者の一方が3カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成12年9月 |
|
アスペン・テクノロジー・インク(アメリカ) |
プロセス、機器設計、コスト推算およびプロセスデータベースソフト等の高度制御用ソフトウェア |
平成32年11月30日まで |
平成21年9月 |
|
ビーエーエスエフ・エスイー(ドイツ) |
天然ガスからの酸性ガス除去プロセスの技術 |
平成36年4月9日まで |
平成26年4月 |
(2)当社が技術援助等を与えている契約
|
契約先 |
内容 |
契約期間 |
契約年月 |
|
ユー・オー・ピー (アメリカ) |
初期投資の大幅軽減と短納期を実現する新しい製油所設計技術 |
平成12年7月22日以降は1年毎に更新 |
平成9年7月 |
|
ユー・オー・ピー (アメリカ) |
天然ガスコンデンセート中の水銀とヒ素を除去する技術 |
平成15年1月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成10年1月 |
(3)その他当社が締結している重要な契約
|
契約先 |
内容 |
契約期間 |
契約年月 |
|
アジャンス・ナショナル・プーラ・ゲション・デュ・ディシュ・ラディオアクティス(フランス) |
放射性廃棄物処分技術に関する技術情報の交換および同分野におけるテクニカルサービス等の提供のための協力 |
平成15年9月14日以降は当事者の一方が6カ月前に解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成10年9月 |
|
シュナイダーエレクトリック株式会社 |
高度制御用ソフトウェアパッケージ、オンライン最適用ソフトウェアパッケージの販売、導入に関する営業活動およびプロジェクト遂行のための協力 |
平成14年2月1日まで。ただし、当事者の一方より契約満了日の30日前までに解約通知しなければ1年毎に更新 |
平成13年2月 |
(4)関係会社が締結している重要な契約
該当事項なし。
中期経営計画「Beyond the Horizon」の2年目にあたる当連結会計年度は、差別化技術に基づいたビジネス開発を推進してきました。重点戦略を①開発技術の早期商業化とライセンスビジネスの拡大、②成長分野における新規ビジネスの創出と推進、③オープンイノベーションの活用による社外との連携強化とし、資源、環境、ライフサイエンス、新エネルギー、ものづくりの各分野に注力してきました。その結果、海外への技術ライセンス供与などの実績をあげるとともに、成長分野における将来ビジネスの核となる技術の早期獲得を目的とした産官学の連携による開発を促進することができました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、58億75百万円(消費税等は含まない)です。
① 総合エンジニアリング事業
設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野
コアビジネスである設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野においては、積極的な受注活動に取り組み、ハイドロカーボン分野においては、アルジェリアにおける原油集積・処理設備やインドネシアにおけるガス処理プラントの受注、LNG分野においては、米国西海岸初の陸上LNGプラントやアフリカ地域初の洋上LNGプラントの受注などにつなげました。さらに、海外子会社による石油化学プラントの受注、インフラ分野においては従来の国内メガソーラー案件のみならず海外メガソーラー案件も受注し、ビジネスの領域拡大の成果が見え始めています。近年、設計製作から輸送まで難度の高い工法が要求されるプロジェクトが増加する傾向にあり、さらなる工法の開発・工夫による競争力強化に取り組んでいます。
石油資源・精製分野
世界の石油需要が長期的に増大する傾向がある中、豊富な埋蔵量のカナダオイルサンドや南米の超重質油、東アフリカの高流動点原油など、非在来型重質油の開発が注目されています。これら重質原油の多くが未開発である主たる理由として、消費地までのパイプラン輸送が困難であることが挙げられます。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共同で開発した超臨界水を利用したSCWC(Supercritical Water Cracking)プロセスは高流動点原油の流動点を改善できることから今後開発が計画されているウガンダやケニアなどの高流動点原油の改質技術として提案し、我が国の資源獲得に貢献します。
また、天然ガスの需要増加に伴い、その副生物として生産量が増えているコンデンセートは、石油化学原料としても需要が拡大しています。当社が保有するコンデンセートに含まれる硫黄分を一つの反応器で一括して脱硫処理する脱硫技術はコンデンセートを各留分に分けた後に脱硫処理する従来法に比べて、設備費と運転費を大幅に削減できることから、産ガス国に対して継続してプロモーションを行っています。
天然ガス分野
温室効果ガスである二酸化炭素(CO₂)の排出量削減が求められている昨今、当社ではCO₂の排出抑制→分離回収→有効利用・貯留→資源再生というカーボンマネジメント・サイクルの各要素で技術・知見を継続して積上げています。分離回収においては、吸収法による高圧再生型CO₂回収(HiPACT®)プロセスを保有し、天然ガス処理や合成ガス精製過程でCO₂をより高圧で回収することで、地中貯留(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)および原油増進回収(CO₂-EOR: Enhanced Oil Recovery)のために新たに必要となる圧縮エネルギーとコストを大幅に削減することができます。
さらにCO₂-EORにおいては、CO₂を有効に活用するために、特殊なセラミック膜で効率的にCO₂を分離回収することを可能とする技術を開発し、フィールド実証を開始しました。実油田を対象に実施したCO₂-EOR適用可能性調査などの知見と合わせて、産油ガス国/企業向けにCO₂問題に対するトータルソリューションを提供していきます。
また、既設LNGプラント関連のIoTビジネスとして、運転データ解析及び気象解析を通じて得られた知見を基に制御方法改善によるLNG増産サービス等を海外顧客向けに提案中です。
ケミカル分野
シェールガスをはじめとする天然ガスは、液体燃料製造や高付加価値の化学品製造の原料としても期待されています。天然ガスなどから合成されるメタノールを原料とするプロピレン製造プロセス(DTP®)は実用化段階にあり、産ガス国や化学会社などに対して技術適用を目指した営業活動を展開しています。また、次世代の高性能触媒も継続して開発中で、工業化段階にあります。
また、当社の開発したWINTRAY®の技術は、液液抽出に適応されるトレイの技術であり、高体積流束、高効率、汚れに強い、という3つの特徴があり、顧客企業から高い評価を頂いています。石化プラントおよび化学プラントにおける液液抽出塔のトレイとして大きなメリットがあり、この技術をアジアの顧客向けにプロモーションを進めてきた結果、複数社に対して具体的なプラントへの適用検討を実施しています。
さらに、当社は、硫化水素(H₂S)およびこのH₂Sから硫化水素ナトリウム(NaSH)を製造するプロセス技術を保有し、数々の国内外化学メーカーにライセンスを供与してまいりました。H₂Sは、鳥などの動物の飼料に添加する必須アミノ酸であるメチオニンの製造原料となり、NaSHは、電気自動車部品などに用いられるスーパーエンジニアリングプラスチックのPPS(ポリフェニレンスルフィド)の原料となります。いずれも今後の需要の伸びが期待されており、今後も積極的なプロモーション活動を展開してまいります。
環境分野
温室効果ガス排出量削減にむけてCO₂を排出しない水素が注目されており、2017年12月に経済産業省から発表された水素基本戦略には、エネルギーキャリアとしてのアンモニアの活用に向けた技術開発を推進し、2020年代半ばまでに CO₂フリーアンモニアの導入・利用開始を目指すことが明記されました。
当社は、内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキャリアプロジェクトに参画し、再生可能エネルギーなどからCO₂フリーアンモニアを製造するシステムを開発しており、産業技術総合研究所、大学が開発した新規アンモニア合成触媒を用いた実証試験が2018年3月に産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所で開始しました。本開発では、太陽光や風力の不安定な出力を平準化するために、蓄電池や水電気分解などを組み合わせた全体システムとして最適化も検討しています。また、CO₂フリーアンモニア混焼発電のためのサプライチェーンコスト評価を実施し、具体的に産ガス国でCO₂フリーアンモニアを製造し、我が国に輸入するスキームを検討しています。
また、中国やインドでは、環境汚染が社会問題になったことをきっかけに、火力発電所などからの排ガスに対する環境規制が強化されました。排ガスからSOxおよびNOxを効率的に除去する当社の乾式脱硫脱硝システムの技術は、これら新興国の環境規制に対応するための有効な手段であり、既に中国のコークス炉ガスの燃焼排ガスの浄化のために20基以上の技術ライセンス契約を行いました。また、インドでは経済産業省の補助金事業として石炭火力発電向けへの適用検討を実施しました。今後も環境規制が強化される新興国や業界に対して、そのニーズにマッチするように技術改良を加えながら、積極的なプロモーション活動を展開して進めてまいります。
ライフサイエンス分野
バイオ医薬品製造技術として、マイクロバブル発生技術に高性能撹拌技術を付加したバイオリアクターのシングルユース適用技術の開発を行っています。また、医薬品業界の注目度が高まっている原薬および製剤の連続製造に関し、独自の技術開発を進めています。さらに、高薬理活性物質の飛散性測定など、多角的な技術開発を行っています。
また、再生医療分野では、再生医療関連施設の多くの実績を踏まえ、細胞・組織培養環境基準の構築や再生医療関連要素技術の高度化を進めています。
さらに、病院分野ではEPCに加え、運営サービスおよび病院経営にも踏み込んだ展開を国内外で進めた結果、カンボジアで病院建設、運営を行うに至っており、このような実績をベースに海外で日本の高度な医療技術やホスピタリティを生かした病院を開設するなど、医療施設の運営にも積極的に参画しています。
原子力分野
東日本大震災により発生した放射能を含んだ瓦礫、廃棄物、あるいは汚染土壌の一部は焼却処理や熱処理により除染することが検討されています。しかし、このような除染により除去され濃縮された放射能を処分するための処理方法はいまだ決定されていません。そこで、当社では、これらの放射能の高い汚染物に対して、新たな固化体を用いた封じ込め性の高い固化処理技術の開発に着手し成果をあげつつあります。また同固化体を用いて、発電所サイト内に貯蔵されている塩分を含んだ放射性廃液の処理技術の開発も進めています。
新規事業創出分野
CO₂の排出量削減に向けて、バイオマス由来燃料の開発が世界的に進められています。非食物系バイオマスを原料にした酵素法エタノール製造プロセスは、NEDOからの委託事業が終了し、基盤技術を獲得しました。その成果を実用化に結びつけるため、バイオマス利用を目指す企業と共同で実証開発を実施しています。
また、バイオマスを原料とした化学品の製造技術について、原料多様化やCO₂排出量削減に向けた対応技術の一つとして注目し、バイオマス由来のエタノールや1,4-ブタンジオールを原料とする1,3-ブタジエン製造技術の開発を進めています。また、文科省ALCAプロジェクトとして大学、化学会社、製紙会社と共同でバイオマスからHMFを製造する技術の開発に取り組んでいます。
さらに、電力システム分野では、環境省「平成28年度CO₂排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」に採択され、太陽光発電所に対する出力制御された電力を、太陽光パネルの最大出力点を維持して、蓄電池に対し充放電制御する電力回収ユニットを開発し、技術研究所にて実証しています。当該技術により、再エネ導入による送配電の不安定化を回避しつつ、抑制された太陽光発電量の回収に貢献します。
なお、当事業での研究開発費は30億25百万円(消費税等は含まない)です。
② 触媒・ファイン事業
石油精製分野
国内では、原油の有効利用を目的としたエネルギー供給構造高度化法施行により、石油精製各社の精製能力削減および経営統合による生産性効率化や重質油の白油化による高付加価値化が進んでいます。発電用燃料油の需要減少に伴う重油市場の減少が見込まれ、より一層、重質油を分解することの重要性が高まっています。一方、東南アジアでは燃料油の堅調な需要増加、石油化学原料も生産する大型石油コンビナートの増設や船舶燃料油の硫黄規制強化への対応の動きが見られるようになってきています。これらの動向に対応すべく、重質油を効率的に分解する流動接触分解触媒の開発を進めており、これまでにない高性能触媒の開発に目途がつきつつあります。石化型流動接触装置に有効なアディティブ触媒として、世界トップクラスのプロピレン増産用アディティブの実績が増えてきていますが、更に残油処理用の新しいプロピレン増産用アディティブの工業化を終え、今後、実証化を進めていきます。
一方、新興国を中心とした環境規制強化に対応する形で、水素化脱硫触媒の需要は堅調に伸びていくと予想されています。高活性と高安定性を兼ね備えた革新的な軽油サルファーフリー触媒が国内製油所で初採用され、その実績を基にさらに拡販を進めていく計画です。さらに高性能な次世代触媒の開発も進めています。船舶燃料油の硫黄規制強化に対応する残油水素化処理触媒に関して、顧客と共同で研究開発を進めています。石油精製会社の研究所と共同開発した軽油サルファーフリー触媒や水素化分解触媒は、製油所ニーズを取り込んで収益向上に貢献しています。
残油水素化処理触媒と残油用流動接触分解触媒の両方を併せ持つ触媒メーカーとして、その強みを生かすべく、両プロセスをトータルで最適化した魅力ある触媒の提案、運転サポートに必要なシミュレーション開発等、ソリューションプロバイダー型の技術サービス体制を整えて、顧客満足に努めています。
石油化学分野
世界的には新興国が牽引役となり、石油化学品は増加基調です。国内では基礎化学品は安価な海外品に対抗するためコスト競争力が重要となっています。一方、高付加価値な機能性化学品は高度な製造技術やノウハウを有している国内メーカーが現在も競争力を保持しています。機能性化学品を製造するために必要な触媒には、より高機能な特性が求められています。このため、顧客の触媒に対する要望を正確に把握し、迅速なケミカル触媒の受託研究・工業化に取り組んでいます。
また、ニッケル触媒や吸着剤など自社触媒の高性能化および品種拡大のための触媒開発や評価技術の確立を実施しています。この中で、ハイドロカーボン中の硫化カルボニルを除去するための吸着剤は、性能改良とテクニカルサービス強化により、新規案件の開拓および獲得に結び付いています。
環境保全分野
環境保全用分野では、省エネの観点から低温排ガス処理のニーズが高まっており、低温脱硝触媒の改良に注力しています。近年、中国鉄鋼コークス炉、セメントキルン等の排ガス規制が強化され、低温活性の高い触媒の拡販を強化しています。石炭火力発電所向け触媒では、国内企業との共同研究によりバイオマス混焼時の耐劣化性能を有した脱硝触媒や水銀除去触媒の開発に取り組んでいます。また、石炭ガス化プラント(IGCC)向け排ガス処理製品の開発にも取り組んでいます。また、ディーゼル車排ガス浄化用触媒用原料として、耐熱性の高い触媒材料の開発に努めています。
クリーンエネルギー分野
政府が2020年夏に東京で開催するオリンピック・パラリンピックに向けて、水素エネルギーの導入を促進する中、定置型燃料電池材料の拡大が予想されます。また、IoTを支える自律型センサーの需要が高まっており、独立電源に用いられる低照度光発電用材料は実証化の段階に入っています。さらに次世代の新エネルギー関連材料についても国内大学との共同開発を通じ進めています。
生活関連・化粧品分野
眼鏡レンズのハードコートラッカー塗料用の高屈折率酸化物ゾルについて、耐候性を改善した開発品等で販売強化すべく展開継続中です。これまでの実績と品質が評価され大手眼鏡メーカーのワールドワイド展開に当社材の採用が決まり拡大が見込まれています。新用途展開としてサングラス用ラッカー塗料は一部採用が始まりました。多用途展開では、光学部材用途へのサンプルワークも始まり、新しい展開分野を探索しています。
化粧品分野では、国連環境計画等において海洋汚染の懸念が指摘されているプラスチック製マイクロビーズの代替材料として開発したシリカビーズが注目されています。数百ミクロンサイズのスクラブ用途に開発した当社材の採用に続いて、数ミクロンサイズの化粧品用途にも代替機運が高まっています。従来使用されてきたプラスチックビーズの感触に近い、軽い感触を目指した開発品も含めて、化粧品用途全般にも当社材の採用検討が進んでいます。
電子材料分野
記録メディア市場はPC向けで一部減少がありますが、高容量サーバー用途は拡大しており、高記憶容量化に向けた研磨面精度が益々求められています。従来の2次仕上げ研磨用に加え、1次研磨用にも当社の高面精度、高研磨速度シリカ研磨砥粒が一部で適用され業界トップシェアを維持しています。また、半導体分野は、スマホ需要による伸びは落ち着きを見せる一方、IoTやAI需要が加わり、今後も伸長の見込みです。半導体CMP用途では半導体の微細化・多層化が進んでおり、低欠陥と高研磨速度が両立する研磨砥粒が依然求められています。開発した無機ハイブリッド型研磨砥粒は引き続き高評価で顧客の採用検討が進んでいます。
光学フィルム用機能性光学材料は、高画質液晶ディスプレイに使用される反射防止フィルム用低屈折率粒子やタッチパネル用導電粒子の需要が順調に拡大する中、有機ELや量子ドットタイプのテレビ向けにも検討が進められています。この用途では新たに開発した次世代用サンプルが高い評価を受けており、更なる需要増が見込まれています。引き続きディスプレイ用途の拡大を図るとともに新しい分野への展開を進めていきます。
ファインセラミックス分野
ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LED照明など、高電力用のパワーデバイスを支える放熱用基板としての、「高熱伝導率窒化珪素基板」の性能向上を目的とした開発を行っています。その他、材料による差別化を図るため、非酸化物系セラミックスの材料開発ならびにシリーズ化、セラミックス金属複合材(MMC)の開発に注力しています。
なお、当事業での研究開発費は27億30百万円(消費税等は含まない)です。
また、総合エンジニアリング事業および触媒・ファイン事業に加え、その他の事業において1億19百万円(消費税等は含まない)の研究開発費を計上しております。