以下、第2 事業の状況に記載している金額は消費税等抜きの額である。
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げに伴い個人消費など一部に弱さも見られたが、政府による経済政策の効果等で企業収益が改善し、景気は緩やかな回復基調が続いた。
国内の建設市場においては、公共工事、民間工事の発注がともに堅調に推移し、事業環境は持ち直しつつある。
こうした情勢下にあって、当連結会計年度における業績については、売上高は当社、子会社ともに建設事業売上高が増加したことなどから、前連結会計年度比10.0%増の約1兆7,739億円となった。損益の面では、建設事業売上高の増加に伴い完成工事総利益が増加したことや、不動産事業等総利益が増加したことなどから、営業利益は前連結会計年度比51.3%増の約483億円、経常利益は前連結会計年度比49.3%増の約599億円、当期純利益は前連結会計年度比32.7%増の約286億円となった。
セグメント情報
① 建設事業
グループ全体の売上高は、当社、子会社ともに建築事業で増加したことなどから、前連結会計年度比約1,519億円(10.0%)増の約1兆6,730億円となった。また、営業利益については、建設事業売上高の増加に伴い完成工事総利益が増加したことなどから、前連結会計年度比約88億円(45.9%)増の約279億円となった。内訳は以下のとおり。
(国内建築事業) 売上高は前連結会計年度比約506億円(5.6%)増の約9,530億円、営業利益は前連結会計年度比約38億円(75.9%)増の約89億円となった。
(海外建築事業) 売上高は前連結会計年度比約873億円(35.9%)増の約3,307億円、営業利益は前連結会計年度比約33億円(53.1%)減の約29億円となった。
(国内土木事業) 売上高は前連結会計年度比約53億円(1.7%)増の約3,263億円、営業利益は前連結会計年度比約77億円(68.1%)増の約191億円となった。
(海外土木事業) 売上高は前連結会計年度比約87億円(16.1%)増の約628億円、営業損益は約31億円の損失(前連結会計年度は約36億円の損失)となった。
② 不動産事業
当社において大型不動産の売却があったことなどから、グループ全体の売上高は前連結会計年度比約121億円(23.6%)増の約638億円、営業利益は前連結会計年度比約73億円(65.7%)増の約185億円となった。
③ その他
グループ全体の売上高は前連結会計年度比約29億円(7.3%)減の約370億円、営業利益は前連結会計年度比約2億円(13.3%)増の約17億円となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に国内の建設事業収支が改善したことから約746億円のプラス(前連結会計年度は約379億円のプラス)となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業用土地建物の取得等により約74億円のマイナス(前連結会計年度は約473億円のマイナス)となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により約345億円のマイナス(前連結会計年度は約275億円のプラス)となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて約414億円増加し、約1,626億円となった。
(1) 受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
国内建築事業 |
883,035 |
983,706 |
11.4 |
|
海外建築事業 |
331,037 |
377,139 |
13.9 |
|
国内土木事業 |
337,539 |
404,489 |
19.8 |
|
海外土木事業 |
29,288 |
32,105 |
9.6 |
|
建設事業 計 |
1,580,900 |
1,797,441 |
13.7 |
|
不動産事業 |
46,521 |
76,711 |
64.9 |
|
その他 |
25,583 |
26,364 |
3.1 |
|
合 計 |
1,653,005 |
1,900,517 |
15.0 |
(注)セグメント間取引については相殺消去している。
(2) 売上実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
国内建築事業 |
902,488 |
953,097 |
5.6 |
|
海外建築事業 |
243,393 |
330,702 |
35.9 |
|
国内土木事業 |
321,005 |
326,353 |
1.7 |
|
海外土木事業 |
54,186 |
62,886 |
16.1 |
|
建設事業 計 |
1,521,074 |
1,673,040 |
10.0 |
|
不動産事業 |
51,668 |
63,858 |
23.6 |
|
その他 |
40,014 |
37,082 |
△7.3 |
|
合 計 |
1,612,756 |
1,773,981 |
10.0 |
(注)1 セグメント間取引については相殺消去している。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに総売上高に占める売上高の割合が100分の10以上の相手先はない。
なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
受注高(契約高)及び売上高の状況
(1)受注高、売上高及び繰越高
|
期 別 |
種類別 |
前期繰越高 (百万円) |
当期受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期売上高 (百万円) |
次期繰越高 (百万円) |
|
|
第110期
(自 平成25年 |
建設事業 |
建 築 |
1,071,700 |
935,034 |
2,006,734 |
915,707 |
1,091,026 |
|
土 木 |
368,190 |
274,420 |
642,611 |
270,373 |
372,237 |
||
|
計 |
1,439,891 |
1,209,454 |
2,649,345 |
1,186,081 |
1,463,264 |
||
|
不動産事業等 |
4,668 |
17,927 |
22,595 |
22,595 |
- |
||
|
合 計 |
1,444,559 |
1,227,382 |
2,671,941 |
1,208,677 |
1,463,264 |
||
|
第111期
(自 平成26年 |
建設事業 |
建 築 |
1,091,026 |
956,030 |
2,047,057 |
958,646 |
1,031,129 |
|
土 木 |
372,237 |
322,227 |
694,464 |
267,923 |
426,540 |
||
|
計 |
1,463,264 |
1,278,257 |
2,741,521 |
1,226,570 |
1,457,670 |
||
|
不動産事業等 |
- |
33,286 |
33,286 |
33,236 |
50 |
||
|
合 計 |
1,463,264 |
1,311,543 |
2,774,808 |
1,259,806 |
1,457,720 |
||
(注)1 前期以前に受注したもので、契約の変更により契約金額に増減のあるものについては、当期受注高にその増減額を含む。また、前期以前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により契約金額に変更のあるものについても同様に処理している。
2 第111期の建築において、当社は前期に受注した一部の工事を当期に海外子会社に譲渡した(譲渡額計57,281百万円)。前期繰越高(1,091,026百万円)に当期受注高(956,030百万円)を加算し、当期売上高(958,646百万円)を減算すると次期繰越高は1,088,411百万円となるが、当該譲渡については当社グループ内の取引であることから、次期繰越高を直接57,281百万円減額し、1,031,129百万円としている。
(2)受注工事高
|
期 別 |
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
||
|
第110期 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
建 築 |
72,920 |
776,982 |
85,130 |
9.1 |
935,034 |
|
土 木 |
176,309 |
76,745 |
21,365 |
7.8 |
274,420 |
|
|
計 |
249,230 |
853,728 |
106,496 |
8.8 |
1,209,454 |
|
|
第111期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
建 築 |
61,407 |
887,451 |
7,171 |
0.8 |
956,030 |
|
土 木 |
216,314 |
95,877 |
10,035 |
3.1 |
322,227 |
|
|
計 |
277,721 |
983,328 |
17,207 |
1.3 |
1,278,257 |
|
(注)工事の受注方法は特命と競争に大別され、受注金額の割合は次のとおりである。
|
期 別 |
区 分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
第110期 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
建 築 |
44.5 |
55.5 |
100 |
|
土 木 |
18.0 |
82.0 |
100 |
|
|
計 |
38.5 |
61.5 |
100 |
|
|
第111期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
建 築 |
40.4 |
59.6 |
100 |
|
土 木 |
20.9 |
79.1 |
100 |
|
|
計 |
35.5 |
64.5 |
100 |
(3)売上高
(イ)完成工事高
|
期 別 |
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
||
|
第110期 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
建 築 |
65,118 |
809,703 |
40,886 |
4.5 |
915,707 |
|
土 木 |
156,578 |
89,360 |
24,434 |
9.0 |
270,373 |
|
|
計 |
221,696 |
899,063 |
65,321 |
5.5 |
1,186,081 |
|
|
第111期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
建 築 |
95,264 |
827,607 |
35,774 |
3.7 |
958,646 |
|
土 木 |
141,034 |
94,831 |
32,057 |
12.0 |
267,923 |
|
|
計 |
236,299 |
922,439 |
67,831 |
5.5 |
1,226,570 |
|
(注)1 海外工事の地域別割合は、次のとおりである。
|
地 域 |
第110期(%) |
第111期(%) |
|
アジア |
66.6 |
66.5 |
|
北 米 |
24.2 |
25.2 |
|
その他 |
9.2 |
8.3 |
|
計 |
100 |
100 |
2 第110期に完成した工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
イオンモール㈱ |
イオンモール幕張新都心新築工事 |
|
NREG東芝不動産㈱ |
ラゾーナ川崎東芝ビル新築工事 |
|
宮城県 |
災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(亘理処理区)) |
|
野村不動産㈱ |
プラウドタワー東雲キャナルコート建設工事 |
|
相模原プロパティー特定目的会社 |
ロジポート相模原新築工事 |
第111期に完成した工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
森ビル㈱ |
虎ノ門ヒルズ、環状第二号線 築地虎ノ門トンネル建設工事 |
|
㈱IHI |
豊洲フォレシア新築工事 |
|
ダイビル㈱ |
新ダイビル新築工事 |
|
イオンモール㈱ |
イオンモール名古屋茶屋新築工事 |
|
ペンシルバニアアルゲーニー郡港湾局 |
ピッツバーグLRTトンネル及び地下駅構築工事(米国) |
3 第110期及び第111期ともに総完成工事高に占める完成工事高の割合が100分の10以上の相手先はない。
(ロ)不動産事業等売上高
|
期 別 |
区 分 |
売上高(百万円) |
|
第110期 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
不動産販売 |
6,425 |
|
不動産賃貸 |
7,179 |
|
|
そ の 他 |
8,990 |
|
|
計 |
22,595 |
|
|
第111期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
不動産販売 |
15,867 |
|
不動産賃貸 |
7,341 |
|
|
そ の 他 |
10,027 |
|
|
計 |
33,236 |
(4)繰越工事高(平成27年3月31日現在)
|
区 分 |
国 内 |
海 外 |
計 |
||
|
官公庁 (百万円) |
民 間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
(B) (百万円) |
|
|
建 築 |
83,916 |
925,857 |
21,356 |
2.1 |
1,031,129 |
|
土 木 |
281,779 |
88,914 |
55,846 |
13.1 |
426,540 |
|
計 |
365,695 |
1,014,771 |
77,203 |
5.3 |
1,457,670 |
(注)繰越工事のうち主なもの
|
発注者 |
工事名称 |
|
中日本高速道路㈱ |
東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)東名北工事 |
|
赤坂一丁目地区市街地再開発組合 |
赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業 |
|
住友不動産㈱ |
(仮称)大久保三丁目西地区開発計画A-1業務棟 |
|
ナムニアップ1・パワー・カンパニー・リミテッド社 |
ナムニアップ1水力発電所建設工事(ラオス) |
|
㈱三菱東京UFJ銀行 |
㈱三菱東京UFJ銀行大阪ビル建替工事 |
国内建設市場は、国土強靭化や産業競争力強化のためのインフラ整備、首都圏を中心とした都市再生や地方創生等のニーズにより、一定の水準で建設投資が続くと考えられるが、中長期的には市場の拡大は見込みにくい状況である。一方、将来的に労働者の減少が危惧される建設業界においては、人材の確保・育成や人と技術の融合した生産システムのイノベーション等、生産力の向上が急がれる。
海外建設市場においては、当社グループが進出している東南アジア、北米及びターゲットとするオセアニア等において、インフラ整備や都市開発をはじめとする建設投資の拡大が見込まれる。
こうした事業環境をふまえ、平成27年度を初年度とする3ヵ年計画「大林組グループ中期経営計画2015(Evolution 2015)」を策定した。当社グループはこの計画に基づき、社会の安全、安心及び経営の更なる安定に向けて、各戦略及び施策を遂行していく。
(「Evolution 2015」における当社グループの取組み方針)
・切迫する巨大災害への備えや環境・エネルギー対策等の多様なニーズに応え、社会の安全、安心、快適を実現する
・建築、土木、開発の3事業に加え、新たな収益源を創出する「新領域事業」を第4の柱に、収益基盤の多様化を推進する
・当社の技術力、財務力を活かした強固なグループ経営の実践により、グループ各社の収益力を向上させる
(主な経営指標目標(連結))
収益力強化の指標として営業利益を重視し、中期経営計画期間中に安定的に450億円程度を計上することを経営目標としている。収益基盤の多様化を推進し、建設事業売上高に占める海外比率を約25%に、国内建設事業以外の営業利益の割合を約45%に高めることで、市場の変化に柔軟に適応できる収益構造を確立していく。
また、新領域事業(再生可能エネルギー事業等)における設備投資により減価償却費が増加することから、キャッシュフローから見た収益力を示す新たな指標としてEBITDAを採用した。
ROE(株主資本利益率)についても、中長期的に8%程度に引き上げることを目指している。
|
|
|
2015年度 |
2016年度 |
2017年度 |
|
|
売上高 |
17,000億円 程度 |
||
|
|
建設事業 |
16,000億円 程度 (海外比率:25%) |
||
|
|
開発事業 |
500~600億円 |
||
|
|
新領域事業 |
220億円 |
220億円 |
280億円 |
|
|
その他 |
100億円 程度 |
||
|
|
営業利益 |
(安定的に)450億円 程度 |
||
|
|
国内建設 |
60% |
⇒ |
55% |
|
|
国内建設以外 (海外建設、開発、新領域) |
40%
|
45%
|
|
|
|
EBITDA ※ |
590億円 |
610億円 |
630億円 |
|
|
国内建設 |
55% |
53% |
51% |
|
|
国内建設以外 |
45% |
47% |
49% |
|
|
経常利益 |
500億円 程度 |
||
|
|
|
|
||
|
|
有利子負債 |
4,000億円 程度(2018年3月末) |
||
|
|
D/Eレシオ |
0.9倍 程度 |
||
|
|
ROE |
(中長期的に)8% 程度 |
||
|
|
配当性向 |
20%~30% |
||
※EBITDA=営業利益+減価償却費(Earnings Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortization)
当社グループとしては、この新たな中期経営計画に全力で取り組むことで企業価値を向上させ、株主をはじめとしたステークホルダーの期待に応えていく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 事業に対する法的規制
建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、独占禁止法、労働安全衛生法等の法令の改廃や新設、適用基準の変更があった場合等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(2) 建設市場の動向
国内外の景気後退等により、建設市場が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(3) 施工物等の不具合や重大事故
設計、施工などの各面で重大な瑕疵があった場合や、人身、施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(4) 取引先の信用リスク
発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を惹起し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 建設資材価格及び労務単価の変動
建設資材の急激な価格高騰や調達難または労務単価の高騰や技能労働者の不足が生じた場合、工事原価の上昇による利益率の低下や工期遅延による損害賠償のおそれなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 保有資産の価格変動
保有する販売用不動産、事業用不動産、有価証券等の時価が著しく下落した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 長期にわたる事業のリスク
事業期間が長期にわたるPFI事業や再生可能エネルギー事業等において、その期間中に事業環境に著しい変化が生じた場合や業務遂行上重大な事故等が発生した場合、当社グループの業績や企業評価に影響を及ぼす可能性がある。
(8) 海外事業におけるリスク
① アジア、米国をはじめとする進出国において、テロ・紛争等による政情の不安定化、経済情勢の変動、為替レートの急激な変動、法制度の変更など事業環境に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
② 当社が他社と共同で施工し、平成23年8月に竣工したドバイ都市交通システム建設工事の残工事代金の支払いについては、一定の金利を付し、平成23年10月から平成30年9月にわたる84ヶ月の毎月均等分割払いとすることで発注者のドバイ道路交通局との間で合意している。当該合意においては、この残工事代金の回収リスクを回避するため、ドバイ政府と支払保証契約を締結するなど債権保全策を講じているが、ドバイにおける政治及び経済状況等に著しい情勢の変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
なお、ドバイ道路交通局による工事代金の支払いは、合意した内容に基づき予定どおり行われており、同局に対する平成27年3月末時点での当社分の完成工事未収入金(分割払い相当額)残高は、283百万米ドル(円換算値 約340億円)である。
(9) 繰延税金資産に関わるリスク
将来の課税所得等の見積りの変動や税率変更等の税制改正によって、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はない。
(建設事業)
当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術の開発を行うなど、主に建設事業に関して多岐にわたる研究開発活動を実施している。
また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。
当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は約93億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木及び海外土木の各セグメントには区分していない。
(1) 当社
① 技術研究所にスマートエネルギーシステムを構築
技術研究所において、複数の大型電源を最適に組み合わせて活用するスマートエネルギーシステムを構築した。
スマートエネルギーシステムは、分散させた大型電源(太陽光発電、大型蓄電池、マイクロコンバインド発電)による電力をEMS(エネルギーマネジメントシステム)によって統合管理し、ビッグデータなどを用いた電力需給の予測に基づき、リアルタイムに最適な需給バランスを調整する。技術研究所では、本システム構築前の平成24年と比べ、平成27年の商用電力量を約20%、CO2排出量も約20%削減することを目指す。
② 高性能な流動化コンクリート「フローアップクリート」を開発・適用
普通コンクリートに増粘成分を有する流動化剤を添加するだけで、特別な装置・設備を用いることなく高性能な流動化コンクリート「フローアップクリート」を供給可能とした。
過密配筋の構造物やCFT造では、コンクリートを隅々まで均質に行きわたらせるために、従来は流動性の高い高強度コンクリートが使われていた。「フローアップクリート」をCFT造の圧入工法へ適用できることを実験で確認し、オフィスビルや病院施設など7件の建築工事に適用した。
③ 切羽前方の地山の微小な変位を計測する「先行天端沈下計」を開発
山岳トンネル掘削中の地山変位を計測し、地山崩落の危険防止に役立つ「先行天端沈下計」を開発した。
地山崩落の予兆となる微小変位をコンパクトな装置で高精度かつリアルタイムに計測できるシステムで、異常時には警報音や通報等で作業員や職員に注意喚起できる。
④ 明るさ感指標を利用した光環境制御システムを開発
照明などの室内の光環境を自動的に制御し、快適性を維持しながら消費電力を60%削減する光環境制御システムを東京工業大学、㈱ビジュアル・テクノロジー研究所と共同開発した。
オフィスなどで机上面の照度を保ちながら、その他の部分の照度を低く抑えるタスク・アンビエント照明方式では、室内の雰囲気が暗く感じられるといった課題があった。本システムは、「人の感じる明るさ感」を数値化する指標「明るさ尺度値」を利用し、モノに当たる光の量ではなく、目に入る光の量を基準に室内の光環境を自動的に評価・制御するシステムである。
⑤ 自動ラック倉庫の耐震性を向上させる「TMD制振技術」を開発・適用
地震時に自動ラック倉庫の荷物落下を低減できるTMD(チューンドマスダンパー)制振技術を開発・実用化した。
TMDはバネとオイルダンパーの性能を併せ持つ粘弾性体の制振装置である。付設の自動搬送設備を用いてラック最上段に配置でき、大がかりな工事を必要としないことから、既存施設にも容易に適用できる。既存の自動ラック倉庫1物件で適用した。
⑥ 山岳トンネル工事用「高速ノンコア削孔切羽前方探査システム」を開発
山岳トンネルの切羽前方150mの地質を短時間で探査できる「高速ノンコア削孔切羽前方探査システム」を開発した。
水圧ハンマー式の削孔機構を有する専用ボーリングマシンを用いて短時間で長距離ノンコア削孔を実施し、その削孔データから地質状況を高い信頼性で予測できるシステムである。
⑦ 樹脂接着系あと施工アンカーのリニューアル技術を開発
インフラ構造物の付帯設備などの固定に用いる樹脂接着系あと施工アンカーのリニューアル技術をサンコーテクノ㈱と共同で開発した。
既設のアンカーボルトの中心に穴を開け、内部を加熱することでアンカー孔を傷つけることなく撤去するため、同じ位置に新設のあと施工アンカーを設置することが可能である。孔の開け直しに伴う施工の手間や躯体損傷のリスクがなく、より効率的で信頼性の高い工法となっている。
⑧ 質の高い都市緑地を創出するための設計支援ツールを開発
鳥が好む環境を創出し、自然共生に貢献する都市緑地の設計支援ツールを開発した。
都市部における鳥の行動を細かく調査のうえ作成した生息地評価モデルを活用し、鳥が好んで訪れる緑地の創出を都市部で可能にした。複合ビル「oak omotesando」の屋上庭園の設計に適用され、生物多様性の保全等の取り組みを定量的に評価するJHEP認証を取得した。
(2) 大林道路㈱
道路を走行しながら路面や沿道構造物等の形状を1mm単位の三次元データで計測するマルチ測定車「RIM」を導入した。各種インフラの維持管理システム等の高度化に活用する。また、アスファルト舗装の層間接着力を確保するプライマー(アスファルト乳剤)の散布作業をアスファルト混合物の舗設作業と同時に行うことができる「乳剤散布装置付きアスファルトフィニッシャ」を導入した。特殊乳剤と組み合わせて耐水性に劣る下層に雨水を浸透させない遮水型工法の展開等に活用する。その他、舗装補修材「スラリーパック」の使い易さを改良した「ニュースラリーパック」、アスファルト混合物の運搬時における保温を万全とする「側面用GOマット」を開発し販売を開始している。
(不動産事業及びその他)
研究開発活動は特段行っていない。
(1)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、「現金預金」及び「受取手形・完成工事未収入金等」が増加したことや時価評価に伴い「投資有価証券」が増加したことなどから、前連結会計年度末比約1,773億円(9.7%)増の約1兆9,961億円となった。
当連結会計年度末の負債合計は、施工高の増加に伴い工事代金の支払に係る債務(「支払手形・工事未払金等」及び「電子記録債務」の合計)が増加したことなどから、前連結会計年度末比約759億円(5.5%)増の約1兆4,467億円となった。一方、有利子負債残高については、「短期借入金」が減少したことなどから、前連結会計年度末比約176億円(4.1%)減の約4,108億円となった。
当連結会計年度末の純資産合計は、当期純利益の計上により「利益剰余金」が増加したことや投資有価証券の時価評価に伴い「その他有価証券評価差額金」が増加したことなどから、前連結会計年度末比約1,013億円(22.6%)増の約5,494億円となった。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は25.4%となり、前連結会計年度末より2.7ポイント上昇した。
(2)経営成績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、建設事業において約1,519億円(10.0%)増の約1兆6,730億円、不動産事業において約121億円(23.6%)増の約638億円、その他において約29億円(7.3%)減の約370億円となった。全体としては、前連結会計年度に比べ約1,612億円(10.0%)増の約1兆7,739億円となった。
損益の面では、建設事業売上高の増加に伴い完成工事総利益が増加したことや、不動産事業等総利益が増加したことなどから、営業利益は前連結会計年度比51.3%増の約483億円、経常利益は前連結会計年度比49.3%増の約599億円、当期純利益は前連結会計年度比32.7%増の約286億円となった。
(3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載している。