第2【事業の状況】

 

1【業績等の概要】

(1)業績

  当期におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善傾向が続き、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、世界経済の下振れリスクなどの不透明感が継続しました。

  水産・食品業界では、原材料価格の高止まりや人材不足の懸念は継続しており、個人消費においては食料品や日用品の値上げを背景にした節約志向に加え、生活の質の向上を重視する選別消費の傾向が強まっています。

  このような状況のもと、当社グループは、中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017(2014-2017)」の2年目を迎え、引き続き事業基盤の回復に努めるとともに、完全養殖マグロ事業の拡大、グローバル領域における収益拡大、及び機能性表示食品の新商品発売など、「成長路線の遂行」に向けて取り組んでまいりました。

  その結果、売上高は884,811百万円(前期比2.4%増)、営業利益は16,972百万円(前期比95.4%増)、経常利益は17,124百万円(前期比44.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,097百万円(前期比43.2%減)となりました。

 

  各セグメントの業績は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

  漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。

  漁業部門では、燃油価格の下落と魚価の安定により海外まき網事業の収支が改善傾向にあり、カナダ・南アフリカなどの海外事業も好調、養殖部門ではマグロの生産・販売が堅調に推移した結果、漁業・養殖事業の売上高は37,715百万円(前期比7.4%増)、営業利益は1,633百万円(前期比69.4%増)となりました。

 

商事事業

  商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニット、及び量販店、コンビニエンスストア、生協、外食、介護食、通販などの業態に特化した戦略販売ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。

  水産商事ユニットは、主要魚種の多くが高値圏にあるなか、冷凍魚・タコ・イカなどを中心とした原料販売、及び切り身などの製品販売が好調に推移し、増収増益となりました。

  荷受ユニットは、鮮魚・冷凍魚ともに単価高が続くなか、冷凍魚の販売が減収となったものの、コスト削減と歩率確保に努めた結果、増益となりました。

  畜産商事ユニットは、畜産品全般の価格が堅調に推移したものの、輸入豚肉の低調な荷動きにより減収、牛肉事業及び加工品事業の利益率向上により増益となりました。

  戦略販売ユニットは、エビ・貝類・凍魚などの主要魚種において原料価格が高値圏で推移したものの、食品スーパー、外食、コンビニエンスストア等の各業態の主要取引先との取組強化により、増収増益となりました。

  以上の結果、商事事業の売上高は453,448百万円(前期比0.3%増)、営業利益は4,332百万円(前期比13.2%増)となりました。

 

海外事業

  海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している海外ユニット(アジア・オセアニア地区)、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。

  海外ユニットは、タイで製造する水産冷凍食品の輸出が欧州の特恵関税撤廃により減少したものの、豪州漁業会社の業績が主要魚種の単価堅調に加えてエビ豊漁により好調であり、増収増益となりました。

  北米ユニットは、米国産冷凍鮭鱒の販売増加、及び助宗すりみの販売が堅調に推移し、増収増益となりました。

  以上の結果、海外事業の売上高は157,587百万円(前期比7.6%増)、営業利益は7,655百万円(前期比120.7%増)となりました。

 

加工事業

  加工事業は、市販用及び業務用冷凍食品の製造・販売を行う冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・ペットフード・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット、及び化成品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。

  冷凍食品ユニットは、麺・米飯類などの主食系商品や市販用新商品及び群馬工場再稼働による販売増に加え、原材料コストの上昇に対する価格改定が進み、増収増益となりました。

  加工食品ユニットは、缶詰の価格改定による利益改善が寄与したものの、チルド食品部門の販売不振等により、減収減益となりました。

  化成ユニットは、年間を通じたインバウンド消費の増加により、医薬品用及び化粧品用の原料販売が好調に推移したことに加え、機能性表示食品への期待によりDHA・EPAの販売が伸長し、増収増益となりました。

  以上の結果、加工事業の売上高は215,319百万円(前期比2.7%増)、営業利益は232百万円(前期比2,260百万円増)となりました。

 

物流事業

  物流事業は、トラックドライバーの不足等によるコスト上昇が続くなか、水産品・畜産品・冷凍食品の集荷拡大と、輸配送事業の強化に努めました。

  当期は、関東地区を中心とした高水準の在庫に加え、輸配送事業も伸長した結果、物流事業の売上高は15,622百万円(前期比3.0%増)、営業利益は1,781百万円(前期比52.2%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資に使用した結果、当連結会計年度末には12,009百万円と前連結会計年度末に比べ1,942百万円減少いたしました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動の結果得られた資金は30,616百万円となり、前期に比べ12,727百万円増加いたしました。

投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、20,303百万円となり、前期に比べ13,216百万円増加いたしました。

財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、12,127百万円となり、前期に比べ1,379百万円増加いたしました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産・仕入実績

  当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

前年同期比(%)

漁業・養殖事業(百万円)

42,025

104.5

商事事業(百万円)

389,907

100.6

海外事業(百万円)

165,093

102.0

加工事業(百万円)

148,554

96.3

物流事業(百万円)

13,835

104.7

報告セグメント計(百万円)

759,417

100.3

その他(百万円)

3,099

76.9

合計(百万円)

762,516

100.2

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

  当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

前年同期比(%)

漁業・養殖事業(百万円)

37,715

107.4

商事事業(百万円)

453,448

100.3

海外事業(百万円)

157,587

107.6

加工事業(百万円)

215,319

102.7

物流事業(百万円)

15,622

103.0

報告セグメント計(百万円)

879,693

102.5

その他(百万円)

5,118

99.2

合計(百万円)

884,811

102.4

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。

また、中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017(2014-2017)」において、平成28年度からの2年間を「成長への挑戦」の期間と位置付け、「成長路線の遂行」「グローバル領域での収益拡大」「財務体質の改善」を推進してまいります。

 

①成長路線の遂行

持続的成長の追求を基本方針とし、責任体制が明確で効率的なグループ経営を目指します。そのために、11の事業領域から構成されるユニットを中心とした経営を推進し、より戦略的に、より具体的に、より効果的に成長戦略を実行しやすい体制を構築します。また、ユニット内及びユニット間の協業や成長分野への戦略投資などの施策をタイムリーに推進することによりグループの成長を創出いたします。

 

②グローバル領域での収益拡大

水産物と加工食品の世界的な需要拡大が見込まれるなか、グローバル市場で成長を遂げることを当社グループが持続的な発展を実現していくための重要戦略と位置付け、中核収益事業の強化のための投資及び新規案件への投資を拡大してまいります。

 

③財務体質の改善

財務体質の改善を目標とし、運転資本の効率化による有利子負債の削減と自己資本比率の改善を進めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)食の安全

当社グループは、独自のフードディフェンス管理基準の生産工場、物流拠点での運用や、日常的な食品の安全性評価と最新の科学情報の収集及び法令の研究など、食品安全を含めた品質保証体制の強化に取り組んでおります。

しかしながら、上記の取り組みの範囲を超える事象が発生した場合には、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)原材料調達の変動

  当社グループは国内及び海外から水産物を始めとした原材料を購入し、安定的な原材料の確保と適正価格の維持に努めております。しかしながら、原材料の需要動向、漁獲高の変動などにより、原材料の調達が困難になった場合や購入価格が高騰した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替レートの変動

  当社グループの取り扱い製商品には海外からの輸入製商品が多く含まれており、為替レート変動の影響を受けております。このため、為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い、為替レートの変動による影響を最小限に止めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)金利の変動

  当社グループの借入金は、当連結会計年度末で281,362百万円となっております。今後の金利動向により調達金利が変動し、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)原油価格の高騰

  当社グループでは、漁業・養殖ユニットで漁業を行っております。原油価格の高騰があった場合には、漁船の燃油コストの上昇につながり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害

  当社グループでは、国内外に多数の生産拠点を有しております。地震や台風等の自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の麻痺等により事業活動が制限され、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)人材の確保・育成

  当社グループが今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しております。しかしながら、人材の確保・育成ができなかった場合には、当社グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

  当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。

  特に、水産・食品分野を中心として、①食品の高度(微細)加工、②食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、③微生物制御、④機能性素材開発、⑤環境・自然と調和した水産資源調達技術の五つの領域に注力いたしました。

  当連結会計年度における研究開発費の総額は738百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業47百万円、商事事業236百万円、海外事業121百万円、加工事業340百万円、物流事業14百万円、全社費用配賦差額△21百万円であります。

 

  主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

  世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっています。ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められております。これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。

 

商事事業

  エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。

 

海外事業

  水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。

  主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。

 

加工事業

  食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。

  食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。

  新規食品カテゴリーとして、ロングライフチルド(LLC)商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進め、平成27年4月のLLC商品4種の販売開始に貢献いたしました。更に、その後のLLC新商品の開発にも引き続き携わっております。

  また、LLCで培った微生物制御技術を応用して、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品の安全性担保・品位向上へ向けた水平展開を進めております。

  平成27年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。

  当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、平成28年4月時点で、DHA・EPAを関与成分に中性脂肪を低下させる機能がある食品として6品、DHAを関与成分に情報の記憶をサポートする機能がある食品として5品の合わせて11品について消費者庁に届出を受理されており、そのうちの6品を既に発売しております。また、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材について順次検討を進めております。

  さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域小学校における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

  当連結会計年度の売上高は、884,811百万円(前期比2.4%増)となりました。

  漁業・養殖事業では、燃油価格の下落と魚価の安定により海外まき網事業の収支が改善傾向にあり、カナダ・南アフリカなどの海外事業も好調であること、及び養殖部門でのマグロの生産・販売が堅調に推移したことにより増収となりました。

  商事事業では、荷受ユニットにおいて鮮魚・冷凍魚ともに単価高が続くなか、冷凍魚の販売が減収となったこと及び畜産商事ユニットにおいて輸入豚肉の荷動きが低調となった一方で、戦略販売ユニットにおいて食品スーパー、外食、コンビニエンスストア等の各業態の主要取引先との取組強化により増収となりました。

  海外事業では、海外ユニットにおいて豪州漁業会社の業績が主要魚種の単価堅調に加えてエビ豊漁により好調となったこと、及び北米ユニットにおいて米国産冷凍鮭鱒の販売増加、及び助宗すりみの販売が堅調に推移し増収となりました。

  加工事業では、加工食品ユニットにおいてチルド食品部門が販売不振となった一方、冷凍食品ユニットにおいて麺・米飯類などの主食系商品や市販用新商品及び群馬工場再稼働による販売増に加え、原材料コストの上昇に対する価格改定が進み増収となりました。

  物流事業では、関東地区を中心とした高水準の在庫に加え、輸配送事業も伸長し増収となりました。

  売上原価、販売費及び一般管理費は、豪州漁業会社の連結子会社化が前期の第3四半期からであったこと等もあり前期に比べ増加いたしました。その結果、営業利益は16,972百万円(前期比95.4%増)、経常利益は17,124百万円(前期比44.7%増)となりました。
  親会社株主に帰属する当期純利益は、受取補償金等の特別利益2,185百万円を計上した一方で、減損損失等の特別損失6,876百万円を計上した結果4,097百万円(前期比43.2%減)となりました。

  なお、事業別の売上高及びセグメント利益の概況については、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (1)  業績」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

  総資産は485,973百万円となり、前期に比べ16,043百万円減少いたしました。これは、主としてたな卸資産の減少によるものであります。

  負債は380,306百万円となり、前期に比べ12,532百万円減少いたしました。これは、主として借入金及び未払金の減少によるものであります。

  非支配株主持分を含めた純資産は105,666百万円となり、前期に比べ3,511百万円減少いたしました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

  キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (2)  キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。