第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善など緩やかな回復基調で推移し、個人消費も総じて持ち直しの動きが続いた。一方、消費者マインドには依然として足踏みが見られるとともに、為替相場の不安定さなどにより先行き不透明な状況が継続した。

世界経済(連結対象期間1-12月)については、米国では雇用情勢に改善が見られるとともに個人消費が増加し、欧州でも失業率の低下傾向が継続するなど景気が改善傾向にあったが、アジアでは中国において景気は緩やかに減速した。

当社および当社グループにおいては、水産事業では鮭鱒価格が急速に回復するなど好調に推移し、食品事業では国内で円高による原材料や加工製品などの輸入コストの減少があったが、北米では家庭用冷凍食品で苦戦した。

このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は6,359億53百万円(前期比12億11百万円減)、営業利益は226億46百万円(前期比32億4百万円増)、経常利益は248億84百万円(前期比41億88百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は142億16百万円(前期比19億8百万円増)となった。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

平成29年

3月期

635,953

22,646

24,884

14,216

平成28年

3月期

637,164

19,442

20,696

12,307

前期増減

△1,211

3,204

4,188

1,908

前期比

99.8%

116.5%

120.2%

115.5%

 


セグメント別の概況は次のとおりである。
なお、当連結会計年度より、当社の水産事業と食品事業間で業務の一部を移管したためセグメント売上高およびセグメント利益を組み替えており、以下の前期比較についても、前期の数値を移管に合わせて組み替えた数値と比較している。

(単位:百万円)

 

売上高

前期増減

前期比

営業利益

前期増減

前期比

水産事業

265,869

△6,871

97.5%

7,949

3,451

176.7%

食品事業

304,487

2,163

100.7%

11,112

930

109.1%

ファイン事業

25,796

113

100.4%

3,976

△657

85.8%

物流事業

15,982

794

105.2%

1,799

△55

97.0%

その他

23,817

2,589

112.2%

635

13

102.2%

全社経費

△2,826

△478

120.4%

合計

635,953

△1,211

99.8%

22,646

3,204

116.5%

 

(注)水産事業の営業利益には、南米の鮭鱒養殖事業における在池魚評価益560百万円(前期在池魚評価損128百万円)が含まれている。

 

 

① 水産事業

水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
水産事業では売上高は2,658億69百万円(前期比68億71百万円減)となり、営業利益は79億49百万円(前期比34億51百万円増)となった。
 
漁撈事業:前期比で増収、増益
<日本>
・かつおやぶり等の漁獲が好調だったことに加え、修繕費や原油安による燃料費の減少などにより、増益となった。
<南米>
・ほきの漁獲が低調となり、減収減益となった。
 
養殖事業:前期比で減収、増益
<日本>
・まぐろの販売価格が下落したことに加え、ぶりの販売数量減少や鮭鱒の原魚コスト増加などもあり、減益となった。
<南米>
・鮭鱒は赤潮の発生により販売数量が減少したものの、販売価格が急速に回復したことに加え、在池魚評価が好転したこともあり増益となった。
 

  加工・商事事業:前期比で減収、減益
  <日本>
  ・魚粉などの販売価格が下落したものの、えびやすりみなどが好調に推移し増益となった。
   <北米>
  ・助子の卵率低下に加え、フィレやすりみの市況が低迷し減益となった。

   <ヨーロッパ>
   ・デンマーククローネ高による為替換算の影響などもあり、減収減益となった。

 

② 食品事業

食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
食品事業では売上高は3,044億87百万円(前期比21億63百万円増)となり、営業利益は111億12百万円(前期比9億30百万円増)となった。
 
加工事業:前期比で減収、増益
<日本>
・冷凍食品や練り製品などの販売が好調に推移したことに加え、円高の影響による原材料や加工製品などの輸入コストの減少などにより増益となった。
<北米>
・家庭用冷凍食品会社では最需要期となる第1四半期での主力商品の販売不振の影響が大きく、減益となった。<ヨーロッパ>
・販売数量増加により増収となったものの、為替換算の影響などもあり減益となった。
 
チルド事業:前期比で増収、増益
<日本>
・コンビニエンスストア向けサラダや惣菜などの販売が伸長し、生産性も向上したことで増益となった。

 

 

③ ファイン事業

ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および医薬品、診断薬の生産・販売を行っている。
<当連結会計年度の概況>
ファイン事業では売上高は257億96百万円(前期比1億13百万円増)となり、営業利益は39億76百万円(前期比6億57百万円減)となった。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>
・医薬原料において後発品使用促進策の影響があり、販売数量が減少し減益となった。
<臨床診断薬、産業検査薬、医薬品、化粧品>
・臨床診断薬、産業検査薬などにおいて、販売が順調に推移したものの、製造原価などのコストが上昇し減益となった。

 

④ 物流事業

物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
物流事業では売上高は159億82百万円(前期比7億94百万円増)となり、営業利益は17億99百万円(前期比55百万円減)となった。
・大阪舞洲物流センター新設により売上高は増加したものの、減価償却費及び開設初期費用の発生などにより減益となった。

 

(注1)主に食品素材や化粧品素材向けとなるEPA・DHA、コレステロール、オレンジラフィー油など。

(注2)特定保健用食品「イマーク」・「イマークS」やEPA・DHAなどのサプリメント。
 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益245億29百万円(前期比35億87百万円増)、減価償却費163億55百万円(前期比1億30百万円増)、売上債権の増加57億44百万円(前期比77億50百万円増)、たな卸資産の増加13億0百万円(前期比27億54百万円増)、仕入債務の増加19億46百万円(前期比10億94百万円増)、未払費用の増加27億2百万円(前期比24億63百万円増)などの結果、301億79百万円の収入(前期比72億15百万円収入減)となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

UNISEA, INC.におけるドックの維持更新、当社の鹿島医薬品工場への投資、共和水産株式会社における船舶の取得などの有形固定資産の取得による支出234億47百万円(前期比42億57百万円増)、投資有価証券の売却による収入155億37百万円(前期比4億33百万円増)などにより、74億45百万円の支出(前期比96億5百万円支出減)となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入128億0百万円(前期比17億39百万円減)、長期借入金の返済による支出332億95百万円(前期比52億36百万円増)、株式の発行による収入139億11百万円(前期比139億11百万円増)などにより、115億17百万円の支出(前期比116億24百万円支出減)となった。

 

以上の結果、現金及び現金同等物は期末残高は251億81百万円(前期比111億24百万円増)となった。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

104,814

△2.7

食品事業

270,101

1.8

ファイン事業

20,754

△2.6

合計

395,670

0.3

 

(注) 1 金額は、販売価格による。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

(2) 受注状況

受注生産は行っていない。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

265,869

△2.5

食品事業

304,487

0.7

ファイン事業

25,796

0.4

物流事業

15,982

5.2

その他

23,817

12.2

合計

635,953

△0.2

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

79,666

12.5

75,452

11.9

 

3 上記の金額には、消費税等は含まれていない。

4 当連結会計年度より、当社の水産事業と食品事業間で業務の一部を移管したため、セグメント売上高を組み替えている。上記の前期比較は前期の数値を組み替えた数値と比較している。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題

当社および当社グループにおいて、平成28年度は中期経営計画「MVIP2017」(平成27年度~29年度)の二年目であり、南米の鮭鱒養殖事業における販売価格の急速な回復や、食品事業では販売が好調に推移したことに加え原材料輸入コストの減少もあり、計画を上回る進捗となった。本年度は中期経営計画「MVIP2017」の最終年度であり、目標達成に向けて全社一丸となって取り組んでいく。

なお文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において、当社が判断したものである。

 

 中期経営計画「MVIP2017」の主な内容

1)企業として目指す姿
 当社および当社グループは、中期経営計画「MVIP2017」において、変化に対応し、差別化できる独自の技術力を持つメーカーを目指す。そのため、①成長に向けて積極的に投資、②資源アクセス力を強化、③健康機能食品・高付加価値商品を提供、④海外でのパフォーマンスを拡大(北米・ヨーロッパに続きアジアに注力)に取り組む。
また、当社は、「使命感」・「イノベーション」・「現場主義」・「グローバル」・「お客様を大切にする」という、創業以来受け継いできた5つの企業遺伝子のもと、CSRに根差した経営を推進し、広く社会に貢献すると共に、財務体質を強化し企業価値を高めていく。

2)主な事業戦略
 水産、食品、ファインケミカルの主要3事業の個々の強化に加え、それぞれの事業領域の境目となる分野で融合を進めることで、より高い成果を目指す。ファインケミカル事業をさらに先鋭化させると共に、長年培ってきた水産事業を核としつつ、水産および食品事業の連携をさらに強化することで成長を実現していく。
(ⅰ)ニッスイの主要3事業とその融合分野で強化するポイント
 戦略展開のポイントとして、事業の枠を超え、事業境目領域での融合・連携を深めることで、当社および当社グループの事業を拡大し成長を実現する。
 


 

(ⅱ)事業の融合を実現するキーワード
<食品、水産、ファインケミカル事業の融合>
  ・機能性脂質技術の全事業での活用
  ・調味料・水産エキスビジネスの拡大
  ・海外での伸長
<食品と水産事業の融合>
  ・惣菜型食品・水産食材品の進化・深化
  ・養殖の高度化
<食品とファインケミカル事業の融合>
  ・EPA事業の拡充と新用途、医薬への挑戦

 

3)中期経営計画 MVIP2017 の目標とする姿(KPI)
連結売上高   6,800億円以上   連結営業利益    230億円以上
EBITDA     415億円以上   自己資本比率      25%以上
ROA              3.5%以上   有利子負債額   2,400億円以下

※算出に用いた為替レート:USD 120円 EUR 146円
※ROA = {「当期純利益」+「支払利息」×(1-実効税率)}/{(前期末「資産合計」+当期末「資産合計」)÷2}
 

4)主要事業の戦略
<水産事業戦略>
  ・資源へのアクセスを強め価値の最大化を図る。
  ・安定した利益を出し続ける事業構造に進化させる。
<食品事業戦略>
  ・収益基盤を強化すると共に当社の強みを活かした成長分野を開拓する。
<ファインケミカル事業戦略>
  ・機能性脂質R&D技術による競争力とEPA情報資産のフル活用により健康分野で抜群の存在感を示す。
<グループ経営戦略>
  ・グループ個々の企業戦略を尊重しつつ、グループとしてのガバナンスを強化すると共に、専門組織を置き、
 企業個々の進捗管理体制を強化する。
<R&D戦略>
  ・競争力があり、差別化が可能な独自技術に根差した開発を進める。
  ・中長期の開発を重視したR&D推進体制を構築する。

 

5)財務・配当戦略
(ⅰ)投資計画
 当中計期間中、成長を実現するため戦略事業への設備投資を実施する。
 投資総額:700億円(個別230億円 グループ470億円)
 水産事業 220億円 食品事業 194億円
 ファインケミカル事業 109億円 物流事業 70億円
 その他 109億円
 減価償却費:535億円
(ⅱ)財務戦略 -有利子負債の削減、自己資本比率の改善-
 経営環境の変化に対応できる財務体質を構築するため、在庫管理の徹底等により資産効率を高めることで、自己資本を充実させると共に有利子負債を削減する。また、グループ会社を含めROAを指標とした投資管理の強化を進めていく。なお、本中計では将来の成長に向け、大型投資を計画しており、資金調達方法についても引き続き検討を進める。
(成長分野への投資と株主還元)

 


 

 

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

 当社は、平成21年6月25日開催の第94期定時株主総会において株主の承認を受け、「当社株券等の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入し、その後、平成23年6月28日開催の第96期定時株主総会及び平成26年6月26日開催の第99期定時株主総会において承認を受け、同対応策を継続更新している。(以下、第99期定時株主総会において継続更新後の同対応策を「本プラン」という。)

 本プランの有効期限は、平成29年6月28日開催の当社第102期定時株主総会の終結の時までであることから、本プランの継続の可否について慎重に検討してきた。

 検討の結果、金融商品取引法による大量取得行為に関する規制が浸透し、株主が適切な判断をするための必要な情報や時間を確保する本プランの導入目的も一定程度担保されるようになったこと、及びコーポレートガバナンス・コードの浸透等、買収防衛策をめぐる近時の外部環境が本プラン導入時とは変化したことなどから、本プランの必要性が相対的に低下したものと判断し、平成29年4月20日開催の取締役会において、本プランの非継続(廃止)を決議した。

 なお、当社は本プランの有効期間満了後も当社株式の大量買付行為が行われた場合には、買付者等に対して必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見の開示など適時適切な情報開示を行い、株主の検討の為の時間と情報確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じるとともに、引き続き企業価値及び株主共同の利益の確保、並びに向上に努めていく。

 

 

 

 

 

4 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 食品の安全性に係るリスク

近年、残留農薬問題、鳥インフルエンザ、放射能汚染問題や冷凍食品業界での農薬混入事件など食品の品質に関する問題が発生している。当社グループでは、厳しい品質保証基準と品質保証の仕組みを構築しており、例えば、工場内への持込み物禁止ルールの徹底、薬剤保管庫・検査室の管理徹底など、お客様に安全な商品をお届けするための品質保証に最大限努めている。しかしながら、想定を超える問題等が発生した場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

(2) 水産物市況によるリスク

当社グループが取り扱う水産物は、主に海外から国内へ輸入・販売している。生鮮魚類の水揚げ数量の増減、養殖における魚病の発生、大規模な自然災害などによる需給変動の影響を受け、水産物市況の動向が想定を超える場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

(3) 原材料価格の変動によるリスク

当社グループの使用する燃料、主副原料、資機材等の原材料は、その価格が市場の状況により変動する。これら原材料価格が予想を大きく超えて高騰しコストダウンで吸収しきれない場合、また販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

(4) 海外事業におけるリスク

当社グループは、北米、南米、アジアならびにヨーロッパ等において事業を展開しているが、それらの地域において政治や経済動向の変化、戦争、テロ、養殖事業における魚病の発生、大規模な自然災害などが発生した場合には、当社グループの経営状況に影響を及ぼす可能性がある。

(5) 養殖事業におけるリスク

当社グループは、国内や海外において養殖事業を営んでいるが、予防困難な魚病等が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

(6)為替レートの変動によるリスク

当社グループは、商品や原材料の輸出入取引があり為替レート変動の影響を受けている。このリスクを軽減するため為替予約等を行っているが、予測を超えた大幅な為替レートの変動があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

(7) 法的規制等の変更等によるリスク

当社グループは、事業を遂行していくうえで、国内および海外の様々な法的規制を受けている。将来において、現在予期しえない法的規制等の変更や新設があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

(8) 会計制度の変更によるリスク

当社グループでは、新たな会計基準の適用など会計制度の変更によって、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

(9)株価変動等による保有資産への影響によるリスク

当社グループでは保有する有価証券等の資産について取引先との関係や資産状況等を勘案しながら随時見直しを行っている。しかしながら、急激な株価変動や投資先の業績不振等により有価証券等の資産価値が下落し、減損処理を必要とする場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  (10)情報システムに関するリスク

当社グループでは、販売促進キャンペーン、通信販売等により多数のお客様の個人情報を保有している。当社グループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改竄等を防止するため、規程等を整備するほか、従業員に対する教育・研修等を通じた情報管理の重要性の周知徹底を行うなど、適切なセキュリティ対策を実施している。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改竄等のリスクが考えられ、これらの事態が発生した場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  (11)環境に関するリスク

当社グループは、廃棄物削減・再資源化、省エネルギー、二酸化炭素排出の削減、包装容器リサイクルの徹底を図り、事業を遂行していくうえで環境に関連する各種法律、規制を遵守している。
 しかしながら、関係法令等の変更によって新規設備の投資、廃棄物処理方法の変更等による大幅なコストの増加が発生する場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  (12)訴訟のリスク

当社グループは、事業を遂行していくうえで、各種関係法令を遵守し、従業員がコンプライアンスを理解し、実践することに最善の努力をしている。
 しかしながら、事業を遂行していくうえで、国内国外を問わず訴訟提起をされるリスクを抱えており、万一当社グループが訴訟を提起された場合、その結果によっては当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  (13)人材の確保・育成によるリスク

当社グループが今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施している。しかしながら、人材の確保・育成ができなかった場合には、当社グループの事業目的の達成が困難となる可能性がある。

  (14)事業を取り巻く環境の変化によるリスク

当社グループは、事業の遂行にあたって景気等の経済状態による消費動向が大きく影響を及ぼす可能性がある。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起こった場合は、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられる。また、日本国内の少子・高齢化現象が市場全体の縮小を及ぼすリスクが考えられる。

  (15)債権管理に関するリスク

当社グループは、取引先の信用リスクに備えているが、取引先の信用不安による予期せぬ貸倒れリスクなどが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  (16)自然災害に関するリスク

当社グループは、生産ラインの安全で正常な稼動を確保するために定期的な設備点検を行っているが、地震、台風および津波などに被災し、長期間稼動が停止した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、海洋資源をもとにした水産製品、食品から、医薬品、養殖魚の飼料まで、「食」と「健康」に関する研究開発を行っている。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は43億48百万円である。なお、中期経営計画において水産、食品、ファイン事業の主要3事業の個々の強化に加え、それぞれの事業領域の境目となる分野で融合を進めることでより高い成果を目指していることから、全ての研究開発費にかかる費用をセグメント別に関連づけることが困難であるため、その総額を記載している。当連結会計年度における研究開発の主な概要は次の通りである。

 

当社は、東京イノベーションセンター(中央研究所)を中心に水産・食品・ファイン事業に関連する技術開発、商品開発及び水産養殖等に関する研究開発活動を展開している。水産に関しては食塩を低減しても塩味やおいしさをしっかり感じられる「塩味増強技術」に関する研究、食品に関しては独自の技術を活かしたフライ衣やすりみの品質向上に関する研究、養殖に関しては肉質向上機能性飼料や養殖魚の成熟制御、まぐろの完全養殖の事業化などに関する研究を行っている。機能性素材に関する研究では、高純度なEPAの研究や新しい医薬・機能性脂質に関する研究を行っている。当社の研究開発費は、34億82百万円である。

日水製薬㈱では、ファイン事業に関連する研究開発活動を展開している。同社では、将来性のある基盤技術獲得のためのオープンイノベーション推進と再生医療分野の新規事業化に向けた製品開発や販路の探索・獲得を専門的に取り組んでいる。臨床診断薬事業・産業検査薬事業においては、同社の得意分野である微生物分野での研究に注力し、顧客需要の高い専用製品、新たな通知法対応の製品の品揃え及びリニューアルを実施している。医薬事業では、原料から一貫生産をしている肝臓加水分解物等の機能性表示食品制度の適用を目指し機能性評価を進めている。日水製薬㈱の研究開発費は、8億66百万円である。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っており、貸倒引当金、たな卸資産、有価証券、退職給付に係る負債、法人税等などに関する見積り及び判断に対して継続的に評価を行っている。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの結果と異なる可能性がある。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善など緩やかな回復基調で推移し、個人消費も総じて持ち直しの動きが続いた。一方、消費者マインドには依然として足踏みが見られるとともに、為替相場の不安定さなどにより先行き不透明な状況が継続した。

世界経済(連結対象期間1-12月)については、米国では雇用情勢に改善が見られるとともに個人消費が増加し、欧州でも失業率の低下傾向が継続するなど景気が改善傾向にあったが、アジアでは中国において景気は緩やかに減速した。

当社および当社グループにおいては、水産事業では鮭鱒価格が急速に回復するなど好調に推移し、食品事業では国内で円高による原材料や加工製品などの輸入コストの減少があったが、北米では家庭用冷凍食品で苦戦した。

 

水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
水産事業では売上高は2,658億69百万円(前期比68億71百万円減)となり、営業利益は79億49百万円(前期比34億51百万円増)となった。
漁撈事業:前期比で増収、増益
<日本>
 ・かつおやぶり等の漁獲が好調だったことに加え、修繕費や原油安による燃料費の減少などにより、増益となった。
<南米>
 ・ほきの漁獲が低調となり、減収減益となった。
養殖事業:前期比で減収、増益
<日本>
・まぐろの販売価格が下落したことに加え、ぶりの販売数量減少や鮭鱒の原魚コスト増加などもあり、減益となった。
<南米>
・鮭鱒は赤潮の発生により販売数量が減少したものの、販売価格が急速に回復したことに加え、在池魚評価が好転したこともあり増益となった。

加工・商事事業:前期比で減収、減益
<日本>
・魚粉などの販売価格が下落したものの、えびやすりみなどが好調に推移し増益となった。
<北米>
・助子の卵率低下に加え、フィレやすりみの市況が低迷し減益となった。
<ヨーロッパ>
・デンマーククローネ高による為替換算の影響などもあり、減収減益となった。

 

 

食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
食品事業では売上高は3,044億87百万円(前期比21億63百万円増)となり、営業利益は111億12百万円(前期比9億30百万円増)となった。
加工事業:前期比で減収、増益
<日本>
・冷凍食品や練り製品などの販売が好調に推移したことに加え、円高の影響による原材料や加工製品などの輸入コストの減少などにより増益となった。
<北米>
・家庭用冷凍食品会社では最需要期となる第1四半期での主力商品の販売不振の影響が大きく、減益となった。
<ヨーロッパ>
・販売数量増加により増収となったものの、為替換算の影響などもあり減益となった。
チルド事業:前期比で増収、増益
<日本>
・コンビニエンスストア向けサラダや惣菜などの販売が伸長し、生産性も向上したことで増益となった。

 

ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および医薬品、診断薬などの生産・販売を行っている。
<当連結会計年度の概況>
 ファイン事業では売上高は257億96百万円(前期比1億13百万円増)となり、営業利益は39億76百万円(前期比6億57百万円減)となった。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>
・医薬原料において後発品使用促進策の影響があり、販売数量が減少し減益となった。
<臨床診断薬、医薬品>
・臨床診断薬、産業検査薬などにおいて、販売が順調に推移したものの、製造原価などのコストが上昇し減益となった。

 

物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
物流事業では売上高は159億82百万円(前期比7億94百万円増)となり、営業利益は17億99百万円(前期比55百万円減)となった。
・大阪舞洲物流センター新設により売上高は増加したものの、減価償却費及び開設初期費用の発生などにより減益となった。

 

(注1) 主に食品素材や化粧品素材向けとなるEPA・DHA、コレステロール、オレンジラフィー油など。

(注2) 特定保健用食品「イマーク」・「イマークS」やEPA・DHAなどのサプリメント。

 

 

① 売上高

売上高は前期比12億11百万円減の6,359億53百万円となった。事業別には、水産事業が前期比68億71百万円減少し、食品事業が21億63百万円、ファイン事業が1億13百万円、物流事業が7億94百万円増加となった。水産事業は南米で鮭鱒の赤潮発生により販売数量が減少し、また北米のフィレやすりみの市況の低迷やデンマーククローネ高による為替換算の影響もあり減収となった。食品事業は北米で家庭用冷凍食品会社の最需要期での販売不振があったものの、日本で冷凍食品や練り製品などの販売が好調に推移した。またコンビニエンスストア向けのチルドサラダや惣菜などの販売が伸長した。ファイン事業は医薬原料において後発品使用促進策の影響があり販売数量の減少があったが、臨床診断薬、産業検査薬などにおいて、販売が堅調に推移した。物流事業は大阪舞洲物流センターの新設により保管料収入などが増加した。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は前期比30億34百万円減の5,013億71百万円となった。販売費及び一般管理費は、発送費が7億35百万円、減価償却費が4億95百万円減少したため、前期比13億80百万円減の1,119億34百万円となった。

 

③ 営業利益

営業利益は、前期比32億4百万円増の226億46百万円となった。事業別では水産事業で南米の鮭鱒の販売価格が急速に回復したことに加え、在池魚評価が好転したことなどにより34億51百万円増、食品事業は北米で家庭用冷凍食品会社の最需要期での販売不振があったものの、日本で円高の影響による原材料や加工製品などの輸入コストの減少などにより9億30百万円増となった。ファイン事業は医薬原料において後発品使用促進策の影響があり販売数量の減少や臨床診断薬、産業検査薬などにおいて製造原価などのコストが上昇したため、6億57百万円減、物流事業は大阪舞洲物流センターの新設による減価償却費及び開設初期費用の発生などにより55百万円減となった。

 

④ 営業外収益・営業外費用

営業外収益は前期比1億38百万円増の59億68百万円となった。これは主として持分法による投資利益が8億38百万円増加、投資有価証券売却益が3億38百万円減少したことなどによるものである。

営業外費用は前期8億45百万円減の37億30百万円となった。これは主として雑支出が5億94百万円、支払利息が4億79百万円減少したことなどによるものである。

 

⑤ 経常利益

営業利益の増益、営業外費用の減少などにより前期比41億88百万円増加の248億84百万円となった。

 

⑥ 特別利益

特別利益は前期比6億70百万円減の9億54百万円となった。これは主として固定資産売却益が7億57百万円増加し、投資有価証券売却益が13億95百万円減少したことなどによるものである。

 

⑦ 特別損失

特別損失は前期比69百万円減の13億9百万円となった。これは主として減損損失が6億53百万円減少し、災害による損失3億42百万円増加したことなどによるものである。

 

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比19億8百万円増の142億16百万円となり、前期の1株当たり当期純利益44円55銭に対し、48円02銭になった。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益245億29百万円、減価償却費163億55百万円、売上債権の増加57億44百万円、たな卸資産の増加13億0百万円、仕入債務の増加19億46百万円、未払費用の増加27億2百万円などの結果、301億79百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、UNISEA, INC.におけるドックの維持更新、当社の鹿島医薬品工場への投資、共和水産株式会社における船舶の取得などの有形固定資産の取得による支出234億47百万円、投資有価証券の売却による収入155億37百万円などにより、74億45百万円の支出となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入れによる収入128億0百万円、長期借入金の返済による支出332億95百万円、株式の発行による収入139億11百万円などにより、115億17百万円の支出となった。

以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比111億24百万円増加し、251億81百万円となった。

 

② 財政状態について

当連結会計年度における流動資産は前期比156億28百万円増の2,330億87百万円、固定資産は94億58百万円減の2,187億89百万円、総資産は前期比61億69百万円増の4,518億76百万円となった。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて7.2%増加し、2,330億87百万円となった。これは現金及び預金が146億14百万円及び受取手形及び売掛金が46億72百万円増加し、原材料及び貯蔵品が25億90百万円減少したことなどによる。
 固定資産は、前連結会計年度末に比べて4.1%減少し、2,187億89百万円となった。これは有形固定資産が55億13百万円増加し、投資その他の資産が139億32百万円減少したことなどによる。
 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、4,518億76百万円となった。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて1.8%増加し、2,162億36百万円となった。これは未払費用が27億74百万円及び支払手形及び買掛金が12億53百万円増加したことなどによる。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて20.9%減少し、944億34百万円となった。これは長期借入金が257億95百万円減少し、繰延税金負債が21億78百万円増加したことなどによる。
 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて6.3%減少し3,106億71百万円となった。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて271億74百万円増加し、1,412億5百万円となった。これは公募増資による新株式発行等により資本金額69億55百万円、資本剰余金が73億20百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益を142億16百万円計上したこと、為替換算調整勘定が28億73百万円減少したことなどによる。

 

(4) 今後の方針について

当社は、平成27年度より、新たに策定した「中期経営計画MVIP2017」を推進する。取組みの詳細については、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している。
 また、企業の社会的責任として、リスクマネジメント委員会が中心となって、法令遵守と企業姿勢を定めた倫理憲章、高品質で安全・安心な商品の提供に努める品質保証憲章および水産資源の持続的な活用や自然との共生に配慮した環境憲章の周知徹底を引き続き強化するとともに、その他の経営に係る重要なリスクの管理強化を進めていく。