我が国の経済は、海外の政治・経済の先行きに不透明感はあるものの、緩和的な金融環境と政府の経済対策による下支えを背景に民間の設備投資や個人消費は改善し、景気は緩やかに回復しております。
建設業界においては、資材・労務費の上昇、建設技能労働者の減少、東京オリンピック後の需要減退懸念等、多くの課題を抱えていますが、足下の市況は引き続き堅調に推移する見通しです。
マンション市場では、平成29年度も需要者・供給者ともに慎重姿勢が継続し、首都圏では新規供給戸数・販売状況ともに平成28年度と同程度となりましたが、近畿圏では新規供給戸数・販売状況ともに平成28年度を上回りました。平成30年度も首都圏で4万戸以上、近畿圏2万戸程度の供給能力はあるものの、市況を勘案しながら供給を行う傾向が継続すると考えられるため、近畿圏は平成29年度と同程度の1万9,000戸程度と予測しています。一方、首都圏では下半期に消費税率引上げを意識した動きがみられ、平成29年度を上回る3万8,000戸程度と予測しています。
また、販売面では、希少性の高い物件は高価格でも好調に推移していることに加え、一次取得者向け商品についても、可処分所得・消費にも景気回復の好影響が及ぶこと、住宅取得環境は好環境が継続していること、下半期以降に消費税率引上げを意識した動きが想定されることなどから、購入マインドも改善しはじめ、販売状況も緩やかに回復すると予測しています。
当社グループは、中期経営計画「newborn HASEKO Jump Up Plan (略称:NBj計画)」の初年度となる平成30年3月期において、建設関連事業における土地情報収集力や商品企画力、施工品質や工期遵守に対する姿勢などをお客様及び事業主様から高くご評価頂いたことに加え、サービス関連事業におけるグループ連携で収益機会を創出することにより、利益を着実に積み重ねてきました。
その結果、期初公表の連結業績予想を上回り、経常利益は過去最高益を更新するなど、NBj計画の順調なスタートを切ることができました。
来期以降、急激な市況の変化等で不透明な環境になることも想定されますが、NBj計画では、生産性向上を図り、働き方改革への取組みを推進するとともに、当社グループの利益を維持し、向上させるための積極的な成長戦略投資を行い、様々な経営課題への対応を進め、財務基盤及び将来の収益基盤の確立に努めてまいります。
中期経営計画の概要
■計画名称:newborn HASEKO Jump Up Plan(略称:NBj計画)
~住まいと暮らしの創造企業グループを目指して~
■計画期間
平成30年3月期~平成32年3月期の3期間
■数値目標
平成30年3月期~平成32年3月期 3期合計連結経常利益2,400億円
平成32年3月期 連結子会社経常利益200億円以上
■基本方針
1.新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業の両方に軸足をおく経営の確立
2.グループ連携を深化させ、都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現
3.安全・安心で快適な集合住宅を提供
4.飛躍に向けた安定した財務基盤の確立
5.中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦
6.実効性の高いガバナンス・内部統制の確立
■目指す姿
少子化・高齢化、人口減少、都市のコンパクト化、災害、建築物の老朽化、環境配慮・省エネルギー、コミュニティ形成などの社会情勢の変化に対応し、当社の企業理念である「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を具体的に実現する為、分譲マンションを中心に、賃貸・高齢者住宅や商業・介護・子育て・健康・医療・教育等を組み合わせ、ハード・ソフト両面から「住まいと暮らしの創造企業グループ」への飛躍を目指す。
■重点戦略
1.建設関連事業について
『市況の波に翻弄されない優位性の確立』
・建築生産システムの継続的深化により、高い品質を維持した適正な工事量・利益の確保
・将来の都市居住を見据えた新たな集合住宅のあり方の構築と展開
・建替・再開発事業における事業企画力の向上とリスク管理の徹底
・非住宅及び分譲マンション以外の施工への積極的な取組みによる施工実績の積み上げ並びにコスト
コントロール力の向上による競争力の強化
2.サービス関連事業について
『サービス関連事業収益の基盤強化と都市居住生活者に対するサービスの拡充』
・「ホスピタリティ」意識の徹底と、グループ連携によるお客様への多彩なサービスの提供
・お客様との信頼関係の構築・強化に向けた施策の展開
・地域・店舗展開の促進とお客様目線のサービスの提供を目指した複合店舗構想の試行
・資産価値の維持・長寿命化のための修繕・改修技術の開発と提案力の強化
・分譲マンション事業の整備と優良不動産投資による安定収益の確保
3.財務戦略・株主還元について
『安定した財務基盤を確立するとともに、株主への利益還元を安定的に行っていく』
・利益の配分については、財務体質の強化のための内部留保を確保しつつ、将来に向けた成長戦略の
投資と株主還元にバランスよく配分
・1株当たり20円の株主配当金を安定的な配当として、連結配当性向20%を目指す
4.新たな取り組みについて
『事業エリア・事業分野の拡大へ向けた取組みを加速』
・国内主要都市及び米国(ハワイ)・東南アジアマーケットへ向けたグループ事業の展開を図り、将
来の収益源としての確立を目指す
・「住まいと暮らしの創造企業グループ」を目指して、必要とする事業分野への事業・資本提携及び
M&A等で推進加速
『新たな事に挑戦する風土の醸成』
・スピード感のある新商品、新サービスの開発
・企業間連携による新たな事業機会の模索
・グループの将来を担う、未来型思考の人材育成
5.社会的責任を全うするための取組みについて
『実効性の高いガバナンス・内部統制及び長谷工版社会貢献の確立』
・透明性と客観性を確保した経営体制の維持・向上
・働きやすい職場環境への更なる改善と従業員個々の活躍・成長へ向けた支援体制の整備
・実効性と効率性を兼ね備えた事業・リスク管理体制の整備
・事業活動全てにわたる法令遵守・品質管理・環境負荷低減及び環境保全活動を推進
・事業特性を活かした社会貢献活動の継続実施
当社グループは、関係する全てのステークホルダーの皆様に深く感謝いたしますとともにグループ各社の連携をさらに高め、総合力を発揮することで、マンションに住まう方々の人生全体をサポートする「住まいと暮らしの創造企業グループ」へと飛躍することを目指してまいります。
※なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループの業績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性がありますが、事業等のリスクについては、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項について記載しております。当社グループは、これらの他にも様々なリスクがありうることを認識し、それらを可能な限り防止、分散あるいは回避するよう努めておりますが、当社グループの支配の及ばない外部要因や必ずしも現時点にて具現化する可能性が高くないと見られる事項等の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
当社グループは、首都圏、近畿圏及び東海圏での分譲マンションに関わる事業をコアとしており、中でも分譲マンション建設事業に対する依存度が高くなっております。従って、受注高やその他の分譲マンション関連事業の取引高は、分譲マンションの新規供給量や販売状況、分譲マンション建設用地の供給、取引先デベロッパーの事業規模、住宅関連政策、住宅にかかる税制及び金利等の動向によっては大きく変動することになり、これらの変動が業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、土地情報収集力や分譲マンション事業に関するプロジェクトマネジメント力を背景として、土地持込による受注を主たるビジネスモデルとしておりますが、このビジネスモデルにより今後も引き続き競争優位に立ち、市場シェアや収益性の維持、拡大が図れるという保証はありません。
建設業全般の業績の動向によりマンション建設の分野に対する参入が増え、同業他社との価格競争が激化した場合や、建設資材・労務等の急激な高騰及び調達難、協力業者等の確保状況による生産能力の低下等が生じた場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を行う上で遵守すべき法令・規則等は多岐に渡っており、建築基準法、建設業法、宅地建物取引業法、建築士法といった事業に直接関係する法令のみならず、会社法、金融商品取引法といった事業に直接関係はしないものの重要な法令等があります。当社グループにおきましては、役職員がこれらの法令等を遵守することができるよう啓蒙を適宜実施しておりますが、これらの法令等を遵守できなかった場合、またはこれらの法令等が当社グループの予測し得ない内容に改廃もしくは新設された場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、建築基準法等のマンション建設における法的規制の改廃もしくは新設、又は建築確認・検査の厳格化等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外の事業遂行にあたり、当社グループに対する訴訟等について、当社グループ側の主張・予測と相違する結果となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
建設工事着工に際しましては、周辺住民に対する事業計画等の説明を実施しておりますが、反対運動及びそれに伴う訴訟等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
施工品質の維持向上には万全を期しておりますが、引当金の計上額を上回る瑕疵担保負担の発生や、保険等でカバーできない損害賠償が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、安全教育の実施、点検パトロール等、工事事故・品質事故・災害を撲滅するために安全管理・施工管理を徹底し、また、工事着手にあたり入念な施工計画の立案等、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、万が一、重大な工事事故・品質事故・労働災害等が発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
建設業においては、一つの取引における請負金額が大きく、多くの場合工事代金の支払いは分割であり、目的物の引渡時及び引渡後に多額の支払が行われる傾向があります。よって、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合は、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、営業活動上の必要性から不動産を保有しておりますが、不動産には時価の変動リスクがあるとともに、一般的に流動性が高くないため売却時における需給関係によっては相場価格により売却できない場合があります。販売用不動産については事業計画の進捗次第では予定している回収額に満たない場合や様々な要因により計画を中止せざるを得ない場合があります。また、固定資産についても、賃貸条件や事業収支の悪化が生じる等、予定しているキャッシュ・フローが得られなくなる場合があります。これらの場合には評価損失・減損損失・売却損失等が発生し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大のために企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業及び買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合、当初想定していた効果が得られないことにより、のれんの減損の発生等、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、会社の経営資源の効率化を実現するために事業エリアを首都圏・近畿圏・東海圏に集中しております。このため、将来、首都圏・近畿圏・東海圏並びにその周辺において、地震、暴風雨、洪水その他の天災、事故、火災、その他の人災等が発生し、工期の遅延、消費者の購買意欲の減退、所有資産の毀損等があった場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
海外での事業活動に際しまして、社会慣行の違い、法令・規制の予期せぬ変更、経済・為替の変動、政治・軍事問題等に関するリスクが存在し、これらに関した問題が発生した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが業務を遂行するにあたり、役職員による不正行為、不適切な行為、事務処理のミス、労務管理上の問題等の各種オペレーショナルリスクの発生が考えられます。当社グループはリスク管理規程を定め、オペレーショナルリスクも含めた事業遂行に関わる様々なリスクについて管理し、それらのリスクに対応することによって、グループの経営方針の実現を阻害するリスク要因を可能な限り低減させ、コントロールするよう努めておりますが、上記のようなオペレーショナルリスクが発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、マンション購入顧客ならびに購入検討顧客や管理受託マンションの居住者等、多くの個人情報を保有しております。また、営業・購買情報等、多くのデータをコンピュータ管理しています。平成17年4月に完全施行された個人情報保護法にしたがって、個人情報の取扱いに関するルール(基本方針・規程・細則)を、また、平成28年1月から利用が開始されたマイナンバー(社会保障・税番号)制度への対応のため、マイナンバー関連規程(基本方針・規程)を設け、体制整備を行っております。また、個人情報以外の情報の取扱いについても、各部個別にセキュリティポリシー(基本方針・対策基準・実施手順)を順次整備する等、情報管理を徹底し万全を期しておりますが、コンピュータシステムのトラブルによる情報流出や犯罪行為等による情報漏洩が発生する可能性があります。その場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、借入や社債発行による資金調達を行っているほか、リースを活用した設備投資を行っております。そのため、金利等の市場環境の変化、あるいは当社に対する格付の引下げ等の信用力低下により、資金調達コスト及びリース費用が増加し、当社グループの業績及び財務内容に影響を与える可能性があります。
また、金融機関からの新規借入や社債発行あるいはリースの組成にあたっては同様の条件により行えるという保証はなく、当社グループが金融機関から借入や社債発行による調達を適時に行えない場合には、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業上必要な資金調達について、主に金融機関との間で協調融資方式によるタームローン、及びコミットメントライン契約の借入契約を締結しております。これらの借入契約には、自己資本の維持と経常利益の確保、有利子負債残高の3項目に関して財務制限条項が付加されており、それに抵触した場合には、多数貸付人の意思結集に基づく請求により期限の利益を喪失する可能性があり、約定の返済期限より前に残元本及び利息等を返済する義務が発生する可能性があります。
当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、株式市場が下落し、保有株式の価値が大幅に下落した場合には、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上していますが、この計算は将来の課税所得に関する見積りに依拠しており、実際の結果は見積りとは異なる可能性があります。当社グループが将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合や、法人税の減税等制度面における変更により、繰延税金資産の額が過大となった場合には、繰延税金資産は費用として計上され、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)中期経営計画について
当社グループは、平成30年3月期をスタートとする中期経営計画「newborn HASEKO Jump Up Plan」(略称:NBj計画)において、当社グループの利益を維持し、向上させるための積極的な成長戦略投資を行うとともに、様々な経営課題への対応を進めていくことを公表しております。しかし、当社グループの業績は、経済環境等様々な要因の影響を受ける可能性があるため、目標値を達成できるという保証はなく、計画している事業上、財務上の効果が得られない可能性があります。
また、当社グループは充分な検討を重ねた上での優良不動産等投資、あるいは、首都圏・近畿圏・東海圏に次ぐ事業エリアとして、国内主要都市及び米国(ハワイ)・東南アジアマーケットに向けたグループ事業展開の強化を計画しておりますが、予期せぬ経済情勢の変化、あるいはマーケットの急激な変化等により、事業展開が予定通りに実行できず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における国内経済は、緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復が続くことが期待されますが、海外経済の不確実性や金利の動向等に留意する必要があります。
平成29年度のマンションの新規供給戸数は首都圏で3万6,837戸(前期比1.1%増)、近畿圏で1万9,849戸(同8.1%増)と共に前期を上回りました。特に、近畿圏ではワンルームマンションの供給が4,711戸(前期3,631戸)と大幅増となったことから、前期を大きく上回りました。初月販売率は首都圏で68.8%(前期比0.3ポイント増)と2年連続で60%台にとどまりましたが、近畿圏では76.6%(同4.7ポイント増)と、平成26年度以来3年振りに75%を上回りました。また、在庫販売が順調に推移していることから、平成30年3月末の分譲中戸数は首都圏で6,498戸(同3.7%減)に減少し、近畿圏でも2,355戸(同5.5%減)に減少しています。供給商品内容をみると、首都圏では高額物件の供給増もあって、分譲単価は864千円/㎡(同7.9%増)に上昇し、平均価格も5,921万円(同6.9%増)に上昇しました。一方、近畿圏では分譲単価は636千円/㎡(同3.8%増)に上昇したものの、ワンルームマンションの供給増もあって、平均面積が縮小したことから、平均価格は3,846万円(同0.8%減)となりました。
このような中、中期経営計画「newborn HASEKO Jump Up Plan (略称:NBj計画)」初年度の当連結会計年度につきましては、建設関連事業においてマンション建築工事が好調に推移した中、過去最高の連結経常利益を更新することができ、NBj計画の数値目標である平成30年3月期~平成32年3月期の3期合計連結経常利益2,400億円に対して、順調なスタートを切ることができました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、マンション建築工事の施工量増大により売上高は8,133億円(同5.3%増)、マンション建築工事の完成工事総利益率の改善により営業利益は1,008億円(同13.2%増)、経常利益は1,005億円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は723億円(同23.0%増)の増収増益となりました。営業利益率は12.4%(同0.9ポイント増)、経常利益率は12.4%(同0.9ポイント増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:億円)
|
建設関連事業 |
サービス関連事業 |
海外関連事業 |
|||
売上高 |
6,150 |
(+482) |
2,154 |
(+58) |
126 |
(-30) |
営業利益 |
913 |
(+100) |
138 |
(+36) |
3 |
(+2) |
( )内は前期比増減額
(建設関連事業)
建設関連事業において、建築工事では、当社の土地情報収集力や商品企画力、施工品質や工期遵守に対する姿勢、効率的な生産体制等について事業主から評価を頂いている中、当期の完成工事総利益率は高い水準を維持しております。
分譲マンション新築工事の受注は、首都圏で200戸以上の大規模物件27件を含む83件、近畿圏・東海圏で200戸以上の大規模物件9件を含む38件、合計で121件となりました。また、分譲マンション以外の工事として、賃貸マンション・社宅・物流倉庫・店舗等、計12件を受注いたしました。
完成工事につきましては、賃貸住宅等5件を含む計98件を竣工させました。
設計・監理では、62万戸を超える施工累計実績の中で蓄積してきた企画や技術、ノウハウを活用して、マンションの基本性能の充実、可変性の向上、環境・防災性能の確保に積極的に取り組んでおります。
首都圏では、約43,000㎡の広大な敷地の中に、賃貸住宅・介護付有料老人ホーム・商業施設・学童保育施設が併設され、「住」・「商」・「育」の複合開発の街づくりを行う「北区王子5丁目プロジェクト」のエリア内に、「ザ・ガーデンズ東京王子 エアリーコート」(東京都北区、452戸)が竣工しました。また、コミュニティ形成の舞台として、敷地中央の広大なテラスを中心に多彩な共用施設をプランニングし、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞した「ファインシティ横浜江ヶ崎ルネ」(横浜市鶴見区、338戸)が竣工しました。
近畿圏では、地上30階建ての「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(大阪市中央区、202戸)が竣工しました。また、総開発面積約8.4ha、「住」・「商」一体の駅前大規模再開発「ZUTTOCITY(ズットシティ)」の街区内に、「プラウドシティ塚口 マークスカイ」(兵庫県尼崎市、366戸)が竣工しました。
以上の結果、当セグメントにおいては、売上高は6,150億円(前期比8.5%増)となり、主に完成工事総利益率の改善により、営業利益は913億円(同12.4%増)となりました。
当期の主な受注及び完成工事物件は以下のとおりです。
[主な受注工事] |
|
|
名称 |
所在 |
規模 |
プラウドシティ吉祥寺 |
東京都三鷹市 |
678戸 |
メイツ 深川住吉 |
東京都江東区 |
444戸 |
リビオシティ・ルネ葛西 |
東京都江戸川区 |
439戸 |
ジオ福島野田 The Marks |
大阪市福島区 |
566戸 |
ザ・パークハウス 南千里アリーナ |
大阪府吹田市 |
330戸 |
エムズシティ神宮前 |
名古屋市熱田区 |
186戸 |
[主な完成工事] |
|
|
名称 |
所在 |
規模 |
シティテラス小金井公園 |
東京都小平市 |
922戸 |
オハナ淵野辺ガーデニア |
相模原市中央区 |
516戸 |
ザ・ガーデンズ東京王子 エアリーコート |
東京都北区 |
452戸 |
プラウドシティ塚口 マークスカイ |
兵庫県尼崎市 |
366戸 |
ウエリス光明池 |
大阪府和泉市 |
317戸 |
メガシティテラス |
名古屋市東区 |
373戸 |
サービス関連事業において、大規模修繕工事・インテリアリフォームでは、売上高はほぼ横ばいで推移しましたが、コスト圧縮の推進により工事利益率が改善し、利益は増加しました。
賃貸マンション運営管理・社宅管理代行の運営管理戸数は、新規受託の順調な推移により、両事業合計150,341戸(前期末比4.5%増)となりました。
新築マンションの販売受託では、契約戸数はほぼ横ばいで推移しましたが、大規模物件の引渡しがあったこと等により、引渡戸数は増加しました。
不動産流通仲介では、リノベーション事業の販売戸数が増加するとともに、仲介の取扱件数が増加しました。
分譲マンション管理では、当社土地持込の大型物件の受注等が寄与し、管理戸数は376,488戸(同1.9%増)となりました。
不動産分譲では、新規に完成した分譲マンション10物件他の販売及び引渡しを行いました。
シニアサービスでは、有料老人ホーム・高齢者向け住宅の稼働数は、新規物件の開業及び自立型居室の販売が進んだことにより、2,127戸(同5.8%増)となりました。
以上の結果、当セグメントにおいては、売上高は2,154億円(前期比2.8%増)、営業利益は138億円(同35.2%増)となりました。
ハワイ州オアフ島におきまして、戸建分譲事業の契約戸数・引渡戸数の減少により売上高が減少しましたが、利益率の改善により、営業利益は増加しました。
以上の結果、当セグメントにおいては、売上高は126億円(前期比19.2%減)、営業利益は3億円(同166.3%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
a.受注実績
セグメントの名称 |
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
建設関連事業 |
建設工事等 |
510,974 |
493,427 |
( 3.4%減) |
設計監理 |
12,452 |
12,808 |
( 2.9%増) |
|
計 |
523,425 |
506,234 |
( 3.3%減) |
|
サービス関連事業 |
大規模修繕・ |
52,110 |
52,170 |
( 0.1%増) |
海外関連事業 |
建設工事等 |
2,275 |
- |
(100.0%減) |
合計 |
577,811 |
558,405 |
( 3.4%減) |
(注) 1 当連結企業集団では建設関連事業における建設工事等及び設計監理、サービス関連事業における大規模修繕・内装工事等及び海外関連事業における建設工事等以外の受注実績を把握することが困難であるため記載しておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.売上実績
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
建設関連事業 |
551,903 |
589,776 |
( 6.9%増) |
|
サービス関連事業 |
204,830 |
210,895 |
( 3.0%増) |
|
海外関連事業 |
15,596 |
12,605 |
( 19.2%減) |
|
合計 |
772,328 |
813,276 |
( 5.3%増) |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合 |
金額(百万円) |
割合 |
|
住友不動産株式会社 |
75,739 |
9.8% |
84,732 |
10.4% |
c.建設関連事業の状況
売上実績
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
建設工事等 |
426,943 |
467,979 |
( 9.6%増) |
|
設計監理 |
11,438 |
12,366 |
( 8.1%増) |
|
不動産販売等 |
113,388 |
109,397 |
( 3.5%減) |
|
その他 |
135 |
34 |
( 74.8%減) |
|
合計 |
551,903 |
589,776 |
( 6.9%増) |
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|||||
数量 |
稼働数 |
売上実績 |
数量 |
稼働数 |
売上実績 |
||
不動産賃貸 |
13,174戸 |
12,705戸 |
18,743 |
12,800戸 |
12,257戸 |
18,576 ( 0.9%減) |
|
シニアサービス |
2,423戸 |
2,010戸 |
11,559 |
2,666戸 |
2,127戸 |
12,633 ( 9.3%増) |
|
マンション建物管理 |
369,288戸 |
(4,567棟) |
38,214 |
376,488戸 |
(4,660棟) |
38,096 ( 0.3%減) |
|
マンション賃貸管理 |
131,337戸 |
|
14,084 |
139,198戸 |
|
15,516 ( 10.2%増) |
|
大規模修繕・内装工事等 |
- |
- |
51,768 |
|
|
49,026 ( 5.3%減) |
|
分譲マンション販売受託 |
- |
- |
5,693 |
|
|
6,501 ( 14.2%増) |
|
流通仲介・リノベーション等 |
- |
- |
20,092 |
|
|
22,221 ( 10.6%増) |
|
不動産分譲 |
- |
- |
31,476 |
|
|
30,323 ( 3.7%減) |
|
その他 |
- |
- |
13,201 |
|
|
18,003 ( 36.4%増) |
|
合計 |
- |
- |
204,830 |
|
|
210,895 ( 3.0%増) |
(注) 数量及び稼働数は連結会計年度末現在で表示しております。
売上実績
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
戸建分譲事業等 |
15,596 |
12,605 |
( 19.2%減) |
|
合計 |
15,596 |
12,605 |
( 19.2%減) |
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設工事等及び設計監理の状況
期別 |
区分 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期繰越高 |
当期 施工高 (百万円) |
|||
手持高 (百万円) |
うち施工高 |
|||||||||
比率 (%) |
金額 (百万円) |
|||||||||
前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建 設 工 事 等 |
建築工事 |
455,468 |
482,436 |
937,905 |
394,377 |
543,528 |
1 |
3,154 |
393,384 |
土木工事 |
706 |
2,101 |
2,807 |
1,274 |
1,533 |
18 |
280 |
1,248 |
||
計 |
456,174 |
484,537 |
940,712 |
395,651 |
545,061 |
1 |
3,434 |
394,632 |
||
業務受託 |
3,670 |
4,486 |
8,156 |
5,052 |
3,103 |
- |
- |
- |
||
合計 |
459,844 |
489,023 |
948,867 |
400,703 |
548,164 |
- |
- |
- |
||
設計監理 |
10,591 |
13,192 |
23,783 |
11,997 |
11,786 |
- |
- |
- |
||
合計 |
470,436 |
502,215 |
972,651 |
412,700 |
559,951 |
- |
- |
- |
||
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建 設 工 事 等 |
建築工事 |
543,528 |
462,395 |
1,005,923 |
435,398 |
570,525 |
0 |
2,852 |
435,096 |
土木工事 |
1,533 |
1,873 |
3,407 |
2,257 |
1,149 |
30 |
343 |
2,320 |
||
計 |
545,061 |
464,269 |
1,009,330 |
437,656 |
571,674 |
1 |
3,195 |
437,416 |
||
業務受託 |
3,103 |
6,021 |
9,125 |
5,343 |
3,781 |
- |
- |
- |
||
合計 |
548,164 |
470,290 |
1,018,454 |
442,999 |
575,455 |
- |
- |
- |
||
設計監理 |
11,786 |
13,511 |
25,297 |
12,956 |
12,341 |
- |
- |
- |
||
合計 |
559,951 |
483,801 |
1,043,751 |
455,955 |
587,796 |
- |
- |
- |
(注) 1 前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
前事業年度 |
建築工事 |
83.5 |
16.5 |
100.0 |
土木工事 |
92.1 |
7.9 |
100.0 |
|
当事業年度 |
建築工事 |
83.5 |
16.5 |
100.0 |
土木工事 |
98.4 |
1.6 |
100.0 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
期別 |
区分 |
官公庁 (百万円) |
民間 (百万円) |
計 (百万円) |
|
前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建 設 工 事 等 |
建築工事 |
4,999 |
389,378 |
394,377 |
土木工事 |
- |
1,274 |
1,274 |
||
計 |
4,999 |
390,651 |
395,651 |
||
業務受託 |
8 |
5,045 |
5,052 |
||
合計 |
5,007 |
395,696 |
400,703 |
||
設計監理 |
105 |
11,892 |
11,997 |
||
合計 |
5,112 |
407,589 |
412,700 |
||
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建 設 工 事 等 |
建築工事 |
4,773 |
430,625 |
435,398 |
土木工事 |
- |
2,257 |
2,257 |
||
計 |
4,773 |
432,883 |
437,656 |
||
業務受託 |
111 |
5,232 |
5,343 |
||
合計 |
4,884 |
438,115 |
442,999 |
||
設計監理 |
2 |
12,954 |
12,956 |
||
合計 |
4,886 |
451,069 |
455,955 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額80億円以上の主なもの
野村不動産㈱ |
プラウドシティ志木本町 |
新築工事 |
住友不動産㈱ |
シティテラス東陽町 |
新築工事 |
住友不動産㈱ |
シティテラス八千代緑が丘 |
新築工事 |
野村不動産㈱・JR西日本不動産開発㈱他 |
プラウドシティ塚口 マークフォレスト |
新築工事 |
エヌ・ティ・ティ都市開発㈱・ |
ウエリス豊中桃山台 |
新築工事 |
当事業年度 請負金額60億円以上の主なもの
住友不動産㈱ |
シティテラス小金井公園 |
新築工事 |
住友不動産㈱・㈱タカラレーベン |
シティテラス越谷レイクタウン |
新築工事 |
野村不動産㈱ |
オハナ淵野辺ガーデニア |
新築工事 |
住友不動産㈱・近鉄不動産㈱・住友商事㈱・ 東急不動産㈱ |
メガシティテラス |
新築工事 |
野村不動産㈱・JR西日本不動産開発㈱他 |
プラウドシティ塚口 マークスカイ |
新築工事 |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。
前事業年度 |
住友不動産㈱ |
73,766百万円 |
18.6% |
|
野村不動産㈱ |
50,564百万円 |
12.8% |
当事業年度 |
住友不動産㈱ |
82,066百万円 |
18.8% |
区分 |
官公庁 (百万円) |
民間 (百万円) |
計 (百万円) |
|
建 設 工 事 等 |
建築工事 |
14,408 |
556,117 |
570,525 |
土木工事 |
- |
1,149 |
1,149 |
|
計 |
14,408 |
557,266 |
571,674 |
|
業務受託 |
41 |
3,740 |
3,781 |
|
合計 |
14,449 |
561,006 |
575,455 |
|
設計監理 |
- |
12,341 |
12,341 |
|
合計 |
14,449 |
573,348 |
587,796 |
(注) 手持工事のうち請負金額80億円以上の主なものは、次のとおりであります。
㈱プレサンスコーポレーション |
プレサンス レジェンド 琵琶湖 |
新築工事 |
平成30年6月完成予定 |
住友不動産㈱ |
品川イーストシティタワー |
新築工事 |
平成30年10月完成予定 |
住友不動産㈱ |
シティテラス川崎鈴木町グランドシーズンズ |
新築工事 |
平成30年12月完成予定 |
三菱地所レジデンス㈱・大栄不動産㈱・三菱倉庫㈱ |
ザ・パークハウス オイコス 赤羽志茂 |
新築工事 |
平成31年3月完成予定 |
京浜急行電鉄㈱・大和ハウス工業㈱・三菱地所レジデンス㈱・総合地所㈱・京急不動産㈱ |
プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー |
新築工事 |
平成31年3月完成予定 |
(2) 財政状態
当連結会計年度末における連結総資産は、主に販売用不動産及び不動産事業支出金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ574億円増加し、6,883億円となりました。
連結総負債は、仕入債務及び未払法人税等が増加した一方で、借入金を返済したこと等により、前連結会計年度末に比べ10億円減少し、3,915億円となりました。
連結純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し利益剰余金が増加したこと等から、前連結会計年度末に比べ584億円増加し、2,968億円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の37.7%に対し、43.0%となりました。
建設受注を目的とする短期的な不動産取得及び分譲用不動産の仕入れ等により、当社グループの保有不動産は増加いたしましたが、適切なリスク管理を実施し、事業を推進しております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(単位:億円)
|
建設関連事業 |
サービス関連事業 |
海外関連事業 |
|||
セグメント資産 |
2,436 |
(+314) |
2,764 |
(△19) |
340 |
(△12) |
( )内は前期比増減額
(建設関連事業)
建設関連事業において、当連結会計年度末における資産は、主に建設受注を目的とする短期的な不動産取得によって販売用不動産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ314億円増加し、2,436億円となりました。
(サービス関連事業)
サービス関連事業において、当連結会計年度末における資産は、主に分譲用不動産の仕入れによって販売用不動産及び不動産事業支出金が増加した一方で、新築マンションの販売受託における預り金の返還による現預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ19億円減少し、2,764億円となりました。
(海外関連事業)
海外関連事業において、当連結会計年度末における資産は、ハワイ州オアフ島での戸建分譲事業においてドル建ての開発用不動産等は増加しましたが、為替レートの変動により、前連結会計年度末に比べ12億円減少し、340億円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の1,095億円の収入超過と比較して530億円減少し、565億円の収入超過となりました。これは主に、たな卸資産の増加に伴う資金減少356億円(前連結会計年度は44億円の資金増加)及び法人税等の支払額262億円(前連結会計年度は147億円)によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の198億円の支出超過と比較して35億円増加し、164億円の支出超過となりました。これは主に、有形固定資産の取得及び売却に伴う資金減少130億円(前連結会計年度は157億円の資金減少)によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の402億円の支出超過と比較して55億円増加し、347億円の支出超過となりました。これは主に、借入金の調達及び返済に伴う資金減少165億円(前連結会計年度は340億円の資金減少)、配当金の支払額120億円(前連結会計年度は45億円)、及び、自己株式の取得に伴う資金減少45億円(前連結会計年度は0億円の資金減少)によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末の2,015億円より54億円増加し、2,069億円となりました。営業活動におけるキャッシュ・フローが前期比で大幅に減少しておりますが、その要因は、主に建設受注を目的とする短期的な不動産取得及び分譲用不動産の仕入れによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
建設受注を目的とする短期的な不動産取得、分譲用不動産の仕入れ、賃貸用不動産及び有料老人ホームを含む自社施設の設備投資などの資金需要がありましたが、賃貸用不動産の売却による収入および事業活動から生じる利益を充当しております。
有利子負債に関しましては事業活動から生じる利益をもって164億円の削減を行いました結果、当連結会計年度末残高はリース債務を含めて1,254億円となりました。なお、当連結会計年度では返済期限を平成44年3月とする長期借入金を100億円調達しておりますが、これは賃貸用不動産や有料老人ホームといった長期保有資産の増加を考慮したものであり、安定した財務基盤の確立に寄与するものと考えております。
また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,069億円であり、主要銀行と締結している630億円のコミットメントラインとあわせて十分な流動性を確保しています。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。
具体的には、工事進行基準による収益認識、固定資産、退職給付に係る資産、工事未払金、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る負債、訴訟損失引当金、株式給付引当金、役員株式給付引当金、資産除去債務、繰延税金資産、偶発事象等であり、これらに関し、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づいた見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動は、集合住宅における新築とストックの両分野に軸足をおき、これまで継続してきた安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上等のテーマに取り組むと共に、受注の拡大、利益の向上に寄与する研究・技術開発を目指しております。
活動にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、埼玉県越谷市(平成30年4月に東京都多摩市へ移転)の技術研究所を拠点としながら、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、当社技術推進部門・設計部門・建設部門等社内各部門及び当社グループ各社の技術関連部門との連携・強化に努めております。
活動内容としては、①生産技術開発 ②商品開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発、以上の3つに重点を置きながら、特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応など、社会環境や顧客ニーズの変化に即した集合住宅関連技術の開発・商品化に注力しております。
当連結会計年度における研究開発費は、1,343百万円であり、主な研究・技術開発の成果は次のとおりです。なお、当該費用につきましては、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しております。
(建設関連事業)
次世代マンション企画“Beシリーズ”については、高層化への対応、妻側住戸のリビングルームの開放性向上、整形で広い室内空間の実現を目指した企画開発を進めてまいりました。今後も当社の提案力の強化を図るべく、時代やニーズに対応した次世代マンション企画の更なるブラッシュアップに取り組み、当社設計・施工案件へ積極的に提案を進め、採用促進を図ってまいります。
大規模・高層物件等を主な対象として、建設技能労働者の不足及び高齢化への対応と、生産性と多様性を両立させ且つ品質向上等の更なる推進のため、構造躯体の工業化・PC化、低生産性部位の整理と更なる省力化、長谷工オリジナルの新商品開発及び設計・施工情報のIT化等の積極的な推進展開を行い、着工物件において順次採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースにして、下記の開発に注力・推進しております。
現在、4件の超高層タワー「プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー」(東京都品川区、地上29階/地下1階、免震、817戸)、「品川イーストシティタワー」(東京都品川区、地上26階/地下1階、免震、363戸)、「ローレルタワー ルネ浜松町」(東京都港区、地上23階/地下1階、耐震、227戸)、「都営住宅28CS-101東(港区北青山三丁目・港区施設)」(東京都港区、地上20階、耐震、302戸)を建設中です。また、平成29年12月には、関西で「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(大阪市中央区、地上30階/地下1階、制振、202戸)が竣工しました。各プロジェクトとも当社がこれまで実績を重ねてきた超高層技術の改良・改善を図りながら建設を進めるとともに、更なる技術のレベルアップとして,設計基準強度が150N/mm2の超高強度コンクリートを用いた概ね50階建の超高層RC住宅に対応できる設計・施工技術の開発に取り組んでいます。
自然エネルギーに関して、寒冷地における地中熱利用に引き続き、都市部での効率的な地中熱利用方法と効果に関する研究を進め、当社独自の「二重採熱管方式(特許出願済)」を開発しました。また、長谷工テクニカルセンターにおいて、集合住宅用輻射空調システムの開発、あらたな省エネ型給湯システムの開発に着手いたしました。
一方、集合住宅の省エネ性能に関しては、企画段階(設計初期段階)で性能評価を行う予測プログラムの開発とともに、国(経済産業省 資源エネルギー庁)が進める集合ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に対し、「集合ZEH-M Oriented」適合に向けた仕様の性能と施工検証を進めています。
これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また、廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している「建築研究開発コンソーシアム」等の活動に継続参画しております。
(サービス関連事業)
ストック・リフォーム技術
拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しております。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「住みながらの改修を可能にする、居住者の負担を軽減するための工法」の開発等、専有部では「住まいとしての機能の維持やグレードアップ提案」を進める等、継続的にストック・リフォーム分野における研究・技術開発を行っております。
なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。
建設関連事業及びサービス関連事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。
「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。