第2 【事業の状況】

 以下「第2 事業の状況」に記載している金額には,消費税等は含まれていない。

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

 平成25年度の日本経済は,政府による各種経済対策の推進を背景に,企業収益や雇用情勢に改善が見られた。加えて2020年夏季オリンピック・パラリンピックの東京招致決定による経済効果への期待感や,消費税率引上げに伴う駆け込み需要が後押しするなど,景気は緩やかな回復基調をたどった。

 建設業界においては,公共投資の増加,非製造業を中心とした民間設備投資の持ち直しにより,業界全体の受注高は,官公庁工事・民間工事ともに前期を上回る水準で推移した。しかしながら採算面では,労務需給のひっ迫や原材料価格の上昇が顕在化するなど,業界を取り巻く環境は予断を許さない状況が続いた。

 このような状況のもと,当社グループの売上高は,完成工事高の増加などから,前連結会計年度に比べ5.8%増加し1兆4,975億円となった。

 利益については,開発事業等総利益は減少したものの,完成工事総利益が増加したことなどから,経常利益は前連結会計年度に比べ68.9%増加し292億円,当期純利益は140.5%増加し141億円となった。

 

 セグメントの業績は,以下のとおりである。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでいない。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っている。)

 

(当社建設事業)

 当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ3.8%増加し1兆2,427億円となった。セグメント利益は,主として国内建築工事の採算が改善したことなどから,前連結会計年度に比べ19.7%増加し166億円となった。

 

(当社投資開発事業)

 当社投資開発事業の売上高は,前連結会計年度に比べ28.5%減少し247億円となった。セグメント利益は,前連結会計年度に大型開発案件を売上計上した反動などから,前連結会計年度に比べ61.6%減少し44億円となった。

 

(その他)

 当社が営んでいるエンジニアリング事業や子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ12.4%増加し4,775億円となった。セグメント利益は,国内不動産子会社や海外建設子会社の採算が改善したことなどから,前連結会計年度に比べ39.6%増加し200億円となった。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,営業活動により資金は173億円増加したが,投資活動により279億円,財務活動により285億円それぞれ資金が減少した結果,現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ331億円減少し1,834億円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純利益302億円の計上などにより173億円の資金増加となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは,当社における賃貸事業用資産の取得などにより279億円の資金減少となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは,借入金の返済などにより285億円の資金減少となった。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では,「生産」を定義することが困難であり,また,子会社が営んでいる事業には,「受注」生産形態をとっていない事業もあるため,当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできない。

 また,当社グループの主な事業である建設事業では,請負形態をとっているので,「販売」という概念には適合しないため,販売実績を示すことはできない。

 このため,「生産、受注及び販売の状況」については,記載可能な項目を「1業績等の概要」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。

 なお,参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりである。

(1) 受注(契約)高,売上高,及び次期繰越高

期別

種類別

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注(契約)高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期

繰越高

(百万円)

 

第111期

 

 平

24

 

 平

25

31

 

建設事業

 

 

 

 

 

建築工事

907,837

939,120

1,846,958

937,941

909,017

土木工事

321,340

172,252

493,592

214,369

279,222

1,229,178

1,111,373

2,340,551

1,152,310

1,188,240

開発事業等

26,639

      48,537

75,177

65,030

10,146

合計

1,255,817

1,159,910

2,415,728

1,217,341

1,198,387

 

第112期

 

 平

25

 

 平

26

31

 

建設事業

 

 

 

 

 

建築工事

909,017

1,051,483

1,960,501

995,429

965,072

土木工事

279,222

275,830

555,053

217,420

337,633

1,188,240

1,327,314

2,515,555

1,212,849

1,302,705

開発事業等

10,146

65,656

75,803

40,211

35,591

合計

1,198,387

1,392,970

2,591,358

1,253,060

1,338,297

 (注) 1 前期以前に受注したもので,契約の更改により請負金額に変更のあるものについては,当期受注(契約)高にその増減額を含む。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれる。

2 開発事業等は,投資開発事業及びエンジニアリング事業等である。

 

(2) 受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は,特命と競争に大別される。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第111期

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

建築工事

40.9

59.1

100

土木工事

23.4

76.6

100

第112期

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

建築工事

45.5

54.5

100

土木工事

20.6

79.4

100

 (注) 百分比は請負金額比である。

(3) 売上高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

第111期

 

24

 

 

25

31

 

建設事業

 

 

 

建築工事

78,029

859,911

937,941

土木工事

121,902

92,467

214,369

199,931

952,378

1,152,310

開発事業等

344

64,685

65,030

合計

200,276

1,017,064

1,217,341

第112期

 

25

 

 

26

31

 

建設事業

 

 

 

建築工事

89,262

906,166

995,429

土木工事

129,969

87,450

217,420

219,232

993,616

1,212,849

開発事業等

188

40,022

40,211

合計

219,420

1,033,639

1,253,060

 (注) 完成工事のうち主なものは,次のとおりである。

第111期

NTT都市開発㈱

三菱地所㈱

東京建物㈱

㈱サンケイビル

大手町フィナンシャルシティ ノースタワー新築工事

 

 

KSビルキャピタル特定目的会社

㈱歌舞伎座

GINZA KABUKIZA新築工事

 

 

京橋開発特定目的会社

第一生命保険㈱

片倉工業㈱

清水地所㈱

京橋三丁目特定目的会社

ジェイアンドエス保険サービス㈱

東京スクエアガーデン新築工事

 

 

農林水産省

浜ノ瀬ダム第二期建設工事

 

 

京王電鉄㈱

調布駅付近連続立体交差工事(土木)第4工区その3

 

第112期

㈱読売新聞東京本社

読売新聞東京本社ビル新築工事

 

 

㈱にんべん

細井祐二

細井化学工業㈱

吉野幸二郎

吉野眞佐子

日物㈱

古河機械金属㈱

三井不動産㈱

室町古河三井ビルディング(COREDO室町2)新築工事

 

 

8号館PFI㈱

中央合同庁舎第8号館整備等事業

 

 

中日本高速道路㈱

新東名高速道路 鳳来トンネル工事

 

 

国際石油開発帝石㈱

直江津LNG受入基地建設工事の内、タンク土木工事

 

(4) 次期繰越高(平成26年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

合計(百万円)

建設事業

 

 

 

建築工事

144,788

820,284

965,072

土木工事

229,507

108,125

337,633

374,295

928,409

1,302,705

開発事業等

27

35,563

35,591

合計

374,323

963,973

1,338,297

 (注) 次期繰越工事のうち主なものは,次のとおりである。

三菱地所㈱

名駅三丁目27番地区開発計画(大名古屋ビルヂング)

 

 

キャピトル・リテール・マネジメント社

(キャピトル・リテール・トラストの受託管理者)

キャピトル・ホテル・マネジメント社

(キャピトル・ホテル・トラストの受託管理者)

キャピトル・レジデンシャル・         ディベロップメント社

キャピトル・ディベロップメント新築工事(シンガポール)

 

 

三井不動産レジデンシャル㈱

東京建物

三菱地所レジデンス

東急不動産

住友不動産

野村不動産

豊洲3-2街区[B3街区]開発計画

 

 

東日本高速道路㈱

東京外環自動車道 大和田工事

 

 

シンガポール共和国政府

シンガポールMRTトムソンラインT207工区建設工事

 

3 【対処すべき課題】

当社は,10年後のあるべき姿を示す長期ビジョン「Smart Vision 2010」,5年間の方針を定める「中期経営方針2010」に基づき,向こう3ヶ年の経営戦略を示す「経営3ヶ年計画」を,毎年ローリング方式で策定している。

平成26年度を初年度とする現行の「経営3ヶ年計画」では,全国的な労務需給のひっ迫や原材料価格の上昇など,経営環境の変化に対応すべく「建設事業における収益力の向上」を第一の柱としながらも,新たな領域にも事業基盤を確立していくための施策を打ち出す内容となっている。

要旨は以下のとおりである。

なお,「中期経営方針2010」については,平成26年度で5年目を迎えるため,経営を取り巻く環境の変化を踏まえながら,新たな方針を検討している。

また,引き続き,品質・安全の確保,工程管理の徹底を図り,信頼性の向上に努めていく。

 

「経営3ヶ年計画(平成26~28年度)」(要旨)

〈経営方針〉

「社会の変化・市場の動向を的確に捉え,建設事業の収益力強化の徹底と事業領域拡大への挑戦を進め,シミズグループの安定的な成長を実現する」

〈重点施策〉

 1.建設業における収益力の向上

   ・ プロジェクトの上流段階からの計画的な利益確保

   ・ 営業力,提案力,技術力の強化による受注拡大

   ・ 長期案件及び大型案件への取組み強化

   ・ プロセス管理の徹底と交渉力強化による施工段階での利益確保

 

 2.「環境・エネルギー,防災・減災」等の社会ニーズに適応したソリューション活動の強化

  ・「環境」と「事業継続」を融合したecoBCP※ソリューション推進による案件の創出

       ※ecoBCP:非常時の事業継続機能(BCP)を考慮したうえで,平常時の

            節電・省エネ(eco)を実現するという考え方。

  ・安全・安心な社会に向けた,防災・減災と社会インフラ再生への取組み強化

 ・ecoBCP並びに防災・減災技術を基軸とした震災復興・国土強靭化への貢献

 

 3.新たな事業領域の拡大に向けた事業基盤の確立

 ・関係会社との連携の一層の強化によるBSP※事業の推進

      ※BSP:Building Service Providerの略。

          竣工後の施設運営管理サービスを総合的に提供するもの。

  ・官民連携による,社会インフラ,再生可能エネルギー,農林水産関連分野等における

   プロジェクトの創出・推進

  ・エネルギー事業分野における取組方針・役割の確立

  ・新規事業の円滑な推進に向けた外部ネットワークの構築と,専門性を備えた人材の

   確保・育成

 

 4.事業環境の変化を見据えた経営の効率化とCSR経営の実践

  ・事業量の変化や事業領域の拡大を見据えた,経営資源の最適配分の実践

  ・コンプライアンス順守と経営リスク管理の徹底

 

 当社グループは,国内・海外で建設事業を営むだけでなく,様々な分野に事業展開を図っていく。

 「投資開発」の分野においては,例えば,近年の通販・電子商取引市場の拡大や企業の物流効率化ニーズに対応して,当社の総合力を結集した「S.LOGi」というブランド名で物流施設の開発を手掛けている。

 「環境・エネルギー・BCP」の分野においては,独自の技術の提供を行い,より安全・安心な社会の実現を目指し,「ecoBCP」によるエネルギーマネジメントサービス事業を推進し,太陽光,風力,地熱など再生可能エネルギーの分野にも積極的に取組んでいる

 また,「自然共生」の領域から新たな事業を創出すべく,温暖化対策を核に,農業,林業,水産業,再生可能エネルギーなどの分野においても,プロジェクトを進めていく。

 

 以上のような取組みを通じ,コーポレート・メッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」に込めた想いを,役員・従業員全員が日常の諸活動の中で実践し,企業価値の更なる向上を図っていく。

4 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況,経理の状況等に関する事項のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には,次のようなものがある。
 なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 市場リスク

  短期的には,各種経済政策による公共投資の増加や,民間設備投資の回復が予測されるものの,国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や,財政再建を目的として公共投資が減少した場合には,今後の受注動向に影響を及ぼす可能性がある。

 

(2) 建設資材価格及び労務単価の変動リスク

  建設資材価格や労務単価等が,請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し,それを請負金額に反映することが困難な場合には,建設コストの増加につながり,利益が悪化する可能性がある。

 

(3) 取引先の信用リスク

  景気の減速や建設市場の縮小などにより,発注者,協力業者,共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には,資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性がある。

 

(4) 技術・品質上の重大事故や不具合などによる瑕疵等のリスク

  設計,施工段階における技術・品質面での重大事故や不具合が発生し,その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり,重大な瑕疵となった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。

 

(5) 海外事業リスク

  海外での事業を展開する上で,海外諸国での政治・経済情勢,為替や法的規制等に著しい変化が生じた場合や,資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には,工事の進捗や工事利益の確保に影響を及ぼす可能性がある。

 

(6) 投資開発事業リスク

  景気の減速による不動産市況の低迷や不動産ファンド等の破綻など,投資開発分野の事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(7) PFI事業におけるリスク

  PFI事業は事業期間が長期にわたることから,諸物価や人件費等の上昇など,事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(8) 保有資産の価格・収益性の変動リスク

  保有資産の時価が著しく下落した場合または収益性が著しく低下した場合には,業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(9) 自然災害リスク

  地震,津波,風水害等の自然災害や,感染症の世界的流行が発生した場合は,当社グループが保有する資産や当社グループの従業員に直接被害が及び,損害が発生する可能性がある。
 災害規模が大きな場合には,受注動向の変化・建設資材価格の高騰・電力エネルギー供給能力の低下等で,事業環境が変化し業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(10) 法令等に係るリスク

  当社グループの主な事業分野である建設業界は,建設業法,建築基準法,宅地建物取引業法,国土利用計画法,都市計画法,独占禁止法,さらには環境,労働関連の法令等,さまざまな法的規制を受けており,当社グループにおいて違法な行為があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
 また,事業活動において取得した個人情報,機密情報が漏洩した場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
 加えて,社会や時代の変化により,新たな法規制の制定や法令の改廃等があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項なし。

6 【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費は79億円であり,うち当社の研究開発費は77億円である。研究開発活動は当社の技術研究所等で行われており,その内容は主に当社建設事業に係るものである。

 当社は,建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより,多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や,さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも,幅広く積極的に取り組んでいる。技術研究所を中心とした研究開発活動は,基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており,異業種企業,公的研究機関,国内外の大学との技術交流,共同開発も積極的に推進している。

  当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりである。

 

 

(1)防災・BCP関連

  ①耐震性・施工性に優れた吊り天井「SDクリップレス天井」

  従来の吊り天井の構造形式を抜本的に見直し,優れた耐震性と施工性を備えた「SDクリップレス天井」を開発した。天井の耐震性を評価する目安となる天井面で1Gレベルの地震動に対して天井が破損しない事を確認・検証した。

②津波から人命を守る津波避難ビル「フレーム・シェルター」

  南海トラフ巨大地震により,津波被害が予想される既存建物の津波避難ビル化を目的に,短工期・ローコストの耐津波改修工法「フレーム・シェルター」の設計手法を確立した。避難場所の確保が困難な既存施設の所有者に対して本工法を提案する。

③超高層集合住宅向け次世代構造「シミズ免制震複合システム」

  超高層集合住宅の次世代構造として,建物に作用する地震力を低減する免震機能と建物の振動エネルギーを吸収する制震機能の双方を効果的に組み合わせた「シミズ免制震複合システム」を開発した

④既存小規模施設向け液状化対策技術「グラベルサポート工法」

  屋外受変電設備などの既存小規模施設向けの液状化対策工法「グラベルサポート工法」を開発した。施設・設備の基礎周辺地盤と基礎の簡易改良だけで済むため,対策コストは従来工法の1/5~1/10程度で,対策工事中も既存施設を継続使用できる。

⑤立体自動倉庫の荷崩れを防止する免・制震技術

  地震時に立体自動倉庫の荷崩れを低減する免・制震装置を実用化した。新築倉庫向けにはローコスト免震装置を,既存施設向けには自動倉庫の稼働を止めることなく設置できる制振装置をそれぞれ開発した。地震後の顧客のサプライチェーンへの影響を最小限にとどめることができる。

⑥グローバル企業向け立地評価システム「シミズ海外ハザード評価システム」

  アジア防災センターやアメリカ航空宇宙局(NASA)をはじめとする11の世界的な研究機関が公開している16種類のデータベースから必要なハザード情報を取得,グーグルアース上に表示する「シミズ海外ハザード評価システム」を開発した。世界中の任意の地点における立地評価を行うことができる。

(2)環境・エネルギー関連

  ①福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業

  当社,丸紅㈱,東京大学,三菱商事㈱,三菱重工業㈱,ジャパン マリンユナイテッド㈱,三井造船㈱,新日鐵住金㈱,㈱日立製作所,古河電気工業㈱およびみずほ情報総研㈱からなる「福島洋上風力コンソーシアム」が2012年3月に経済産業省より受託した「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に関し,2MWダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備1基,66kV浮体式洋上サブステーションおよび海底ケーブルの設置工事を完了し,実証海域である福島県沖約20㎞地点において運転を開始した。

 

②米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業

  当社,㈱東芝,シャープ㈱,㈱明電舎,東京ガス㈱,三菱重工業㈱,富士電機㈱,古河電気工業㈱,古河電池㈱の9社は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構から受託した「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業」の一環であるアルバカーキ市における商業地域スマートグリッド実証プロジェクトにおいて,太陽光発電の出力変動を吸収し,非常時の自立運転を可能とする低炭素・高品質電力供給システムを有する高機能ビルの実証を行った。

③中部大学スマートグリッド実証(ステップ2)

  中部大学と共同で大学施設群を対象にしたスマートグリッド実証(ステップ2)を実施した。実証対象エリアである生命健康科学部の2013年夏季実績として,電力使用量を19.0%,ピーク電力を21.4%削減する効果が得られた。

④日本初のゼロエネルギービル実現への取組み「森の中のオフィス」

  山梨県北杜市八ヶ岳南麓に,日本初のゼロエネルギービル「森の中のオフィス」を設計施工した。地域特性・資源を活かした自然エネルギーの積極活用と最先端の創エネルギー環境技術を結集し,CO2排出ゼロを実現した。第23回地球環境大賞国土交通大臣賞を受賞。

⑤ヒートポンプ併設型VOC汚染地下水浄化システム

  揚水浄化処理を行った揮発性有機化合物(VOC)汚染地下水の熱エネルギーを空調熱源に用いることで,省エネと汚染物質の除去効率の向上という2つの課題を同時に解決する「ヒートポンプ併設型VOC汚染地下水浄化システム」を開発した。

⑥高活性医薬品の封じ込め性能をリアルタイム評価

  製薬設備の薬塵封じ込め性能をオンサイトでリアルタイムに検証できる薬塵飛散量測定システムを開発した。粒径が数μmの薬塵とそれ以外の塵埃を区別し,さらに飛散個数のカウントまでを可能とした。

⑦汚染土壌・地下水浄化工法「バイオバブルクリーン工法」

  微細な酸素気泡を含有した栄養剤を地下水中に注入し,原位置で汚染物質を分解・浄化する,「バイオバブルクリーン工法」を北海道内の事業所跡地に初適用し,1年経過時の汚染物質濃度が環境基準値未満であることを確認した。

⑧泥水式シールド工事対応のヒ素汚染土壌浄化技術

  首都圏での鉄道・道路整備事業で発生が懸念される,自然由来のヒ素汚染土壌を処理する技術を開発した。泥水式シールド工法において,シールド掘削泥水の地上処理施設に浄化設備を組み込み,汚染土壌の減容化,処理費用の削減を可能とした。

⑨ダンプトラック騒音の音源追跡型騒音低減システム

  ダンプトラック通過時に,タイミング良く低音域騒音の逆位相音を発することで,不快な騒音を効果的に低減するシステムを開発した。人間の耳の機能をヒントにした音感センサにより,最大10dBの騒音低減効果が得られる。

⑩建設重機アイドリング監視システム

  建設重機のアイドリング防止を目的に,オペレータの環境保全貢献度を見える化するシステムを開発し,所定の性能を確認した。東日本高速道路㈱発注の常磐自動車道山元工事(宮城県亘理郡山元町)で試験適用,所定の性能を確認した。

(3)復興支援関連

①除染作業合理化システム

  除染前後の道路表面線量を計測しながら効率よく確実に作業できる「除染作業合理化システム」を古河機械金属㈱と共同で開発した。汚染状態や除染効果をリアルタイムに確認でき,除染効率の飛躍的な向上が期待できる。

②少水量・高効率の除染を実現「S-Jetモバイル」

  超高圧水の噴射により,少水量で高効率な除染が可能となるシステム「S-Jetモバイル」を㈱スギノマシンとの共同で開発した。一般民家の土間や駐車場,歩道,小路などの狭隘な場所で行う除染で威力を発揮する。

③リンゴ酸で道路除染を効率化

  リンゴ酸と界面活性剤を混合した溶液を道路表面に散布・回収することで,コンクリートで舗装された道路などの表面を脆弱化させて汚染物質の除去効率を高める化学的浄化法を開発,その有効性を確認した。

④体表面放射能汚染検査管理システム

  作業員の放射能汚染検査において,個人ID認証に基づいて検査結果を自動記録する「体表面放射能汚染検査管理システム」を開発した。迅速かつ確実な検査体制が構築でき,作業員の放射能汚染に関する安全意識の向上が期待される。

⑤除染除去物入り土嚢袋を非接触で破袋する「ウォータージェット破袋システム」

  中間貯蔵施設に搬入される除染除去物入りの大型土嚢袋を超高圧・微水量のウォータージェットにより非接触で効率よく破袋する「ウォータージェット破袋システム」を環テックス㈱,第一カッター興業㈱と共同で開発した。

⑥セシウム汚染土壌の分別システム「パワーグラインドスクリーン」

  汚染土壌中に含まれる植物根等の有機物を機械的かつ高精度に分別できるシステム「パワーグラインドスクリーン」を環テックス㈱と共同で開発した。有機物の焼却処理と分別した土壌の洗浄処理により,50%超の減容化が可能になる。

⑦災害廃棄物を99%リサイクルする造粒再生砕石製造技術

  災害廃棄物の中から不燃混合物や焼却主灰,残渣から造粒再生砕石を製造する技術を恵和興業㈱と共同で開発した。造粒再生砕石は,路盤材や地盤の嵩上げ用盛土材等として再利用される。

⑧3Dスキャナを用いて建設重機を遠隔操作「3D無人化施工支援システム」

  中間貯蔵施設内や福島第一原子力発電所内で想定される無人化施工のコストダウンを目的に,3Dスキャナを用いた「3D無人化施工支援システム」を開発した。従来の無人化施工システムと同等以上の作業性能を維持しつつ,コストを25%程度削減できる。

(4)施工法関連

①タワークレーンの揚重作業効率を見える化「スマートクレーン」

  ICTをフル活用した新型タワークレーン「スマートクレーン」をIHI運搬機械㈱,㈱エスシー・マシーナリと共同で開発した。映像情報や各種センサ情報を統合表示することで,揚重作業効率の見える化と工期短縮を図る。

②環境負荷の少ない解体工法「シミズ・クールカット」

  環境負荷の少ない解体工法「シミズ・クールカット」を開発した。油圧ショベルのアーム先端で稼働するアタッチメントに,巨大なワイヤソーをはじめ,柱・梁の切断作業の効率化に必要な一切の機能を集約している。

③超高層ビルの解体・改修工事向けアスベスト除去工法「アストリサン」

  鉄骨に固着しているアスベストを,簡単に除去できる工法「アストリサン」を開発した。専用ガンを用いて高圧で有機酸を吹き付け,ブロック状に切除するため,アスベストの飛散を防ぎつつ効率的に作業が可能となる。

④外壁タイルの剥離・剥落防止技術「ウェブフォーム工法」

  外壁タイル貼りの剥離・剥落を防止する「ウェブフォーム工法」について,㈱大林組,菊水化学工業㈱,日本化成㈱と共同で建設技術審査証明を取得した。本工法によって,従来比5%程度のイニシャルコスト減が見込まれる。

⑤視覚・聴覚の同時訴求で歩行者に注意喚起「指向性音声案内安全看板」

  工事現場の工事車輛出入口前を通行する歩行者への注意喚起を目的に,指向性スピーカーと安全看板を一体化した「指向性音声案内安全看板」をヤマハ㈱と共同で開発した。視覚・聴覚に同時訴求するサウンドサイネージにより,長期間にわたり高視認率を維持できる。

⑥超大断面道路ランプ部の構築工法「SR-JP工法」

  超大断面道路トンネルの地中拡幅部を非開削構築する「SR-JP工法」の実用化に向け施工性を検証し,道路トンネルの外殻を小口径シールドの複合体「筒状覆工壁」で形成することにより従来よりも巨大な地下構造物の築造を可能にした。

⑦トンネル掘削振動の反射波を利用した探査システム「切羽前方探査システム」

  掘削作業に伴う振動を利用し,掘り進む先の地山の状態を把握する「切羽前方探査システム」を開発した。山岳トンネル施工時に発生する掘削振動の特性から,掘削部前方の地山性状が変わる地点を予測することができる。

⑧土木構造物における鉄筋の組立精度確保システム「バーポジション・インジケーター」

  3Dレーザープロジェクターを用いてコンクリート構造物の鉄筋組立位置を高精度に表示でき,鉄筋の組立精度を確実・容易に確保できるシステム「バーポジション・インジケーター」を大浦工測㈱と共同で開発した。

⑨高密度配筋部用の高性能細径バイブレータ

  土木構造物の高密度配筋部に対するコンクリート充填用に,高性能細径バイブレータを開発した。振動部が業界最小口径の27mmで鉄筋間の間隔が狭い高密度配筋内にも容易に挿入が可能となった。

⑩新たな地盤沈下対策技術「A&S土性改善工法」

  軟弱粘性土地盤の新たな地盤沈下対策工法として「A&S土性改善工法」を㈲アサヒテクノと共同で開発した。地下水の吸引・排出と盛土による載荷を組み合わせることで,沈下を促進させ短期間で土性改善が可能となる。

⑪杭自体が斜面崩壊を検知して警報発報「光る斜面崩壊検知センサ杭」

  切土等の斜面に生じる変状をリアルタイムに検知し,回転灯で崩壊リスクを知らせる「光る斜面崩壊検知センサ杭」を㈱リプロ,㈱テスコムと共同で開発した。2度以上の傾斜を検知すると回転灯を点灯させる仕組み。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 財政状態の分析

 

(資産の部)

  当連結会計年度末の資産の部は,現金預金,有価証券は減少したが,受取手形・完成工事未収入金等の増加,株式相場の上昇に伴う投資有価証券の増加などにより1兆5,126億円となり,前連結会計年度末に比べ562億円増加した。

 

(負債の部)

  当連結会計年度末の負債の部は,連結有利子負債残高は減少したが,支払手形・工事未払金等の増加などにより1兆1,366億円となり,前連結会計年度末に比べ382億円増加した。

 連結有利子負債の残高は3,442億円となり,前連結会計年度末に比べ228億円減少した。

 

(純資産の部)

  当連結会計年度末の純資産の部は,株式相場の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより3,760億円となり,前連結会計年度末に比べ179億円増加した。また,自己資本比率は24.6%となり,前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増加した。

(2) 経営成績の分析

 

(売上高)

  当連結会計年度の売上高は1兆4,975億円となり,前連結会計年度に比べ5.8%増加した。完成工事高が1兆3,522億円となり,前連結会計年度に比べ6.3%増加したことに加え,開発事業等売上高も1,453億円となり,前連結会計年度に比べ0.7%増加したことによる。

 

(売上総利益)

  当連結会計年度の売上総利益は957億円となり,前連結会計年度に比べ15.3%増加した。完成工事総利益は当社及び海外子会社の利益が増加したことや国内建設子会社の利益が持ち直したことなどにより805億円となり,前連結会計年度に比べ33.5%増加した。開発事業等総利益は152億円となり,前期に大型開発案件を売上計上した反動などから前連結会計年度に比べ32.9%減少した。

 

(販売費及び一般管理費)

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は697億円となり,前連結会計年度に比べ0.3%減少した。人件費は8億円増加したが,物件費は10億円減少した。

 

(営業利益)

  この結果,当連結会計年度の営業利益は260億円となり,前連結会計年度に比べ98.9%増加した。また,当連結会計年度の売上高営業利益率は1.7%となった。

 

(営業外損益)

  当連結会計年度の営業外収益は90億円となり,前連結会計年度に比べ16.6%減少した。また,当連結会計年度の営業外費用は58億円となり,前連結会計年度に比べ12.0%減少した。これにより,営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は32億円の利益となり,前連結会計年度から10億円悪化した。このうち金融収支は12億円の受取超過となり,支払利息が減少したことなどから前連結会計年度に比べ4億円好転した。

 

(経常利益)

  この結果,当連結会計年度の経常利益は292億円となり,前連結会計年度に比べ68.9%増加した。また,当連結会計年度の売上高経常利益率は2.0%となった。

 

(特別損益)

  当連結会計年度の特別利益は,投資有価証券売却益を計上したことなどから10億円となり,前連結会計年度に比べ36億円減少した。また,当連結会計年度の特別損失は,前連結会計年度に比べ75億円減少した。

 

(当期純利益)

  当連結会計年度の当期純利益は141億円となり,前連結会計年度に比べ82億円増加した。
 この結果,当連結会計年度の売上高当期純利益率は0.9%となり,前連結会計年度に比べ0.5ポイント増加し,また,自己資本利益率は3.9%となった。

(3) キャッシュ・フローの状況

 

 キャッシュ・フローの状況は,「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。