第2 [事業の状況]における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
当年度の日本経済は、好調な企業業績を受けて設備投資は緩やかに回復し、個人消費も持ち直しつつあることから、全体として回復基調を続けました。
国内建設市場においては、政府建設投資・民間建設投資ともに底堅く推移し、建設業界の経営環境は堅調さを維持しました。
こうした状況のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
受注高は前連結会計年度比1.0%減の1兆6,550億円となり、売上高は同3.8%減の1兆4,872億円となりました。
利益につきましては、営業利益は前連結会計年度比19.9%増の1,408億円、経常利益は同22.8%増の1,445億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同17.5%増の905億円となりました。
報告セグメント等の業績を示すと次のとおりであります(報告セグメント等の業績につきましては、セグメント間の内部取引を含めて記載しております。)。
当社グループにおきましては、売上高は当社及び連結子会社ともに減少したことから、前連結会計年度比1.4%減の4,494億円となりました。また、営業利益は、売上総利益率の改善により同8.8%増の551億円となりました。
当社グループにおきましては、売上高は当社の減少により前連結会計年度比3.7%減の9,777億円となりました。また、営業利益は、売上総利益率の改善により同30.1%増の733億円となりました。
不動産販売市場は、分譲マンション市場においては、地価の上昇等に伴う販売価格の高止まりが続く中で、都心部の物件を中心に需要は堅調であるものの、郊外においては販売が長期化する物件も見られました。また、ビル賃貸市場は、企業の移転・増床需要が引き続き旺盛なことから空室率が改善し、平均賃料は上昇傾向が継続するなど、堅調に推移しています。
当社グループにおきましては、売上高は当社及び連結子会社ともに減少したことから、前連結会計年度比4.6%減の1,217億円となりました。また、営業利益は、売上総利益率の改善により同41.1%増の133億円となりました。
当社グループにおきましては、売上高は前連結会計年度比12.2%減の130億円、営業利益は同27.5%増の12億円となりました。
税金等調整前当期純利益を1,351億円獲得したこと及び預り金の増加等により、当連結会計年度収支は2,181億円の収入超となりました。(前連結会計年度は953億円の収入超)
投資有価証券の売却等により、当連結会計年度収支は62億円の収入超となりました。(前連結会計年度は250億円の支出超)
配当金の支払、自己株式の取得等により、当連結会計年度収支は600億円の支出超となりました。(前連結会計年度は351億円の支出超)
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は5,347億円(前連結会計年度末比1,630億円増)となり、また、資金調達に係る有利子負債の残高は2,381億円(同165億円減)となりました。なお、当連結会計年度末の資金調達に係る有利子負債の残高のうちノンリコース債務は35億円(同16億円減)であります。
(単位:百万円)
|
報告セグメント等の名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
土木事業 |
|
444,462 |
427,594 |
|
建築事業 |
|
1,101,915 |
1,101,472 |
|
開発事業 |
|
112,201 |
115,337 |
|
その他 |
|
12,482 |
10,630 |
|
合計 |
1,671,061 |
1,655,035 |
|
(単位:百万円)
|
報告セグメント等の名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
土木事業 |
|
433,924 |
422,847 |
|
建築事業 |
|
978,176 |
938,548 |
|
開発事業 |
|
121,305 |
115,225 |
|
その他 |
|
12,482 |
10,630 |
|
合計 |
1,545,889 |
1,487,252 |
|
(注) 1 受注実績、売上実績においては、セグメント間の取引を相殺消去しております。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
(参考) 提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
|
期別 |
区分 |
前期繰越高 |
当期受注高 |
計 |
当期売上高 |
次期繰越高(百万円) |
当期施工高 |
|||||
|
手持高 |
うち施工高 |
|||||||||||
|
第156期
|
報 |
土木事業 |
599,446 |
323,881 |
923,327 |
313,325 |
610,002 |
4% |
24,242 |
320,376 |
||
|
建築事業 |
1,229,484 |
1,006,974 |
2,236,459 |
879,551 |
1,356,907 |
2 |
21,371 |
874,192 |
||||
|
計 |
1,828,930 |
1,330,856 |
3,159,787 |
1,192,876 |
1,966,910 |
2 |
45,613 |
1,194,568 |
||||
|
開発事業 |
8,400 |
8,894 |
17,294 |
16,996 |
297 |
- |
- |
- |
||||
|
その他 |
- |
12,059 |
12,059 |
12,059 |
- |
- |
- |
- |
||||
|
合計 |
1,837,330 |
1,351,810 |
3,189,141 |
1,221,932 |
1,967,208 |
- |
- |
- |
||||
|
第157期
|
報 |
土木事業 |
610,002 |
315,291 |
925,294 |
312,538 |
612,755 |
4% |
24,704 |
313,001 |
||
|
建築事業 |
1,356,907 |
1,008,847 |
2,365,755 |
840,159 |
1,525,596 |
2 |
23,551 |
842,339 |
||||
|
計 |
1,966,910 |
1,324,139 |
3,291,050 |
1,152,697 |
2,138,352 |
2 |
48,256 |
1,155,340 |
||||
|
開発事業 |
297 |
13,886 |
14,183 |
13,817 |
366 |
- |
- |
- |
||||
|
その他 |
- |
10,195 |
10,195 |
10,195 |
- |
- |
- |
- |
||||
|
合計 |
1,967,208 |
1,348,221 |
3,315,429 |
1,176,711 |
2,138,718 |
- |
- |
- |
||||
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。また前期以前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。
2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
4 前期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々11.9%、0.2%、当期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々△8.2%、1.4%であります。
(2) 受注工事高の受注方法別比率
建設事業の受注方法は、特命と競争に大別されます。
|
期別 |
区分 |
特命 |
競争 |
計 |
|
第156期 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
土木工事 |
44.7 % |
55.3 % |
100 % |
|
建築工事 |
43.1 |
56.9 |
100 |
|
|
第157期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
土木工事 |
36.3 % |
63.7 % |
100 % |
|
建築工事 |
43.9 |
56.1 |
100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
|
期別 |
区分 |
国内 |
海外 |
合計 |
||
|
官公庁 |
民間 |
(A) |
(A)/(B) |
|||
|
第156期 |
土木工事 |
207,798 |
85,323 |
20,202 |
6.4 |
313,325 |
|
建築工事 |
118,363 |
752,155 |
9,031 |
1.0 |
879,551 |
|
|
計 |
326,162 |
837,479 |
29,234 |
2.5 |
1,192,876 |
|
|
第157期 |
土木工事 |
186,725 |
111,268 |
14,544 |
4.7 |
312,538 |
|
建築工事 |
116,786 |
702,274 |
21,098 |
2.5 |
840,159 |
|
|
計 |
303,512 |
813,542 |
35,643 |
3.1 |
1,152,697 |
|
(注) 1 第156期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
・ |
北品川五丁目第1地区市街地 再開発組合 |
北品川五丁目第1地区第一種市街地再開発事業 業務棟(A1棟・C1棟) 住宅棟(A2棟) 施設建築物新築工事 |
|
・ |
㈱鉃鋼ビルディング |
(仮称)新鉃鋼ビル建替計画に伴う新築工事 |
|
・ |
スリランカ高速道路省 道路開発公社 |
スリランカ コロンボ外郭環状道路北工区-1 |
|
・ |
三井不動産㈱ |
(仮称)ららぽーと海老名新築工事 |
|
・ |
国土交通省 関東地方整備局 |
圏央道桶川北本地区函渠その1工事 |
2 第157期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
・ |
六本木三丁目東地区市街地 |
六本木三丁目東地区第一種市街地再開発事業 |
|
・ |
ファナック㈱ |
ファナック㈱壬生工場(B工区)建設工事 |
|
・ |
岡田ビル㈱ |
(仮称)MM59街区B区画開発計画工事 |
|
・ |
気仙沼市 |
気仙沼市防災集団移転促進事業及び災害公営住宅整備事業等 |
|
・ |
(独行)都市再生機構 |
野蒜北部丘陵地区一次整地工事 |
3 第156期及び第157期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
|
区分 |
国内 |
海外 |
合計 |
||
|
官公庁 |
民間 |
(A) |
(A)/(B) |
||
|
土木工事 |
344,966 |
223,040 |
44,749 |
7.3 |
612,755 |
|
建築工事 |
410,355 |
1,112,351 |
2,889 |
0.2 |
1,525,596 |
|
計 |
755,321 |
1,335,392 |
47,638 |
2.2 |
2,138,352 |
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
|
・ |
三菱地所㈱ 東京商工会議所 ㈱東京會舘 |
(仮称)丸の内3-2計画 地下解体工事、新築工事 |
|
・ |
西品川一丁目地区市街地再開発組合 |
西品川一丁目地区第一種市街地再開発事業(A街区) |
|
・ |
三井不動産㈱・三菱地所㈱ |
(仮称)TGMM芝浦プロジェクト(A棟・ホテル棟新築工事) |
|
・ |
中日本高速道路㈱ |
東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事 |
|
・ |
東日本高速道路㈱ |
東京外環自動車道 田尻工事 |
グループ理念(人がいきいきとする環境を創造する)の下、自由闊達・価値創造・伝統進化の3つの価値を“大成スピリット”として全役職員が共有し、自然との調和の中で、安全・安心で魅力ある空間と豊かな価値を生み出し、次世代のための夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組みます。
中期経営計画(2015-2017)の最終年度(2017年度)における経営数値目標
<業績目標>
|
|
平成28年5月13日公表 |
平成29年5月12日公表 |
||
|
連 結 |
単 体 |
連 結 |
単 体 |
|
|
売上高 |
16,600億円 |
13,400億円 |
16,100億円 |
13,100億円 |
|
営業利益 |
1,150億円 |
960億円 |
1,250億円 |
1,090億円 |
|
当期純利益 |
750億円 |
640億円 |
870億円 |
760億円 |
(注)連結の「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」を示しております。
<財務目標>
|
|
平成28年5月13日公表 |
平成29年5月12日公表 |
||
|
連 結 |
単 体 |
連 結 |
単 体 |
|
|
有利子負債 |
3,000億円未満 |
― |
2,600億円未満 |
― |
<資本政策・株主還元の指針>
|
|
平成28年5月13日公表 |
平成29年5月12日公表 |
||
|
連 結 |
単 体 |
連 結 |
単 体 |
|
|
配当性向 |
25%以上 |
― |
25.8% |
― |
|
R O E |
8.0%以上 |
― |
14.8% |
― |
今後の市場環境につきましては、当面は堅調に推移すると見込まれるものの、人口減少や財政制約などを踏まえると、2020年以降のポスト五輪においては不透明であるとともに、建設業の担い手確保・育成が大きな課題であると考えております。
このような認識のもと、当社グループは、「中期経営計画(2015-2017)」を推進し、以下に掲げる経営課題の達成に向けて全力で取り組んでおります。
なお、当社のグループ会社である大成ロテック㈱において独占禁止法違反の事案が発生いたしました。当社グループは、この事実を厳粛かつ真摯に受け止め、今後、同社を含むグループ全体のコンプライアンスのより一層の徹底を図り、再発防止と早期の信頼回復に努めてまいります。
「中期経営計画(2015-2017)」(要旨)
|
■ 基本方針 「建設事業本業の深耕」
■ 経営課題 ①注力プロジェクトへの戦略的な取り組み ②社会基盤整備への積極的な貢献 ③次世代技術開発の推進 ④注力分野での次世代ビジネスモデルの確立 ⑤国内建設事業の強化 ⑥海外事業の健全な成長に向けた基盤整備 ⑦グループ力の向上 ⑧経営基盤の進化 |
①注力プロジェクトへの戦略的な取り組み
国内では、新国立競技場・リニア中央新幹線等の国家的プロジェクトや当社の技術力等を活かせる大規模民間プロジェクト、海外では、官民一体で推進している海外インフラ輸出への参画等、2020年以降も見据えたプロジェクトに注力しております。
②社会基盤整備への積極的な貢献
今後も震災復興事業や国土強靭化に向けた社会基盤インフラ整備に積極的に取り組み、我が国の社会基盤整備に引き続き貢献してまいります。
③次世代技術開発の推進
建設事業本業における当社グループの優位性をさらに高め、同業他社との差別化を図るべく、2020年以降を見据えた施工技術および差別化技術の開発を推進しております。
④注力分野での次世代ビジネスモデルの確立
お客様に高い付加価値を提供できる分野、リニューアル・リプレイス、原子力、環境、エンジニアリング、都市開発の注力5分野に加え、エネルギー、海外の分野においても、高付加価値型のビジネスモデルを確立することによって、中長期的な競争力を高めてまいります。
⑤国内建設事業の強化
官民双方の旺盛な需要に適切に対応するために、施工能力をさらに向上させるべく、要員の増強、省人・省力化工法やICTの活用、ならびに専門工事業者との連携強化を図るとともに、調達力をさらに向上させてまいります。
⑥海外事業の健全な成長に向けた基盤整備
海外事業につきましては、安定的な黒字確保を最優先課題として、2020年以降を見据え、事業規模の緩やかな成長と収益構造の確立を目指します。
⑦グループ力の向上
都市部の木造密集地域の不燃化や既存の官民インフラの耐震補強等、当社グループの強みを活かせる分野において、グループで協働することによって、より高いシナジー効果を発揮してまいります。
⑧経営基盤の進化
時代の要請に沿ったガバナンス体制を確立するとともに、建設業界の中期的な課題である女性の活躍推進、外国人材の活用等のダイバーシティ経営やICTによるワークスタイルの変革に積極的に取り組んでおります。
当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、次のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
建設・不動産市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
世界各国で事業を行っているため、テロ・戦争・暴動等の発生及びその国の政情の悪化、経済状況の急激な変動、為替レートの大きな変動、法律・規制の予期せぬ変更等が発生し、契約によりヘッジできない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
一般に建設業の請負契約は、一取引における契約金額が大きく、また多くの場合には、工事目的物の引渡時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結されます。このため、工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
原材料の価格が高騰した際、請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
営業活動上の必要性から、不動産・有価証券等の資産を保有しているため、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
年金資産の時価の下落及び運用利回り・割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
金利水準が急激に上昇した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業に起因して瑕疵担保責任及び製造物責任に基づく多額の損害賠償が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、PFI事業、レジャー事業を始めとした土木事業・建築事業・開発事業に付帯関連する事業を営んでいます。これらの事業の多くは、事業期間が長期にわたるため、将来の事業環境が大きく変化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
土木事業・建築事業の遂行は、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法、独占禁止法等による法的規制を受けており、これらの法規の改廃や新たな規制等が行われた場合、また、これらの法的規制により行政処分等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
土木事業・建築事業においては、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
大規模地震、風水害等の大規模自然災害や感染症の大流行が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
特記事項はありません。
当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本的方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進しております。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究開発、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進しております。
当連結会計年度における研究開発費は111億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。
(土木事業)
土木工事作業所での施工関連情報を管理・共有する目的で開発を進めてきたT-CIM®システムのうち、現場打ちコンクリート工事を対象とした「T-CIM®/Concrete」、シールド工事を対象とした「T-CIM®/Shield」、山岳トンネル工事を対象とした「T-CIM®/Tunnel」を開発し、建設現場への導入を開始いたしました。本システムの適用により、さまざまな工事関連情報を電子化・共有化し、一元管理できるため、生産性向上と品質向上を図ることが可能になります。当社は、国土交通省が推進する「i-Construction」の主旨に沿いながら、今後もT-CIM®システムを全国の現場に展開してまいります。
シールドトンネル工事や山岳トンネル工事で使用する連続ベルトコンベアの搬送土量やベルト傷を非接触・高精度に計測・管理できるシステム「ベルコンスキャナ」を、㈱演算工房、タグチ工業㈱と共同で開発いたしました。土量管理は、一定区間のベルト形状と土の表面形状を読み取り、その部分に積載された土量を算出するもので、掘削の継続・中断の判断を迅速に行うことが可能となります。また、ベルト部分に発生した傷を管理する技術は、搬送ベルトの傷情報(傷の位置、大きさ、深さ)をリアルタイムに評価することが可能で、従来に比べ点検の手間が飛躍的に減少いたします。現在数ヵ所の建設現場で運用を開始しており、今後もトンネル工事への導入・普及を進めてまいります。
地下埋設物の影響を受けず、任意の場所に連絡立坑の築造が可能な「坑内回収型上向きシールド工法」を開発いたしました。従来の上向きシールド工法は、本線シールドから掘り上げてきた掘進機を地上からクレーンなどで回収するため、地下埋設物のない場所を選定する必要がありました。本工法では地上での回収を行わず、掘進機を本線シールドに戻すことが可能となるため、地下埋設物の影響を受けることなく連絡立坑の位置選定が可能となります。今後、地下埋設物が多く従来工法による施工が困難であった地点での立坑築造に適用を進めていく予定であります。
ダム建設で使用する原石採取工事において、岩石の発破作業管理から品質評価までの工程を、ICTを用いて一元管理するシステム「T-iBlast DAM」を開発いたしました。発破削孔位置や、発破削孔に要する削孔エネルギーを用いた岩質評価、原石採取可能量の可視化など、原石採取工事の施工状況をICT化することにより、発破での測量作業の縮減や基準を満たした原石を効率よく採取することができます。今後はダム骨材製造工事における合理化施工技術として1~2年後の実用化を目指してまいります。
経済産業省と環境省の指針で安全性が認定されている好気性細菌RHA1株を実際の汚染サイトに注入し、塩素化エチレン類で汚染された地下水を短期間で浄化できることを実証いたしました。当社は従前より、長岡技術科学大学、(独行)製品評価技術基盤機構(NITE)と共同でRHA1株の研究を進めておりますが、今後は土地を掘削せずに浄化する原位置浄化技術のひとつとして本技術の適用を進めるとともに、塩素化エチレン類の汚染地下水浄化事業に広く展開していく予定であります。
大成ロテック㈱において、舗装の長寿命化技術として「ひび割れとわだち掘れの発生しにくい材料の開発」、維持修繕・メンテナンス技術として「3D電磁波レーダーによる橋梁床版の非破壊探査技術の開発」を行っております。また、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する舗装技術として「フォームドアスファルトを利用した中温化技術の実用化に関する研究」、デング熱などの感染症リスク軽減に関する技術として「虫除け機能を有する舗装の開発」等の研究を行っております。
高層建物のバルコニーの手摺など、外装材に風が作用した際に発生する風騒音問題に対応するための「風騒音シミュレーター」を業界で初めて開発し、技術センターに導入いたしました。本シミュレーターは、音響風洞実験室、暗騒音付加システム、及び風騒音評価システムから構成されており、風速40m/秒の強風条件下でのさまざまな建物の立地環境を加味した風騒音を評価することが可能なため、外装材に起因する風騒音を建物建設前に評価し、対策を講じることが可能となります。今後、建物の設計・施工において、最適な外装材の仕様の提案などを行うとともに、風騒音が発生しない外装材の研究開発を進めてまいります。
集合住宅における床衝撃音を再現できる床衝撃音実験施設を技術センターに導入いたしました。本実験施設は、実際の集合住宅と同規模、同構造で造られた振動特性の異なる2種類の実験室を併設し、床衝撃音に対する仕上材の性能、対策効果を比較検証することが可能な業界初の施設であります。これにより、実際の集合住宅に出向いて性能検証を行わなくても、事前に実験室で性能検証し必要な対策を講ずることが可能になります。今後、快適な居住空間を提供するための床衝撃音対策工法の開発を進めるだけでなく、設備機器や鉄道軌道などからの振動により発生する固体伝搬音の低減工法の開発にも活用してまいります。
鉄筋コンクリート造の高層住宅を対象に、高強度・小断面の柱、梁部材で構築した骨組みに、連層壁とオイルダンパーを組み合わせた新しい地震対策構法を開発いたしました。本技術は、地震の力を受け流すしなやかな骨組と、地震エネルギーを吸収する頑強な連層壁の相乗効果を利用し、建物の地震の揺れを制御いたします。本技術の適用により、長周期・長時間地震動にも優れた耐震性を有する高付加価値な高層住宅の建設が可能となります。今後、既開発の免震・制振システムのラインアップに加え、最適な地震対策構法の提案を積極的に行ってまいります。
大成札幌ビルのZEB化に向けたリニューアルを完成させ、一次エネルギー消費量を50%以上削減した「ZEB Ready」省エネビルを実現いたしました。「ZEB Ready」は、経済産業省によるZEB新定義に基づくものであり、高効率LED照明、タスク&アンビエント照明方式の採用、人検知センサー情報に基づくT-Zone Saver®照明、及び省エネ状況をリアルタイムで見える化する技術などを採用いたしました。本ビルは経済産業省北海道経済産業局が主催する平成28年度「北国の省エネ・新エネ大賞(北海道経済産業局長表彰)」の〔有効利用部門〕優秀賞を受賞いたしました。今後も当社が進める「市場性のあるZEBの普及」を目標に、さまざまなZEB化技術と計画・評価ツール「T-ZEBシミュレーター®」を活用し、ZEB化を目指す建物の新築・改修を積極的に進めてまいります。
豪雨、洪水、津波などによる建物内部の浸水リスクを短時間で解析・可視化できる評価・診断システム「T-Flood Analyzer」を開発いたしました。建物内への浸水状況を迅速に解析し、BIMデータと連携させることで、さまざまな施設の浸水対策を策定することが可能となります。今後は、水理実験による検証を進め解析精度の向上を図るとともに、各種施設におけるリスクマネジメント提案ツールとして積極的に活用、展開する予定であります。
既に開発した「T-iROBO® UW」(ダムのリニューアル向け水中作業機)、「T-iROBO® Roller」自律型無人化振動ローラー、「T-iROBO® Breaker」(自律型割岩無人化施工システム)に加え、下記のシステムを開発いたしました。今後、当社ではロボット性能の更なる向上を図りながら、建設現場への普及・展開を進めてまいります。
(現場溶接ロボットの開発)
柱鉄骨の現場溶接自動化工法「T-iROBO® Welding」を開発いたしました。鋼管柱継手部の溶接作業を対象に、すべての溶接を小型溶接ロボットにより自動で行い、現場溶接作業の省人化、効率化が可能となります。
(コンクリート床仕上ロボットの開発)
コンクリート床仕上ロボット「T-iROBO® Slab Finisher」を開発いたしました。技能労働者(土間工)の身体負担を軽減し、作業の省人化、効率化が可能となります。今後、物流倉庫やショッピングセンターなど床仕上面積が広範な建物を中心に本ロボットの展開を進めてまいります。
(自律型清掃ロボットの開発)
建設現場において自動で清掃を行う自律型清掃ロボット「T-iROBO® Cleaner」を開発いたしました。通常の施工作業に影響を及ぼさない夜間や、作業員がいないエリアを中心に本ロボットを適用することで、清掃作業に係る省人化が可能となります。
(臨場型遠隔映像システムの開発)
災害復旧工事など、重機を危険な作業環境下で使用する必要がある場合に、安全な遠隔地から実際に搭乗している感覚で重機を動かすことが可能な臨場型映像システム「T-iROBO® Remote Viewer」を開発いたしました。オペレーターは、ヘッドマウントディスプレイを装着し、遠隔地で無人重機を操縦いたします。今後、災害復旧工事に限らず、遠隔地から安全で効率的な作業が求められる建設現場への展開を図ってまいります。
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は年度当初の予想を達成するには至らなかったものの、受注高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益の各項目においては年度当初の予想を達成しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度比135億円増の905億円となったことから、ROE(自己資本当期純利益率)は1.4%増の16.7%となりました。
財政状態につきましては、預り金の増加等により負債が1兆1,892億円に増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により純資産が5,708億円に増加したため、自己資本比率は前連結会計年度末比1.1%増の32.3%となりました。また、資金調達に係る有利子負債が2,381億円と165億円減少(うちノンリコース債務は35億円・16億円減少)したことから、D/Eレシオは0.1ポイント好転して0.4倍となりました。
現金預金の増加等により、資産合計は前連結会計年度末比6.0%・992億円増の1兆7,600億円となりました。
預り金の増加等により、負債合計は前連結会計年度末比4.4%・497億円増の1兆1,892億円となりました。
自己株式の取得及び消却を実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末比9.5%・495億円増の5,708億円となりました。
受注高は、開発事業が増加したものの建設事業において減少したことから、前連結会計年度比1.0%減の1兆6,550億円となりました。
また、売上高は全てのセグメントにおいて減少したことから、前連結会計年度比3.8%減の1兆4,872億円となりました。
営業利益は、売上総利益が全てのセグメントにおける利益率好転により増益となったことから、前連結会計年度比19.9%増の1,408億円となりました。
経常利益は、為替差損益の好転等により営業外損益が好転したことから、前連結会計年度比22.8%増の1,445億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、独占禁止法関連損失の発生等に伴う特別損益の悪化があったものの、経常利益の増加により、前連結会計年度比17.5%増の905億円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。