以下「第2 事業の状況」に記載している金額には,消費税等は含まれていない。
(1)業績
平成26年度の日本経済は,公共投資が高水準で底堅く推移したことや,企業収益に改善の動きが見られたことに加えて,消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も和らいだことにより,緩やかな回復基調が続いた。
建設業界においては,官公庁工事で大型案件の出件があり,民間工事においても製造業の設備投資が上向きつつあることなどから,業界全体の受注高は前年度を上回る水準で推移した。
このような状況のもと,当社グループの売上高は,完成工事高の増加などから,前連結会計年度に比べ4.7%増加し1兆5,678億円となった。
利益については,完成工事高の増加に加え,工事採算の改善による完成工事総利益の増加などから,経常利益は前連結会計年度に比べ92.1%増加し562億円,当期純利益は135.3%増加し333億円となった。
セグメントの業績は,以下のとおりである。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでいない。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。)
(当社建設事業)
当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ5.2%増加し1兆3,077億円となった。セグメント利益は,売上高の増加に加え,工事採算が改善したことなどから,前連結会計年度に比べ311億円増加し477億円となった。
(当社投資開発事業)
当社投資開発事業の売上高は,前連結会計年度に比べ14.8%減少し210億円となったが,セグメント利益は,比較的採算の良い物件の売却があったことなどから,前連結会計年度に比べ33.0%増加し58億円となった。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業や子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ7.8%減少し4,404億円となり,セグメント利益は前連結会計年度に比べ6.0%減少し188億円となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,投資活動により資金は176億円減少したが,営業活動により561億円,財務活動により143億円それぞれ資金が増加した結果,現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ590億円増加し2,424億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純利益556億円の計上などにより561億円の資金増加となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは,当社における賃貸事業用資産の取得などにより176億円の資金減少となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは,ノンリコース社債の発行などにより143億円の資金増加となった。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では,「生産」を定義することが困難であり,また,子会社が営んでいる事業には,「受注」生産形態をとっていない事業もあるため,当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできない。
また,当社グループの主な事業である建設事業では,請負形態をとっているので,「販売」という概念には適合しないため,販売実績を示すことはできない。
このため,「生産、受注及び販売の状況」については,記載可能な項目を「1業績等の概要」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。
なお,参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりである。
(1) 受注(契約)高,売上高,及び次期繰越高
|
期別 |
種類別 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注(契約)高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期 繰越高 (百万円) |
||||||
|
第112期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
909,017 |
1,051,483 |
1,960,501 |
995,429 |
965,072 |
|||||||
|
土木工事 |
279,222 |
275,830 |
555,053 |
217,420 |
337,633 |
|||||||
|
計 |
1,188,240 |
1,327,314 |
2,515,555 |
1,212,849 |
1,302,705 |
|||||||
|
開発事業等 |
10,146 |
65,656 |
75,803 |
40,211 |
35,591 |
|||||||
|
合計 |
1,198,387 |
1,392,970 |
2,591,358 |
1,253,060 |
1,338,297 |
|||||||
|
第113期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
965,072 |
1,040,785 |
2,005,858 |
1,047,270 |
958,588 |
|||||||
|
土木工事 |
337,633 |
380,585 |
718,218 |
254,386 |
463,832 |
|||||||
|
計 |
1,302,705 |
1,421,371 |
2,724,077 |
1,301,656 |
1,422,420 |
|||||||
|
開発事業等 |
35,591 |
29,243 |
64,834 |
39,109 |
25,725 |
|||||||
|
合計 |
1,338,297 |
1,450,614 |
2,788,911 |
1,340,766 |
1,448,145 |
(注) 1 前期以前に受注したもので,契約の更改により請負金額に変更のあるものについては,当期受注(契約)高にその増減額を含む。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。
2 開発事業等は,投資開発事業及びエンジニアリング事業等である。
(2) 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は,特命と競争に大別される。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
第112期 |
(自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
建築工事 |
45.5 |
54.5 |
100 |
|
土木工事 |
20.6 |
79.4 |
100 |
||
|
第113期 |
(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
建築工事 |
42.0 |
58.0 |
100 |
|
土木工事 |
13.9 |
86.1 |
100 |
||
(注) 百分比は請負金額比である。
(3) 売上高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
||||||
|
第112期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
89,262 |
906,166 |
995,429 |
|||||||
|
土木工事 |
129,969 |
87,450 |
217,420 |
|||||||
|
計 |
219,232 |
993,616 |
1,212,849 |
|||||||
|
開発事業等 |
188 |
40,022 |
40,211 |
|||||||
|
合計 |
219,420 |
1,033,639 |
1,253,060 |
|||||||
|
第113期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
103,711 |
943,558 |
1,047,270 |
|||||||
|
土木工事 |
145,425 |
108,960 |
254,386 |
|||||||
|
計 |
249,137 |
1,052,519 |
1,301,656 |
|||||||
|
開発事業等 |
237 |
38,872 |
39,109 |
|||||||
|
合計 |
249,374 |
1,091,391 |
1,340,766 |
(注) 完成工事のうち主なものは,次のとおりである。
第112期
|
㈱読売新聞東京本社 |
読売新聞東京本社ビル新築工事 |
|
|
|
|
㈱にんべん 細井祐二 細井化学工業㈱ 吉野幸二郎 吉野眞佐子 日物㈱ 古河機械金属㈱ 三井不動産㈱ |
室町古河三井ビルディング(COREDO室町2)新築工事 |
|
|
|
|
8号館PFI㈱ |
中央合同庁舎第8号館整備等事業 |
|
|
|
|
中日本高速道路㈱ |
新東名高速道路 鳳来トンネル工事 |
|
|
|
|
国際石油開発帝石㈱ |
直江津LNG受入基地建設工事の内、タンク土木工事 |
第113期
|
三井不動産レジデンシャル㈱ 東京建物㈱ 三菱地所レジデンス㈱ 東急不動産㈱ 住友不動産㈱ 野村不動産㈱ |
SKYZ TOWER&GARDEN新築工事 |
|
|
|
|
JGトラスティ社 JG2トラスティ社 |
ウエストゲート新築工事(シンガポール) |
|
|
|
|
日本中央競馬会 |
札幌競馬場スタンド改築その他工事 |
|
|
|
|
中日本高速道路㈱ |
第二東名高速道路 東上トンネル他1トンネル工事 |
|
|
|
|
東日本高速道路㈱ |
常磐自動車道山元工事 |
(4) 次期繰越高(平成27年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
183,433 |
775,154 |
958,588 |
|
土木工事 |
350,862 |
112,969 |
463,832 |
|
計 |
534,296 |
888,123 |
1,422,420 |
|
開発事業等 |
23 |
25,701 |
25,725 |
|
合計 |
534,320 |
913,825 |
1,448,145 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは,次のとおりである。
|
三菱地所㈱ |
名駅三丁目27番地区開発計画(大名古屋ビルヂング) |
|
|
|
|
京橋二丁目西地区市街地再開発組合 |
京橋二丁目西地区第一種市街地再開発事業施設建築物 (再開発棟)新築工事 |
|
|
|
|
キャピトル・リテール・マネジメント社 (キャピトル・リテール・トラストの受託管理者) キャピトル・ホテル・マネジメント社 (キャピトル・ホテル・トラストの受託管理者) キャピトル・レジデンシャル・ ディベロップメント社 |
キャピトル・ディベロップメント新築工事(シンガポール) |
|
|
|
|
㈱ユーラス六ヶ所太陽光 |
ユーラス六ヶ所ソーラーパーク建設工事 |
|
|
|
|
石巻市 |
石巻半島部・河北・北上・雄勝・牡鹿地域防災集団移転 宅地造成他工事 |
当社は,10年後のシミズグループとしてのあるべき姿を示す長期ビジョン「Smart Vision 2010」,5年間の方針を定める「中期経営方針」に基づき,向こう3ヶ年の経営戦略を示す「経営3ヶ年計画」を,毎年ローリング方式で策定している。
平成26年7月に策定した「中期経営方針2014」に基づく平成27年度を初年度とする「経営3ヶ年計画」は,「建設事業の更なる収益力向上」を第一の柱としながらも,新たな事業領域にも経営基盤を確立していくための施策を打ち出す内容としている。
「中期経営方針2014」(要旨)
1.建設事業の進化
・ 営業・ソリューションの進化
・ 技術,人材の進化
・ 現場マネジメントの進化
2.重点3事業(ストックマネジメント,グローバル,サステナビリティ)の着実な成長
・ 投資開発・エンジニアリング事業の収益安定化
・ グローバル事業の持続的成長,安定的な収益の確保
・ 新規事業3分野(ecoBCP※1事業,自然共生事業,新事業)の将来の収益化に向けた
重点投資
3.経営基盤の一層の強化
・ 技術力強化
・ 人材マネジメント強化
・ 企業体質強化
・ CSR推進強化
以上1~3の戦略により,社会・顧客価値創造への貢献,株主価値向上を図りながら,企業価値(シミズバリュー)向上を目指す。
「経営3ヶ年計画(平成27~29年度)」(要旨)
〈経営方針〉
「環境変化に柔軟に対応し,建設事業の進化と収益基盤の多様化を推進するとともに,それらを支える経営基盤の一層の強化に取組み,シミズグループ・トータルでの企業価値向上を図る」
〈重点施策〉
1.建設事業の更なる収益力向上
・ プロジェクトの上流段階からの計画的な利益確保
・ 優良案件の創出と確保に向けた受注競争力の強化
・ 長期案件,大型案件への取組み強化
2.旺盛な建設需要に対応できる施工体制の構築
・建設業の担い手確保に向けた諸施策の実践
3.「環境・エネルギー対策,防災・減災」等,社会・顧客ニーズに適応したソリューション活
動の強化
・「環境」と「事業継続」を融合したecoBCPソリューションの推進
・防災・減災,インフラ再生関連技術を基軸とした国土強靭化・震災復興への貢献
4.新たな事業領域の拡大に向けた経営資源の最適配分と重点投資
・グループ企業との連携強化によるストックマネジメント(投資開発/BSP※2)事業の拡大
・サステナビリティ事業分野における事業基盤の確立と重点投資の推進
・建設事業,ストックマネジメント及びサステナビリティ事業を含む,全社を挙げたグロー
バル化の一層の推進
5.高効率な経営体質の構築と企業価値向上
・コンプライアンス順守と経営リスク管理の徹底
・CSV※3の考え方に基づく,事業活動と連動したCSR活動への取組み
6.ダイバーシティ経営の推進と人材マネジメント力の強化
・女性の活躍推進,障がい者・外国人の積極的な採用・育成
・多様な事業領域・地域で活躍できる人材の育成
・長期的視点に基づく,ものづくり人材の育成
※1 ecoBCP:非常時の事業継続機能(BCP)を考慮したうえで,平常時の節電・省エネ
(eco)を実現するという考え方
※2 BSP :Building Service Providerの略。竣工後の施設運営管理サービスを総合的
に提供するもの
※3 CSV :Creating Shared Valueの略。「共通価値の創造」の意味。社会に貢献する
ことで企業が発展していくことを表した概念
「建設事業」では,収益力の更なる向上に向けて,旺盛な建設需要にも確実に対応できる施工体制の構築と建設業の担い手確保をねらいとした「シミズ・サプライチェーン」の強化に取組んでいる。併せて,女性技術者の採用・育成も積極的に推進している。
「ストックマネジメント事業」では,国内はもとより,海外においてもシンガポールのデータセンター,コンドミニアムなどの投資開発を手掛けるとともに,竣工後の施設運営管理サービスを総合的に提供するBSP事業にも力を注いでいる。
「サステナビリティ事業」では,「環境(eco)」と「事業継続(BCP)」を基軸としたスマートコミュニティを展開するためにエネルギー供給・設備・管理・サービス事業を推進するとともに,太陽光,風力,地熱など再生可能エネルギーの発電分野にも積極的に取組んでいる。また,地球温暖化対策を核として,農林水産等,自然共生の領域からも新たな事業を創出すべく計画を進めていく。
上記とともに,2020年東京オリンピック・パラリンピック後を見据え,建設事業のみならず,ストックマネジメント及びサステナビリティの分野についても全社を挙げたグローバル化の一層の推進を図っていく。
以上のような取組みを通じ,コーポレート・メッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」に込めた想いを,役員・従業員全員が日常の諸活動の中で実践し,震災復興,日本経済の成長に寄与すべく,シミズグループ・トータルでの企業価値の向上を図っていく。
有価証券報告書に記載した事業の状況,経理の状況等に関する事項のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には,次のようなものがある。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 市場リスク
短期的には,各種経済政策による公共投資の増加や,民間設備投資の回復が予測されるものの,国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や,財政再建を目的として公共投資が減少した場合には,今後の受注動向に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 建設資材価格及び労務単価の変動リスク
建設資材価格や労務単価等が,請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し,それを請負金額に反映することが困難な場合には,建設コストの増加につながり,利益が悪化する可能性がある。
(3) 取引先の信用リスク
景気の減速や建設市場の縮小などにより,発注者,協力業者,共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には,資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性がある。
(4) 技術・品質上の重大事故や不具合などによる瑕疵等のリスク
設計,施工段階における技術・品質面での重大事故や不具合が発生し,その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり,重大な瑕疵となった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 海外事業リスク
海外での事業を展開する上で,海外諸国での政治・経済情勢,為替や法的規制等に著しい変化が生じた場合や,資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には,工事の進捗や工事利益の確保に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 投資開発事業リスク
景気の減速による不動産市況の低迷や不動産ファンド等の破綻など,投資開発分野の事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(7) PFI事業におけるリスク
PFI事業は事業期間が長期にわたることから,諸物価や人件費等の上昇など,事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 保有資産の価格・収益性の変動リスク
保有資産の時価が著しく下落した場合または収益性が著しく低下した場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 自然災害リスク
地震,津波,風水害等の自然災害や,感染症の世界的流行が発生した場合は,当社グループが保有する資産や当社グループの従業員に直接被害が及び,損害が発生する可能性がある。
災害規模が大きな場合には,受注動向の変化・建設資材価格の高騰・電力エネルギー供給能力の低下等で,事業環境が変化し業績に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 法令等に係るリスク
当社グループの主な事業分野である建設業界は,建設業法,建築基準法,宅地建物取引業法,国土利用計画法,都市計画法,独占禁止法,さらには環境,労働関連の法令等,さまざまな法的規制を受けており,当社グループにおいて違法な行為があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
また,事業活動において取得した個人情報,機密情報が漏洩した場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
加えて,社会や時代の変化により,新たな法規制の制定や法令の改廃等があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
該当事項なし。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は111億円であり,うち当社の研究開発費は110億円である。研究開発活動は当社の技術研究所等で行われており,その内容は主に当社建設事業に係るものである。
当社は,建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより,多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や,さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも,幅広く積極的に取り組んでいる。技術研究所を中心とした研究開発活動は,基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており,異業種企業,公的研究機関,国内外の大学との技術交流,共同開発も積極的に推進している。
本年3月,技術研究所内に「先端地震防災研究棟」が竣工し,4月より本格運用を開始した。本施設は,直下地震や海溝型の地震等,これまでに観測された世界中のあらゆる地震の揺れを再現することができる業界最高性能の大型振動台「E-Beetle(イー・ビートル)」と,超高層ビルの揺れを再現できる大振幅振動台「E-Spider(イー・スパイダー)」を備え,安全・安心な社会の実現に貢献する。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりである。
(1)生産技術
①ビル外壁タイル打診検査ロボ「ウォールドクター」を開発
建築基準法で義務づけられているビル外壁タイルの全面打診検査を自動化する作業ロボット「ウォールドクター」を開発した。屋上からワイヤで吊り下げ,診断用ハンマーを擦過させることで,タイルの浮きや下地ひび割れ等の損傷に伴う異音を検知する。人手による打診検査に比べ,作業効率は約6倍になる。
②「インバート支保工設置ロボット」を開発
トンネル底部に鋼製支保工(鋼製枠)を一括設置するロボット「インバート支保工設置ロボット」をエフティーエス㈱と共同開発した。不良地山に構築する山岳トンネルの施工性・安全性を向上させ,従来工法と比べて約40%の省人化を実現した。
③「タフネスコート」の本格的な実証実験がスタート
道路の防護壁に対する車輌の衝突や,防波壁等に対する津波漂流物の激突等を想定した「タフネスコート(2012年開発)」によるコンクリート構造物の衝撃に対する抵抗力向上効果を,防衛大学校の指導を得て三井化学産資㈱と共同で検証した。
④夜間工事照明が生態系に与える影響を定量的に評価
ダム工事等に用いる夜間工事照明が建設地周辺の生態系に与える影響を定量的に評価できる「夜間工事照明影響評価システム」を開発した。生態系に着目し,夜間照明による昆虫類への影響から,食物連鎖の中位・上位生物に与える影響を定量的に算出するツールとなる。
(2)防災・BCP技術
①既存超高層建物の地震被害を短時間で予測
既存超高層建物の地震被害を短時間で高精度に予測できる地震被害予測システムを開発・実用化した。関東圏の当社施工物件を中心に約300棟に適用し,1999年以前の竣工物件は,それ以後のものよりも内外装や設備機器等に被害が発生する可能性が高いことが判明した。
②薄手の鋼板2枚で手術室を免震化「シミズ安震フロア」
床面に薄手の鋼板2枚を重ねるだけで高い免震効果を発揮する「シミズ安震フロア」を新日鐵住金㈱と共同開発した。どのような地震に対してもフロア上に作用する加速度を一定値以下に抑え,地震時における医療機器の移動・転倒を防止でき,地震後の医療継続に資する。当社施工中のとちぎメディカルセンター第1病院(仮称,栃木県栃木市)の手術室に初採用された。
③病院の高層化に対応した火災時避難安全システムを開発・実用化
高層病棟での火災時における避難誘導を安全・確実に行う「高層病棟避難安全システム」を国内で初めて開発・実用化した。本システムは,建物のフロアを複数のブロックに分割する水平防火区画および各ブロックに設置された非常用エレベーター,加圧防排煙設備,火災フェイズ管理型防災システムで構成される。順天堂ならびに早稲田大学との共同研究を経て実用化したもので,順天堂医院(仮称)B棟高層棟に適用した。
④既存小規模施設向け液状化対策技術「グラベルサポート工法」
屋外受変電設備等既存小規模施設向けの液状化対策工法「グラベルサポート工法」を開発した。施設・設備の基礎と周辺地盤の簡易改良だけで済むため,対策コストは従来工法の1/5~1/10程度で,対策工事中も既存施設を継続使用できる。
⑤立体自動倉庫の荷崩れを防止する免・制震技術
地震時に立体自動倉庫の荷崩れを防止する免・制震装置を実用化した。新築倉庫向けには低価格の免震装置を,既存施設向けには自動倉庫の稼働を止めることなく設置できる制震装置を開発した。地震による顧客のサプライチェーンへの影響を最小限にとどめることができる。
(3)環境・設備技術
①「シミズ スマート・フロアー・ファクトリー」を開発
生産施設の事業性を大幅に向上させる設計コンセプト「シミズ スマート・フロアー・ファクトリー」を構築した。平屋建て2層形式によって,上層は機器・ラック類の設置スペースが不要となり生産ラインの自由度が増す上,下層全体を空調ダクトとして地中熱を利用することで省エネが実現できる。当社設計施工のコマツ粟津工場に初適用した。
②広域・多棟間でエネルギーを効率利用
中部大学と当社は,全7学部・主要40施設を対象にしたスマート化計画に着手した。2016年度中には電気使用量が過去最高を記録した2010年度比で契約電力総量を1,110kW,20%,CO
2排出量を3,368t/年(電力量換算で6GWh),25%削減する予定。
③屋内版GPS「IMES」を先取り,建物内アクセシビリティを向上へ
屋内版GPS「IMES(Indoor MEssaging System)」の活用により,屋内での歩行者ナビゲーションの基盤技術を開発,技術研究所本館と多目的実験棟において同技術の検証実験に着手した。利用者の特性,位置,状況等に応じた経路を提示することが可能となる。
④無菌のエアカーテンが診療室内の空気感染リスクを低減
天井面の給気口から無菌状態の空気を吹き出し,病原体が付着した微粒子や飛沫核を流下させるパンデミック対応のエアカーテンシステム「シミズ・ファンフィルターユニット」を新晃工業㈱と共同開発した。新築・改修を問わず適用できる。
⑤手術室の空気環境が見える「手術室空気環境予測システム」
手術室の空気環境を可視化する3次元シミュレーションシステム「手術室空気環境予測システム」を開発・実用化した。手術室の3次元モデルに実際の人の動き等を加え,気流,清浄度,温湿度の変化をシミュレーションできる。
⑥クリーンルーム清浄化費用を最大40%削減「クリーンルーム省エネ制御システム」
工業用クリーンルームにおける粉塵除去用のファン・フィルター・ユニットを室内の清浄度に合せてリアルタイム制御する「クリーンルーム省エネ制御システム」を開発した。先に開発したタスク&アンビエントクリーン空調システムと組み合わせることで,清浄化費用を最大40%程度削減できる。
⑦パソコンによる音の伝搬解析「3次元波動シミュレーションシステム」
効果的・経済的な騒音対策等のための「3次元波動シミュレーションシステム」を開発・実用化した。このシステムにより,波動理論に基づく本来の音の伝搬特性を反映した高精度な解析をパソコンで手軽に行えるようになる。
⑧低価格の導電性塗り床材料「ケミクリートEQ」を相次ぎ適用
低価格の導電性塗り床材料「ケミクリートEQ」(㈱エービーシー建材研究所と共同開発)を複数の生産施設に適用し,所定の帯電防止性能を確認した。歩行等の動作による静電気の発生を抑制し,静電気が製品の品質に与える影響を防止する。
⑨医療用ベッドの移動・旋回を楽々アシスト
医療用ベッドの操舵アシスト装置をシーホネンス㈱,㈱エーアンドエーシステムと共同開発した。本装置によって,従来は2~3人を要していたベッドの搬送作業を一人で楽に行うことが可能となる。ユーザーのニーズを踏まえた仕様改良と試験運用を行った上で,2015年度中の商品化を目指す。
(4)震災復興支援技術
①福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業のうち第2期工事
「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業(経済産業省委託事業)」の第2期工事のうち,三菱重工業長崎造船所にて建造された7MW油圧ドライブ型浮体式洋上風力発電設備用浮体1基を,長崎港から福島県いわき市小名浜港へ曳航した。
②セシウム汚染土壌を高濃度汚染土壌と低濃度汚染土壌に分別
セシウム汚染土壌の濃度による分別をシンプルな機構で実現する「セシウム汚染土壌濃度分別装置」を富士電機㈱と共同で開発した。2014年3月末から福島県大熊町で実施している本装置の実証実験において,所定の分別性能を確認した。
③放射線リスクコミュニケーションツール「LEDシンチレーションファイバー検出器」
線状に配置したLED群の色別表示により線量レベルを可視化する「LEDシンチレーションファイバー検出器」を㈱アクティオ,日本放射線エンジニアリング㈱の協力を得て開発した。中間貯蔵施設等における線量分布を連続的かつリアルタイムに可視化できる。
④「SCクリーンシステム」で森林除染
福島県内のセシウム汚染地域における森林除染向けに,高圧エアを使ってセシウムが浸潤している腐葉土層等を効率的,かつ限定的に除去できる「SCクリーンシステム」を開発し,当社が福島県双葉郡広野町で実施している除染工事において,その効果を確認した。
(1) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産の部は,現金預金及び有価証券に含まれる譲渡性預金の増加,株式相場の上昇に伴う当社保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより1兆7,033億円となり,前連結会計年度末に比べ1,907億円増加した。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債の部は,当社保有株式(投資有価証券)の含み益の増加に伴う繰延税金負債の増加,PFI事業や開発事業でのノンリコース借入金,ノンリコース社債の増加などにより1兆2,215億円となり,前連結会計年度末に比べ848億円増加した。
連結有利子負債の残高は3,755億円となり,前連結会計年度末に比べ313億円増加した。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産の部は,株式相場の上昇に伴う当社保有株式に係るその他有価証券評価差額金の増加などにより4,818億円となり,前連結会計年度末に比べ1,058億円増加した。また,自己資本比率は28.0%となり,前連結会計年度末に比べ3.4ポイント増加した。
(2) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1兆5,678億円となり,前連結会計年度に比べ4.7%増加した。完成工事高が1兆4,448億円となり,前連結会計年度に比べ6.8%増加したことによる。なお,開発事業等売上高は1,230億円となり,前連結会計年度に比べ15.4%減少した。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は1,229億円となり,前連結会計年度に比べ28.4%増加した。完成工事総利益が工事採算の改善などにより1,061億円となり,前連結会計年度に比べ31.8%増加したことに加え,開発事業等総利益も168億円となり,前連結会計年度に比べ10.6%増加したことによる。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は729億円となり,人件費が4億円,物件費が27億円それぞれ増加したことにより,前連結会計年度に比べ4.7%増加した。
(営業利益)
この結果,当連結会計年度の営業利益は500億円となり,前連結会計年度に比べ92.0%増加した。また,当連結会計年度の売上高営業利益率は3.2%となった。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は123億円となり,前連結会計年度に比べ36.2%増加した。また,当連結会計年度の営業外費用は61億円となり,前連結会計年度に比べ5.1%増加した。これにより,営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は62億円の利益となり,前連結会計年度から29億円改善した。このうち金融収支は17億円の受取超過となり,支払利息が減少したことなどから前連結会計年度に比べ4億円好転した。
(経常利益)
この結果,当連結会計年度の経常利益は562億円となり,前連結会計年度に比べ92.1%増加した。また,当連結会計年度の売上高経常利益率は3.6%となった。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は,投資有価証券売却益を計上したことなどから31億円となり,前連結会計年度に比べ21億円増加した。また,当連結会計年度の特別損失は,関連事業損失を計上したことなどから37億円となり,前連結会計年度に比べ37億円増加した。
(当期純利益)
当連結会計年度の当期純利益は333億円となり,前連結会計年度に比べ192億円増加した。
この結果,当連結会計年度の売上高当期純利益率は2.1%となり,前連結会計年度に比べ1.2ポイント増加し,また,自己資本利益率は7.9%となった。
(3) キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況は,「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。