第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における国内経済は、新興国経済や欧州債務問題の今後の動向に対する懸念等がありましたが、政府や日銀の経済・金融政策による円安・株高傾向にあり、緩やかな回復を続けております。
 マンション市場において、平成25年度の首都圏における新規供給戸数は5万5,245戸(前期比18.2%増)と、平成19年度の5万8,112戸以来、6年ぶりに5万戸を上回りました。特に、都内23区では2万7,480戸(同39.3%増)と高水準の供給が行われました。一方、近畿圏では2万3,353戸(同3.2%減)となりました。供給商品内容を見ると、首都圏の分譲単価は706千円/㎡(同8.8%増)、平均価格は5,008万円(同9.8%増)と、平成3年度の5,822万円以来で5,000万円を上回りました。近畿圏の分譲単価と平均価格は、507千円/㎡(同3.5%増)、3,487万円(同1.0%増)となりました。初月販売率は、首都圏で79.8%(同3.1ポイント増)、近畿圏で78.9%(同0.5ポイント増)と、ともに好調に推移しました。その結果、平成26年3月末の在庫の状況を表す分譲中戸数は、首都圏で3,828戸(同11.5%減)、近畿圏で2,054戸(同1.0%減)と、低水準で推移しております。
 このような中、当社グループは、平成25年3月期から平成28年3月期までの4ヶ年を「新たなステージの基盤作り」と位置付けた中期経営計画「PLAN for NEXT(略称:4N計画)」を策定して、建設を中心としたフロー市場とこれから着実に積みあがっていくストック市場の両方に軸足をおく経営への移行をより加速させると共に、変化に耐えられる財務体質の整備、更に中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦を萌芽させていく事を標榜し、取り組んでまいりました。
 当連結会計年度におきましては、新築分譲マンションを中心とした設計施工関連事業においては計画を上回る利益と受注量確保に目途が付いたことに加え、保有不動産等の資産売却も進んだことにより、最大の課題であった優先株式の全額償還と普通株式の復配を実現できる見通しとなりました。

以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高は5,876億円(同5.1%増)、営業利益は288億円(同18.5%増)、経常利益は254億円(同27.2%増)、当期純利益は248億円(同90.1%増)となりました。営業利益率は4.9%(同0.5ポイント増)、経常利益率は4.3%(同0.7ポイント増)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 設計施工関連事業

設計施工関連事業において、建築工事では、マンション建設に特化することによるコスト競争力・商品企画力への評価が高まっており、主に大手事業主からの特命受注が増加しております。資材価格の高騰、労務不足という懸念はありますが受注時の工事採算が改善傾向にあり、また、リーマンショック後に受注した採算の厳しい工事の影響が縮小したことにより、完成工事総利益率は今上期を底に回復してきております。
 分譲マンション新築工事の受注は、首都圏で200戸以上の大規模物件19件を含む94件、近畿圏で200戸以上の大規模物件10件を含む40件、東西合計で134件となりました。また、分譲マンション以外の工事として、老朽化した賃貸住宅の建替事業である「ヌーヴェル赤羽台(建替)第5住宅建築その他工事」(東京都北区、498戸)、大阪府のPFI事業である「大阪府営吹田高野台住宅(1丁目)民活プロジェクト」(大阪府吹田市、330戸)等を受注しました。
 完成工事につきましては、分譲マンション131件を含む計137件を竣工させました。
 設計・監理では、55万戸を超える累計施工実績の中で提案してきた企画や技術、ノウハウの蓄積を活用して、マンションの基本性能の充実、可変性の向上、環境・防災性能の確保に積極的に取り組んでおります。
 首都圏では、蘆花恒春園に面した「オーベル蘆花公園」(東京都世田谷区、127戸)が竣工しました。区指定の保存樹木を含む約80本の既存樹とともに、灯篭・木塀・石畳等の土地にゆかりのある添景物を敷地内に再利用し、武蔵野の風情を活かしたランドスケープデザインを施しています。本物件を始め、当社設計施工の4物件が2013年度グッドデザイン賞を受賞しました。
 また、既存樹の保存や、伐採した既存樹のベンチ等への再利用、駐輪場屋根の緑化等を施した「プラウド町田」(相模原市南区、161戸)が竣工しました。本物件は、「神奈川県建築物環境性能表示(CASBEEかながわ)」において、共同住宅で2件目となる総合評価Sランクを取得しました。(1件目は当社設計施工の「ブリージアテラス淵野辺」(相模原市中央区、220戸))
 茨城県水戸市の大工町1丁目地区第一種市街地再開発事業(地区面積約15,000㎡)においては、「地域の
人々に親しまれ賑わいと潤いのある施設」を設計コンセプトとした、ホテル棟・オフィス棟・住宅棟からなる
複合施設「トモスみと」が竣工しました。
 近畿圏では、総面積約5,000㎡の敷地の中に公共図書館と公開空地、分譲マンションを併設した旧東灘区役
所跡地再開発プロジェクトの「住吉川リバーサイドフォーラム ザ・レジデンス」(神戸市東灘区、211戸)
が竣工しました。
 また、長谷工の次世代マンション企画「Be-Next」を西日本で初めて採用した「プレージアブラン東園田」
(兵庫県尼崎市、108戸)が竣工しました。本物件は、全戸戸別供給型太陽光発電システムを採用しており、
CASBEEで最高等級のSランクを取得しています。
 東海圏では、防災と環境に配慮した駅直結の超高層タワーマンション「グランドメゾン池下ザ・タワー」
(名古屋市千種区、354戸)が竣工しました。制振構造や非常用自家発電システム、防災備蓄倉庫を備えると
ともに、敷地内には、緑化率約27%を確保した約1,870㎡の庭園を整備し、既存樹のクスノキをはじめ、在来
種を中心に約6,600本を植樹しています。
 以上の結果、当セグメントにおいては、売上高3,309億円(前期比5.2%増)、営業利益233億円(同9.7%
増)となりました。

 

当期の主な受注及び完成工事は以下のとおりです。

[主な受注工事]

 

 

 名称

所在

規模

 ザ・シーズンズ
 グランアルト越谷レイクタウン

埼玉県越谷市

435戸

(仮称)稲城計画新築工事

東京都稲城市

412戸

オハナ八王子 オークコート

東京都八王子市

346戸

京都桂川つむぎの街 グランスクエア

京都市南区

431戸

ブランズシティ あべの王子町

大阪市阿倍野区

318戸

 

 

[主な完成工事]

 

 

 名称

所在

規模

Brillia City 横浜磯子

横浜市磯子区

1,230戸

グランドメゾン狛江

東京都狛江市

524戸

シティテラス戸田公園

埼玉県戸田市

497戸

尼崎D.C. グランスクエア
SOUTH・WEST

兵庫県尼崎市

437戸

セントハート藤が丘

愛知県長久手市

352戸

 

② 不動産関連事業

不動産関連事業において、マンション販売受託では、ローン金利の先高観や建築費上昇に伴う販売価格の上
昇懸念などを背景に契約戸数・販売戸数が増加しました。
 不動産流通仲介では、中古マンション市場が拡大を続ける中、取扱件数やリノベーション事業の販売戸数が
増加しました。また、1棟丸ごとリノベーション事業に参入、その新ブランド「RENEO(リネオ)」の第
1号物件となる「リネオ宮崎台ヒルズ」(川崎市宮前区、12戸)を販売開始しました。
 マンション分譲では、事業主として、仕様・設備・プランなどを多様な選択肢からお選びいただく
「E-label(えらべる)」システムや、ダイレクトで迅速な対応・保証期間の大幅延長などを実現した「長谷
工プレミアムアフターサービス(PAS)」の採用物件、マンションの基本性能の充実、規格化と可変性の両
立、環境+防災という3つのコンセプトを提案した長谷工の次世代マンション企画「Be-Next」の採用物件等
の販売をしております。当期は、新たに完成した31物件他の販売及び引渡しを行いました。
 以上の結果、当セグメントにおいては、売上高1,434億円(前期比4.8%増)、営業利益71億円(同127.8%
増)となりました。

 

  当期の主な販売受託及び分譲事業物件は以下のとおりです。

[主な販売受託物件]

 

 

 名称

所在

規模

オハナ ふじみ野上野台ブロッサム

埼玉県ふじみ野市

381戸

ソライエ・プレミアムテラス

東京都墨田区

336戸

東綾瀬公園ハイライズ

東京都足立区

291戸

ウェリス鶴見緑地

大阪市鶴見区

272戸

プレイズ堺 光明池

堺市南区

242戸

 

[主な分譲事業物件]

 

 

 名称

所在

規模

ブリージアテラス淵野辺

相模原市中央区

220戸

ブランシエラ品川勝島フレシア

東京都品川区

128戸

ブランシエラ一之江

東京都江戸川区

81戸

グランドメゾン池下ザ・タワー

名古屋市千種区

354戸

住吉川リバーサイドフォーラム
ザ・レジデンス

神戸市東灘区

211戸

 

③ 住宅関連サービス事業

住宅関連サービス事業において、分譲マンション管理では、受注競争が激しく新たな管理受託は厳しい環境が続いていますが、グループの総合力を生かしたサービスレベルのより一層の向上に取り組み、管理戸数は303,260戸(前期末比4.5%増)となりました。
 修繕工事では、省エネや省CO2など、時代の要求水準に応じた性能・機能にバリューアップする提案を行っております。その中で、築30年程度の壁式低層共同住宅の長寿命化と省エネ性能を向上させるリフォームプラン「高経年既存低層共同住宅の総合省CO2改修」を採用した多摩ニュータウンの「エステート鶴牧4・5住宅」(東京都多摩市、356戸)の大規模修繕工事が完了しました。このプロジェクトは同時に、国土交通省の平成24年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業として採択され、国から補助金をいただいて事業を推進しておりました。今後も環境に配慮した大規模修繕工事の受注を目指してまいります。
 賃貸マンション管理の運営戸数は、賃貸管理及び社宅管理代行事業の両事業合計で94,679戸(前期末比0.9%増)となりました。
 シニアリビング事業では、有料老人ホームを高い稼働率で運営しています。また、入居にかかる全体費用を抑えながら充実した介護・健康サービス等を追求し、「終の住まい」を実現した新ブランド「センチュリーハウス」の第1弾となる「センチュリーハウス玉川上水」を、平成25年11月に新たに開業しました。
 マンション居住者に安価な料金で電気を供給する高圧一括受電サービスは、電気使用量の「見える化」を可能にするスマートメーターの導入と併せて推進しております。その中で、㈱長谷工アネシスは、経済産業省の「平成24年度スマートマンション導入加速化推進事業」において、エネルギー管理支援サービス(電力消費量を把握して節電を支援するサービス)を実施する「MEMSアグリゲータ」に採択されました。今後は、エネルギー管理支援サービスを組み合わせたサービスも提供し、更なるマンションのスマート化拡大を目指してまいります。
 以上の結果、当セグメントにおいては、売上高1,080億円(前期比15.5%増)、営業利益52億円(同0.8%増)となりました。

 

④ その他

ハワイ州オアフ島で戸建分譲事業を推進中の海外事業では、契約戸数・引渡戸数は減少しましたが、物件単価の上昇及び為替の影響等により売上高が増加しました。
 以上の結果、売上高126億円(前期比39.4%減)、営業損失4億円(前期は営業損失2億円)となりました。売上高の減少は、前期にホテル事業から撤退したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の382億円の収入超過と比較して170億円の収入増加となり、553億円の収入超過となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益307億円の計上、売上債権の減少による資金の増加55億円及びたな卸資産の減少による資金の増加117億円などによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の148億円の収入超過と比較して146億円の収入増加となり、294億円の収入超過となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による資金の増加356億円などによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の241億円の支出超過と比較して413億円の支出増加となり、654億円の支出超過となりました。これは主に、長期借入れによる収入・返済による資金の減少329億円、第1回B種優先株式の取得(自己株式の償還)による資金の減少202億円などによるものであります。

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末の1,182億円より194億円増加し、1,377億円となりました。

 

 

「第2 事業の状況」における各項目の記載金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2【受注及び売上の状況】

(1) 受注実績

セグメントの名称

区分

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

(百万円)

設計施工関連事業

建設工事等

303,338

379,943

(25.3%増)

設計監理

8,590

11,768

(37.0%増)

311,928

391,711

(25.6%増)

住宅関連サービス

事業

大規模修繕・

内装工事等

37,474

47,121

(25.7%増)

その他

建設工事等

3,918

合計

349,402

442,751

(26.7%増)

(注) 1 当連結企業集団では設計施工関連事業における建設工事等及び設計監理、住宅関連サービス事業における大規模修繕・内装工事等及びその他における建設工事等以外の受注実績を把握することが困難であるため記載しておりません。

     2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2) 売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

(百万円)

設計施工関連事業

313,096

328,878

( 5.0%増)

不動産関連事業

135,218

141,001

( 4.3%増)

住宅関連サービス事業

89,936

105,116

(16.9%増)

その他

20,670

12,575

(39.2%減)

合計

558,919

587,571

( 5.1%増)

(注)  セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3) 設計施工関連事業の状況

売上実績

区分

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

(百万円)

建設工事等

304,366

319,104

( 4.8%増)

設計監理

8,073

9,473

(17.3%増)

その他

657

302

(54.0%減)

合計

313,096

328,878

( 5.0%増)

 

(4) 不動産関連事業の状況

売上実績

区分

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

(百万円)

分譲マンション等販売

30,101

43,203

(43.5%増)

土地等販売

86,288

74,388

(13.8%減)

分譲マンション販売受託

6,089

7,436

(22.1%増)

流通仲介等

4,895

7,623

(55.7%増)

インテリア販売

4,061

5,415

(33.3%増)

その他

3,785

2,936

(22.4%減)

合計

135,218

141,001

( 4.3%増)

 (5) 住宅関連サービス事業の状況

区分

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

数量

稼働数

売上実績

(百万円)

数量

稼働数

売上実績

(百万円)

マンション賃貸

9,174戸

8,848戸

11,698

9,125戸

8,693戸

11,535

( 1.4%減)

ビル等賃貸

 3,517㎡

 3,517㎡

3,517㎡

3,517㎡

シニアリビング事業

386戸

352戸

2,310

2,118戸

1,882戸

4,168

(80.5%増)

マンション建物管理

290,161戸

(3,569棟)

30,423

303,260戸

(3,813棟)

31,454

( 3.4%増)

マンション賃貸管理・仲介

85,005戸

 

8,961

85,698戸

 

9,165

( 2.3%増)

大規模修繕・内装工事等

33,682

45,218

(34.3%増)

その他

2,862

3,576

(24.9%増)

合計

89,936

105,116

(16.9%増)

 (注)  数量及び稼働数は連結会計年度末現在で表示しております。

 (6) その他の状況

売上実績

区分

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

(百万円)

海外事業

9,650

12,575

( 30.3%増)

ホテル事業

11,020

合計

20,670

12,575

( 39.2%減)

 

 なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

建設工事等及び設計監理の状況

① 受注高、売上高、繰越高及び施工高

期別

区分

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期繰越高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち施工高

比率

(%)

金額

(百万円)

前事業年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

建築工事

280,885

271,178

552,063

275,988

276,075

1

2,841

275,984

土木工事

2,202

829

3,031

2,346

685

27

185

2,522

283,086

272,007

555,094

278,334

276,760

1

3,026

278,506

業務受託

3,817

5,745

9,562

5,316

4,245

合計

286,903

277,752

564,655

283,650

281,005

設計監理

6,029

8,644

14,673

8,118

6,555

合計

292,932

286,397

579,329

291,768

287,561

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

建築工事

276,075

344,859

620,934

285,019

335,915

0

1,463

283,641

土木工事

685

940

1,625

1,404

221

25

55

1,274

276,760

345,799

622,559

286,423

336,136

0

1,518

284,916

業務受託

4,245

5,427

9,672

6,245

3,427

合計

281,005

351,226

632,231

292,668

339,563

設計監理

6,555

11,856

18,411

9,573

8,839

合計

287,561

363,082

650,642

302,240

348,402

   (注) 1  前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

 

② 受注工事高の受注方法別比率

 工事受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

建築工事

86.6

13.4

100.0

土木工事

83.5

16.5

100.0

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

建築工事

87.4

12.6

100.0

土木工事

82.6

17.4

100.0

   (注)  百分比は請負金額比であります。

 

③ 売上高

期別

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

前事業年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

建築工事

6,694

269,294

275,988

土木工事

2,346

2,346

6,694

271,639

278,334

業務受託

129

5,188

5,316

合計

6,823

276,827

283,650

設計監理

8,118

8,118

合計

6,823

284,945

291,768

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

建築工事

8,223

276,796

285,019

土木工事

47

1,357

1,404

8,270

278,153

286,423

業務受託

78

6,167

6,245

合計

8,348

284,320

292,668

設計監理

9,573

9,573

合計

8,348

293,893

302,240

   (注) 1  完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度 請負金額40億円以上の主なもの

㈱大京

ライオンズ茅ヶ崎ザ・アイランズⅡ街区

新築工事

大成有楽不動産㈱

オーベルグランディオ多摩中央公園

新築工事

住友不動産㈱

シティテラス板橋蓮根

新築工事

京阪電気鉄道㈱・京阪電鉄不動産㈱

ファインシティ大阪城公園

新築工事

東レ建設㈱・アートプランニング㈱

近畿菱重興産㈱

ベイサイドシティ コスモスクエア駅前

新築工事

 

当事業年度 請負金額60億円以上の主なもの

東京建物㈱・東京急行電鉄㈱

オリックス不動産㈱・日本土地建物販売㈱

伊藤忠都市開発㈱

Brillia City 横浜磯子

新築工事

積水ハウス㈱

グランドメゾン狛江

新築工事

住友不動産㈱

シティテラス戸田公園

新築工事

近鉄不動産㈱・野村不動産㈱・三菱商事㈱

近畿菱重興産㈱他

尼崎D.C. グランスクエア

SOUTH・WEST

新築工事

積水ハウス㈱他

グランドメゾン池下ザ・タワー

新築工事

 

2  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。

前事業年度   該当なし

当事業年度   野村不動産㈱      29,215百万円 10.2%

 

④ 手持高(平成26年3月31日現在)

区分

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(百万円)

建築工事

15,478

320,436

335,915

土木工事

221

221

15,478

320,657

336,136

業務受託

119

3,308

3,427

合計

15,598

323,965

339,563

設計監理

8,839

8,839

合計

15,598

332,804

348,402

  (注)  手持工事のうち請負金額60億円以上の主なものは、次のとおりであります。

大和ハウス工業㈱・住友不動産㈱

グランセンス吉川美南

ステーションコート

新築工事

平成26年12月完成予定

東京急行電鉄㈱

三井不動産レジデンシャル㈱他

ドレッセ二子新地

新築工事

平成27年1月完成予定

㈱大京・東京建物㈱・関電不動産㈱

新日鉄興和不動産㈱他

ミリカ・テラス

新築工事

平成27年3月完成予定

㈱大京・住友不動産㈱

ザ・シーズンズ グランアルト

越谷レイクタウン

新築工事

平成27年3月完成予定

近鉄不動産㈱・野村不動産㈱

ジェイアール西日本不動産開発㈱

近畿菱重興産㈱・住友商事㈱他

京都桂川つむぎの街 グランスクエア

新築工事

平成27年9月完成予定

 

3【対処すべき課題】

当社グループを取り巻く環境としては、資材・労務価格の高騰、建設技能労働者の減少、為替相場・金利の動向、消費税増税の影響など、多くの不確定要素があるものの、一昨年の政権交代以降大胆な金融緩和政策への期待から円高が解消し、株式市場も回復する等、景気の先行きは明るさを取り戻しつつあります。

マンション市場では、平成26年度の新規供給戸数は、供給材料からみれば首都圏で5万5,000戸程度、近畿圏でも2万5,000戸程度の供給が見込まれます。しかし、一方で、建築費の上昇や建設会社の受注状況などによって、予定通りの供給が困難になることを懸念する事業主もみられることから、新規供給戸数が下振れする懸念はあります。

また、販売面では平成26年4月に消費税率が8%に引き上げられたことから、購入マインドの減退懸念もありますが、住宅ローン減税の拡充、すまい給付金制度の創設などの政策面でのバックアップ、春闘でのベースアップなど所得環境の改善なども見込まれることから、販売状況の大幅な悪化はないと思われます。

当社グループは、従来の課題であった優先株式の全額償還及び普通株式の復配を実現出来る見通しとなり、当社の再建が完了することになると共に、将来に向けた取り組みを更に進展させていく環境が整ったことから、平成25年3月期から平成28年3月期までの4ヶ年を予定していた中期経営計画「PLAN for NEXT(略称:4N計画)」を2年前倒しで終了させ、平成27年3月期より新たな経営計画、「newborn HASEKO    (略称:NB計画)」を策定致しました。計画期間は、平成27年3月期より6年間と定め、再生完了「新生・長谷工」として再誕・躍進を目指し、前半3年間を「Step Up」期間、後半3年間を「Jump Up」期間と位置付け、このうち、前半3年間については新中期経営計画「newborn HASEKO Step Up Plan(略称:NBs(エヌ・ビー・エス)計画)」として策定し、計画を推進してまいります。

具体的には、以下の6点を掲げ取り組んでまいります。

 

(1) 新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業の両方に軸足をおく経営を確立すること。

建設関連事業においては、新築分譲マンション工事受注における適正利益を確保します。
サービス関連事業においては、収益の拡大と都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現を目指します。

(2) グループ連携を深化させ、都市居住生活者の信頼に応える企業体を実現すること。

近い将来、首都圏の世帯数が減少に転じると予測される中、サービス関連事業の確立を一段と強力に推進させる観点から、グループ事業の連携と都市居住生活者からの更なる信頼獲得に取り組んでいきます。

(3) 安全・安心で快適な集合住宅を提供すること。

・次世代生産システムの開発・構築(IT技術の活用、工業化推進など)

・次世代マンションの開発・展開(省エネ・環境関連技術など)

・高齢者向け集合住宅、賃貸マンションの生産技術の具体案件での検証・展開

・改修技術開発の更なる強化

(4) 飛躍に向けた安定した財務基盤を確立すること。

・利益分配については、安定的な株主還元の継続、成長戦略投資、有利子負債の削減にバランスよく配分

・自己資本と負債の構成比を意識しつつ、期間利益の積上げによる自己資本の拡充を図り、

「飛躍に向けた安定した財務基盤の確立」

(5) 中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへ挑戦すること。

・サービス関連事業を起点とした国内主要都市への事業エリア拡大の可能性を追求

・海外における長谷工グループの事業基盤構築への取り組み

(6) 実効性の高いガバナンス・内部統制の確立に向け注力すること。

・外部からの客観的・中立の経営監視機能として、過半数の社外監査役を含む監査役会による監視と、社外取締役を取締役会に加えることによる取締役会の活性化と経営の監視機能の強化を推進

・コンプライアンス、品質(ISO9001)、環境(ISO14001)、情報セキュリティ、個人情報保護の体制の継続的な維持・強化

・グループ一体となった経営体制の強化とそれを担う人材の育成

・女性社員の積極的な活用を推進

 

以上の取組みにより、NBs計画における計画最終年度(平成29年3月期)の数値目標としましては、連結経常利益350億円、単体経常利益230億円としております。

当社グループは、株主の皆様をはじめ、取引金融機関などご支援頂いている皆様や、お取引先、お客様の支えにより、長期間を要した再建をようやく果たすことができました。これからも皆様への感謝の気持ちを忘れずに、社会に必要とされ、「いい暮らしを、創る。」住まいのオンリーワングループを目指してまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの業績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性がありますが、事業等のリスクについては、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項について記載しております。当社グループは、これらの他にも様々なリスクがありうることを認識し、それらを可能な限り防止、分散あるいは回避するよう努めておりますが、当社グループの支配の及ばない外部要因や必ずしも現時点にて具現化する可能性が高くないと見られる事項等の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

(1) 分譲マンションに関わる事業への依存

 当社グループは、首都圏、近畿圏及び東海圏での分譲マンションに関わる事業をコアとしており、中でも分譲マンション建設事業に対する依存度が高くなっております。従って、受注高やその他の分譲マンション関連事業の取引高は、分譲マンションの新規供給量や販売状況、分譲マンション建設用地の供給、取引先デベロッパーの事業規模、住宅関連政策、住宅にかかる税制及び金利等の動向によっては大きく変動することになり、これらの変動が業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社は、土地情報収集力や分譲マンション事業に関するプロジェクトマネジメント力を背景として、土地持込による受注を主たるビジネスモデルとしておりますが、このビジネスモデルにより今後も引き続き競争優位に立ち、市場シェアや収益性の維持、拡大が図れるという保証はありません。

(2) 建設市場の動向

 建設業全般の業績の動向によりマンション建設の分野に対する参入が増え、同業他社との価格競争が激化した場合や、建設資材・労務等の急激な高騰及び調達難、協力業者等の確保状況による生産能力の低下等が生じた場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制、行政規制等

 当社グループが事業を行う上で遵守すべき法令・規則等は多岐に渡っており、建築基準法、建設業法、宅地建物取引業法、建築士法といった事業に直接関係する法令のみならず、会社法、金融商品取引法といった事業に直接関係はしないものの重要な法令等があります。当社グループにおきましては、役職員がこれらの法令等を遵守することができるよう啓蒙を適宜実施しておりますが、これらの法令等を遵守できなかった場合、またはこれらの法令等が当社グループの予測し得ない内容に改廃もしくは新設された場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、建築基準法等のマンション建設における法的規制の改廃もしくは新設、又は建築確認・検査の厳格化等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 周辺住民との関係

 建設工事着工に際しましては、周辺住民に対する事業計画等の説明を実施しておりますが、反対運動及びそれに伴う訴訟等により、事業計画の大幅な変更、建設工事の着工の遅延又は中止等が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 瑕疵担保責任

 施工品質の維持向上には万全を期しておりますが、引当金の計上額を上回る瑕疵担保負担の発生や、保険等でカバーできない損害賠償が発生した場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 建設事業における事故等

 当社グループは、安全教育の実施、点検パトロール等、工事事故・品質事故・災害を撲滅するために安全管理・施工管理を徹底し、また、工事着手にあたり入念な施工計画の立案等、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、万が一、重大な工事事故・品質事故・労働災害等が発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 取引先の信用リスク

 建設業においては、一つの取引における請負金額が大きく、多くの場合工事代金の支払いは分割であり、目的物の引渡時及び引渡後に多額の支払が行われる傾向があります。よって、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合は、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 保有不動産

 当社グループは、営業活動上の必要性から不動産を保有しておりますが、不動産には時価の変動リスクがあるとともに、一般的に流動性が高くないため売却時における需給関係によっては相場価格により売却できない場合があります。販売用不動産については事業計画の進捗次第では予定している回収額に満たない場合や様々な要因により計画を中止せざるを得ない場合があります。また、固定資産についても、賃貸条件や事業収支の悪化が生じる等、予定しているキャッシュ・フローが得られなくなる場合があります。これらの場合には評価損失・減損損失・売却損失等が発生し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 事業エリアの偏重

 当社グループは、会社の経営資源の効率化を実現するために事業エリアを首都圏・近畿圏・東海圏に集中しております。このため、将来、首都圏・近畿圏・東海圏並びにその周辺において、地震、暴風雨、洪水その他の天災、事故、火災、その他の人災等が発生し、工期の遅延、消費者の購買意欲の減退、所有資産の毀損等があった場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10)オペレーショナルリスク

 当社グループが業務を遂行するにあたり、役職員による不正行為、不適切な行為、事務処理のミス、労務管理上の問題等の各種オペレーショナルリスクの発生が考えられます。当社グループはリスク管理規程を定め、オペレーショナルリスクも含めた事業遂行に関わる様々なリスクについて管理し、それらのリスクに対応することによって、グループの経営方針の実現を阻害するリスク要因を可能な限り低減させ、コントロールするよう努めておりますが、上記のようなオペレーショナルリスクが発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)個人情報等の管理

 当社グループは、マンション購入顧客ならびに購入検討顧客や管理受託マンションの居住者等、多くの個人情報を保有しております。また、営業・購買情報等、多くのデータをコンピュータ管理しています。平成17年4月に完全施行された個人情報保護法にしたがって、個人情報の取扱いに関するルール(基本方針・規定・細則)を設け、体制整備を行い、また個人情報以外の情報の取扱いについても、各部個別にセキュリティポリシー(基本方針・対策基準・実施手順)を順次整備する等、情報管理を徹底し万全を期しておりますが、コンピュータシステムのトラブルによる情報流出や犯罪行為等による情報漏洩が発生する可能性があります。その場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージを損ない、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12)資金調達及び金利動向

 当社グループの主な資金調達手段である金融機関からの借入金については、急激な金利の変動や金融機関との借入条件に変更が生じた場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社は、事業上必要な資金調達について、主に金融機関との間で協調融資方式によるタームローン、及びコミットメントライン契約の借入契約を締結しております。これらの借入契約には、自己資本の維持と経常利益の確保、有利子負債残高の3項目に関して財務制限条項が付加されており、それに抵触した場合には、多数貸付人の意思結集に基づく請求により期限の利益を喪失する可能性があり、約定の返済期限より前に残元本及び利息等を返済する義務が発生する可能性があります。

(13)繰延税金資産

 当社グループでは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上していますが、この計算は将来の課税所得に関する見積に依拠しており、実際の結果は見積とは異なる可能性があります。当社グループが将来の課税所得の見積に基づいて、繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合や、法人税の減税等制度面における変更により、繰延税金資産の額が過大となった場合には、繰延税金資産は費用として計上され、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(14)優先株式

 当社優先株式については償還条項が設定されておりますが、償還には分配可能額が必要なことから、償還条項で設定された償還期間の間に必要な利益が計上されない場合など、一部の償還が実行されない可能性があります。一方、優先株主には償還請求権が付与されていることから、当社に一定の利益剰余金がある場合、当社の意思に関わらず償還の請求がなされ、自己資本が一定の限度まで減少する可能性があります。
 また、これらの優先株式には転換請求権が付与されているため、償還がなされない場合、普通株式に転換される可能性があります。また、転換請求期間内に転換請求されないものについては、普通株式に強制転換されます。普通株式に転換された場合、1株当たり当期純利益を減少させ、また市場で売却されたときはその時点における需給関係によっては普通株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、以上のような優先株式が存在すること自体が普通株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、(14)優先株式に関しましては、平成26年6月27日開催の取締役会において、第1回B種優先株式の償還のための取得及び同株式の消却を決議いたしました。当該取得及び消却により、当社発行のすべての優先株式の消却が完了することになります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 第1回B種優先株式の取得(強制償還)及び消却について」をご覧ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において終了した重要な契約は、次のとおりであります。

 

マンション管理事業等に係る資金調達について

 当社グループは、当社の子会社(具体的には、㈱長谷工コミュニティ、㈱長谷工コミュニティ九州、㈱長谷工ライフ、㈱長谷工スマイルコミュニティ、㈱長谷工リフォーム、㈱長谷工ライブネット、㈱長谷工アイネット、㈱レジデンシャルサービスの8社(以下「対象子会社」という。)を指します。)が営むマンション管理事業等から生じるキャッシュ・フローを裏付けとした資金調達を実施することとし、平成22年2月、㈱長谷工MMB及び連帯保証人としての対象子会社は㈱MMファンディングとの間で金銭消費貸借契約書を締結し、㈱長谷工MMBは当該契約に基づき㈱MMファンディングから235億円を借り入れました(平成25年9月末借入残高132億円)。㈱長谷工MMBは、対象子会社の一部との間でそれぞれ金銭消費貸借契約書を締結し、上記借入による資金の一部を当該各子会社に対して貸し付け、また、かかる貸付を受けた各子会社は、当社との間でそれぞれ金銭消費貸借契約書を締結し、当該貸付に係る資金の一部を当社に対して貸し付けました。

 当社は平成25年12月、各子会社によって行われた上記貸付による借入金を全額返済し、返済を受けた当該子会社は㈱長谷工MMBからの借入金を全額返済し、㈱長谷工MMBは㈱MMファンディングからの借入金を全額返済いたしましたので本件に関連する金銭消費貸借契約は終了しております。

 また、上記返済に伴いまして、㈱長谷工アネシス、㈱長谷工MMH、㈱長谷工MMB及び対象子会社は、㈱MMファンディングが㈱長谷工MMB等に対して有する貸金等の債権を担保するために締結していた、各社が有する子会社株式、当該資金調達に関連する債権等に担保権を設定する旨の担保権設定契約を解除いたしました。

 

6【研究開発活動】

当社の研究開発は、集合住宅における新築・ストックの両分野に軸足をおき、①商品開発 ②生産技術開発 ③そのために必要な基礎的な研究開発を重点に、埼玉県越谷市の技術研究所を拠点に推進しております。

研究開発活動としては、これまで継続してきた安全・安心、快適・健康、品質・性能、生産性向上に取り組んでおります。特に工業化対応、省エネ・環境対応、長寿命化、防災対応、ストック改修対応などの時代に即した住宅技術の開発・商品化に注力し、実施にあたっては、研究・技術開発のスピードアップと採用促進を図るため、大学・研究機関等との共同研究・開発を進めるとともに、設計・建設部門等社内各部門との連携・強化に努めております。

当連結会計年度における研究開発費は、713百万円であり、主な研究・技術開発は次のとおりです。

 

 (設計施工関連事業)

(1) 次世代マンション企画“Beシリーズ”の開発・提案

平成24年2月に発表した、「基本性能の充実」、「可変性」、「環境+防災」という3つのコンセプトで開発した“Be-Next”に続き、高層化を実現させた“Be-NextⅡ”と妻側住戸のリビングルームの開放性をさらに向上させた“Be-NextL”を新たに開発し、当社が設計・施工する分譲マンションへ積極的に提案を進めております。今後も当社の提案力の強化を図るべく、時代やニーズに対応した次世代マンション企画の更なるブラッシュアップに取り組んでまいります。

(2)中高層集合住宅を対象とした技術の開発

大規模・高層物件等を主な対象として、建設技能労働者の不足及び高齢化への対応と、生産性と多様性を両立させ且つ品質向上等の更なる推進のため、構造躯体の工業化・PC化、オリジナルの新商品開発及び設計・施工情報のIT化など積極的な推進展開を行い、順次実物件へ採用導入しております。特に、これまでの開発検証等をベースに下記の開発に注力・推進しております

サポート関連:「長谷工フラットビーム構法」の開発及び建築技術性能証明取得(一般財団法人日本建築総合試験所)、工業化工法の円滑化を目的とした「冬期コンクリートの初期強度の管理方法」の確立等

クラディング関連:都市部におけるヒートアイランド現象を抑制するとともに、集中豪雨による都市型水害を抑制する効果も期待できる「屋上緑化保水板」の開発・導入(THE SOUTH CANAL RESIDENCE(東京都江東区、地上13階、98戸))、高強度コンクリートならびに押出し成形板採用時の外装タイルの剥落防止を目的とした「外装タイル貼り仕様・施工方法」の確立等

インフィル関連:お客様の声を反映させた提案商品シリーズU's-styleの新商品として、ウォークインクロゼットの内部にキャスター付の可動収納ユニットを設置することで季節別・家族別・使用頻度別に分類が可能になる新しいタイプの収納システム「ムーブインクロゼット」の開発・導入(プレイズ堺 光明池(堺市南区、地上15階、242戸))、ワンタッチ操作で開閉ができる室内ドアハンドル「プッシュプルプレート」の開発・導入(ルネ八千代台(千葉県八千代市、地上11階、129戸))他等

設備関連:施工能力向上・品質均一化を目的とした「住戸内排水管プレカット工法」の開発、柱袖壁・梁底垂れ壁にALC部材を採用した際に施工性の向上を図れる「ALC用防火区画貫通処理材(Nブロック)」の開発等

設計・施工情報のIT化関連:業務プロセス・生産プロセスの合理化に向けたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の継続検討・展開推進等

(3) 超高層RC造集合住宅を対象とした技術の開発

これまで開発した成果を反映させた当社設計施工で、基礎免震構造を採用した超高層RC造集合住宅「ザ・山王タワー」(東京都大田区、地上22階、156戸)、「住吉川リバーサイドフォーラム ザ・レジデンス」(神戸市東灘区、地上28階、211戸)等が完成いたしました。引き続き、施工中の超高層RC造集合住宅「王子飛鳥山ザ・ファースト タワー&レジデンス」(東京都北区、地上29階、285戸)、「ブランズタワー・ウェリス心斎橋NORTH」(大阪市中央区、地上36階、246戸)等において、設計技術及び施工条件に即した最適な構工法技術の確立などを図りながら、超高層対応技術のレベルアップに努めてまいります

(4) 省エネ・CO2削減など環境対応技術の開発

CO2削減プログラムの運用によるCO2削減効果の検証、マンションの長寿命化、環境負荷の低減、資源・エネルギーの効率化などの環境に配慮した技術を採用した「(仮称)JV志木柏町北敷地B計画(埼玉県志木市、地上11階、152戸)」、「ブランシエラ二条城(京都市上京区、地上8階、47戸)」が国土交通省の低炭素建築物の認定を取得いたしました。また、太陽光発電の電力を分配するシステム「全戸戸別供給型太陽光発電システム」を採用した「プレージアブラン東園田(兵庫県尼崎市、地上6階、108戸)」の竣工に合わせ、太陽光発電システムによる発電量の比較・効果検証を実施いたしました

(5) 建設産業廃棄物削減対応

これまで当社では、段ボール古紙や木くずにおける循環型マテリアルリサイクルシステムの構築、また廃プラスチック類のサーマルリサイクルシステムの構築をしてまいりました。今後も、作業所所員・作業員への環境関連教育を通して、環境に配慮した循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります

(6) 共同研究参画

競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り、研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している建築研究開発コンソーシアムの活動に継続参画しております

 

 (住宅関連サービス事業)

(1) ストック・リフォーム技術

拡大する国内ストック市場における既築集合住宅向け「ストックビジネス」の技術基盤づくりを目指しています。共用部では「建物の延命化・耐震化の工法」、「居住者の負担を軽減するための住みながら改修を可能にする施工法」の開発等、専有部では「新築なみのグレ-ドアップ提案」を進め、継続的にストック・リフォームの技術開発を行っております

国土交通省の平成24年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業に、当社グループが提案する既築向けリフォームメニュー「高経年既存低層共同住宅の総合省CO2改修」が採択され、「エステート鶴牧4・5住宅(東京都多摩市、356戸、29棟、1982年竣工)」にて、改修による省エネ効果の実検証を実施するとともに、蓄積した検証内容については、今後の集合住宅づくりに活かしていくなど、持続可能な低炭素社会の普及に努めてまいります

大規模修繕に対応する技術開発として、長谷工コンバスマンションシリーズ(1973年~1982年)のための「外観デザイン改修技術」の開発・採用(ソフトタウン根岸(横浜市磯子区、地上10階、197戸)等)に加え、品質向上・作業効率に優れた「エポキシ樹脂(E275)によるタイル改修工法」の開発・採用(ビバヒルズ(東京都日野市、地上14階、629戸)等)のほか、RC構造物における塩害の進行度合いを適切に評価・予測するための「塩化物イオン浸透に関する研究」を実施するなど、今後、大規模修繕工事の受注に向けた開発に注力・推進してまいります

耐震改修技術として、既に開発完了した「後施工部分スリットによる柱の耐震補強工法」の積極提案に加え、「柱増し打ち補強工法」の技術評価取得に向け、開発・推進してまいります

専有部インテリアリフォームの対応技術として、住まい(専有部)の性能を4つの視点で診断・評価し、より快適で長持ちさせる新しいリフォーム提案システム「すまいプラス」を開発し、今後、インテリアリフォーム工事の受注に向け積極的な提案を図ってまいります

 

なお、子会社においては、研究開発活動は行われておりません。

設計施工関連事業及び住宅関連サービス事業以外の事業においては、研究開発活動は行われておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

具体的には、工事進行基準による収益認識、固定資産、工事未払金、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る負債、資産除去債務、繰延税金資産、偶発事象や訴訟等であり、これらに関し、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づいた見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。

(2) 経営成績

当事業年度における当社単体の受注高については、マンション建設に特化することによるコスト競争力・商品企画力への評価が高まっている中、主に大手事業主からの特命受注が増加したことにより、3,631億円(前期比26.8%増)となりました。

また、当社グループの経営成績については、主に完成工事高、不動産売上高の増加により売上高は5,876億円(同5.1%増)となりました。

営業利益については、住宅関連サービス事業拡大へ向けた組織・体制変更等により一般管理費が増加した一方で、完成工事総利益率の改善、不動産売上総利益が増加し、288億円(同18.5%増)となりました。また、経常利益は金融収支が改善し254億円(同27.2%増)となりました

特別損益については、保有資産を売却したことにより固定資産売却益59億円を計上しました。以上の結果、税金等調整前当期純利益は307億円となり、税金費用を差し引いた当期純利益は、248億円(同90.1%増)となりました

(3) 財政状態の分析

財政状態については、当連結会計年度における連結総資産は、保有不動産の売却等により、前連結会計年度末に比べ35億円減少し、4,574億円となりました。

連結総負債は、主に借入金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ91億円減少し、3,379億円となりました。

連結純資産は、第1回B種優先株式の取得を行ったことにより減少したものの、当期純利益を計上し利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ57億円増加し、1,195億円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の24.7%に対し、26.1%となりました。

(4) キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。

(5) 新中期経営計画及び今後の方針

当社グループは、将来へ向けた経営体制の確立を目指し、このたび新たに経営計画「newborn HASEKO(略称:NB計画)」を策定致しました。当期において終了した中期経営計画「PLAN for NEXT(略称:4N計画)」を「Hop」、NB計画の前半3年間を「Step」、NB計画の後半3年間を「Jump」と位置付け、再生完了「新生・長谷工」として再誕・躍進を目指します。

NB計画の期間は、平成27年3月期より6年間と定め、前半3年間を「新生・長谷工へのステップアップ期間」として、新中期経営計画「newborn HASEKO Step Up Plan(略称:NBs(エヌ・ビー・エス)計画)」を策定致しました。近い将来、首都圏の世帯数が減少に転じると予測される中、当社を取り巻く環境は、少子化・高齢化の進行や高経年マンションの増加、建設技能労働者の減少、環境・エネルギー問題等への対応など、基本的には4N計画策定時から大きく変化していない事から、本計画においても基本方針は4N計画を踏襲致しますが、サービス関連事業の確立を一段と強力に推進させる観点から、グループ事業の連携と都市居住生活者からの更なる信頼獲得を基本方針に加えて、重要課題として取り組んでまいります。

 

 

中期経営計画「newborn HASEKO Step Up Plan(略称:NBs計画)」の概要

 

■計画期間

平成27年3月期~平成29年3月期の3期間

 

■基本方針

1.新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事
   業の両方に軸足をおく経営の確立
 2.グループ連携を深化させ、都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現
 3.安全・安心で快適な集合住宅を提供
 4.飛躍に向けた安定した財務基盤の確立
 5.中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦

6.実効性の高いガバナンス・内部統制の確立

 

■数値目標

本計画における計画最終年度の平成29年3月期において、連結経常利益350億円、単体経常利益230億円として
おります。

 

■具体内容

1.本業収益強化について

『新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業の両方に軸足をおく経営の確立』

・新築分譲マンション工事受注における適正利益の確保

・サービス関連事業収益の拡大と都市居住生活者の信頼に応える企業体の実現

 

2.技術力・技術開発の強化・推進について

『安全・安心で快適な集合住宅を提供』

・次世代生産システムの開発・構築(IT技術の活用、工業化推進など)

・次世代マンションの開発・展開(省エネ・環境関連技術など)

・高齢者向け集合住宅、賃貸マンションの生産技術の具体案件での検証・展開

・改修技術開発の更なる強化

 

3.財務戦略について

『安定した財務基盤を確立するとともに、株主への利益還元を安定的に行っていく』

・利益分配については、安定的な株主還元の継続、成長戦略投資、有利子負債の削減にバランスよく配分

・自己資本と負債の構成比を意識しつつ、期間利益の積上げによる自己資本の拡充を図り、
「飛躍に向けた安定した財務基盤の確立」

 

4.将来を見据えた新領域への挑戦について

『中長期的な視点を踏まえた新たな取組みへの挑戦を萌芽させていく』

・サービス関連事業を起点とした国内主要都市への事業エリア拡大の可能性を追求

・海外における長谷工グループの事業基盤構築への取り組み

 

5.経営管理・人材等について

『お客様本位の事業活動を通じて社会に貢献し、信頼を得ることを経営の基本方針として掲げ、実効性の高いガバナンス・内部統制の確立に向け引き続き注力する』

・外部からの客観的・中立の経営監視機能として、過半数の社外監査役を含む監査役会による監視と、社外取締役を取締役会に加えることによる取締役会の活性化と経営の監視機能の強化を推進

・コンプライアンス、品質(ISO9001)、環境(ISO14001)、情報セキュリティ、個人情報保護の体制の継続的な維持・強化

・グループ一体となった経営体制の強化とそれを担う人材の育成

・女性社員の積極的な活用を推進