以下「第2 事業の状況」に記載している金額には,消費税等は含まれていない。
文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
① 経営の基本理念「論語と算盤」
当社は渋沢栄一翁の教えである,道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を経営の基本理念としている。この理念のもと,ものづくりへの真摯な姿勢と絶えざる革新志向により,お客様の期待を超える価値を提供し続けていく。
② 経営理念
地球社会への貢献…Socio-dynamism
人間尊重……………Humanity
革新志向……………Innovation
顧客第一……………Market-in
情熱…………………Zeal
(2) 長期ビジョン「Smart Vision 2010」
2010年6月に,当社は10年後の目指すべき方向を示した「Smart Vision 2010」を策定した。当社は,人々が快適で安心して暮らせる環境づくりのトップランナーとして,社会とともに成長を続ける,そんな企業でありたいと考えている。その想いを実現するために,建設事業を核として,社会と建造物の持続可能性(サステナビリティ)を徹底的に追求し,お客様の期待を超える価値を提供し続ける,「スマートソリューション・カンパニー」を目指している。
基本方針-持続的成長とさらなる進化へ向けて-
〈事業強化方針〉
① 建設事業競争力の革新的強化により成長を持続
建設事業:コアビジネスの持続的成長
② 次代の収益の柱の構築に向けた,3つの重点注力分野における事業基盤の確立
グローバル事業:社会・経済のグローバル化への対応強化
ストックマネジメント事業:安定的な収益基盤の確立
サステナビリティ事業:地球規模でのサステナビリティの実現
③ すべての事業活動の機軸を「環境」に置き,シナジーの追求によるグループ経営のパワー
アップ
〈基盤強化方針〉
① 景気変動の影響を最小限に抑えながら,環境変化に柔軟に対応し,持続的な成長を可能に
する経営体質づくり
② グローバル展開,ストックマネジメントなど,事業の多様化に適した経営システムの確立
(3) 中期経営方針2014
2014年7月に,長期ビジョンに基づき5年間の方針を定める「中期経営方針2014(2014~2018年)」を策定した。当面の旺盛な建設需要に着実に対応するとともに,長期的な建設市場の動向も見据えながら,「建設事業の進化」「重点3事業(グローバル事業・ストックマネジメント事業・サステナビリティ事業)の着実な成長」「経営基盤の一層の強化」の3つを基本方針としている。
「中期経営方針2014」の基本方針は以下のとおりである。
「中期経営方針2014」基本方針
① 建設事業の進化
・ 営業・ソリューションの進化
・ 技術の進化
・ 人財の進化
・ 現場マネジメントの進化
② 重点3事業(グローバル,ストックマネジメント,サステナビリティ)の着実な成長
・ 投資開発・エンジニアリング事業の収益安定化
・ グローバル事業の持続的成長,安定的な収益の確保
・ 新規事業3分野の10年後の収益化に向けた重点投資
③ 経営基盤の一層の強化
・ 技術力強化
・ 人財マネジメント
・ 企業体質強化
・ CSR推進
以上①~③の戦略により,社会・顧客価値創造への貢献,株主価値向上を図りながら,企業価値(シミズバリュー)向上を目指していく。
〈分野別の取組〉
■「建設事業」
お客様と社会の真のニーズを捉え,技術力・提案力の一層の強化を図り,「安全・安心な社会」の実現に貢献することを目指している。また,品質・安全を確保した上で,革新的な情報化・省力化工法などによる「i-Construction※1」の実現を図っていく。さらに,ものづくりの意欲にあふれ,お客様と社会から信頼される人財の育成にも注力する。
■「重点3事業」
建設事業の“補完”ではなく,自立した経営ができる事業を目指して育てていく。
・「グローバル事業」
海外ローテーション制度をはじめグローバル人財の育成を強化し,2020年までに全事業量の約2割を担える体制づくりを進めている。
・「ストックマネジメント事業」
当社の強みを活かした先進的なまちづくり提案を目指す投資開発事業の取組みとともに,建物竣工後の施設運営管理サービスを総合的に提供するBSP (Building Service Provider)事業※2にも力を注いでいる。
・「サステナビリティ事業」
エネルギー・環境・プラント・情報分野のエンジニアリング事業を強化・拡大するともに,脱炭素社会の実現に貢献すべく,「環境・エネルギーマネジメント事業」の確立にも取り組んでいる。
■「経営基盤の一層の強化」
CSR経営を推進し,企業価値の向上に努めている。また,女性や外国人の活躍推進をはじめとするダイバーシティ経営の推進と人財マネジメントの強化を図っている。
※1 i-Construction:調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスでICT等を活用し,生産性向上を図る取組み
※2 BSP事業:竣工後の施設運営管理サービス(PM・BM,省エネ・BSP等)を総合的に提供するもの
(4) 長期ビジョン・中期経営方針の見直し
当社は現在,今後の経営環境の変化を想定した上で,社会的課題に積極的に取り組み,更なる企業価値の向上を目指すべく,2019年度を初年度とする長期ビジョン及び中期経営方針の策定に向けて取り組んでいる。
(5) 経営3ヶ年計画
「中期経営方針2014」に基づく2018年度を初年度とする「経営3ヶ年計画」は,国内建設事業を主な収益源の柱に据え,新たな事業領域にも収益基盤を確立していくための施策を打ち出す内容としている。
「経営3ヶ年計画」の要旨は以下のとおりである。
〈経営方針〉
環境変化に迅速・果敢に対応し,建設事業の進化と新たな収益基盤の創出を推進するとともに,SDGs※1・ESG※2の観点を活かした経営基盤の強化と働き方改革を図り,シミズグ ループの持続的成長を実現する。
※1 SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年の国連総会で採択された2030年までの国際社会の共通目標で,貧困撲滅,エネルギー確保,気候変動対策など17目標が掲げられている。
※2 ESG:環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもの。「ESGに配慮する企業は長期的に見て成長可能性が高い」と考えるESG投資が,機関投資家の間で広がってきている。
〈重点施策〉
① 品質・安全・工程管理の徹底を図り,生産性向上を通じて,更なる収益力強化を図る
・ 品質・安全管理のチェック体制の徹底による誠実なものづくりの実践
・ 確実な生産体制の構築及び将来を見据えた生産技術の開発による生産性向上の推進
・ 採算意識と挑戦意欲のバランスがとれた戦略的な営業活動の推進による事業競争力の強化
② 国内建設事業に次ぐ,社会・顧客に新たな価値を提供する事業を構築する
・ 建設,投資開発,エンジニアリング,LCV※3,本社部門が一体となったグローバル事業
の推進
・ グループ企業との連携によるストックマネジメント事業の推進
・ サステナビリティ分野における事業化の推進
・ 将来に向けた戦略的な投資,新規事業創出
※3 LCV(Life Cycle Valuation):施設・インフラのライフサイクルにわたり,その価値を最大化するためにレベルの高い技術やサービスを提供することを意味する事業コンセプト
③ コンプライアンス徹底と働き方改革を推進し,次世代に誇れる職場環境をつくる
・ 倫理・法令違反による不祥事の撲滅に向けた施策の実践
・ ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた“一歩進んだ”働き方改革への挑戦
④ ESGの観点から,企業価値の向上を図る
・ 実効あるコーポレートガバナンスの推進,透明性・信頼性の高い経営の実践
・ ダイバーシティ経営の着実な推進(更なる女性活躍,障がい者雇用・活躍等)
・ CO2削減・生物多様性の保全に向けた一層の取組み等,「攻め」と「守り」の環境経営
の推進
・ 事業活動と連動したCSR活動の推進,社会貢献活動・ボランティア活動等への参画
⑤ 自然災害等のリスクへの対応力を高め,安全・安心社会の実現に貢献する
・ 地震などの自然災害等に対するBCP対策の推進による顧客・地域社会への貢献
・ 防災・減災に向けた,インフラや施設の安全安心技術の更なる開発の推進
以上のような取組みを通じ,コーポレート・メッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」に
込めた想いを,役員・従業員全員が日常の諸活動の中で実践し,震災復興,日本・国際経済の成
長に寄与すべく,全力を尽くしていく。
(6) 独占禁止法違反容疑による起訴について
当社は,本年3月23日,東海旅客鉄道株式会社発注の中央新幹線建設工事の入札に関し,独占禁止法違反容疑により起訴された。当社は,今後更なるコンプライアンスの徹底及びガバナンスの強化に取り組み,全社を挙げて信頼の回復に努めていく所存であり,新たな再発防止策(骨子)を下記のとおり策定した。併せて,従来から実施している独占禁止法順守プログラムに基づく「工事の入札に係る役員・従業員の行動規準」の運用,外部通報制度,法務部による部門巡回,社内処分の厳格化などの施策を引き続き実施していく。
① 経営トップが率先して倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図る。
・役員・従業員全員が経営の基本理念である「論語と算盤」を拳拳服膺し,高い倫理意識を持
ち,自らの行動を律するよう,経営幹部が率先垂範して,倫理意識の涵養とコンプライアン
スの徹底に継続して取り組む。
・外部有識者の協力も得て,役員・従業員の高い倫理意識の涵養を図る。
② 組織改正によるコンプライアンスの強化
・企業倫理委員会の委員長を社長とし,外部有識者を加えた社長直轄の組織とする。
・企業倫理室を新設し,企業倫理の浸透,コンプライアンスの徹底に向けた取組みを強化す
る。
・営業体制を刷新する。
― 営業総本部を設置し,建築営業本部,土木営業本部を統轄する。
― 営業総本部にコンプライアンス担当の役員を置く。
・監査部の組織拡充により監査機能を強化する。
・全社の主要営業案件について公正な入札に関する臨時監査を実施する。
③ 行動規準の見直しと運用の徹底
独占禁止法順守プログラムに基づき策定済みの「工事の入札に係る役員・従業員の行動規
準」(以下,「行動規準」という。)に,通報義務,同業他社との接触に関するルールの明確
化等の見直しを加えた上で,引き続き,運用の徹底を図る。
④ 特定プロジェクトに対するコンプライアンスチェックの強化
技術的難易度の高さや事業規模の大きさ等の理由によって事実上,競争者が限定され,競争
制限行為を誘引するリスクの高い案件に関するチェックを強化する。
⑤ その他
従前から実施している行動規準に基づく部門長のチェックシステム,研修・監査のための法
務部による部門巡回,外部通報制度,社内処分の厳格化などの施策は継続実施する。
有価証券報告書に記載した事業の状況,経理の状況等に関する事項のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には,次のようなものがある。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 建設市場の縮小リスク
国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や,財政健全化等を目的として公共投資が減少した場合には,今後の受注動向に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 建設資材価格及び労務単価の変動リスク
建設資材価格や労務単価等が,請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し,それを請負金額に反映することが困難な場合には,建設コストの増加につながり,利益が悪化する可能性がある。
(3) 取引先の信用リスク
景気の減速や建設市場の縮小などにより,発注者,協力業者,共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には,資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性がある。
(4) 重大事故や不具合などによる瑕疵等のリスク
設計,施工段階における技術・品質面での重大事故・不具合や人身事故が発生し,その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり,重大な瑕疵となった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 海外事業リスク
海外での事業を展開する上で,進出国での政治・経済情勢,為替や法的規制等に著しい変化が生じた場合や,テロ・暴動等の発生,資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には,工事の進捗や工事利益の確保に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 投資開発事業リスク
景気の減速による不動産市況の低迷や不動産ファンド等の破綻など,投資開発分野の事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 長期にわたる事業におけるリスク
PFI事業,再生可能エネルギー事業等の長期にわたる事業において,諸物価や人件費,金利等の上昇など,事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 保有資産の価格・収益性の変動リスク
保有資産の時価が著しく下落した場合又は収益性が著しく低下した場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 自然災害リスク
地震,津波,風水害等の自然災害や,感染症の世界的流行が発生した場合は,当社グループが保有する資産や当社グループの従業員に直接被害が及び,損害が発生する可能性がある。
災害規模が大きな場合には,受注動向の変化・建設資材価格の高騰・電力エネルギー供給能力の低下等で事業環境が変化し,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 個人情報・機密情報漏洩リスク
事業活動において取得した個人情報,機密情報が漏洩した場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 法令等に係るリスク
当社グループの主な事業分野である建設業界は,建設業法,建築基準法,宅地建物取引業法,国土利用計画法,都市計画法,独占禁止法,さらには環境,労働関連の法令等,さまざまな法的規制を受けており,当社グループにおいて違法な行為があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
加えて,社会や時代の変化により,新たな法規制の制定や法令の改廃等があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は,前連結会計年度に比べ3.1%減少し1兆5,194億円となった。
利益については,営業利益は前連結会計年度に比べ5.8%減少し1,213億円,経常利益は5.4%減少し1,241億円,親会社株主に帰属する当期純利益は14.1%減少し849億円となった。
セグメントの業績は,以下のとおりである。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでいない。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。)
(当社建設事業)
当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ3.6%減少し1兆2,075億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ6.2%減少し1,058億円となった。
(当社投資開発事業)
当社投資開発事業の売上高は,前連結会計年度に比べ217億円増加し399億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ56億円増加し109億円となった。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業や子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ0.8%減少し4,690億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ4.8%減少し180億円となった。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,投資活動により309億円資金が減少し(前連結会計年度は346億円の資金減少),財務活動により261億円資金が減少したが(前連結会計年度は653億円の資金減少),営業活動により828億円資金が増加した結果(前連結会計年度は1,436億円の資金増加),現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ253億円増加し,3,411億円となった。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では,「生産」を定義することが困難であり,また,子会社が営んでいる事業には,「受注」生産形態をとっていない事業もあるため,当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできない。
また,当社グループの主な事業である建設事業では,請負形態をとっているので,「販売」という概念には適合しないため,販売実績を示すことはできない。
このため,「生産、受注及び販売の状況」については,記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。
なお,参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりである。
a. 受注(契約)高,売上高,及び次期繰越高
|
期別 |
種類別 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注(契約)高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期 繰越高 (百万円) |
||||||
|
第115期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
891,777 |
1,112,687 |
2,004,465 |
956,387 |
1,048,078 |
|||||||
|
土木工事 |
464,928 |
311,666 |
776,595 |
288,644 |
487,950 |
|||||||
|
計 |
1,356,706 |
1,424,353 |
2,781,060 |
1,245,031 |
1,536,028 |
|||||||
|
開発事業等 |
26,505 |
60,707 |
87,212 |
46,518 |
40,694 |
|||||||
|
合計 |
1,383,212 |
1,485,061 |
2,868,273 |
1,291,550 |
1,576,722 |
|||||||
|
第116期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
1,048,078 |
1,151,999 |
2,200,078 |
912,655 |
1,287,422 |
|||||||
|
土木工事 |
487,950 |
289,842 |
777,793 |
284,751 |
493,041 |
|||||||
|
計 |
1,536,028 |
1,441,842 |
2,977,871 |
1,197,406 |
1,780,464 |
|||||||
|
開発事業等 |
40,694 |
63,735 |
104,429 |
65,147 |
39,281 |
|||||||
|
合計 |
1,576,722 |
1,505,577 |
3,082,300 |
1,262,554 |
1,819,746 |
(注) 1 前期以前に受注したもので,契約の更改により請負金額に変更のあるものについては,当期受注(契約)
高にその増減額を含む。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 開発事業等は,投資開発事業及びエンジニアリング事業等である。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は,特命と競争に大別される。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
第115期 |
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建築工事 |
36.5 |
63.5 |
100 |
|
土木工事 |
15.5 |
84.5 |
100 |
||
|
第116期 |
(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建築工事 |
37.1 |
62.9 |
100 |
|
土木工事 |
10.5 |
89.5 |
100 |
||
(注) 百分比は請負金額比である。
c. 売上高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
||||||
|
第115期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
129,144 |
827,242 |
956,387 |
|||||||
|
土木工事 |
197,347 |
91,297 |
288,644 |
|||||||
|
計 |
326,491 |
918,540 |
1,245,031 |
|||||||
|
開発事業等 |
243 |
46,275 |
46,518 |
|||||||
|
合計 |
326,734 |
964,815 |
1,291,550 |
|||||||
|
第116期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
113,968 |
798,686 |
912,655 |
|||||||
|
土木工事 |
195,459 |
89,292 |
284,751 |
|||||||
|
計 |
309,428 |
887,978 |
1,197,406 |
|||||||
|
開発事業等 |
122 |
65,024 |
65,147 |
|||||||
|
合計 |
309,551 |
953,003 |
1,262,554 |
(注) 完成工事のうち主なものは,次のとおりである。
第115期
|
京橋二丁目西地区市街地再開発組合 |
京橋二丁目西地区第一種市街地再開発事業施設建築物 (再開発棟)新築工事 |
|
|
|
|
埼玉県 |
埼玉県立小児医療センター新病院建設工事 |
|
|
|
|
東京建物(株) 三井不動産レジデンシャル(株) 三菱地所レジデンス(株) 東急不動産(株) 住友不動産(株) 野村不動産(株) |
ベイズタワー&ガーデン新築工事 |
|
|
|
|
国土交通省 |
平成23-27年度 鹿野川ダムトンネル洪水吐新設工事 |
|
|
|
|
首都高速道路(株) |
(高負)YK13工区(2)~YK23工区(1) 下部・半地下・トンネル・土工・街路築造工事 (首都高神奈川7号横浜北線新横浜出入口) |
第116期
|
メープルツリー・ビジネス・シティ社 |
メープルツリー・ビジネス・シティ新築工事第2期 (シンガポール) |
|
|
|
|
東京団地冷蔵(株) |
東京団地冷蔵株式会社再整備事業 |
|
|
|
|
東急不動産(株) |
OCEAN GATE MINATO MIRAI 新築工事 |
|
|
|
|
松戸市 |
松戸市立総合医療センター |
|
|
|
|
国土交通省 |
宮古盛岡横断道路 手代森トンネル工事 |
d. 次期繰越高(平成30年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
216,633 |
1,070,789 |
1,287,422 |
|
土木工事 |
335,334 |
157,706 |
493,041 |
|
計 |
551,967 |
1,228,496 |
1,780,464 |
|
開発事業等 |
114 |
39,167 |
39,281 |
|
合計 |
552,082 |
1,267,664 |
1,819,746 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは,次のとおりである。
|
森トラスト(株) |
東京ワールドゲート新築工事 |
|
|
|
|
東京ガス(株) |
(仮称)TGMM芝浦プロジェクトB棟Ⅱ期新築工事 |
|
|
|
|
ミトラ・パンチャ・プルサダ社 |
ジャカルタ・MPPオフィスタワープロジェクト(仮称) |
|
|
|
|
東日本高速道路(株) |
東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 |
|
|
|
|
国土交通省 |
八ッ場ダム本体建設工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
平成29年度の日本経済は,企業収益や雇用・所得環境の着実な改善を背景に,個人消費は持ち直し,設備投資は増加基調をたどるなど,緩やかな回復傾向が続いた。
建設業界においては,官公庁工事・民間工事ともに堅調に推移し,安定した受注環境が継続した。
このような状況のもと,当社グループの売上高は,完成工事高の減少などにより,前連結会計年度に比べ3.1%減少し1兆5,194億円となった。
利益については,完成工事高の減少による完成工事総利益の減少などから,営業利益は前連結会計年度に比べ5.8%減少し1,213億円,経常利益は5.4%減少し1,241億円,親会社株主に帰属する当期純利益は14.1%減少し849億円となった。
セグメントの業績は,以下のとおりである。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでいない。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。)
(当社建設事業)
当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ3.6%減少し1兆2,075億円となり,セグメント利益は,売上高の減少などにより,前連結会計年度に比べ6.2%減少し1,058億円となった。
(当社投資開発事業)
当社投資開発事業の売上高は,大型開発物件を売上計上したことなどから,前連結会計年度に比べ217億円増加し399億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ56億円増加し109億円となった。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業や子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ0.8%減少し4,690億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ4.8%減少し180億円となった。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は,受取手形・完成工事未収入金等の増加に加え,株式相場の上昇に伴う当社保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより1兆7,963億円となり,前連結会計年度末に比べ1,081億円増加した。
当連結会計年度末の負債の部は,未成工事受入金の増加などにより1兆1,400億円となり,前連結会計年度末に比べ286億円増加した。連結有利子負債の残高は3,382億円となり,前連結会計年度末に比べ17億円減少した。
当連結会計年度末の純資産の部は,親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加に加え,株式相場の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより6,563億円となり,前連結会計年度末に比べ794億円増加した。また,自己資本比率は36.2%となり,前連結会計年度末に比べ2.3ポイント増加した。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,投資活動により309億円,財務活動により261億円それぞれ資金が減少したが,営業活動により828億円資金が増加した結果,現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ253億円増加し3,411億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純利益1,283億円の計上などにより828億円の資金増加となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは,当社における賃貸事業用資産の取得などにより309億円の資金減少となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは,配当金の支払などにより261億円の資金減少となった。
特記事項なし。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は111億円であり,うち当社の研究開発費は109億円である。研究開発活動は当社の技術研究所と建築総本部,土木総本部等の技術開発部署で行われており,その内容は主に当社建設事業に係るものである。
当社は,建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより,多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や,さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも,幅広く積極的に取り組んでいる。技術研究所を中心とした研究開発活動は,基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており,異業種企業,公的研究機関,国内外の大学との技術交流,共同開発も積極的に推進している。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりである。
(1)生産技術・i-Construction
①次世代型生産システム「シミズ・スマート・サイト」
建築工事現場の生産性向上,苦渋・反復作業の軽減,検査・管理業務の高効率化を目的に,BIMを核とする情報化施工により,最先端技術を搭載した自律型ロボットと人が協調しながら工事を進める次世代型生産システム「シミズ・スマート・サイト」を構築した。シミズ・スマート・サイトは,水平スライドクレーン「Exter」,柱溶接ロボット「Robo-Welder」,天井や床材を施工する多能工ロボット「Robo-Buddy」,水平搬送ロボット「Robo-Carrier」で構成されている。各ロボットは,自己位置を認識しながら現場内を移動し,自律的に動作する。稼働状況や作業結果はリアルタイムに記録・蓄積され,ロボットを適用する工種において70%以上の省人化を目指す。
②世界初の水平スライドクレーン「Exter」
建設現場の自動化,省力化を目指して開発を進めている次世代型生産システム「シミズ・スマート・サイト」において揚重機能を担う,水平スライドクレーン「Exter」を開発した。Exterは,水平方向に伸縮するブームにより作業半径を自由に調整できる世界初の水平スライドクレーンであり,建物の頂部をすっぽり覆う全天候カバー内で効率よく稼働できる仕組みになっている。
③プロジェクションマッピングで山岳トンネルの掘削管理
山岳トンネルの底盤コンクリートの施工効率化と安全性向上を目的に,三次元スキャナとプロジェクタを一体化し,プロジェクションマッピングにより底盤の掘削具合を可視化するシステムを開発した。トンネル底盤の三次元形状のデータ取得から,解析,照射までわずか1分程度で済み,掘削効率が格段に向上するとともに,足元が不安定な場所での作業がなくなるため作業の安全性も向上する。
④木質構造の中大規模建築向けハイブリッド構法を開発
木質構造と鉄骨造,鉄筋コンクリート造の合理的な組み合わせを可能にしたハイブリッド木質構法「シミズ ハイウッド(Shimizu Hy-wood)」を開発した。公共建築物等木材利用促進法の施行や建築基準法の改正による木造規制の緩和などによって活性化しつつある市場に向けた技術として,木質構造を採用した中高層や大スパンの中大規模の耐火建築への適用が見込まれる。
⑤コンクリートの施工性低下を抑制できる混和材「チキソリデュース」を開発
ポンプ施工時の圧送や,鉄筋間隙内への充填の妨げとなるチキソトロピーと呼ばれる性質を低減する混和剤「チキソリデュース」を㈱フローリックと共同で開発した。コンクリート静置時に生じるチキソトロピーが打ち込み中に発生すると,品質上の不具合や作業効率の低下につながる。チキソリデュースを練混ぜ直後のコンクリートに添加することでチキソトロピーの低減が図れ,施工性が著しく改善する。
⑥タフネスコートの諸性能を全検証
コンクリート構造物の耐久性を向上させる「タフネスコート」の性能検証を完了した。これまでに確認した耐衝撃性能,剥落防止性能に加えて,保水性能,塩害・凍害防止性能を検証したことで,あらゆる工事に対応することが可能となった。
タフネスコートは,当社と三井化学産資㈱が2012年に共同開発した技術で,ポリウレア樹脂を構造物の表面に吹き付けるだけで済むため,工費を同等以下に抑えた上で工期を40~70%短縮できる。
(2)防災・BCP技術
①超高層ビルの長周期地震動用制振装置「シミズ・スイングマスダンパー」を開発
複雑な揺れが生じる超高層ビルの長周期地震動対策として,屋上設置型制振装置「シミズ・スイングマスダンパー」を開発した。超高層ビルでは地震時に,周期の異なる二通りの揺れが生じる場合があるが,屋上スペース,装置重量の制約から性能の異なる制振装置を複数設置することは困難である。シミズ・スイングマスダンパーは,制振装置全体の動きを内蔵する別の制振装置で制御することによって1台で二通りの揺れに対応でき,省スペース,軽量化に寄与する。
②減衰性能が切り替わる可変減衰型「デュアルフィットダンパー」を開発
一つで中小地震から巨大地震にまで対応できる「デュアルフィットダンパー」をカヤバシステムマシナリー㈱と共同開発し,併せてその性能を認証する国土交通大臣認定を取得した。免震装置の減衰性能を決めるオイルダンパーのセッティングは,巨大地震に合わせると発生頻度の高い中小地震時の免震効果を損ない,中小地震に合わせると巨大地震時に免震装置の破損につながる可能性がある。デュアルフィットダンパーは,免震ビルの揺れ幅に応じて減衰性能が自動的に切り替わる機構により,幅広い地震において適切な免震効果を得ることができる。
③「ダイナミックスクリュー」が制振ダンパー初の日本建築センター評定を取得
すでに13件の適用実績がある高性能制振ダンパー「ダイナミックスクリュー」が日本建築センターの評定を取得した。同評定は,ダイナミックスクリューの制振性能とそれを用いた建物の耐震設計手法の信頼性を認証するものであり,耐震設計手法を含めて制振ダンパーに付与されたのは今回が初めてである。評定取得によって同ダンパーに係る部分の設計審査が簡素化されるため,設計期間の短縮が見込まれる。
④特定天井向けの落下防止対策「フェイルサポート工法」を開発
天井の落下防止機構を備えた特定天井向けの耐震改修工法「フェイルサポート工法」を開発した。既存天井の解体を最小限に抑えることで,工事期間中も施設の継続使用が可能で,短工期・低コストが実現できる。本工法は,既存吊り天井の後付け改修工法として,先に開発したグリッドサポート工法と併せて,日本建築総合試験所(GBRC)の建築技術性能証明を取得している。
(3)環境・設備技術
①建物付帯型の水素エネルギー利用システムが本格稼働
来るべき水素社会に対応する水素エネルギー利用システムの実現を目指し,建物付帯型のコンパクトで安全なシステムを産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(FREA)内に建設し,実証運転を開始した。システム性能検証ならびにシミズ・スマートBEMSによる最適制御技術を確立し,2020年までに建物,街区への導入を目指す。
②四国支店ビルが年間運用実績で「ZEB Ready」達成
2016年3月に完成した「清水建設四国支店ビル(香川県高松市)」が,稼働後1年間の運用実績において,経済産業省が定める省エネビル基準「ZEB Ready」に相当するエネルギー削減率を達成した。当ビルでは,2016年4月から2017年3月までの年間一次エネルギー消費量を,標準的な仕様の建物と比べて68.7%削減し,計画時の削減率目標を5.5%上回る省エネルギー性能を実現した。
③再生医療用の細胞培養管理システムを開発
再生医療用の細胞加工・調製施設(CPF)における細胞培養管理システムを開発した。培養作業プロセスは,タブレット端末に表示される作業指図とQRコードで管理され,各作業の実施記録は,時刻歴ならびにCPF内温湿度などの計測データとともに,自動的に作成・保存される。昨年度,技術研究所内に開設した「S-Cellラボ」において,製薬会社や医療機関との連携によるシステム運用を進める。
④中間貯蔵施設向けの除去土壌改質材「SCカラッ土」を開発
高粘性土を砂状に改質する中性土壌改質材「SCカラッ土」を開発した。SCカラッ土は水を多く含む粘性の高い土壌に投入することで,土壌に含まれる植物根等の有機物を効率的に分離することができる。また,分別処理後の土壌の取り扱いが容易になるため,運搬・転圧・再利用作業の効率化も期待できる。福島県内の除染作業において除去土壌を貯蔵・保管する中間貯蔵施設での適用を視野に入れ,既開発技術を組み合わせた一気通貫の受入・分別処理システムを構築し,除去土壌処理の効率性・安全性を高める。
(4)維持管理・FM技術
①IoT基盤を活用し,オフィスの使われ方を見える化
人やモノの動きに関するデータを集積してビッグデータ解析を行う「施設内IoT基盤システム」を開発し,オフィスの使われ方を見える化する共同実証をNTTテクノクロス㈱と行う。オフィスのレイアウト変更や施設の改修など,オフィスビルの効率的な運営管理のあり方の提案に活用するとともに,人やモノの動きと連動した新たなビル管理システムの構築を目指す。
②地方自治体向けの公共資産マネジメント支援ツールを開発
地方自治体による公共資産マネジメント計画等の策定支援を目的に,公共施設・インフラ統合評価システム「パブリック・アセット・シミュレーター(Public Asset Simulator:PAS)」を㈱ピリカと共同で開発した。PASは,公共サービスの基盤となる道路インフラのネットワーク分析をベースに公共資産の価値を評価するもので,個別施設の利用度・劣化度の評価に留まらず,アクセス方法等も含めた利用者視点に近い資産評価が可能となる。
③建物維持管理支援システム「s-BMマスター」を開発
建物竣工後の維持管理業務の効率化を目的とした建物維持管理支援システム「s-BMマスター」を㈱シミズ・ビルライフケアと共同で開発した。s-BMマスターは,設備機器台帳をベースに竣工図書や修繕・改修記録,維持保全計画等の電子データを連動させ,ビル管理業務に必要な建物情報を一元化したシステムであり,不具合発生時の迅速な初期対応などに効果を発揮する。
④隠ぺい空間を手軽にくまなく撮影できるカメラ架台を開発
天井裏や床下などの隠ぺい空間を手軽にくまなく撮影できる照明付き全方位撮影カメラ架台「PanoShot R」を㈱和興計測,㈲岩手電機製作所,㈲津田山製作所と共同で開発し,販売を開始した。自撮り棒に着脱可能な照明付きの円筒形架台で,全方位撮影カメラ「RICOH THETA(㈱リコー製)」をセットして使用する。宅建業法改正に伴う診断需要に対応する検査支援装置として,大きな潜在需要が想定される。
⑤健康で快適なオフィス環境の普及に向けて,アライアンスに参画
健康・快適性の観点から建物・室内環境を評価する「WELL認証(WELL Certifications)」の取得推進に向けたグローバル・コーポレート・アライアンスに参画した。WELL認証制度は米国DELOS社が創設した,健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内環境評価システムであり,2014年の認証開始以降,米国を中心に認証登録件数が急拡大している。日本においても,従業員の健康保持・増進に企業が主体的に関与する健康経営が推進される中,今後の普及が見込まれる。