以下、第2 事業の状況に記載している金額は消費税等抜きの額である。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
長期的な視点に立った会社経営を基本に、経営の効率化と収益力の向上によって、企業価値をより高めていくことを目標としており、その実現を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指している。
(2)中期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、リニア中央新幹線工事の入札に関する独占禁止法違反事件を踏まえ、「あらゆる事業運営においてコンプライアンスを最優先する経営」を強固に推進し、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めていく。
また、当社グループは平成29年度から5ヵ年計画「中期経営計画2017」に取り組んでいる。今後も同計画の施策を力強く推進し、業績の維持・拡大を目指すとともに、「働き方改革」の推進により、総労働時間縮減と生産性向上を両立させることで、企業価値の向上に努めていく。
① 平成30年度に実施する再発防止策
当社は、リニア中央新幹線工事の入札に関する独占禁止法違反事件について、本年3月23日に東京地方検察庁から起訴された。
当社では、平成18年に「独占禁止法遵守プログラム」を策定し、全社を挙げてコンプライアンスの徹底に取り組んできたが、今般、かかる事態を招いたことを受け、これまでの施策に加えて、平成30年度に以下の再発防止策を実施することとしている。
[平成30年度に実施する再発防止策]
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目 的 |
追 加 施 策 |
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同業者との接触ルールの厳格化 |
・(一社)日本建設業連合会等の業界団体や技術団体及び発注者が公式行事として 主催する懇親会に同業者が同席する場合、その参加には事前の承認手続きを必要 とし、参加者に注意を促す ・また、上記公式行事以外については、同業者が同席する懇親会は原則として参加 禁止とする ・同業者との会合の事前報告制度「同業者との会合等報告制度」の見直し ⇒これまで主に営業部門(支援部門含む)を報告対象としていたが、すべての役 員及び従業員を報告対象とする ・「談合行為等に直面した場合の行動プログラム」(※)の一部改正及び再周知 |
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独占禁止法の正しい理解の徹底 |
・営業活動において誤解しやすい事柄、判断に迷う事柄を中心に独占禁止法の解説 資料を作成 ・上記資料の内容は、毎年4月~5月に当社すべての職場で実施している、企業倫 理職場内研修の平成30年度版テキストにも掲載 ・毎年、秋に営業部門を対象に実施する独占禁止法遵守教育の対象者に、本年から 技術部門も追加したうえで、営業活動において誤解しやすい事柄、判断に迷う事 柄を重点的に解説する |
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違反行為を行う・見過ごす心理的要因の除去
・内部通報制度利用への心理的 ハードルの低減
・違反行為を正当化する理由は ないこと等の意識付け
・上司の指示であっても誤りを 指摘できる企業文化の醸成 |
・内部通報制度の見直し(通報の義務化、社内リニエンシーの明記) ⇒不正行為が発生し又は発生するおそれがあると判断した場合には、自己の関与 の如何にかかわらず、職制を通じた報告又は内部通報を義務化 ⇒入札不正に係る独占禁止法違反又はそのおそれのある行為に関しては、自己が 一旦関与してしまった場合であっても、内部通報者に対しては社内処分の減免 を図る旨を明記 ・内部通報制度の全役職員への周知を年1回から年2回とし、上記社内リニエンシ ーの明記とあわせて、以下①~②を重点的に解説することで、内部通報制度の利 用を促進する て対象行為者を助けることになること ・機会あるごとにトップメッセージとして、以下内容を発信する して一切求めていないこと ・上司に対しても積極的に意見を具申でき、誤りがあれば指摘できる雰囲気である ことが、危機の未然防止につながり企業価値を高めるという意識を社内で共有す るべく、人事考課の評定項目に「上司への積極的な意見具申」を加えるととも に、定期研修における意識付けを行っていく |
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監視機能の強化 |
・同業者が宛先及び発信元となっているメールについて、その内容を内部監査部門 がチェック(AIの活用も検討) ・入札の全過程を監査する「ウォークスルー監査」のサンプリング対象に民間工事 を追加(これまでは公共工事のみが対象) |
このほか、起訴される事態に至ったことを厳粛に受け止め、さらなるコンプライアンスの徹底に取り組む決意の表明として、取締役報酬を自主返上した。
報酬返上の内容:平成30年4月1日現在の代表取締役全員 月額報酬の30%
平成30年4月1日現在の取締役全員(社外取締役除く) 月額報酬の20%
報酬返上の期間:平成30年4月~6月(3ヵ月間)
② 大林組グループ中期経営計画2017の力強い推進・加速
大林組グループは、創業150周年(2042年)の「目指す将来像」の実現に向けて、平成29年度を初年度とする5ヵ年計画「大林組グループ中期経営計画2017」を推進している。平成30年度も、「ゼネコン」の枠にとらわれることなく成長を続け、事業環境の変化にしなやかに適応しながら、すべてのステークホルダーの期待に応える企業グループへと進化していく。
ア 主な経営指標目標
中期経営計画2017では、計画策定から5年後の2021年度末の経営指標目標を定めている。
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2021年度末 B/S(連結) |
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2017年度末実績 |
・さらなる財務体質の改善 ・想定外の事業リスクにも耐えうる自己資本の増強 ・事業領域拡大に向けた計画的かつ機動的な 成長投資を支える投資余力の増強 |
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自己資本額 (利益剰余金) |
9,000億円 (7,000億円) |
6,848億円 |
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自己資本比率 |
40% |
31.9% |
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ネット有利子負債 (有利子負債) (現預金) |
ゼロ (2,500億円) (2,500億円) |
866億円 (2,767億円) |
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2021年度 P/L(連結) |
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2017年度実績 |
・安定的な利益水準の維持とその拡大により 企業価値を向上 |
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売上高 |
2兆円程度 |
19,006億円 |
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営業利益 |
1,500億円程度 |
1,378億円 |
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親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,000億円程度 |
926億円 |
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1株当たり当期純利益 (EPS) |
150円程度 |
129.09円 |
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自己資本利益率(ROE) 自己資本増強により財務レバレッジが下がるためROEが低下 |
10%超の水準 |
14.5% |
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イ 投資計画
目指す将来像の実現に向けた「布石」として、平成29年度から5年間で4,000億円の投資を行う。
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中期経営計画2017 |
2017年度実績 |
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2017~2021計画 |
(年度平均) |
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「最高水準の技術力と生産性を備えたリーディングカンパニー」であり続けるための継続的な投資
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建設技術の研究開発 |
1,000億円 |
(200億円) |
191億円 |
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工事機械・事業用施設 |
500億円 |
(100億円) |
81億円 |
「多様な収益源を創りながら進化する企業グループ」の実現に向けた投資
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不動産賃貸事業 |
1,000億円 |
(200億円) |
598億円 |
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再生可能エネルギー事業ほか |
1,000億円 |
(200億円) |
143億円 |
機会を捉えた成長投資
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M&Aほか |
500億円 |
(100億円) |
255億円 |
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総投資額 |
4,000億円 |
(800億円) |
1,271億円 |
ウ 事業戦略と取り組み状況
既存4本柱(建築・土木・開発・新領域)の強化、事業領域の深化・拡大、さらなるグローバル化を加速させる。以下は具体的施策とその目的である。
(ア)建設事業
〈生産性向上〉
・シリコンバレーで次世代生産システムの共同研究、共同開発スタート
・設計や現場のノウハウや強みをビッグデータとして集積
→技術革新の基盤として、最高水準の生産性や付加価値創出を実現
〈働き方改革〉
・総労働時間の縮減、工事事務所4週8休に向け、働き方改革アクションプランを策定、実施
→生産性向上と両輪で推進し、「魅力ある建設業」への発展に貢献
〈海外建設〉
・豪州で事業規模を拡大
→さらなるグローバル化の推進
(イ)開発事業
・東京都心部での大型賃貸不動産投資を拡大
・タイ大林がバンコックで高層オフィスビル用地を取得
→ポートフォリオの多様化を推進し不動産市場の変化に柔軟に対応
(ウ)新領域事業
・バイオマス発電事業への取り組みを強化
・ニュージーランドの地熱電力を利用したCO2フリー水素製造・流通に関する実証研究を現地企業と共同で
開始
→洋上風力発電などさらなる領域拡大
エ 経営基盤戦略
事業環境の変化にしなやかに適応しながら、経営基盤をより強固なものにする。
(ア)技術開発
・次世代移動通信システム「5G」と4K3Dモニターを活用した建設機械による遠隔施工に成功
・AIによる画像解析技術を利用したコンクリートのひび割れ自動検出手法を確立
→IoT/AIを活用した生産性向上に資する技術開発をさらに推進
(イ)人材・組織
・事業領域の多様化にしなやかに対応し、多様な人材の挑戦を支える諸制度を実現
(ウ)ESG経営の推進
・環境(E)負荷の少ない事業活動を推進
・人々に安全・安心を提供して社会(S)に貢献
・コンプライアンスの徹底を中心にガバナンス(G)を強化
③ 働き方改革への取り組み
これまで当社は、従業員の心身の健康維持・向上と建設業の担い手確保を目的として総労働時間の縮減に取り組んできた。中期経営計画2017の事業戦略にもあるとおり、長時間労働の是正は、業務効率化や生産性向上と両輪の課題となっている。
こうしたなか、当社は昨年9月に社長直轄の「働き方改革推進プロジェクト・チーム」を設置し、本年4月に具体的な働き方改革アクションプランを策定した。今後、以下の施策を推進することで労働時間縮減と生産性向上を目指し、業績向上につなげるとともに、「魅力ある建設業」の実現にも寄与していく。
[働き方改革アクションプランの施策]
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取り組み事項 |
平成30年度の主な施策 |
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(1) 長時間労働の是正 |
・ICT技術を活用した業務効率化 ・工事事務所における4週8休の実現に向けた振替休日の取得奨励 |
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(2) 年休取得の推進 |
・休日休暇取得予定表の活用による計画的な年休取得 ・秋の連休シーズンにおける年休取得促進期間の実施 |
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(3) 柔軟な働き方の促進 |
・テレワーク制度の導入 ・育児・介護関連制度のさらなる充実 |
当社グループは、あらゆる事業活動においてコンプライアンスを徹底したうえで、生活・社会・産業基盤の整備を通じて、人々の暮らしに安全・安心を提供し、経済発展に寄与するという社会的使命を果たしていく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 事業に対する法的規制
建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、独占禁止法、労働安全衛生法等の法令の改廃や新設、適用基準の変更があった場合等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 建設市場の動向
国内外の景気後退等により、建設市場が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(3) 施工物等の不具合や重大事故
設計、施工などの各面で重大な瑕疵があった場合や、人身、施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(4) 取引先の信用リスク
発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を惹起し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 建設資材価格及び労務単価の変動
建設資材の急激な価格高騰や調達難または労務単価の高騰や技能労働者の不足が生じた場合、工事原価の上昇による利益率の低下や工期遅延による損害賠償のおそれなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 保有資産の価格変動
保有する販売用不動産、事業用不動産、有価証券等の時価が著しく下落した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 長期にわたる事業のリスク
事業期間が長期にわたるPPP事業や再生可能エネルギー事業等において、その期間中に事業環境に著しい変化が生じた場合や業務遂行上重大な事故等が発生した場合、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 海外事業におけるリスク
① アジア、米国をはじめとする進出国において、テロ・紛争等による政情の不安定化、経済情勢の変動、為替レートの急激な変動、法制度の変更など事業環境に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
② 当社が他社と共同で施工し、平成23年8月に竣工したドバイ都市交通システム建設工事の残工事代金の支払いについては、一定の金利を付し、平成23年10月から平成30年9月にわたる84ヶ月の毎月均等分割払いとすることで発注者のドバイ道路交通局との間で合意している。当該合意においては、この残工事代金の回収リスクを回避するため、ドバイ政府と支払保証契約を締結するなど債権保全策を講じているが、ドバイにおける政治及び経済状況等に著しい情勢の変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
なお、ドバイ道路交通局による工事代金の支払いは、合意した内容に基づき予定どおり行われており、同局に対する平成30年3月末時点での当社分の完成工事未収入金(分割払い相当額)残高は、40百万米ドル(円換算値 約43億円)である。
(9) 繰延税金資産に関わるリスク
将来の課税所得等の見積りの変動や税率変更等の税制改正によって、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 機密情報漏洩
外部からの攻撃や、従業員の不正等により個人情報、機密情報が漏洩した場合、社会的な信用の失墜、損害賠償の発生等により、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 当社及び子会社の独占禁止法違反事件に関わるリスク
当社は、平成29年12月にリニア中央新幹線工事の入札に関して、独占禁止法違反等の疑いがあったとして東京地方検察庁及び公正取引委員会による捜査・調査を受け、平成30年3月23日に東京地方検察庁から起訴された。
また、当社子会社の大林道路株式会社は、平成28年9月に、神戸市及びその周辺地域において供給するアスファルト合材の販売価格に関して、平成29年2月には、全国において販売するアスファルト合材の販売価格に関して、それぞれ独占禁止法違反の疑いがあったとして公正取引委員会の調査を受けた。
上記案件については、当局による調査または公判が現在も継続中であり、その結果次第では当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
なお、当社グループは上記案件に関する課徴金等の見込み額について、当連結会計年度に独占禁止法関連損失引当金として10,529百万円を計上した(同引当金には、上記案件のほか、東京都及び成田国際空港株式会社それぞれが発注する舗装工事受注に関して、独占禁止法違反があったとして公正取引委員会から大林道路株式会社に対し平成30年3月28日に出された課徴金納付命令の金額等を含む)。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりである。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や民間設備投資の増加などを受けて、景気は緩やかに回復を続けた。
国内の建設市場においては、公共工事、民間工事の発注がともに堅調に推移しており、引き続き良好な受注環境にある。
こうした情勢下にあって、当連結会計年度における業績については、売上高は子会社の建設事業売上高が増加したことなどから、前連結会計年度比約279億円(1.5%)増の約1兆9,006億円となった。損益の面では、建設事業売上高の増加に伴い、完成工事総利益が増加したことなどから、営業利益は前連結会計年度比約40億円(3.0%)増の約1,378億円、経常利益は前連結会計年度比約38億円(2.7%)増の約1,439億円となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、当社及び子会社において独占禁止法関連損失引当金を計上したことなどから、前連結会計年度比約18億円(1.9%)減の約926億円となった。
セグメント情報
① 建設事業
グループ全体の売上高は、子会社の海外建築事業及び国内土木事業で増加したことなどから、前連結会計年度比約184億円(1.0%)増の約1兆8,209億円となった。また、営業利益については、当社の国内工事における工事利益率の改善に伴い完成工事総利益が増加したことなどから、前連結会計年度比約22億円(1.8%)増の約1,266億円となった。内訳は以下のとおり。
(国内建築事業) 売上高は前連結会計年度比約60億円(0.6%)減の約1兆143億円、営業利益は前連結会計年度比約13億円(1.6%)増の約839億円となった。
(海外建築事業) 売上高は前連結会計年度比約160億円(4.4%)増の約3,839億円、営業利益は前連結会計年度比約19億円(39.3%)減の約29億円となった。
(国内土木事業) 売上高は前連結会計年度比約137億円(4.1%)増の約3,461億円、営業利益は前連結会計年度比約17億円(4.4%)減の約382億円となった。
(海外土木事業) 売上高は前連結会計年度比約53億円(6.5%)減の約764億円、営業損益は約14億円の利益(前連結会計年度は約31億円の損失)となった。
② 不動産事業
子会社における事業用不動産の保有ポートフォリオ見直しに伴い、一部物件を売却したことなどから、グループ全体の売上高は前連結会計年度比約57億円(14.9%)増の約445億円、営業利益は前連結会計年度比約14億円(19.8%)増の約86億円となった。
③ その他
当連結会計年度に新規稼働した太陽光発電所の売上が加わったことなどから、グループ全体の売上高は前連結会計年度比約37億円(11.9%)増の約351億円、営業利益は前連結会計年度比約3億円(16.6%)増の約25億円となった。
(2)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比約1,328億円(6.6%)増の約2兆1,488億円となった。これは、事業用不動産の取得等により「建物・構築物」及び「土地」が増加したこと、工事代金債権(「受取手形・完成工事未収入金等」及び「電子記録債権」の合計)が増加したこと、保有株式の時価の上昇に伴い「投資有価証券」が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比約654億円(4.8%)増の約1兆4,373億円となった。これは、「社債」が減少した一方で、工事代金の支払に係る債務(「支払手形・工事未払金等」及び「電子記録債務」の合計)や「ノンリコース借入金」が増加したことなどによるものである。また、有利子負債残高は前連結会計年度末比約33億円(1.2%)増の約2,767億円となった。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比約674億円(10.5%)増の約7,115億円となった。これは、大林道路株式会社の完全子会社化に伴い「非支配株主持分」が減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い「利益剰余金」が増加したことや「その他有価証券評価差額金」が増加したことなどによるものである。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は31.9%となり、前連結会計年度末より2.4ポイント上昇した。
(3)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に国内の建設事業収支が引き続き堅調に推移したことから約1,140億円のプラス(前連結会計年度は約1,588億円のプラス)となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業用不動産の取得等により約712億円のマイナス(前連結会計年度は約378億円のマイナス)となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、大林道路株式会社株式の取得や配当金の支払等により約545億円のマイナス(前連結会計年度は約891億円のマイナス)となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて約94億円減少し、約1,847億円となった。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、建設事業に係る工事費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、建設事業に係る研究開発費用や工事機械の取得費用、不動産賃貸事業や再生可能エネルギー事業に係る施設購入費用等によるものである。
当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としている。
短期運転資金は、自己資金、金融機関からの短期借入金やコマーシャル・ペーパーの発行により確保することを基本としており、長期運転資金や設備投資資金の調達については、自己資金、金融機関からの長期借入金及びノンリコース借入金や、社債の発行等により確保することを基本としている。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は約2,767億円となっている。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は約1,847億円となっている。
(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりである。当社は「中期経営計画2017」の目標値達成に向け順調に推移していると考えており、引続き諸施策に取り組んでいく。
(6)生産、受注及び販売の状況
① 受注実績
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
国内建築事業 |
1,058,837 |
1,016,760 |
△4.0 |
|
海外建築事業 |
554,951 |
314,485 |
△43.3 |
|
国内土木事業 |
365,988 |
387,694 |
5.9 |
|
海外土木事業 |
72,727 |
55,804 |
△23.3 |
|
建設事業 計 |
2,052,504 |
1,774,745 |
△13.5 |
|
不動産事業 |
37,884 |
48,942 |
29.2 |
|
その他 |
54,867 |
56,467 |
2.9 |
|
合 計 |
2,145,256 |
1,880,155 |
△12.4 |
(注)セグメント間取引については相殺消去している。
② 売上実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
国内建築事業 |
1,020,378 |
1,014,371 |
△0.6 |
|
海外建築事業 |
367,980 |
383,995 |
4.4 |
|
国内土木事業 |
332,374 |
346,119 |
4.1 |
|
海外土木事業 |
81,792 |
76,461 |
△6.5 |
|
建設事業 計 |
1,802,525 |
1,820,947 |
1.0 |
|
不動産事業 |
38,795 |
44,566 |
14.9 |
|
その他 |
31,400 |
35,141 |
11.9 |
|
合 計 |
1,872,721 |
1,900,655 |
1.5 |
(注)1 セグメント間取引については相殺消去している。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに総売上高に占める売上高の割合が100分の10以上の相手先はない。
なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
受注高(契約高)及び売上高の状況
① 受注高、売上高及び繰越高
|
期 別 |
種類別 |
前期繰越高 (百万円) |
当期受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期売上高 (百万円) |
次期繰越高 (百万円) |
|
|
第113期
(自 平成28年 |
建設事業 |
建 築 |
1,192,358 |
1,052,677 |
2,245,036 |
991,527 |
1,253,508 |
|
土 木 |
459,217 |
295,705 |
754,923 |
294,358 |
460,564 |
||
|
計 |
1,651,576 |
1,348,382 |
2,999,959 |
1,285,886 |
1,714,072 |
||
|
不動産事業等 |
- |
18,179 |
18,179 |
18,179 |
- |
||
|
合 計 |
1,651,576 |
1,366,562 |
3,018,138 |
1,304,065 |
1,714,072 |
||
|
第114期
(自 平成29年 |
建設事業 |
建 築 |
1,253,508 |
995,425 |
2,248,934 |
988,975 |
1,259,958 |
|
土 木 |
460,564 |
307,692 |
768,257 |
287,429 |
480,827 |
||
|
計 |
1,714,072 |
1,303,118 |
3,017,191 |
1,276,405 |
1,740,785 |
||
|
不動産事業等 |
- |
17,657 |
17,657 |
17,657 |
- |
||
|
合 計 |
1,714,072 |
1,320,775 |
3,034,848 |
1,294,062 |
1,740,785 |
||
(注) 前期以前に受注したもので、契約の変更により契約金額に増減のあるものについては、当期受注高にその増減額を含む。また、前期以前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により契約金額に変更のあるものについても同様に処理している。
② 受注工事高
|
期 別 |
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
||
|
第113期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建 築 |
110,868 |
937,239 |
4,569 |
0.4 |
1,052,677 |
|
土 木 |
162,455 |
112,793 |
20,456 |
6.9 |
295,705 |
|
|
計 |
273,323 |
1,050,033 |
25,025 |
1.9 |
1,348,382 |
|
|
第114期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建 築 |
52,877 |
929,497 |
13,051 |
1.3 |
995,425 |
|
土 木 |
188,504 |
105,461 |
13,726 |
4.5 |
307,692 |
|
|
計 |
241,382 |
1,034,958 |
26,777 |
2.1 |
1,303,118 |
|
(注)工事の受注方法は特命と競争に大別され、受注金額の割合は次のとおりである。
|
期 別 |
区 分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
第113期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建 築 |
50.1 |
49.9 |
100 |
|
土 木 |
23.0 |
77.0 |
100 |
|
|
計 |
44.2 |
55.8 |
100 |
|
|
第114期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建 築 |
48.3 |
51.7 |
100 |
|
土 木 |
18.2 |
81.8 |
100 |
|
|
計 |
41.2 |
58.8 |
100 |
③ 売上高
(イ)完成工事高
|
期 別 |
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
||
|
第113期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
建 築 |
62,816 |
914,601 |
14,110 |
1.4 |
991,527 |
|
土 木 |
163,506 |
95,650 |
35,201 |
12.0 |
294,358 |
|
|
計 |
226,323 |
1,010,251 |
49,311 |
3.8 |
1,285,886 |
|
|
第114期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
建 築 |
100,721 |
876,944 |
11,309 |
1.1 |
988,975 |
|
土 木 |
160,947 |
93,944 |
32,538 |
11.3 |
287,429 |
|
|
計 |
261,669 |
970,888 |
43,847 |
3.4 |
1,276,405 |
|
(注)1 海外工事の地域別割合は、次のとおりである。
|
地 域 |
第113期(%) |
第114期(%) |
|
アジア |
53.8 |
53.7 |
|
北 米 |
38.2 |
40.3 |
|
その他 |
8.0 |
6.0 |
|
計 |
100 |
100 |
2 第113期に完成した工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
三井不動産㈱ |
三井不動産ロジスティクスパーク船橋新築工事 |
|
学校法人 近畿大学 |
近畿大学東大阪キャンパス整備Ⅰ期工事 |
|
明石駅前南地区市街地再開発組合 |
パピオスあかし新築工事 |
|
SPパワーアセッツ社 |
シンガポールケーブルトンネル東西線EW1工区建設工事(シンガポール) |
|
LLJ Investco㈱ |
レゴランドジャパン新築工事 |
第114期に完成した工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
赤坂一丁目地区市街地再開発組合 |
赤坂インターシティAIR新築工事 |
|
日本橋二丁目地区市街地再開発組合 |
太陽生命日本橋ビル新築工事 |
|
学校法人 帝京大学 |
帝京大学八王子キャンパス ソラティオスクエア新築工事 |
|
ニュージーランド交通局 |
ウォータービュー高速道路建設工事(ニュージーランド) |
|
芙蓉総合リース㈱ |
プライムツリー赤池新築工事 |
3 第113期及び第114期ともに総完成工事高に占める完成工事高の割合が100分の10以上の相手先はない。
(ロ)不動産事業等売上高
|
期 別 |
区 分 |
売上高(百万円) |
|
第113期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
不動産販売 |
435 |
|
不動産賃貸 |
8,368 |
|
|
そ の 他 |
9,375 |
|
|
計 |
18,179 |
|
|
第114期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
不動産販売 |
300 |
|
不動産賃貸 |
8,533 |
|
|
そ の 他 |
8,822 |
|
|
計 |
17,657 |
④ 繰越工事高(平成30年3月31日現在)
|
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
|
|
建 築 |
144,843 |
1,100,592 |
14,522 |
1.2 |
1,259,958 |
|
土 木 |
309,932 |
136,466 |
34,427 |
7.2 |
480,827 |
|
計 |
454,776 |
1,237,059 |
48,950 |
2.8 |
1,740,785 |
(注)繰越工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
虎ノ門一丁目地区市街地再開発組合 |
虎ノ門一丁目地区第一種市街地再開発事業に伴う |
|
独立行政法人 都市再生機構東日本賃貸住宅本部 |
大手町二丁目地区再開発施設建築物B棟工区建設工事 |
|
中日本高速道路㈱ |
東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)東名北工事 |
|
ナムニアップ1・パワー・カンパニー・リミテッド社 |
ナムニアップ1水力発電所建設工事(ラオス) |
|
住友商事㈱ |
(仮称)神田錦町二丁目計画新築工事 |
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はない。
(建設事業)
当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術の開発を行うなど、主に建設事業に関して多岐にわたる研究開発活動を実施している。
また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。
当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は約106億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木及び海外土木の各セグメントには区分していない。
(1) 当社
① アクアジャスター®を搭載した水中インフラ点検ロボット「ディアグ®」を開発
水中インフラの点検時に無人潜水機を静止させて鮮明な映像を撮影できるロボット「ディアグ®」を開発した。
地上や船上からの遠隔操作が可能であり、水流による機体の揺れを抑え、ほぼ静止した状態で対象物を撮影できる。潜水士による点検では水深約40mが限界で作業時間も限られていたが、「ディアグ®」は100mまで潜水し長時間点検を行うことができる。国土交通省による公募「次世代社会インフラ用ロボット技術・ロボットシステム」に採択され、実証実験を重ねた結果、最高ランクの評価を獲得した。
② 大型風車をリフトアップで組み立てる装置「ウインドリフト®」を開発
風力発電用の大型風車の建設工事において、超大型クレーンを使わずにリフトアップで組み立てる装置「ウインドリフト®」を㈱巴技研と共同で開発した。
従来、発電容量3メガワットクラスの風車の建設は、ハブ(風車の中心部)やブレード(風車の羽)部材の組み立てなどに1,200トン級の超大型クレーンが必要であった。「ウインドリフト®」は、部材をジャッキアップ式の装置で建て起こしながらリフトアップするため、施工スペースを縮減でき、風による施工への影響も低減できる。当社グループ最初の風力発電事業、三種浜田風力発電所(秋田県三種町)の風車建設において本装置を使用した結果、約10%のコスト削減を実現した。
③ 山岳トンネル工事の切羽(掘削面)評価にディープラーニングを適用
山岳トンネルの切羽を評価する際に、AI技術の一つであるディープラーニング(システムがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う「機械学習」の技術)を適用した。
山岳トンネル工事の標準工法においては、事前の地質調査に基づいて主要な支保工の規模を計画し、工事中も切羽の強度や割目間隔などを評価のうえ随時計画を見直している。AI技術であるディープラーニングを使うことで、地質学の専門家と同等の評価が可能になる。切羽の画像と専門家の評価結果を機械学習させ、地質状況を細部まで高精度に評価することで、技術者不足の問題を解決し、工事の安全性と経済性を向上させる。
④ 「5G」、4K3Dモニターを活用した建設機械の遠隔施工に成功
次世代移動通信システム「5G」と4K3Dモニターを活用した建設機械による遠隔施工(以下「本実証試験」)をKDDI㈱及び日本電気㈱と共同で開発し、国内で初成功させた。
災害復旧などの危険作業においては、オペレーターが建設機械に搭乗せず、離れた場所から映像を頼りに操作する無人運転が求められる。本実証試験では、「5G」の特長である高速・大容量通信を建設機械の遠隔操作に応用し、既存のモバイル通信では困難な高精細映像の伝送を実現することで、遠隔操作の作業効率を従来に比べ15%~25%改善した。本実証試験は、総務省が新技術の早期実現化を図るために行う技術的検討の一つとして行われた。
⑤ 最適な建物管理を実現するビルマネジメントシステムを開発
IoT・AI技術の活用により建物利用者の快適性・利便性を高め、ウェルネスの観点からも様々なサービスを提供するビルマネジメントシステムの開発を進めている。
実証段階にある本システムは、IoT技術を用いて建物内外の多様な情報(湿度・照度・映像等)や建物利用者一人ひとりの快適感(温熱・光環境の好み等)の情報をクラウドシステムに蓄積し、AIで分析することにより、快適、健康、安全・安心、利便性、省エネルギーなどの要求に対する最適な建物制御を行う。建物利用者が長く使うほど最適な環境に近づける学習制御も実現する。また、エネルギー消費量や運転効率など複数のデータを多面的に解析することにより、設備機器のメンテナンスや更新時期を予測することもできる。
⑥ 木造技術「オメガウッド・カラムウォール®」を開発
汎用木材を活用して高剛性・高耐力の柱を造る「オメガウッド・カラムウォール®」を開発した。
国内で大量生産される汎用木材(断面幅450㎜、厚さ90㎜程度の単板積層材)を接合金物やつづり材等で幅900㎜程度、厚さ180㎜以上に一体化し、中高層建築物の主架構(柱)とする。一般的な耐震壁付き軸組工法の場合よりも耐震壁を少なくでき、開口部面積を1.5倍程度まで拡大できる。また、一定条件の下、準耐火構造及び2時間までの耐火構造とすることが可能なため、耐火性能が要求される事務所、商業施設、医療福祉・教育施設など幅広い用途の中高層建築物を木造で建設できる。
⑦ CO2フリー水素を製造する水素エネルギーシステムを構築
再生可能エネルギーでCO2フリー水素を製造する水素エネルギーシステムを構築した。
当社技術研究所に設置されている再生可能エネルギー発電設備(太陽光、風力)を活用し、水の電気分解により製造した水素を気体の状態で貯蔵のうえ、需要に応じて酸素と反応させて発電する。製造から利用までの各段階で実証することで、クリーンで効率的な水素エネルギーシステムの最適化を目指す。水電解装置と蓄電システムの併用により、天候の影響を受けない安定的な電力供給や停電時の自立運転が可能になる。本実証では、水電解装置と蓄電池容量の最適な組み合わせや各設備の制御手法などを検証する。
⑧ 鉄骨柱・梁の溶接作業のすべてを自動化する「現場ロボット溶接工法」を開発
鉄骨造建築物における柱・梁の現場溶接作業をすべて自動化することで、省力化と高品質化を実現する「現場ロボット溶接工法」を開発した。
鉄骨造建築物の現場溶接作業には建設技能者の高度な技能が求められるなか、溶接の難易度が高い梁下フランジ、梁ウェブ、角形鋼管柱の溶接においてもロボットによる自動化を実現した。1人のオペレーターがロボットを2台同時に稼働させた場合、単位時間当たりの作業効率は溶接技能者の1.5倍であるため、省力化により技能労働者不足の解決に寄与する。また、ロボットの特長である正確な施工再現性により、高い溶接品質を安定的に確保できる。
(2) 大林道路㈱
「全天候型高耐久常温アスファルト合材」の開発
水と反応して硬化する性質を持つ「全天候型高耐久常温アスファルト合材」を開発した。
アスファルト舗装及びコンクリート舗装の劣化に伴って生じるポットホールや段差等の補修において、雨天時及び水溜り箇所での施工が可能となる。また、従来の揮発硬化性の常温アスファルト合材と比べて耐久性が高く、硬化速度が速いため、施工後は直ちに交通開放することが可能である。
(3) ㈱内外テクノス
金属箔を用いた不燃化木材ボードの開発
天然木化粧単板と金属箔を木質材料の上に貼り合わせることで、難燃薬剤を使用しない不燃化技術を当社と共同開発した。
従来の不燃化技術は難燃薬剤を注入するため、使用できる天然木化粧単板の樹種が限定されるうえ、薬剤に起因して白華が発生しやすく、納期に時間を要するとともに高コストであった。
今回開発した不燃化木材ボードは難燃薬剤を使用しないため、広葉樹を含む幅広い樹種を採用できる。また、ボード中間層に金属箔を用いることで、高い不燃性の確保及び燃焼時に下地木質材料から発生するガスの抑制が可能となる。今後は合板やCLT(直交集成板)を含む様々な木質材料の不燃化を図り、コストダウンや納期短縮を目指す。
(不動産事業及びその他)
研究開発活動は特段行っていない。