第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当連結会計年度におけるわが国経済は、金融緩和をはじめとする各種経済政策のもと、企業収益は改善し、設備投資や個人消費に持ち直しの動きがみられる等、緩やかな回復基調で推移しましたが、海外景気の下振れリスクや消費税増税後の消費減退への懸念等があり、先行きが不透明な状況が続きました。

  水産・食品業界におきましても、原材料価格の上昇に円安が加わり、仕入・調達コストの上昇が続く一方で、販売価格への転嫁が遅れ、厳しい事業環境となりました。

  このような状況のもと、当社グループは、中期三ヵ年経営計画「ダブルウェーブネクスト(2011-2013)」の最終年度を迎え、欧州水産物販売会社及び豪州漁業会社への出資等事業の選択と集中を進め、グループの資本・組織の最適化に向けた経営体制の強化に取り組みました。

  また、国内外の市場動向を注視しながら、既存ルートへの積極販売に加え、お客様のニーズに対応した買付・加工・販売を行い、盤石な事業基盤の確立と収益の確保に努めました。

 

  事業別の業績は次のとおりであります。

  漁業・養殖事業は、養魚飼料の販売数量が減少したことにより減収となりましたが、ブリ類の相場の大幅な回復及びマグロの相場の堅調な推移により、増益となりました。

  すりみの生産販売を中心とした北米事業は、平成25年6月に資本参加した欧州水産物販売会社の堅調な販売により増収となりましたが、助子の減産及び組成悪化による単価下落、円安による日本向けすりみ価格の下落並びに欧州フィーレ市況の低迷により、減益となりました。

  海外調達ネットワークを持つ水産商事事業は、鮭鱒・エビをはじめとする主要魚種全般において相場が上昇するなか、各商材の適時買付と前倒し販売などの対応により、大幅な増収増益となりました。

  市場外流通を受け持つ戦略販売事業は、鮭鱒・エビ・ホタテ等の主要魚種の相場上昇のなかでも、需要は堅調に推移し、量販店・外食向け販売が増加しましたが、コンビニエンスストア向け原料販売の不振と価格修正の遅れにより、増収減益となりました。

  以上の結果、売上高は264,449百万円(前期比15.2%増)、営業利益は5,456百万円(前期比10.9%増)、経常利益は6,625百万円(前期比29.2%増)、当期純利益は3,730百万円(前期比27.7%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、借入れにより得られた資金を、主として関係会社株式の取得に使用した結果、当連結会計年度末には1,771百万円と前連結会計年度末に比べ484百万円減少いたしました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動の結果使用した資金は3,980百万円(前期は6,343百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動の結果使用した資金は、主に関係会社株式の取得によるもので、6,765百万円(前期は1,580百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動の結果得られた資金は、主に借入れによる収入によるもので、10,345百万円(前期は7,435百万円の支出)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産・仕入実績

  当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

水産事業

242,768

120.0

  (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループは「水産事業」のみの単一セグメントであります。

(2)受注状況

  当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

水産事業

264,449

115.2

  (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループは「水産事業」のみの単一セグメントであります。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。

3【対処すべき課題】

(1)マルハニチログループの信頼回復

  当社グループは、『私たちマルハニチログループは誠実を旨とし、本物・安心・健康な「食」の提供を通じて、人々の豊かな生活文化の創造に貢献します。』という理念のもと、社会から求められ、信頼される企業グループを目指してまいりましたが、株式会社アクリフーズ群馬工場において、平成25年年末に発生した農薬混入事件により、お客様、お取引先様、株主様をはじめ広く全国の皆様に多大なご迷惑とご不安、ご心配をおかけする事態を招きました。

  この事態を受け、外部有識者からなる『アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」』から、平成26年4月30日にいただいた中間報告を真摯に受け止め、速やかに再発防止策及び危機管理再構築計画を策定・実施しているところであります。具体的には、平成26年4月1日に社長の直轄組織として設置した「危機管理再構築委員会」において、次の課題に対する再構築の企画検討、実施推進に取り組んでおります。

  さらに、平成26年5月29日に『アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」』よりいただきました最終報告に盛り込まれました提言内容を踏まえた施策も検討・実施してまいります。

 

①グループガバナンスの強化

  農薬混入事件発生後、当社グループ理念から大きく逸脱する対応を行ったことは、一連の問題において最も反省すべきことと認識しております。当社グループが食品企業として社会から何を求められているかという原点に立ち戻り、グループ理念を再確認し、役職員への定着を徹底してまいります。また、現在のグループ経営体制における責任と権限の明確化も図ってまいります。

 

②食品安全・フードディフェンスの再構築

  当社グループで従来行っていた食品安全対策に加え、当社グループの生産拠点、物流拠点におけるフードディフェンスの取り組みとして、「外部侵入や異物混入を防止する施設整備」、「フードディフェンスルールの策定及び運用」、「フードディフェンスに対する意識の醸成」及び「風通しの良い職場環境の整備」の4点を実施するとともに、これらの活動を継続的に見直してまいります。

 

③品質保証体制の再構築

  当社グループの品質保証体制を再構築するために、「品質保証関連規程類の見直し及びグループ企業への周知徹底」、「お客様からのお申し出の中で重大案件を察知し、関係者で共有するシステムの構築」、「製品品質リスクの調査・分析・評価の定常的な実施」、「食品衛生・関係法令に関する社員教育の実施及び専門家の育成」及び「万一、大規模な食品事故が発生した際のマニュアル策定と定期的な現場演習」を実施してまいります。

 

④危機管理体制の再構築

  当社グループの危機管理体制を再構築するため、食品事故を含む様々な事業上の危機的事態が発生した際の初期対応体制の整備及び責任と権限の明確化を行うとともに、定期的な現場演習を実施してまいります。また、危機的事態の発生を抑制するリスクの分析及び対応策の策定、並びにお客様との双方向のコミュニケーションを図るなど、リスクへの感度を上げる活動も行ってまいります。さらに、リスク管理と食品安全を管理強化する組織体制の再整備も検討いたします。

 

⑤労務問題の改善

  当社グループの生産拠点及び物流拠点における労務問題を抽出し、その改善を図るとともに、各種労務規則や労務管理手法を見直してまいります。

 

(2)成長路線への転換

  当社グループは、グループの総合力が発揮できるシンプルな経営体制の構築を目指して、平成26年4月1日にグループの中核会社6社(株式会社マルハニチロホールディングス、株式会社マルハニチロ水産、株式会社マルハニチロ食品、株式会社マルハニチロ畜産、株式会社マルハニチロマネジメント及び株式会社アクリフーズ)が合併し、純粋持株会社体制から事業持株会社体制に転換いたしました。

  事業持株会社である当社を推進エンジンとして、マルハとニチロの統合10周年となる平成29年を見据え、平成26年度から平成29年度までの中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017」を平成26年5月に策定いたしました。前述の信頼回復策を最優先課題に据えていることに加え、次の課題に取り組んでまいります。

 

①成長路線の遂行

  事業持株会社体制を基軸とした持続的成長の追求を基本方針とし、責任体制が明確で効率的なグループ経営を目指します。そのために、11の事業領域から構成されるユニットを中心とした経営を推進し、より戦略的に、より具体的に、より効果的に成長戦略を実行しやすい体制を構築します。また、ユニット内及びユニット間の協業や成長分野への戦略投資などの施策をタイムリーに推進することによりグループの成長を創出いたします。

  国内外の中核事業の強化のための投資及び新規案件の投資を推進し、戦略投資を含めた期間中の設備投融資合計額として、750億円程度を計画しております。

 

②グローバル領域での収益拡大

  水産物と加工食品の世界的な需要拡大が見込まれるなか、グローバル市場で成長を遂げることを、当社グループが持続的な発展を実現していくための重要戦略と位置付けます。

 

③財務体質の改善

  財務体質の改善を目標とし、運転資本の効率化による有利子負債の削減と自己資本比率の改善を進めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)食の安全

  当社グループは平成26年5月29日に『アクリフーズ「農薬混入事件に関する第三者検証委員会」』よりいただきました最終報告(提言)を真摯に受けとめ、再発防止策及び危機管理再構築計画を策定・実施しているところであります。具体的には、平成26年4月1日に社長の直轄組織として設置した「危機管理再構築委員会」において、グループガバナンスの強化、食品安全・フードディフェンスの再構築、品質保証体制の再構築、及び危機管理体制の再構築等に取り組んでおります。

  しかしながら、上記の取り組みの範囲を超える想定外の事象が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)原材料調達の変動

  当社グループは国内及び海外から水産物を始めとした原材料を購入し、安定的な原材料の確保と適正価格の維持に努めております。しかしながら、原材料の需要動向、漁獲高の変動などにより、原材料の調達が困難になった場合や購入価格が高騰した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3)為替レートの変動

  当社グループの取り扱い製商品には海外からの輸入製商品が多く含まれており、為替レート変動の影響を受けております。このため、為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い、為替レートの変動による影響を最小限に止めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)金利の変動

  当社グループの借入金は、当連結会計年度末で93,072百万円となっております。今後の金利動向により調達金利が変動し、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)原油価格の高騰

  当社グループでは、漁業・養殖ユニットで漁業を行っております。原油価格の更なる高騰があった場合には、漁船の燃油コストの上昇につながり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害

  当社グループでは、国内外に多数の生産拠点を有しております。地震や台風等の自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の麻痺等により事業活動が制限され、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)人材の確保・育成

  当社グループが今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しております。しかしながら、人材の確保・育成ができなかった場合には、当社グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

  当社は、平成25年10月28日開催の取締役会において、平成26年4月1日をもって、当社を存続会社として、当社完全親会社である株式会社マルハニチロホールディングス、株式会社マルハニチロ食品、株式会社マルハニチロ畜産、株式会社マルハニチロマネジメント及び株式会社アクリフーズの6社合併を行う吸収合併契約書を締結することを決議し、同日付で吸収合併契約書を締結しました。

  なお、合併期日の平成26年4月1日に本合併を実施いたしました。詳細は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

  当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。

  特に、①おいしさ、栄養、健康を追求した水産品をはじめとする素材・食品領域、②環境、自然と調和した素材・食品領域、③安全・安心の追求に向けた分析・検査領域の三つの領域に注力いたしました。

  その成果の例としましては、以下が挙げられます。

  ・エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発し、素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として実用化いたしました。

  ・ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められています。養殖に用いる飼料を開発し、一定期間投与することで、血合肉の変色を抑制できることを確認して、実用化に至っております。

  ・水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。

  また、魚介類は優れた栄養成分を豊富に含んでおり、健康の維持に重要な役割を果たしていると考えられますが、魚食が人の健康に寄与する働きについても精力的に研究活動を進めております。さらに、水産関連学会などでの発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域小学校における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に、継続して取り組んでまいりました。

  なお、当社グループの当連結会計年度の研究開発費は133百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の分析

  当連結会計年度の売上高は、264,449百万円(前期比15.2%増)となりました。
  この主な要因は、水産商事事業における鮭鱒・エビを始めとする主要魚種全般の相場上昇や北米事業における欧州水産物販売会社への資本参加、在外連結子会社の換算レート変動による売上増加影響等であります。
  売上原価は、仕入金額の増加や円安等によりコストが増加いたしました。販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴い発送配達費等が増加いたしました。その結果、営業利益は5,456百万円(前期比10.9%増)となりました。
  経常利益は、持分法による投資利益の増加等により6,625百万円(前期比29.2%増)となりました。
  当期純利益は、減損損失等の特別損失を計上した結果3,730百万円(前期比27.7%増)となりました。

(2)財政状態の分析

  総資産は151,536百万円となり、前期に比べ27,083百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。

  負債は120,043百万円となり、前期に比べ19,005百万円増加いたしました。これは、主として借入金の増加によるものであります。

  少数株主持分を含めた純資産は31,492百万円となり、前期に比べ8,077百万円増加いたしました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

  キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (2)  キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。