第2 【事業の状況】

 

第2  [事業の状況]における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当年度の日本経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動等がみられたものの、企業収益や雇用・所得環境など基礎的条件の改善を背景に、緩やかな回復を続けた。

国内建設市場については、非製造業が弱含んだものの、公共投資が引き続き高水準で推移したことにより、堅調に推移した。

こうした状況のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなった。

受注高は前連結会計年度比7.3%増の1兆7,657億円となり、売上高は同2.6%増の1兆5,732億円となった。

利益については、営業利益は前連結会計年度比31.0%増の704億円、経常利益は同31.2%増の744億円、当期純利益は同19.0%増の381億円となった。

 

報告セグメント等の業績を示すと次のとおりである(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部取引を含めて記載している。)。

 

①土木事業

当社グループにおいては、売上高は当社の増加により前連結会計年度比5.1%増の4,710億円となった。また、営業利益は、売上高の増加により同1.7%増の331億円となった。

②建築事業

当社グループにおいては、売上高は当社の増加により前連結会計年度比6.4%増の1兆172億円となった。また、営業損益は、売上高の増加及び売上総利益率の改善により、244億円の利益(前連結会計年度は89億円の損失)となった。

③開発事業

不動産販売市場は、分譲マンション市場において、建設費の上昇傾向が続くなか、金利や不動産価格の先高感を背景として契約率が高水準で推移し、堅調な事業環境が継続した。また、不動産賃貸市場は、オフィスビルの空室率が改善し、一部ビルの賃料は上昇傾向を示すなど、回復基調が継続した。

当社グループにおいては、前期の大型案件売却に伴う反動により、売上高は前連結会計年度比23.9%減の1,434億円となった。また、営業利益は、売上高の減少及び売上総利益率の悪化により、同56.2%減の122億円となった。

④その他

当社グループにおいては、売上高は前連結会計年度比21.0%増の144億円、営業利益は同37.3%減の3億円となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

①営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益を669億円獲得したこと等により、240億円の収入超(前連結会計年度は1,387億円の収入超)となった。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資有価証券の取得等により、139億円の支出超(前連結会計年度は160億円の収入超)となった。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

資金調達に係る有利子負債の返済等により、304億円の支出超(前連結会計年度は688億円の支出超)となった。

 

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,371億円(前連結会計年度末比172億円減)となり、また、資金調達に係る有利子負債の残高は2,732億円(同432億円減)となった。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注実績

(単位:百万円)

報告セグメント等の名称

前連結会計年度

(自  平成25年4月1日

至  平成26年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

土木事業

 

485,492

570,219

建築事業

 

967,867

1,048,597

開発事業

 

182,581

134,477

その他

 

9,953

12,448

合計

1,645,895

1,765,743

 

 

(2) 売上実績

(単位:百万円)

報告セグメント等の名称

前連結会計年度

(自  平成25年4月1日

至  平成26年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

土木事業

 

418,526

448,727

建築事業

 

922,647

974,539

開発事業

 

182,346

137,555

その他

 

9,953

12,448

合計

1,533,473

1,573,270

 

(注) 1  受注実績、売上実績においては、セグメント間の取引を相殺消去している。

2  当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。

 

 

(参考) 提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。

(1) 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別

区分

前期繰越高
(百万円)

当期受注高
(百万円)


(百万円)

当期売上高
(百万円)

次期繰越高(百万円)

当期施工高
(百万円)

手持高

うち施工高

第154期


平成25年
4月1日


平成26年
3月31日

 




グメント

土木事業

411,261

360,230

771,491

296,111

475,380

3%

14,598

299,606

建築事業

1,130,660

861,588

1,992,249

822,050

1,170,198

2

24,584

812,221

1,541,922

1,221,818

2,763,740

1,118,161

1,645,578

2

39,182

1,111,828

開発事業

12,181

69,022

81,203

68,750

12,453

その他

9,264

9,264

9,264

合計

1,554,103

1,300,105

2,854,208

1,196,176

1,658,031

第155期


平成26年
4月1日


平成27年
3月31日

 




グメント

土木事業

475,380

448,234

923,615

324,168

599,446

3%

17,190

326,760

建築事業

1,170,198

945,480

2,115,679

886,194

1,229,484

2

26,730

888,340

1,645,578

1,393,715

3,039,294

1,210,363

1,828,930

2

43,920

1,215,101

開発事業

12,453

24,315

36,768

28,368

8,400

その他

11,804

11,804

11,804

合計

1,658,031

1,429,835

3,087,867

1,250,536

1,837,330

 

(注) 1  前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその増減額を含む。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれる。また前期以前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により請負金額に変更のあるものについても同様に処理している。

2  次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものである。

3  当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致する。

4  前期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々13.9%、2.0%、当期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々1.2%、2.4%である。

 

(2) 受注工事高の受注方法別比率

建設事業の受注方法は、特命と競争に大別される。

 

期別

区分

特命

競争

第154期

(自  平成25年4月1日

至  平成26年3月31日)

土木工事

 30.4 %

69.6 %

100 %

建築工事

32.8

67.2

100

第155期

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

土木工事

22.8 %

77.2 %

100 %

建築工事

34.7

65.3

100

 

(注)  百分比は請負金額比である。

 

 

(3) 完成工事高

 

期別

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

第154期
(自  平成25年4月1日
  至  平成26年3月31日)

土木工事

174,991

91,353

29,765

10.1

296,111

建築工事

54,559

711,498

55,993

6.8

822,050

229,550

802,851

85,759

7.7

1,118,161

第155期
(自  平成26年4月1日
  至  平成27年3月31日)

土木工事

203,973

100,140

20,054

6.2

324,168

建築工事

114,311

727,229

44,653

5.0

886,194

318,285

827,370

64,708

5.3

1,210,363

 

(注) 1  第154期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりである。

宮城県

災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック(気仙沼処理区))

北里第一三共ワクチン㈱

新ワクチン研究生産棟建設工事

エムエムデベロップメント

特定目的会社

(仮称)MM21  34街区  商業施設開発計画

(MARK  IS  みなとみらい)

シンガポール政府 陸上交通庁

(LTA)

シンガポール・ダウンタウン線建設工事907工区

(学)昭和大学

(仮称)昭和大学新豊洲病院  建設工事

 

 

2  第155期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりである。

トルコ政府 運輸海事通信省・
インフラ投資総局

トルコ ボスポラス海峡横断鉄道建設工事

みずほ信託銀行㈱

(仮称)大手町1-6計画のうち、敷地内本体工事

エヌ・ティ・ティ都市開発㈱、
大成建設㈱、ヒューリック㈱、
東京都市開発㈱

(仮称)芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業

ベトナム政府 ベトナム空港公団

ベトナム ノイバイ国際空港第2旅客ターミナル新築工事

東京都下水道局

芝浦水再生センター雨天時貯留池建設その3工事

 

3  第154期及び第155期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。

 

(4) 手持工事高(平成27年3月31日)

 

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

土木工事

352,968

179,712

66,765

11.1

599,446

建築工事

253,274

959,543

16,665

1.4

1,229,484

606,242

1,139,256

83,431

4.6

1,828,930

 

(注)  手持工事のうち主なものは、次のとおりである。

アルジェリア政府
公共事業省高速道路公団

アルジェリア 東西高速道路建設工事(東工区)

六本木三丁目東地区市街地
再開発組合

六本木三丁目東地区第一種市街地再開発事業
施設建築物新築工事及び公共施設工事<A区、B区>

北品川五丁目第1地区市街地
再開発組合

北品川五丁目第1地区第一種市街地再開発事業
業務棟(A1棟・C1棟・A2棟)施設建築物新築工事

㈱鉃鋼ビルディング

(仮称)新鉃鋼ビル建替計画に伴う新築工事

シンガポール政府 陸上交通庁
(LTA)

シンガポール トムソン線建設工事226工区

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の事業環境については、短中期的には、2020年東京オリンピック・パラリンピックへの期待や防災・減災意識の高まり等を背景として、堅調に推移するものと思われる。

しかし長期的には、人口減等を背景とした需要の減少や質の変化、さらに担い手確保の問題等、内在する課題も大きいと認識している。

このような認識のもと、当社グループは、2015年度を初年度とする「中期経営計画(2015-2017)」をスタートさせ、以下に掲げる経営課題の達成に向けて全力で取り組んでいく。

 

「中期経営計画(2015-2017)」(要旨)

(基本方針)

「建設事業本業の深耕」

 

〔目指す姿〕

・品質と安全の確保によって、高い顧客満足を得る

・安定的かつ持続的な成長を図る

・高付加価値型の事業構造への転換を推進する

・すべてのステークホルダーから高い信頼と評価を得る

 

(経営課題)

①注力プロジェクトへの戦略的な取り組み

(1)国家的プロジェクトへの参画

(2)大規模民間プロジェクトへの参画

(3)海外インフラ輸出への参画

②社会基盤整備への積極的な貢献

(1)国民の安全・安心・利便性のための主要インフラ整備への参画

(2)電力安定供給のためのプロジェクトへの参画

(3)震災復興事業への積極的な貢献

③次世代技術開発の推進

(1)次世代に向けた施工技術の開発

(2)地震対応技術の高度化

(3)環境・原子力分野などにおける差別化技術の開発

④注力分野での次世代ビジネスモデルの確立

(1)リニューアル・リプレイス分野

(2)原子力分野

(3)環境分野

(4)エンジニアリング分野

(5)都市開発分野

⑤国内建設事業の強化

(1)施工能力の向上

(2)品質および安全管理体制の強化

(3)設計施工プロジェクトの拡大

(4)調達力の向上

⑥海外事業の健全な成長に向けた基盤整備

(1)海外インフラ輸出への参画に向けた体制の構築

(2)重点地域・重点分野に絞った事業推進

(3)海外現地法人の事業体制強化

 

 

⑦グループ力の向上

(1)グループ住宅戦略の推進

(2)インフラの耐震補強等に関する新リニューアル技術の開発

(3)営業・調達・施工におけるグループ会社間の連携強化

⑧経営基盤の進化

(1)次世代に向けたコーポレート・ガバナンスの確立

(2)強固な財務基盤の維持・向上

(3)人材の育成と強化

(4)ダイバーシティ経営の推進

(5)ICTの活用

 

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、次のようなものがある。なお、当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存である。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 建設・不動産市場の動向

建設・不動産市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(2) 海外事業の展開に伴うリスク

世界各国で事業を行っているため、テロ・戦争・暴動等の発生及びその国の政情の悪化、経済状況の急激な変動、為替レートの大きな変動、法律・規制の予期せぬ変更等が発生し、契約によりヘッジできない場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(3) 取引先の信用リスク

一般に建設業の請負契約は、一取引における契約金額が大きく、また多くの場合には、工事目的物の引渡時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結される。このため、工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(4) 資材価格の変動

原材料の価格が高騰した際、請負代金に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(5) 資産保有リスク

営業活動上の必要性から、不動産・有価証券等の資産を保有しているため、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(6) 退職給付債務

年金資産の時価の下落及び運用利回り・割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(7) 金利水準の変動

金利水準が急激に上昇した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(8) 建設生産物・関連サービスの瑕疵

当社グループの事業に起因して瑕疵担保責任及び製造物責任に基づく多額の損害賠償が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(9) 付帯関連する事業のリスク

当社グループは、PFI事業、レジャー事業を始めとした土木事業・建築事業・開発事業に付帯関連する事業を営んでいる。これらの事業の多くは、事業期間が長期にわたるため、将来の事業環境が大きく変化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(10)土木事業・建築事業に対する法的規制

土木事業・建築事業の遂行は、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法、独占禁止法等による法的規制を受けており、これらの法規の改廃や新たな規制等が行われた場合、また、これらの法的規制により行政処分等を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(11)重大事故の発生

土木事業・建築事業においては、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性がある。

(12)大規模自然災害等リスク

大規模地震、風水害等の大規模自然災害や感染症の大流行が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本的方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進している。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究開発、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進している。

当連結会計年度における研究開発費は106億円である。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりである。

 

(土木事業)

(1) コンクリートの耐久性向上を追求した連続養生工法「Wキュアリング」の開発

コンクリート構造物の長期耐久性向上の観点から、コンクリート品質を大きく向上させるための養生工法を開発した。本工法では、コンクリート本来の性能を発揮させる養生工程において、余剰水・気泡の排出と硬化後の給水を行う。この連続養生により、相乗効果を引出し、コンクリート表層の美観、強度、緻密化及び中性化・塩化物イオン浸透の抑制等について大幅な向上を実現した。今後、高品質で安全性が高く、維持管理費を軽減する構造物の施工技術として橋梁やトンネル等への適用を図る。

(2) LNG地上式貯蔵タンク防液堤の設計・施工技術の開発と適用

発電時の二酸化炭素排出が少ないという環境適合性から、液化天然ガス(LNG)の利用が今後も拡大していくものと考えられることから、LNG関連施設建設に関わる技術として、地上式貯蔵タンクを囲う防液堤の建設工法「デュアルPCスピード・エレクション」を開発し、石狩LNGタンクに採用した。コンクリート打設のための型枠の一部をそのまま本体構造に利用し、据付・撤去作業を軽減するとともにタンク内側の足場を不要とすることで、タンク本体を含む施工の高速化と安全性向上を実現した。今後、適用効果の高い大型タンクへの適用を図る。

(3) 環境配慮型トンネル自動掘削機「TM-100」の開発

騒音・振動の発生が許されない都心部、住宅地付近及び重要構造物近傍で適用するトンネル掘削装置を開発した。高硬度のディスクカッターを取り付けた直径2.7mの円盤を回転させ、掘削面に押し当てながら一軸圧縮強度100MPaを超える岩盤を掘削する。高速施工を行うとともに、自動制御装置により高い掘削精度と省力化を実現する。国内トンネル現場を中心に活用を図る。

(4) ダム改修の水中作業ロボット「T-iROBO UW」の開発・適用

ダムの改修工事などにおいては、大規模な仮締切、高橋脚の仮設桟橋の設置や潜水作業を必要としてきたが、高速化・省力化技術として、水面から湖底に鉛直に設置したシャフトを昇降して底部での水中作業を行うロボットを開発した。アタッチメントを変えることで、削岩、掘削、ズリ処理及び精密計測等の作業を地上からの遠隔操作によって行うことができる。潜水士による水中作業を回避し、安全性を向上させるメリットを活かして天ヶ瀬ダムの排水路建設工事で適用した。今後、ダム改修のみならず大水深工事での展開も図る。

(5) 自然由来ヒ素含有土の浄化技術の開発

首都圏を中心に多く計画されている大深度のシールドトンネル工事において発生が懸念されている、自然由来のヒ素を含む土壌から、効率的にヒ素を回収する技術を開発した。これは、シールド掘削に伴って発生するヒ素を含む泥水に鉄粉を混ぜ、磁気分離装置によりヒ素を回収するものであり、実用化に向けて装置を小型化するとともに鉄粉の再利用方法を確立した。発生土のヒ素溶出量を環境基準値以下に抑えることにより、埋立て処分の減容化に貢献する。今後、建設副産物の減容化技術として各種プロジェクトに適用を図る。

 

(6) 連結子会社における研究開発の主なもの

大成ロテック㈱において、舗装の維持修繕に関わる技術として、路面性状を回復するための「薄層舗装用のアスファルト混合物の開発」や環境にやさしい「耐久性の高いひび割れ補修材の開発」、循環型社会の構築へ向けた舗装技術からのアプローチとして「繰り返し再生されたアスファルト混合物の望ましい再生方法の検討」や「CO2排出量の削減を目的とした中温化技術の高度化」及び寒冷地の冬季路面対策として「車道用凍結抑制舗装技術の開発」や「歩道用の除雪補助機能を有する舗装の開発」等の研究を行っている。

 

(建築事業)

(1) 「ZEB実証棟」の完成

建築物のエネルギー問題の解決を目的として「ZEB実証棟」を技術センターに建設した。ZEBはZero Energy Building(ゼロエネルギービル)の略であり、特に条件の厳しい都市でのZEB実現を目指している。一般ビルの年間消費エネルギーの75%を新開発の採光システム「T-Light Cube」、躯体放射空調システム「T-Radiant Slab」等で削減し、残りの25%を屋上と外壁の太陽電池による発電で補う。外壁には三菱化学(株)がNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」で開発中の薄くて軽い太陽電池を、当社と共同開発した「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」に組み込んだ。BELS(一般社団法人住宅性能評価・表示協会:建築物省エネルギー性能表示制度)の5つ星評価及びLEED(米国グリーンビルディング協会:建築環境性能認証制度)の新築カテゴリープラチナ認証(どちらも最高位)を国内で初めて取得し、地球温暖化防止活動環境大臣賞も受賞した。現在、導入技術の効果を実証中である。

(2) 地震時の天井落下防止技術の開発

東日本大震災において発生した約2000件の天井脱落事故を受け、国土交通省は新たな告示を2014年4月1日付で施行している。当社は、かねてから天井脱落対策に注力しており、体系化した社内マニュアルを整備するとともに、天井の耐震技術の開発を進めている。構造体と吊り天井材との間にV字型の斜材を設置する耐震技術「T-Ceiling・V-brace工法」は、新しい告示に対応した日本建築センター評定の第一号となった。また、既存建物に対する耐震補強技術「T-Ceiling・Grid工法」は既存天井を解体せずに格子状の支持部材で補強する工法であり、天井落下防止技術として様々な用途の建物に提案・展開していく。

(3) 大スパン梁「T-POP構法」の適用拡大

プレキャスト・プレストレストコンクリート梁を大梁に使用する設計・施工法について、日本建築センターの評定を国内で初めて取得した。「T-POP構法・高密度配線タイプ」は、現場での緊張作業不要、PC鋼より線の本数削減、梁断面の縮小という特長を持ち、省力化と低コストを兼ね揃えた大スパン梁の施工を可能とした。大型倉庫や高層マンションをはじめ、一般建築物にも積極的に適用を進めていく。

(4) 広域で景観を可視化できる景観評価システムの開発

施設の建設計画初期段階において、10kmスケールの広域で、計画施設が景観に与える影響を任意の視点から事前確認できる景観評価システムを開発した。本システムは、地形や周辺施設を考慮し計画施設の見え方を数値化した可視化率で評価するとともに、既に実績が多数あるバーチャルリアリティシステムによる体感や、広域温熱・気流解析技術による工場や発電所等から発生する白煙の影響などの視覚的評価も可能とした。景勝地付近での景観配慮や、建物外観や広告物を検討するうえで事業主や近隣住民、設計者などへの合意形成に活用していく。

(5) 無線給電システム「電化フロア電動カート」の開発

走行中の電気自動車にワイヤレスで電気を供給する電化フロア技術を豊橋技術科学大学と共同で開発した。本技術は、床に施工した金属に高周波電流を流すと、近づいた別の金属(タイヤのスチールベルト)に電界が生じて電気が流れる特性を利用した電界結合方式を利用している。従来の電磁界誘導方式では連続的に給電することは不可能であったため充電装置や作業が必要であったが、連続給電によってそれらが不要となり、電気自動車の稼働率向上や軽量化及びコストダウンが図れる。今後、生産施設や物流施設内の無人搬送システムなど幅広い用途での展開を目指して技術開発を進める。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 概況

当連結会計年度の経営成績については、受注高・売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の各項目において年度当初の予想を達成した。

財政状態については、当期純利益の計上に加え、株式相場上昇によるその他有価証券評価差額金の増加や劣後ローンの返済資金に充てるために実施した新株式発行による増資等により純資産が4,921億円に増加したため、自己資本比率は前連結会計年度比4.3%増の28.2%となった。また、資金調達に係る有利子負債が2,732億円と432億円減少したことから、D/Eレシオは0.3ポイント好転して0.5倍となった。

以上より、中期経営計画の最終年度(2014年度)における経営数値目標(営業利益470億円、有利子負債3,000億円未満、D/Eレシオ1.0倍)をいずれも達成した。

 

(2) 財政状態

①資産の状況

株式相場上昇による投資有価証券の増加及び完成工事未収入金の増加等により、資産合計は前連結会計年度末比8.5%・1,361億円増の1兆7,352億円となった。

②負債の状況

資金調達に係る有利子負債の削減はあったものの、電子記録債権に係る債務の増加等により、負債合計は前連結会計年度末比2.3%・282億円増の1兆2,431億円となった。

 なお、当連結会計年度末の資金調達に係る有利子負債残高は2,732億円となった。

③純資産の状況

当期純利益の計上に加え、株式相場上昇によるその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末比28.1%・1,079億円増の4,921億円となった。

 

(3) 経営成績

①受注高及び売上高

受注高は、土木事業及び建築事業において増加したことから、前連結会計年度比7.3%増の1兆7,657億円となった。

また、売上高も土木事業及び建築事業において増加したことから、前連結会計年度比2.6%増の1兆5,732億円となった。

②営業利益及び経常利益

営業利益は、売上総利益が前期の大型案件売却に伴う反動により開発事業において減少したものの、建築事業の売上総利益率の好転により増益となり、販売費及び一般管理費が概ね前期並みとなったことから、前連結会計年度比31.0%増の704億円となった。

経常利益は、支払利息の減少等により営業外損益が好転したことから、前連結会計年度比31.2%増の744億円となった。

③当期純利益

当期純利益は、法人税率引き下げに伴う繰延税金資産取り崩しによる税負担額の増加があったものの、経常利益の増加により、前連結会計年度比19.0%増の381億円となった。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。